2024.12.03
企業の情報漏えいで最も多いのは「中途退職者」による持ち出し 内部不正が発生しやすい3つの要素
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坪田朋氏(以下、坪田):後半組のみなさま、ご登場をお願いします。今日の「CXOのリアル」というテーマは、先月ぐらいに田川さんのTakramキャストでポッドキャストしたんですよ。その時のテーマがCXOのリアルだったので、今日はこういうタイトルにしました。
CXO Nightというイベントをやってたぶん2年、1年半ぐらいかな。ようやくこうしてCXOというラベルの人たちが集まって開催できたのは、これは悲願ですね(笑)。なので、ちょっと今日はそんな話をしたいと思います。
田川さんや広野くんとかと、「業界含めてこういう活動で盛り上げていければいいな」というのはよく話すんですが、そんな話をできればと思ってお三方をお呼びさせていただきました。
事前にメールで紹介を送らせてもらったんですけど、軽くみなさんから自己紹介をしていただけると。マイクは手元にありますか? お願いします。じゃあ、左の田川さんから。
田川欣哉氏(以下、田川):みなさん、こんばんは。Takramの田川といいます。僕はCXOでいうと、メルカリのCXOのアドバイザーをやっていて、隔週かな、2時間ぐらい。今もメルカリのCXOには井上雅意くんという人がいるんですけど、雅意くんとおしゃべりしながらこれを聞いていたりしています。ということで、ちょっとメルカリの話もしようと思っています。よろしくお願いします。
(会場拍手)
広野萌氏(以下、広野):今日、本を出されたという発表がありましたが。
田川:はい。
広野:『イノベーション・スキルセット』という。
坪田:確かに。
田川:はい。ごめんね、ありがとね(笑)。みなさん、最初から宣伝ですみません。Amazonで「イノベーション・スキルセット」というやつでググってもらえると。実は今日予約がスタートしたんですよ。
その本の最後のほうにCXOの話もちょっと書いてあって、坪田さんとかも勝手に名前を使わせてもらったりしています(笑)。「なんでそういうのが必要なの?」「エンジニアリングとビジネスをどうやって巻き込んでいくのか」みたいな話もけっこう書いてあるので、興味がある方はぜひポチっていただけると。
広野:今日から買えるんですよね?
田川:買えます。
広野:すごい。タイミングばっちしですね(笑)。
田川:ただ、紙のほうの予約しかできなくて。(会場にいるみなさんは)「もうデジタルしか嫌だ」という方が大半だと思いますが、Kindle版も今月末から出るのでよろしくお願いします。ありがとうございます。
広野:「未来を生み出す方程式がここにある。夢×技術×デザイン」……。
田川:絶対、絶対この人からドヤられる。
広野:ものすごい期待ですね、これは。
田川:「印税をよこせ!」みたいな(笑)。
広野:ははは(笑)。楽しみにしております。
田川:よろしくお願いします。
坪田:じゃあ次、スライドの通りにいきます。広野くん。
広野:はい、Basecampのパートナーの広野です。CXOは……。Basecampの人も「えっ、萌ちゃんってCXOだったの?」みたいな感じで、僕も「CXOだったんだ?」と思いました(笑)。
CXOと、あとFOLIOで共同創業をしてからCDO(Chief Design Officer)として3年半やってきて。この前退職したんですけど、今日はその話とかをできればいいかなと思っています。
このメンツを見たらわかる通り、僕が登壇するというか、「坪田さんが話せよ」という感じなので(笑)。実質、僕がモデレーターをやりながら話を進めていければいいかなと思っています(笑)。お願いします。
(会場拍手)
広野:じゃあ、安藤さんお願いします。
安藤剛氏(以下、安藤):THE GUILDというデザインファームで働いております、安藤と申します。今年の4月から、山登りをサポートするサービスのYAMAPという会社のCXOに就任しまして。今お手伝いしているので、今日はYAMAPのCXOとしていろいろお話できたらなと思います。よろしくお願いします。
広野:このあとは登山ですよね?
(一同笑)
坪田:明日だからね、山の日。
安藤:CXOのあるべき姿って……。この足でアルプスに行くという。
広野:明日からアルプス(笑)。
安藤:非常にCXOらしいという。
坪田:らしいですね。最近安藤さんのTwitterを見ると、「毎週登山をしているんじゃないか?」というぐらい、すごいですよね。けっこう行っていますよね?
安藤:登山は4年ぐらいなんですが、YAMAPのお手伝いをすることになってから冬の間はほぼ毎週行っていましたね。最近はけっこう週に……。
坪田:ユーザーテストみたいな(笑)。
安藤:ユーザーインタビューをしていました。
広野:実際に登山家に?
坪田:僕、前から1つ疑問があったんですけど、安藤さんの名前はアルファベットの「安藤」で通したほうがいいんですよね?
安藤:いや、すいません、とくにこだわりはなかったです。
坪田:あっ、そうなんですか。僕いつもスライドを書く時にちゃんと名前を調べるんですけど、安藤さんの漢字がいまだにわからないぐらい世の中に出てこないという(笑)。
(会場笑)
広野:僕も調べたんですけど、ないですよね。
安藤:すいません、あんまり意識してなかった。
(一同笑)
坪田:アルファベットの安藤でいつも読んでいました。じゃあそんな感じで、今日はいろいろ聞ければと思うんですけど、「ぶっちゃけCXOって何をするの?」というテーマを話していきたいなと思います。
たぶん「CXO」はここ2年ぐらいで急に出てきたワードです。田川さんとポッドキャストとかで「CDOやCXOの定義」みたいなことを話してきたんですけど、今日はどういうことをしているのかということが聞けると思うので、いろいろ聞いていきたいと思います。
じゃあ、さっそくYAMAPのCXOの安藤さんから、どういうことをしているのかを。でも、安藤さんのTwitterを見ると、だいたい伝わってきますよね。今日のイベントが終わったら振り返って見てみてください。
安藤:CXOがどういうことかというと、まぁCXOをはじめとして、いわゆるCクラスオフィサーですね。そのミッションというのは、CEOが持っている経営課題に対して、それぞれの専門領域の知見を基に……。
けっこうよくある間違いが、Cクラスオフィサーは部門長である、部門の長であるというような言われ方をすることが多いんです。本当はその部門のリードではなくて、CEOが持っている経営課題に対して、それぞれのスペシャリティを持って、部門を横串で横断して最適解を出すというのがミッションだと言われていて。
そのためCXOはユーザー体験を軸として、ユーザーの体験を最大化するために全社の部門を横断して、局所的ではなく全体で最適の提案をすることがミッションの人なのかなと思っています。
坪田:やっぱりそうですよね。CXOの「X」はエクスペリエンスのXでもあるんだけど、どこかの部署や人やコンテンツをつなぐXでもある、その両方の意味だと思っていて。なので、部門の縦軸というよりは、わりと横軸を連携していく役回りが多いのかなという定義を最近よく話しています。田川さんはどうですか? いろんな会社を見ていると思うんですけど。
田川:(ピースオブケイクのCXOの)深津くんとかともよく「CXOって何をする人ですっけ?」とか話しますね。坪田さんとも話すんですけど、彼らと2年ぐらい前に話していた時は、CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)とCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の違いだと、CDOはやっぱりデザインジャッジをする人な感じで。まぁチーフ・クリエイティブ・オフィサーもそうだと思うんですけど。
でも、CXOはやっぱりちょっと違っていて、CTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)やCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)と連動してプロダクトを作っていく話と、あとC向けのサービスだと、やっぱりCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)と一緒にブランドコミュニケーションもやっていくみたいな。その両方をできるのがまず1つ目の考え方だと思うんです。
ただ、やっていくうちに、やっぱり組織設計とかね。例えばCOO(チーフ・オペレーションズ・オフィサー)と連動してインナーでブランディングをやったり、エンゲージメント向上施策をやったり、いろいろなんですよね。
そうやって考えていくと、プロダクトとブランドというのを、こっちがCMOとの共同作業で、こっちがCPO・CTOとの共同作業というような、ちょっとこう、小さい定義で……。最近「生きがいマップ」というのは見たことありますか? 円が4つぐらいこうやって重なっているやつ。ググると出てきます。生きがいマップ、めちゃくちゃいいですよ。
坪田:マジですか?
田川:CXOの話とまったく関係ないんだけど、すごくて。生きがいマップでみんなググれます? 4つぐらい円が重なっているベン図で、この真ん中に「あなたができること」「世の中の求めていること」とかが書いてあって、その重なり合いのところに「Passion」「Mission」とかがいろいろ書いてあるやつなんです。
坪田:これか、アルファベットで「Ikigai Map」。
田川:そうそう、アメリカで流行っているらしいんです。ちょっとこれに近いところがあって。僕の中でのC〇〇タイプの人のイメージは、組織が小さい時にはCEOがほとんどそれを1人で賄うんですよ。それで、組織が大きくなってくると末端にいる人たちの数が増えていくので、CEOの分身を作っていく必要があるんです。
この前、坪田さんも「CXOは基本的にCEOの分身ですよね」みたいな話をされていて、本当にそうだなと思っているんです。COOもCFOもそうだし、基本的にはCEOがやっていたやつを、組織が大きくなるに従って分身させていくんですよね。そうすると、近接するところの領域の人と重なりが出てきて、そこを共同作業で解いていく必要があって。
先ほど安藤さんがおっしゃっていたことは本当にその通りで、部門長でC〇Oクラスで分業していたら、もう終わりますよね。その隣接するところとサイロ型で解けないやつを上に吸い上げて、上でガシャガシャやることの集合人格として、「大きなCEOを作る」というのがたぶんC〇Oとか、ボードメンバーの役割なんです。CXOというのは、その一部をすごく広範囲に賄う人たちだと思うんですよ。
なので、この前坪田さんが「どうやったらCXOになれるんでしたっけ?」みたいな話をしていましたけど、やっぱり道のりが長いところもあって。大変だとは思うんですけど、だからすごくやる気が出るし、デザイナーのキャリアパスとしても今までそういうのがなかったので、ランクを上げていくことがすごくおもしろいですよね。
坪田:そうですね。やっぱりそれぞれ、けっこうみんなキャリアが違いますからね。それこそ深津さん、安藤さん、僕とかもいろんなキャリアがある。きっとパラレルにやり続けた人たちの終着点が少しずつ見えてきたような感じでもあるのかなという気がしますね(笑)。
田川:そうですね。だから、(CXOは)たぶんテック(Tech)とビジネス(Business)とクリエイティブ(Creative)の3言語をしゃべらなきゃいけなくて。
それが富士山みたいな話だとすると、たぶんその頂点に……僕は「BTC」と言っているんですけど、その頂点のBTCを理解するために、Bの入り口から入ってもいいし、テックの入り口から入ってもいいし、クリエイティブの入り口から入ってもよくて。登山の話ですいません。
(会場笑)
田川:安藤さんがいる前で登山の話はしないほうがいい。登山メタファーじゃないので(笑)。(いろんな入口から)入っていくんだけど、なんだか経由しながら行くというか、ちょっと時間かかるんだけど、みたいな。なんとなく、みんなそんな感じを踏んでいませんか?
坪田:広野くんは前職のFOLIOでCDOだったじゃないですか。今みたいな話を聞いて、やっぱり動き方などに違いはあるんですか?
広野:僕自身があんまりCDOというような……。デザインの指針を作ったのは作ったけれど、バチバチに「こういうデザインであるべきだ」という役割をしていたというよりは、今の言葉でいうとCXOだったなと。今、そういうことがあるなと思いました。
サービスを作るためならなんでもするという、ある意味横串ですよね。PM上がりでも、デザイン上がりでもいいんですけど、先ほど堀江さんがおっしゃっていた「点じゃなくて線で見られる」「面で見られる」みたいな人が、これからのデザインやCXOという役割に求められているなとは思っていて。
だからといって僕がその時に、CDOという名前の通り、FOLIOというサービスのデザインがめっちゃかっこよくて「やベーぜ、これ!」みたいなプロダクトを作ったところで、「じゃあそのサービスがすごく使われるのか」といったら、そのフェーズでは別にいらなかったなと今でも思っていて。
そういう意味で、なんでデザイナーのみなさんがデザイナーとしてのスペシャリストでプロからCXOになっているのかというと、別にCXOになるのはPM上がりでもエンジニア上がりでもいいと思うんですよ。
ただ、デザインという手段は、ユーザーに一番見えるところをバチッと作っていて、可視化されやすい。みんながそれを見て、みんなが意見を言って、前に進みやすい1つの手段なんですね。
そのデザイナーが第1陣のメンバーで、それが「このメンバーたちはデザイナーという職種からCXOになった!」「サービスを動かしている!」「会社をめちゃめちゃ伸ばしている!」みたいなことで出てきたのが今だなと思うんです。
でも、たぶんこのあと第2陣で「坪田さんみたいなデザイナー上がりの人がなることもあったけど、それは昔の話だよね」みたいな話になる可能性もあるじゃないですか。
坪田:確かに。アメリカのスタンフォード大学にd.school(デザイン思考を学ぶ講座)というのがあるんですけど、最近はけっこうマーケッターの人やMBAホルダーの人がd.schoolに行って、デザイン思考を勉強して、スタートアップのC〇Oになるようなケースも海外で増えてきていますよね。
広野:そうですね、トロント大学のロジャー・マーティン(ロットマン・スクール・オブ・マネジメント教授・元学長)とかも、ビジネスの経営学のMBAの人たちにデザインを教えるというか、むしろビジネスの人たちにデザインを教えたいんだ、という流れが(来ている)。
日本ではまだそういう動きがなくて、そういう学びがなかったから、実践でデザイナーがビジネスに入り込み始めるような、特殊な事例になっているというか。アメリカとは違う方向でビジネスとデザインがかけ合わされている感じがするんですけど、どうですか、田川さん?
田川:いろいろ話をしているうちによくわかってきたんですけど、プロダクトイノベーションをやるためのデザインと、ブランドを作るためのデザインはぜんぜん違うんですよね。けっこうみんなが勘違いするのは、「デザイン思考的なことをやると、カッチョイイものができる」みたいな。これは、絶対できないです。
デザイン思考はユーザー観察をして、仮説を立てて、プロトを作ってテストをして、アジャイルでぐるぐる回すことなんだけど、たぶんみんなが知らないことが……。今日はリアルな話をしたいので。
みんなが知らないおもしろい話があって、デザイン思考はデザイナーが作った手法じゃないということを知っていますか? これ、あんまりみんな知らないんですよ。
坪田:デザイナーが?
田川:そうそう、IDEOがデザイン思考を体系化したんだけど、僕はティム・ブラウンから聞いたんですよ、IDEOの元CEOの……あっ、違う、ティムじゃなくて別の人から。すごいシニアの人から聞いたんだけど、IDEOの中のデザインシンキングを作ったのは、実はエンジニアリング部隊なんですね。
坪田:そうなんですね!
広野:へぇ〜。
田川:これは人の知らないトリビアですよ。知っておくと自慢できる。
坪田:ははは(笑)。
広野:あとでツイートしよう。
田川:デザイナーのように考えるというのは、エンジニアから見た時にデザイナーが考えているようにすることで、それをソフトウェアを作るデザイン手法として体系化したのはエンジニアたちなんですね。
広野:なるほど。
田川:だからみんなわからないわけですよ。で、デザイナーたちから見ると混乱するんです。「えっ? 俺たちそんな感じで考えてないけど」みたいな(笑)。
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