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マーケット視点とキャリア思考から見たスポーツの可能性(全6記事)

世界中のコーチはお金と自身の幸せに悩んでいる 投資とキャリア設計のプロと考える、スポーツの問題

2019年2月9日、「SCJ Conference 2019 ~壁を超えて、繋がる~」が開催され、ビジネス界やスポーツ界の枠にとらわれず、多様な分野で活躍する第一人者が一堂に会しました。その中の基調パネル「マーケット視点とキャリア思考から見たスポーツの可能性」では、レオス・キャピタルワークス藤野英人氏、morich森本千賀子氏、スポーツコーチングJapan中竹竜二氏が登壇。本パートでは、藤野氏と森本氏が自らのキャリアを振り返りました。

藤野氏と森本氏のブッキングは「奇跡的」

中竹竜二氏(以下、中竹):そういったわけで、ちょっと長くなりましたが、ここで基調パネルの御二方をお呼びしたいと思います。それでは藤野さん、森本さん、前にお願いします。拍手でお願いします。

(会場拍手)

司会者:藤野英人様、森本千賀子様、よろしくお願いいたします。藤野様は、中小型及び成長株の運用経験が長く、レオス・キャピタルワークスを創業され、ファンドマネージャーとして約30年の経験をお持ちです。森本様はリクルート累計売上歴代トップの伝説を残して独立、転職エージェント業のみならず、自らがパラレルキャリアを体現されており、幅広く活躍されていらっしゃいます。

それでは藤野様、森本様、中竹様、よろしくお願いいたします。

中竹:はい、よろしくお願いします。

藤野英人氏(以下、藤野):よろしくお願いします。

森本千賀子氏(以下、森本):よろしくお願いします。

中竹:もうバンバン撮って、バンバンSNSに流してください。

(会場笑)

こういった発信が大事です。

藤野:私は肖像権フリーですから、いくらでも撮っていくらでも流してもらってけっこうです(笑)。

中竹:実は今日、御二人に打診をしたところ、この時間だけ奇跡的に空いていたんですね。

森本:そうなんです。

中竹:このあとすぐに海外で、また別のイベントに登壇されますので。ほぼ捕まらない御二人なのですが、奇跡的に空いたということで。

藤野:運命ですね。

中竹:そうですね。今日、我々としては、いろんな話をしようと思ったのですが……だいたいこういうときは打ち合わせなどを入れるのですが、今日はもう打ち合わせは一切しないということですね。今日、新たに出る話のほうが、たぶんみなさんにとっては新鮮だろうと思いまして。ほぼ打ち合わせをしていませんので、僕のほうからいろんな質問をさせていただきながら、進めていきたいと思います。

投資のプロは全体最適を考えられるプロ

中竹:では最初に、司会の方から紹介がありましたが、藤野さんは今、何をやられているのか。簡単でいいので、ご自身の自己紹介をしていただければと思います。

藤野:はい。私は2003年にレオス・キャピタルワークスという会社を立ち上げまして、私自身が会社の創業者です。何の仕事かと言うと、投資信託です。投信というのは一般的に、ふつうの個人の方から1万円、2万円、場合によっては10万円、100万円、1000万円。それぞれの出せるお金を集めて、集めたお金を主に私たちは日本株、日本の会社に投資をしているというようなファンドをしています。

今「ひふみ」というファンドを運用しておりまして、実は日本で規模では1番ということで、今、だいたい8000億円。会社全体では1兆円くらいの運用残高があります。

お客様からお預かりしたお金を、北海道から沖縄まで推定で50万人くらいのお客様がいらっしゃるのですが、この50万人のお金をまた北海道から沖縄まで、大きな会社から小さな会社まで差別なく本当に良い会社に投資をして、結果的にその会社の成長を促していき、そうすればそこで雇用も生まれるし、税金も生まれますね。またそこで働く人が喜んでくれる。

会社が成長すれば収益の上昇と共に株価が上がるので、結果的に投資家が儲かるという。そうした正の循環をどうやって作るのかということが、私の仕事です。今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

中竹:少しだけ補足をさせてください。なぜ僕が藤野さんを呼びたいと思ったのかと言うと、スポーツの方々は先ほど言ったように、自分の競技を高めよう、もしくは自分のチームを強くしよう、自分が活躍しよう、というような壁があります。この視点では限界があります。部分最適は基本、全体最適を壊す構造になってしまうからです。

そう考えたときに、全体最適を考えるプロ。要するに、スライドの真ん中にあります「俯瞰をする」ということに関してのプロが誰かと思えば、それはもうやっぱり投資の視点なんですね。今のようにお金を北海道~沖縄から集めて、そこの中で雇用を生み出し循環を生み出す。これこそが全体最適だと考えるのですが。

自分の利益だけ、自分の地域だけと考えると成立しませんが、僕自身の場合はやっぱりスポーツ界に、スポーツ全体がどうなのか、競技全体がどうなのか、クラブ全体がどうなのか、というようなことです。この俯瞰した目線を、ぜひ藤野さんの視点から引き出していただきたいと思って今日はお呼びしました。

藤野:ありがとうございます。

「オールラウンダーエージェント」へ転身

中竹:のちほどまた質問します。では、森本さんからも自己紹介をお願いします。

森本:はい、みなさんこんにちは。よろしくお願いします。私は25、6年前……年がバレちゃいますが(笑)、新卒でリクルートに入りまして、ずっと、ひたすら転職エージェントをやってきております。

お会いしたビジネスパーソンの方々は、老若男女いろんな職業の方がいらっしゃるのですが、恐らく4万人近くのキャリアの相談に乗ってきました。そうした方々を中途採用したいという企業、クライアントにつきましては、これも本当に北は北海道から南は沖縄まで(笑)。

スタートアップしてまだ3人目という、本当に創業間もない会社から、何万人という一部上場会社に至るまで4500社近くを担当してきて、そのマッチングをやってきました。これは恐らく、この業界の中で言うとレコードだと思いますが、累計約2,000人の転職の支援をさせていただいています。

私はリクルートの中で、少し変わったというか、ほかのメンバーとは違う働き方をしています。たぶん、みなさんの周りにもリクルートのお知り合いの方はいらっしゃるんじゃないかと思うんです。もしかしてこの中にも出身の方がいらっしゃるんじゃないかとは思いますが(笑)。

だいたい自分がやりたいことを見つけると、そのまま起業したり、いわゆるセカンドキャリアじゃありませんが、転職をしたりするものですが。私はとにかくもう、リクルートLOVEだったんですね。やりたいことをやらせてもらえる、とても恵まれた環境だったので。ですから、リクルートにいながら、でも自分のやりたいライフワークが多種多様にあったので。

2013年のときに、いわゆる個人事業主という雇用形態の申請をして、今で言うパラレルキャリアをスタートしました。そうこうしているうちに、いろんなところから「もっとコミットメントしてよ」と言われるようになりました。例えば社外役員や顧問をやってほしい、というような話があったので、「じゃあ」ということで。リクルートにいながら自分の会社を立ち上げる、というようなことをやりはじめて、2足、3足のわらじでやってきました。

そうこうしているうちに自分の会社のほうでもミッションが、比較的ウエイトが高くなったので。2017年に卒業して、今は株式会社morichの中で、転職エージェントを核にしながら、「オールラウンダーエージェント」……というように私自身は、勝手に呼んでいるのですが(笑)。

お客様というのは、困ったことがたくさんあるんですね。とくにクライアント、企業様で言うと、中途採用に限った話ではありませんから。新卒であったり、場合によってはパート・アルバイトのこと。そして、採用だけではなくて教育だったり、人事制度の構築であったり、場合によってはブランディングやマーケティングも。

私が培ってきた財産というのはお客様だったんですね。4,500社もあれば、ビジネスマッチングすれば十分にソリューションができます。本当に困ったときのmorich、というものをブランドビジョンにして、今、やらせていただいています。

雇用問題は世界的な悩みどころ

森本:スポーツつながりのところで申し上げると、小学校・中学校・高校とソフトボールをやっていました。ピッチャーだったんですね(笑)。スパルタコーチの下で毎日5キロを走っていました。ですから、その頃の気合・根性のようなものが、今にもつながっているんです(笑)。

大学のときは、たぶん同世代の方はわかっていただけると思いますが、『スクールウォーズ』にとにかく私はとてもシンパシーを感じまして(笑)。「ラグビーだ」と。でも、どうもその頃は女子ラグビーというものはなかったんですよ。やりたくて探したんですが……。

中竹:今だったらありますよね。

森本:そうなんですよね。当時はなくて、しょうがないと思ったので、実はマネージャーをやっていました。そこから目覚めて「サポーター側の仕事がしたい」ということで、エージェントにもつながっているのですが。

もう1つ言うと、今のJリーグのチェアマンは、村井(満)さんという方ですが、彼はもともとリクルートで、上司でもありました。今、いろいろとセカンドキャリアなど、逆に言うとJリーグの組織をどうする、というようなところも相談に乗ったりしています。

さらに言うと、リクルートのときにBリーグの立ち上げのサポートも実はさせていただいています。いわゆる立ち上げメンバーのようなところを、いろいろとご紹介をしていった。そんなところでスポーツにも少し関与をさせていただいておりまして、今日は本当に楽しみにして参りました。よろしくお願いします。

(会場拍手)

中竹:はい。同じく補足をさせていただくと、実は僕自身、コーチのコーチ、ディベロッパーの仕事をしていて、いろんなカンファレンスに年数回ほど行きます。おもしろいことにこの数年は、コーチ・ディベロッパー、要するにコーチをどう育てるかという中に……もちろん戦略論、スキル論、コミュニケーション論。これがずっと主流だったわけですよ。そこに、最近になってAIやITの話が出てきました。

もう最近ではトピックですね。必ずコーチのキャリアなど、エンプロイメント。要するに雇用をどう生み出すか。なぜかと言うと、当たり前ですが、みんな世界中で迷っているんですね。みなさんの中に、例えば今、プロでスポーツのコーチをやっている人もいれば、平日は自分のふつうのビジネスをやりながら、余暇にコーチをしている人もいると思います。

プロになった人、そうじゃない人に関わらず、世界中のコーチが「これからの人生を、何で食べていくか」。お金と自分の幸せをどうするのかということについて悩んでいるというのが現状です。コーチ・ディベロッパーのカンファレンスの中に、実はキャリアの講座・テーマがあったり、エンプロイメントですね。同じように実は、藤野さんのように雇用を生み出す主体は誰なのか、というような話も最近では増えております。

そうした意味では、今日はみなさんにダイレクトに結びつく話がこの場ではないかもしれませんが、ぜひ「プロの投資家やプロのキャリアエージェントの考え方はこうで、自分に置き換えるとこうなんだ」というような掴み方をしていただければと思います。

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