2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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中田敦彦氏(以下、中田):その後、テレビに出てああだこうだやった上で、新規ビジネスを開拓しなければいけないということでやったのが、RADIO FISH (レディオ・フィッシュ)という、今日かかった『PERFECT HUMAN』ですね。あれはより多くの人間にピッチをしたわけですよね。
「音楽というものを作ってみたいんだ」と。その音楽は「お笑い芸人がやることに意味があるんだ」と。「僕らはリズムネタで出てきた芸人なんだけど、そのリズムネタをもっと研究すると音楽になるはずなんだ。その音楽をやってみないか。そうしたら、そのメリットはダンサーであるみなさんにもあるはずなんだ」と。
ダンサーは日本では地位が低いんですね。なかなか金にならないんですね。でも、アーティストになるとお金になるんじゃないかと僕は思ったんですよ。
そういうのも、三代目 J SOUL BROTHERSを見て、あのEXILEファミリーを見て。EXILE TRIBEはすごいですよね。言ってみれば、たった二人のボーカルが何人ものダンサーをアーティストにしているんだと僕は思ったんですよ。それは、HIROさんというダンサーが作ったからそうなんだと思ったんですね。
「ダンサーが作ったから、ダンサーが食っていける仕組みを作ったのか」と僕は思ったんですよ。だから、MAKIDAIさんが『ZIP!』のMCをやったり、AKIRAさんも『GTO』の主演をやったりして「でも、あの人はダンサーだもんね。歌ってないもんね」とは誰も言わないわけじゃないですか。「バックダンサーだもんね」だなんて、一言も言いませんよ。「あれはEXILEのパフォーマーなんだぜ」と言うわけです。
パフォーマーという言葉を発明したのも、EXILE TRIBEなんですよ。すごいですよね。ダンサーをいかに食わせるようにしたかというところに、僕は目を付けたわけですよ。だってあんな人数で『Rising Sun』をする必要は、本当はない。
だって本当に、4人ぐらいでもいいじゃないですか。「『Rising Sun』もうそんなに?」という『Rising Sun』。
(会場笑)
中田:あれは、「ダンサーを食わせるぞ」という、HIROさんの意気込みの到達点だと、僕は感じ取ったんですね。それで、これはぜひやりたいと。
僕の弟がダンサーなんですよ。僕も弟の愚痴をたまに聞いていたんですね。
「兄貴、日本は本当にわかっていないよ。ダンスというのはアートなんだぜ。プレーヤーとしてもっとリスペクトされてさ、アメリカみたいにダンサーというだけで、一流の高額のギャランティがもらえるようになりてーよ」
「お前な、弟よ。日本はそういうもんじゃないんだよ。歌謡曲の文化なんだよ。だからみんなボーカルなんだよ。演歌の時代なんだぞ。演歌を歌ってボーカルだという中で、踊るやつが一番だという文化がなかなかないんだよ、演歌の国なんだから。アーティストになるんだよ。EXILEグループのようにやろうぜ!」
という話を、バァーッバァーッとしゃべって、それで始めたわけですよね。『PERFECT HUMAN』がようやく売れてきました。あれもすごい歌ですよね。僕がサビまで出てこないんですよ。
(会場笑)
そんなこと、普通あります? あれはどうやってできたかというと、実は1曲目じゃないんですよ。5曲目なんですよね。最初は、単純に二人で歌っていたんですよ。2、3曲歌ってみてわかったのですが、どうやら俺が足を引っ張っている。
(会場笑)
地獄ですよ。一生懸命「やろうぜ! 三代目 J SOUL BROTHERSになろうぜ!」と言ったやつだけが足を引っ張っている。
地獄の時間の始まりですよ。普通だったら、そこでみんなもう「ごめんなさい」と顔を真っ赤にして家で寝ると思うんですが、僕はそこで諦めなかった。
「みなさん」と言って、ピッチが始まるんですよ。「みなさんにお知らせがあります」。「正直、僕は歌が下手です。そして、僕は踊れません。でも僕は続けたいです」と。
(会場笑)
中田:そういうところから僕は始めたわけですよね。どうしても続けたいし、ステージの真ん中にいたい。
そこで僕は考えました。いろいろ考えたんですよ。聞いてください。僕のピッチが始まりますよ、聞いてください。
「みなさんは歌える。あなたは歌える。素晴らしい。ありがとう。本当にありがとう。その上で、その上でだ。僕は真ん中にいたい。僕も普通にわかりますよ。僕も一般常識がありますからね。藤森さんがバァッと歌っているときに、僕が真ん中でこうやっていたら、あいつは邪魔だなと、いま一番思うんですよ。1万人いたら、1万人がそう思うでしょう。2人いたら2人とも思うでしょう。僕が邪魔だと。
だから、僕は考えたんですよ。理由を作るんだと。歌っているときに僕が真ん中にいていい理由を作るんだと。それはなにか。僕の歌を歌うんです。
(会場笑)
僕のことを説明しているんだから、「ご本人様がいます」という役割がありますよね。ですから、真ん中に居られるわけなんですよ。だけど、わかっていますよ。いきなり序盤から僕が真ん中にいたら飽きますよね。
ですから私、サビまで下がっています。サビまで下がって静かにしています。その代わり、藤森さんは自分の歌唱力をひけらかしてください。その分、みなさんは本当にがんばってくださいね。
そして、サビになると私が躍り出て、こうやってなにかしらの動きをします。僕ができる範囲内で、なにかしらの動きをします。その動きの間に、みなさんがこれは中田の歌なんだということを忘れないように、私の名前を連呼してください」。
(会場笑)
そうです。「ナカタ、ナカタ、ナカタ、ナカタ、ナカタ、ナカタ」。
その結果、できたのが『PERFECT HUMAN』です。
(会場笑)
中田:ありがとうございます。こういうピッチのもとに成り立ったわけですよね。その結果、なぜか『NHK 紅白歌合戦』に出られたという、非常に良い思い出になったわけなんですが、それも結局、仲間を得るということですよね。プレゼンをする、着想をする、仲間を得る、そしてやってみる。
そして、『PERFECT HUMAN』は5曲目ですよ。1曲目で1発でできたわけではない。そうした実験とトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、自分なりの最適化に辿り着く。そこまでがんばる。
でもまぁ、4年間あって『PERFECT HUMAN』があったけれども、あのときは「10年に一度作ればええやないか」というように考えている方もいると思いますし、僕自身もそう思いました。僕はこの伝える力で、なにかをもう一度立ち上げることができるのか。また新規ビジネスをやってみたくなったんですね。
そして始めたのが、こちらの「幸福洗脳」です。(自分が着ている服を指して)ここに書いてあります。これ、なにかわかりますか? Tシャツなんですが、僕がアパレル業を始めたんですよ。これ、自分の作った服なんですね。
僕がどうして「アパレルをやろう」と思い立ったかというと、まず、もともとは音楽の物販をしていたんですね。音楽の物販で、自分でTシャツを売り始めたんですよ。「RADIO FISH」のライブでTシャツを売り始めたところ、今度はTシャツの値上げを図ったんですね。そうするとファンがぶち切れた。
(会場笑)
「たけーよ」
「ふざけるな、守銭奴」
と、ファンである人たちに罵られる日々ですね。
(会場笑)
中田:それで、僕は思いました。「なんで数千円上げただけで怒るんですか?」と言ったんですよ。「好きなんですよね、僕たちのこと。確認ですが」と言ったんですよね。そうしたら「ライブグッズの相場はこれぐらいでしょう」と。
「でも、ふだんはアパレルで、1万2千円や1万5千円ぐらいのTシャツを買ったりしますよね」と言ったら、「いやそれはブランド物ですからね」と言われて「なるほどな、ブランドかぁ」と。
物の価値を決めるというのはなんだろう。高いTシャツを売るとはなんだろう、と。自分はライブグッズのTシャツしか作れない男なのか。それともブランドを立ち上げられるのか。その差はなんだ。確かめてみたい。この僕がそのブランドを立ち上げて確かめてみたいと思って、作り始めたんですよ。
では、そもそもなにかを載せなきゃ。ブランド名を考えようと思ったときに、参考にしたのはシュプリームなんですね。シュプリームのことは、まったく歴史を知りません。
だから、パッと見た感じ赤いボックスロゴの中に白く「Supreme」と書いてあるんですよ。なにかわからないけれども、おしゃれなんだろうなと思いました。でも「Supreme」という言葉の意味がわからないんですよね。「みなさん、知っていますか?」と言ったときに「怖い」「知らない」「聞かれたくない」「バカだと思わるのがいやだ」と、そういった声を聞くんです。
「Supreme」というのは「最高の物」という意味なんですよ。僕も辞書で調べて「ああ、そうなんだ」と思ったんです。「『Supreme』とはどういう意味ですか?」とは誰も聞かないわけですよ。
それはどうしてかというと、白いTシャツになにも載っていないと下着のようですよね。「なんか、大丈夫?」というような。良い生地なんでしょうが、着る人によっては見え方が違うような、そういった真っ白い生地ではなく、赤が少しだけ載っている。
文字がすこし載っていることで「あっ、デザインなんだね」とわからせる記号としては、意味のわからない当たり障りのない意味の英語であれば、載っていればいいと思ったんですね。だから、Tシャツを読まれるのは地獄でしょ。「I love eatって書いてあるけど、なにそれ」なんて。
(会場笑)
中田:そうなんですよ。「Let's go to New York」。そうなると、もうちょっと着るのが怖いですよね。意味がわかりすぎるから。そういったわかり易すぎる英語では怖いじゃないですか。だから、わからない英語を載せているのだと思ったんですよ。
でも、シュプリームのパロディのようなTシャツを、みなさん着ていますよね。「ああ、そのグッズなんだ」「ああ、このカフェもそうなんだ」というような。だから、そうしたものを見ていたら、もう絶対に死ぬと。僕は革新性で生きてきた男なんですよ。要するに、普通に歌をやって、ボーカルフェスに行ったら、俺は死んでいた。『M-1グランプリ』で普通に漫才で登場していたら、僕は死んでいた。ここにはいないわけですよ。
人が作らなさそうなもの、トリッキーなもの、新しいものを考えることや、抜け道を考えること。僕は裏道を考えることで、ここまでやってきた人間です。なんとか裏道があるはずだと思ってね。それがシュプリームの逆なんじゃないかと言ったんですね。シュプリームが意味のわからない、当たり障りのない英語なのだとしたら、真逆はどうか。意味がはっきりわかっておぞましい感じの「幸福洗脳」に行ったわけですよ。
(会場笑)
これを着ると、非常に震えます。着たことがない方は「ああ、そうなの」なんて思っているけれども、本当に着て外に出てみてください。震えますから。
(会場笑)
これは間違いありません。震えますよ。そのときに僕は思ったんですよ。服というのは温暖調節のための実用品なのか、それとも自分を伝えるメッセージのようなアート作品なのか。そのどちらでもあるんじゃないか、と。温度調節さえできればいいというものではなく、自分を表現するものとして、怖い言葉を着たときの自分の精神的ダメージ。これを商品価値にしてみたいと思ったんですね。
(会場笑)
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