
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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質問者2:北野さんに質問です。
北野唯我氏(以下、北野):あっ、大丈夫です、どうぞ。
質問者2:質問をしたいことが2つあります。
尾原和啓氏(以下、尾原):いいですねぇ〜。
質問者2:僕も4月から新社会人として大きな会社に入るのですが、今のお話を聞いていると、大きな会社の新規事業をやりたいと思えてきました。でも、そうした大きな会社の新規事業もまた、大きな会社の中での倍率が高くなっていっているものではないかと思いまして。
尾原:おっしゃる通り!
質問者2:そこに飛び込むのはかなり難しいものなのではないのでしょうか、というのが1つ目の質問です。
あともう1つの質問が、「圧倒的な量は質に変わる」とおっしゃっていましたが、量を圧倒的にこなすためには、お金がかかるのではないかと思いまして、そのあたりを質問したいです。
北野:では、1つ目からいきます。それはおそらく競争倍率が激しく厳しいと思いますが、前提としていちばん重要なのは、会社という概念が本当は実存しないということを理解することが、実はいちばん重要だと思っています。
例えば今、会社……会社と言っちゃったけど、役員をやっていると、現場のメンバーとしゃべるときに、絶対「うちの会社はさぁ」などと言うんですよ。「うちの会社はこうなんだよ」と言っちゃうのだけど、「その『会社』とは例えばどういうこと?」というように言えば「いや、○○さんと、△△さんと、××さんと」。「それはでも、チームの話だよね」となる。そうして言っていくと、実は会社というのは幻想なんですよね。
北野:その「会社」というものがあると思っちゃうことによって、生まれている苦しみが、僕はもうむちゃくちゃでかいと思っています。
実際にデータで見ていてもすごくおもしろいのですが、例えば「うちの会社はさぁ」とネガティブなことをいうメンバーが存在しているのは、とある事業部なんですよね。それで、その事業部のスコアや満足度はめっちゃ低いんですよ。
でも、他の事業部はめっちゃよかったりするんですよ。それは今、データで……経営的に言うと、データで見える時代になってきているんですよ。
だから、重要なのは、実は会社じゃなくて事業なんですよね。どうしてかというと、そもそも会社の生まれは、プロジェクトですよね。そういうのも、もともとはたぶんコロンブスがエリザベスに対して、「俺、ちょっと旅に出るぜ」というような。それで「お金出してよ。その代わりレベニューシェアするよ」というようなところから株式会社が生まれてきたのだと思います。
尾原:世知辛いな(笑)。
北野:そう、それはプロジェクトなんですよね。目的があって、何かやりたいことがあって、契約があるというものなので。そのプロジェクトを実行するのが事業であり、事業部であり、それがどんどんどんどん大きくなっていったから経理、広報といったファンクションが生まれてきているのです。
だから重要なのは、まず大きな会社ではなくて、自分が入る事業のほうがめっちゃ大事。僕はなにか「大きな会社」や「大企業」という概念というものは本当は嘘だと思っています。大きな会社の中でも、この事業は伸びて、新規事業で伸びそうなところもある。
別に僕はなにか、もうすでにある程度の売上規模や利益が出ている会社、事業部にいちばん最初に入ることが必ずしもマイナスだとは思っていません。いつも言っているのは、『転職の思考法』にも書いたのですが、専門性や、ビジネスの作法といった、そういったものを身につけるためには、別にそういうところに入ってもいいと思いますよ。
北野:ただし、その事業が30年後、40年後も続いているかどうかというと、たぶんそれはないと思うので、そうした意識で20代のうち、数年の間に、技術やスキルなどを身につけるという意味で言えば、ぜんぜんいいと思います。だから別に、必ずしも「新規事業に行きなさい」ということでは実はないのです。
ただ最悪なのは、事業もすごくシュリンクしていて、働く人たちがもう社内政治というか、社内の椅子の数にこだわりだしているところでは、専門性も身につかないし、働きにくいし、給料も下がっているし、もう最悪で、それはもう生物としてはもう死んでいます。
要は、その事業というのは、今たくさん給料をもらっている50代、60代の方のための事業で、その人たちが定年まで幸せに生きていくための事業なので、そこにもし入ったとしたら、それはたぶん、悪手中の悪手なので、すぐに変えたほうがいいということです。それが現実だと僕は思っていますね。
尾原:だから、本当にそう思っています。以前僕も『SPA!』の対談で北野さんと話しましたが、「就職」じゃなくて「就社」しちゃっている方が多いと思うんですよね。その会社に就いちゃっている。でも本当は、何かの部分でそのことを成すための職に就いてるはずだし、もっと言えば、「就プロジェクト」のはずなんですよね。そうなったときに、例えば僕の場合は、人生最長の3年2ヶ月いた会社がGoogleなのですが。
北野:はい(笑)。
尾原:その間に、4回「転プロジェクト」しているんですよ。しかも僕で言えば、実は3個目のプロジェクトが(本当の目的で)、Googleに入ること自体が2つ目の目的だったんですね。ミーガン・スミスというオバマのCTOをやった女性の方がいて、今ではGoogle Xという名前になっているのですが、当時はNBDという名前で、そこでの仕事に就きたかった。
尾原:でも、僕はGoogleに入るまで英語がほとんどしゃべれなかったんですよ。グローバル企業で、東海岸的なマッキンゼーにはいたものの、あそこは僕がいた頃は日本語でやっていたので、まったく英語ができない。
だから、じゃあ1つ目のプロジェクトとしては、ありがたいことにGoogleがモバイルにフォーカスしていて、僕はたまたまiモードをやっていた経験があったから、英語が下手でもちゃんと貢献できるプロジェクトとして入らせていただいた。
その中で、いろんなプロジェクトが会社の中で走っているから、2番目のプロジェクトとして、何がこの3番目にいちばん近いだろうということを考えて、じゃあそういう人たちに裏側で貢献をしていこうと。
Googleは「20パーセントプロジェクト」といって、きちんと貢献を結果として出していれば、全体の20パーセントは自分のやりたいことに使っていい……。実は「20パーセントプロジェクト」というのは、時間ではなく、貢献の20パーセントなんですよ。だから、80パーセントの結果を20パーセントの時間で出せば、残り80パーセントの時間は好きにしていいということなんですね。
だから全力で、最短距離で自分のプロジェクトの結果を出して、残った時間で3番目のプロジェクトに合う道を探した。いろんなプロジェクトに入っていって、いろんなギブをして「あいつ、おもしろいね」という話になり、それで結局最後、ミーガンに面接をしてもらえて、「いろんな人から尾原のことは聞いているよ」と言われて入ることができました。
北野:いや、本当に、プロジェクトがない会社というのは、本質的には、生物としてはもう死んでいるということを僕は最近すごく思っています。いちばんおもしろい仕事というのは、今、プロジェクトにあるので。
なんでもそうだと思いますが、「なんか新しいことやろう」というようなことになったときは、それこそ尾原さんが呼ばれたり、いろんな専門家が呼ばれたりするので、それは20代の前半では厳しいかもしれませんが、30代以降でおもしろい仕事をしていくためには、やっぱり「プロジェクトに呼ばれる人になる」ということがキャリア戦略上はめちゃくちゃ重要なんですよね。
尾原:では、どうやってプロジェクトに呼ばれる人になるかというと、先ほど「圧倒的なことをするためにはお金がかかる」と言っていたじゃない。いや、お金なんかいらないの。新人が持っているものは、“時間と失敗”です。
北野:“時間と失敗”。
尾原:だから、もう新人だけは……。だって、だんだんだんだん職位が上がっていくと、守らなきゃいけないものが増えるから。守らなきゃいけない時間が生活の中で限られてくるんですよ。それは仕事の中だけじゃなくて、家庭もあるし、子どもの教育であったり。
そうしたものが一切なくて、仕事だけに100パーセント……自分から望んでだよ、上から言われてだとブラックだから(笑)。自分から望んで100パーセント仕事にダイブできるというのは、新人だけに認められていることだし、逆に若いうちは、上の中で許容される量は失敗できるわけですよ。上になればなるほど失敗できないプロジェクトを任されるから。そうすると、トライアルができるんだよね。
それが結局、お金も使わずに、さっきもあったけれど、決断の量が成長の量だから、どれだけたくさんの時間をかけて失敗をして、決断をするか。
もっと簡単に言えば、どうして僕が先ほど言ったようにいろんなプロジェクトに顔を突っ込むのかというと、僕、そこで一銭も要求しないからなんですよね。
もっと言えば、そこで功績を立てたとしても「いらない、いらない。それ、お前がいたからこのプロジェクトに出会えたから、お前につけちゃえよ、その成果」と言ってやるから、周りからしてみれば「こんなに便利な存在はない」「こんなに俺のために時間を使ってくれるのか」といって、やれるわけですよ。
それは会社の中でも同じだし、もっと言えば、周りに起業をしている友達がいて、土日に企画書を書かなきゃいけないというときに、「わかったわかった、俺、企画書やるの手伝うよ」と言ったものを、断るやつはいないよね。
だから、時間と失敗ができる環境があれば、いくらでも多様なチャレンジができるんですよ。だから、それをどこまでやりきるか。その圧倒的な量の中で、自分の質や自分のタグに出会えるかどうかだと思うんですよね。
北野:そうですね。
尾原:怖くなかった? 大丈夫?
質問者2:とても優しく教えていただいて(笑)。
尾原:ごめんね。
質問者2:ありがとうございます。
横田大樹氏(以下、横田):どうですか? どなたか。
尾原:横田さんに質問でもいいんだからね。
横田:(笑)。
尾原:実は本当に売れっ子なのに、なかなか出てこない編集者。ちきりんやふろむださんを見出した。
北野:業界ではめちゃめちゃ有名な名編集者。
横田:どうぞどうぞ(笑)。
尾原:ごめんね、茶化して(笑)。
質問者3:今、転職を考えているのですが……。
尾原:大丈夫? あとでログミーの記事になるんだけど……まぁ、顔が映んなきゃいいよね。
質問者3:後ろを向かないようにしようと思います。
(会場笑)
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