2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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亀山:小中学生は、今から学校がいろいろやってくれるから違ってくるかもしれないけれど、今の彼ら(会場のみなさん)は、ちゃんといい子が90点。そっちのほうができているんですよね。だからこれからは、どちらかというと藤原さんの言っていたような能力を中心にやってもいい。もう90点は取っているからね。
藤原:そうなんです。だからそこは高校に期待なんですよ。僕は世界を見ているから、日本の小学校はいろいろ批判もされていますけれど、とくに低学年については相当うまくやっているんですよ。幼児教育もそんなに問題はないんです。とにかく問題は中学校からで、3割ぐらいは中学校の問題。半分ぐらいは高校の問題です。
普通高校は本当に必要なのか? という疑問があるんですよ。普通高校から普通大学に入って普通の会社に入っても、ホワイトカラーの事務業務は10年から20年でなくなってしまいます。
そんな時代に、普通高校でいいのかな? という問題があるんです。とにかく一番の問題は高校だと思っています。それを、亀山さんがちょっと殴り込みをかけるというから……。
亀山:いやいや(笑)。それはもうちょっと先になるかもしれません(笑)。先にプログラミング教育のほうをやろうかなと思っているんですよ。そっちのほうは、よかったら来てください。
伊藤:その(クリエイティブな部分が)3パーセントしかない、僕らは既にそういう教育を受けてしまっているわけじゃないですか。そういう人間が30パーセントをImaginativeな脳にしていくためには、先ほどのようなトレーニングをひたすらやり続けることでしょうか。
藤原:トレーニングというか、本当に日々の人生の生き方だと思います。結局電車の中にいてもひたすらスマホを睨んで、処理している人は処理脳がどんどん強まってしまうわけですが、それを解放しないといけないんです。
電車の中で揺られて、中吊りを見て、世の中や週刊誌のタイトルから「これが起こったら、次はこれが起こるんじゃないか」というシミュレーションやロールプレイを頭の中で繋げていく。
先ほど亀山さんが「空を見上げながら(思考が)脱線していく」という言い方をされたけれど、それは発想をどんどん繋げていっているんだと思うんですよ。
亀山:俺は中吊りも見ていないし、なにも見ていない。ボーっとして、もう空も目に入ってないですからね。
伊藤:それは考えているんですか?
亀山:いや、頭の中の世界がね。
伊藤:妄想ですね?
亀山:TVとか世の中とかスマホとかを見て、情報は頭に山ほど入っているから、あとはボーっと回していくだけなんだよ。情報が繋がるだけだから、むしろなにも見ていないんだよ。だから、電車をよく乗り過ごすね(笑)。
藤原:あと1つは、僕はずーっと中学校・高校を見てきて、あるいは今G1サミットで活躍しているような40代前後の起業家の人たちを見てきました。結論としては、10歳ぐらいまでにどれだけ豊かに遊んだかが情報編集力のベースになるんです。
伊藤さんもそうだと思うけれど、10歳ぐらいまでにどこまで本当に遊んでいたか。遊びの中には、そういう想定外の問題や二律背反の問題がいっぱい出てくるんですよ。
バッと外に出たら雨が降ってきてどうしようとか、小学校5年の時にみんなが迎えに来て、うわーっと遊びに出ようとしたら、小学2年の弟がついて来ちゃって(全員で遊ぶためには)どうやってルールを変更したらいいかとか。
子どもはそういうことに全身で立ち向かっているんですよね。この遊びが足りないと、結局予定調和に、1+2=3的な問題だけをこなしていくことになる。それは処理脳を強めますが、編集脳のベースは遊びだと思うんです。これまで遊んでこなかった人は、今からでも遊べばいいんですよ。
伊藤:今からでも大丈夫でしょうか?
藤原:だって亀山さんの遊びのすごさ。アフガニスタンに死にに行くんですよ!?
(会場笑)
亀山:いや、生きて帰って来ましたよ(笑)。
藤原:あ、生きて帰って来ましたね(笑)。世界放浪も含めてです。
伊藤:世界を放浪されていますよね。
亀山:世界放浪中も、結局空しか見てないからね。
(会場笑)
あんまり観光地も行かないね。
伊藤:じゃあ、どこでもいいじゃないですか!
亀山:でも、言葉が繋がらないからね。英語はわからないし、モンゴルに行ってもモンゴル語はわからないし、ロシア語もわからない。コミュニケーションがないから一人なわけ。一人で自分と会話するとなると、空を見るしかないんだよ。
だから、日本ではないほうがいい。俺は意思が弱いから、日本だとお遍路さんとかに行っても、ついつい旅館に泊まってTVをつけてしまうんだよね。
伊藤:なるほど!
亀山:スマホでこうやって繋がると、どうしても見ちゃう。スマホとTVから離れて、いかにボーっとするかが大事だね。マジにトイレと電車では、とにかくボーっとすること。
藤原:ぼーっとねえ……。
伊藤:それ、いいかもね。
藤原:意外と具体的なサジェスチョンとしていいかもしれませんね。
伊藤:本当ですよね。
亀山:仕事だけじゃなくて、「なんで彼女はあの時怒ったんだろう」とか「なんで上司はあんなことをやっていたんだろう」とかを思い返すだけで、けっこう自分の中でまとまってくるんのよ。すると、なんとなく「ああ、そういうことかな」と気付ける。それだけでも、けっこう人生はね……。
『アバウト・タイム』という映画があるから、よかったら見に行くといいと思うけど。その映画はそういうことをお題にしているんで。同じ日常でも、それをもう一回繰り返して、自分の頭で整理したりすると、意外と仕事以外でも幸せになれるのよ。ちょっといいこと言いました(笑)。
伊藤:本当ですね……。
藤原:人生論ですね。
前田:もう1つ、いいことを言っていただきたいのですが、先ほど亀山さんが職場の選び方みたいな話をされていらっしゃいましたね。とくに20代の方々が多いので、具体的なところをお聞きしたいんです。
働き方については次でやりますけれど、時間の取り方で占有されているのが(今の)働き方の話になってくると思います。ご自身を再教育をするという意味の新しい教育というと、先ほど「技術が非常に発展的で、そこに触れるためには別に職種は問わないようなやり方がいいんじゃないか」というようなご提案をされていましたよね。
一方で、先ほどみなさんが小学生のように遊んだこと、あれを職場でやれといった時に、それがやれれば苦労はしないという話になると思うんです。そうなった時に、どういう職場ならそれができるのでしょうか。
例えば、新しい技術があるような会社は、やはりその空気感が強いと思うんですよ。そのあたりのご意図というか、技術を率先して会社の雰囲気や世の中を変えていこうとする会社に対して、やはりそういったご示唆を持っていらっしゃる感じなのでしょうか。
亀山:技術のことはけっこうどうでもよくて、自分がやっている感があればいいんだよ(笑)。なんというか、「こんな会社いつでも辞めてやるぜ!」という感じで仕事をすれば、どこでもいい。
逆に言うと、「ここに入ったら、一生やっていこう」となる職場、例えば公務員の人なら一生公務員でいこうと思うんだよね。すると、たぶんその人たちはその組織に合わせようとするから、その中の色に染まろうとする。
でも、「いつでも辞めてやるぞ!」という感じで働けば、どんな会社でも言いたいことを言える。言いたいことを言って潰されたら、本当に辞めてもいいぐらいの感じで働く。やっぱり、自分の意見が潰されるような会社にはいない方がいい。そういう選び方でいいと思う。
今時の会社だったら転職しやすいところ。例えばITで「ヤフーにいました」と言うと、「あ、ITがわかっている人なのかな」と思ってもらえる。伊藤さんも、もしかしたらよくわかっていないかもしれないけれど、ITをわかっている人に見えるじゃないですか。
伊藤:いや、ヤフーですからね。
亀山:本当は1分で話せなくても、話せる「ふう」に見える(笑)。
(会場笑)
それっぽくなるということは、転職しやすい。別に「転職しろ」ということではなくて、自分たちの行ける場所があると勇気が持てる。
亀山:やっぱり団体のパワーというものはけっこう強くて、一人がポツンと置かれると、その中の空気に染まらないとやっていけないぐらい辛い立場に追いやられる。そんな時に、学校だと転校はなかなかできないよね。
子どものころというのは選択肢がない。だから自殺とかがあるわけだけど、会社はどこでもその気になれば辞められる。フリーランスでもやっていける力があればもっといい。
せどりでもなんでもいいんだよ。日頃からメルカリで物を売って稼いでいたり。「まあ、とりあえず食っていけるからクビになってもいいや」と思える場所があると、追い詰められない。そうすれば、「ちょっと勝負してみよう」「怒られるかもしれないけれど、ちょっと言ってみようかな」と思える勇気が持てる気がするね。
前田:転職しろ・しないという話ではなくて、自分を「(転職が)できる」という状況に置いて好きなことをやって行く、それが大事ですよね。
亀山:伊藤さんもヤフーにいながら、けっこう好きにやってるよね。
伊藤;そうですね、本当好きにやっています。
亀山:大丈夫なの? もうヤフーの仕事、してないんじゃない?(笑)
伊藤:いやいや、けっこうしてますよ。半分ぐらいはしてます。
亀山:半分で済んでいるわけですね。半分は本を出して印税が増えて、なんかかっこいいことをこうやって言っているんだよね。
伊藤:いや、それは……人の2倍働いているんです!
亀山:いや、いい会社だ。いい会社だよ!(笑)。だから、こういうヤフーみたいな会社が、そういうものを認めてくれている。入ってすぐに認められるかは知らないけれど、でも、なんかある程度そういう許容される空気があるよね。
伊藤:そうなんですよ。ITは比較的そういう感じが強いですね。
亀山:IT業界は比較的それがあるけれど、逆に薄情なところもある。他の会社というのは親子関係で、「俺が子どもみたいにかわいがってやるから、言うことも聞けよ」という組織が多い。だけど、ITは「社長も友達だ」みたいな感じだよね。
「ザッカーバーグも隣にいて、友だちだよね」みたいな感覚が比較的ある。そのかわり、あんまり面倒を見てくれないところもある。「この会社売っちゃえ」とか言って、社員ごと売り払われることもあるからね。
伊藤:どちらを取りますか? という話なんですね。
亀山:文化的にどちらがいいかということじゃないんだよね。俺はもともと父親みたいな感じでずっと飲食店やビデオレンタル店とかをやってきたので、「こいつらの面倒見なきゃ」という責任でいたんだよ。
でもITはちょっと文化が違うね。やっぱり親子関係の企業と、こっち友だち関係の企業はけっこう違うんだよ。親子関係の会社のスタッフだと、忘年会ではみんなが俺にお酌に来るけれど、ITに行ったら俺がお酌に回ることになるからね(笑)。
(会場笑)
伊藤:なるほどー!
亀山:エンジニアはシャイだから、「まあ一杯、お疲れさま」と、俺からやらないと誰も来ないんだよ。道ですれ違っても、歩きスマホで俺の顔なんて見ないからね。でも、それも1つの文化の中で、どっちもアリなんだよね。
亀山:もともと経営者なんて大して偉いものではなくて、職務として全体を仕切ることで、うまくやって、搾取して、保護して、会社をまとめていくのが仕事なんだよ。
だから親であっても、友達であっても、あんまり変わらないというのが俺のスタンスかな。でも会社内ではフレンドリーなほうが、比較的自分の意見が言いやすい。そういった面では、まずはそういう会社のほうに入ってみたらいいかなと思う。最初から組織、ピラミッド組織の中に入ると、なかなかしんどいかなと思うね。
伊藤:そうですね。僕はもともと銀行員だったんですよ。
亀山:そ、そうなんだ!?
藤原:興銀ですからね。
伊藤:そうなんです。僕、銀行員だったんです。
亀山:興銀出身ー!
伊藤:その時に学んできた諸々と今の諸々は、全然違うんです! エレベーターの乗り方も違うんですよ。役員が乗っているところに「ははーっ」と入って行って、もう興銀だと(役員を)後ろのほうに乗せて、新人がバーっとここ(前を)通るみたいな感じが当然だったんですけれど、ヤフーだと普通に役員がこうやって(ドアを開けておいてくれる)。
(会場笑)
「それ、どうなの!?」と思ったんですけれど、みんなまったく気にしてないんです。それは別に、やらせておくだけじゃなくて、「あ、代わりますよ」ということもあったりしますが、役員は「あ、別にいいよ」みたいな感じなんですね。このフラットさはすごくあります。
亀山:どっちにもいいところがあるんだけれど、正直今からのピラミット型は、「面倒を見ていこう」と親が思っても、難しいのはあるかな。つまり変化が早すぎて、オヤジの脳で経営を組んでもうまくいかないことが多い。
だから、俺みたいに若い奴らをそそのかしながら、「さすが、お前らわかってるな」とか、おだてて搾取するほうが、うまくいきやすい。
(会場笑)
それで、きつい時は、社員を保護するという役割をとったりして、収入リスクをカバーするのが会社の役割かなと思っていて。
今70代、80代のおっちゃんがトップダウンで「ITやれ!」と言うのと、20代の人がそれを言うのと、どっちがいいかということだよね。70代だと、どうしても的外れになってしまう。FAXしかやってきてないんだからね。
前田:今は変化が速くて激しいので、いかに経営側が若い柔軟な頭か、もしくはご自身がそういう発想をして、今までの常識を疑いながらやっていけるかが大事そうですね。とくに職場に関しても、それを推奨してくれる場所や、自身の判断が大切になってくるということですね。
教育のあり方としては、まさに情報編集脳と情報処理脳を意識して、それが今まで自身の教育に与えた影響はどうだったのかを一度可視化することが大事そうだということがわかりました。
亀山:はい。さすが。しっかり真面目そうな感じでまとめましたね。
(会場笑)
そのとおりだと思います。
藤原:俺の意見は、『10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」』という本にほとんど書いてあります。
(会場笑)
20代の方が多いのであれば、伊藤氏も知っているように、僕の三角形理論があるんです。「3つのキャリアを掛け算して、100万分の1の希少性のある人材になろうね」というものです。
ホリエモンや、キングコングの西野くんがものすごく騒いでくれている、「キャリアの大三角形で100万分の1の希少性を」というものです。それもその本に入っていますので、それを見てくれたら、「20代はこういうことでいいんだな」「30代はこうなんだな」というイメージもつくんじゃないかなと思います。
伊藤:もう一度本の題名をお願いします。
藤原:『10年後、君に仕事はあるのか?』です。
亀山:この本は読む価値がありますね。でも、伊藤さんの「1分で話せ」は読まなくてもいいかもしれない(笑)。
(会場笑)
伊藤:最後まで言いますか、それ!?
藤原:言いたいよね。
亀山:もう、だいたいわかったから。
前田:ということで、この新しい教育(のセッションを)進めさせていただきました。
伊藤:これで締めですか!?
(会場笑)
前田:ご登壇ありがとうございました。
(会場拍手)
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