2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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青木耕平氏(以下、青木):いや、(最初に質問をしようという)責任感が素晴らしいよね。ありがたいです、もう本当に。それで、次は2番手になってくると、責任感から冒険心とかがある人が(手を上げる)。
小野裕之氏(以下、小野):出てくる前から、分析しない(笑)。
青木:(笑)。出てこいやーって。
小倉ヒラク氏(以下、小倉):さて、なんか……。
小野:次のご質問……。
青木:質問じゃなくても、なんか言えばいんだよね。
小野:でもね、今、聞きながら思ったんですけど。
小倉:外からの足掛かりがないと、プロデュースおじさん、一歩も動けない(笑)。
(会場笑)
青木:ぜひ、この時間を取り返すためにね。それで、こういたたまれない空気になると、手を挙げちゃう人いるんだよね(笑)。
小野:(笑)。
青木:これ、絶対いるのよ。
小倉:さて、どうでしょうか。あー、いらっしゃいました。ありがとうございます。では、こちらへどうぞ。
(会場拍手)
小倉:ありがとうございます。拍手が温かい。
青木:どうも初めまして。
質問者2:初めまして。私、実は今日、夕方5時前ぐらいに、友達が病気になって行けないからって、急遽代わりに来たんです。
青木:おー。じゃ、意味わかんないでしょ。
(会場笑)
小倉:いやー、意味もわからず闇鍋に来た(笑)。災難でしたね、それは。
質問者2:いやいや、そんな、ありがとうございます。それで、(お聞きしたいのは)なんでこの会をやっているのか、というところで。主催者がこのテーマでやってくれ、という話だったんですか? それとも3人でなんか話そうよ、というかたちでやってるんですか?
青木:いやいやいや。経緯? 経緯はモデレータが。
小倉:これの経緯はなんなの?
青木:おれも、よくわかんない。
小野:経緯は……まあ、なんか僕が毎年出てるからですかね(笑)。
青木:あ、違う、最初は福岡で。
小倉:あ、僕だ。この3人が仲良しで、いつもいろいろなところを旅してるんですよ。それで、僕がちょうど福岡でなんか仕事してて、そのときに、おもしろいイベントとかやりたいなって話になったんです。そのときに、いつも仲良しの3人が、福岡で一緒にご飯を食べて遊べる機会がほしいと思ったので、イベントにしちゃった、っていうところから始まって。
それで、イベント名をどうしようかってなって。僕、学びがありそうなイベントって嫌いなんですよ。なんていうんだろう、学んだということで満足しちゃうからね。だから僕は、なんだかよくわからなかったな、というイベントがすごく好きで。そのときに、なんかよくわからないイベント名にしようと思って、「プロデュースおじさん」というタイトルが閃いたんですよね。
質問者2:そのときは、おじさんじゃなかったんですか?
小倉:もう、おじさんですね、バリバリ。
小野:3年ぐらい前。
小倉:2年ぐらい前? それで、ノリで「プロデュースおじさん」って名前つけたら、意外に好評で。あとはそのまま続いてる感じですかね。
青木:そうですね、場所を移して。本当に、こちら側にはとくになんのコンセプトもなくて。まあ、お座敷がかかって、この3人で同じタイトルでやってくれ、というふうにお誘いいただいて。じゃあ、という感じでやっているのが、本当のところなんですよね。
質問者2:じゃあ、なにか「今日持ち帰ってほしいものはこれです」とか「覚えておいてほしいものはこれです」とか。そういうのはとくにない?
青木:ないんですよ。
質問者2:いいじゃないですか。
(会場笑)
青木:どうもどうも。逆に、最近興味あることってなんですか?
質問者2:興味?
青木:興味というか、自分の中でこのテーマがなんとなく頭を(占めているとか)、いつもこの辺にあるんだよね、ということとか。ちっちゃいことでもいいんですけど、悩みとか。そういうものは何かないですか?
質問者2:そうですね。あんまりないか……、どうですかね? 私、普通にサラリーマンなんですけど。
青木:なにしてる人なんですか?
質問者2:私は、事業企画室みたいなところで働いていて、アウトドアをもっと世の中の人に伝えていこう、という仕事をしているんですけど。
青木:へえー。
質問者2:若い人たちが、昔も、昔っていうか、まあどの年代になってもそうなのかも知れないんですけど。言葉が、カタカナが多くって。(今回のイベントの)3文字の、なんかわからないんですけど。
小野:(注:後ろのプロジェクターのイベントタイトル「帰ってきた『プロデュースおじさん』〜ギーク・ハスラー・ヒップスターの分業論〜 」を指さして)
質問者2:ああ、そう。ああいうのとかね。
(会場笑)
青木:ああいうのね、よくないねー(笑)。本当によくない。
小倉:すみませんねー、本当に(笑)。
青木:なんか、PDCAとか。
質問者2:そうそう(笑)。そういう、頭文字系とか。それは本当に、みんながそうやって普通にしゃべってるのをすごいな、と思いながら、検索して、なるほどっていうふうなところで。
青木:けっこう、こっそり検索しますよね。俺、最近検索したのって「SaaS」。
小野:サースね。
青木:SaaS。絶対1回は検索してるはず。
小野:(笑)。
小倉:僕、最近(検索)したのって「SDGs」。
青木:あー。せざるを得ないですよね。あれ、でも、言ってること一緒じゃん、みたいなことあるじゃないですか。前はこういう言葉で言ってたって。
小倉:あ、この足掛かりでもうOKなの?
小野:(笑)。
小倉:もうちょっと聞く?
青木:あー、そう。ああ、ああ(笑)。
小倉:せっかくだから、もうちょっと聞こう(笑)。
(会場笑)
小野:(笑)。それで、カタカナが多くて。
質問者2:そう、カタカナをいっぱい使ってしゃべってると、その言葉もわからないなと思いながらも、なんか妙に立派なことを言ってるように聞こえる、というふうなところに。若干、まだまだ自分も修業が足りないな、と思うことはあるのと。そのぐらい……、そうですね。あと、みんな分析が得意というか。
青木:あー(笑)。
小倉:あー、いや今ね、おじさん的にはいい足掛かりもらったよね。
小野:分析が得意というのは、裏返すとどういうことですか?(笑)。
(会場笑)
青木:本当に言いたいことは、そこじゃないよねと。
小野:みんなも思ったでしょ、みんなも思ったよね、今ね?(笑)。
青木:そこじゃないだろ、言いたいことは、と。
質問者2:例えばブレストとかで、別に結果が出なくっても、どういうかたちで進めて、このことをやるべきかどうかとか含めて話をしているだけなのに、それをこう、グラフに書いてみたり。それってどういうカテゴリでどうのこうのとかって、分析するわけじゃないですか。
そうしたら、まるでそれがすべてのような雰囲気になると。そういうふうに理論的だったり、合理的に物事を考えられなくて、でも直感的には、絶対こっちの方がいいのになって思うことが、採択されないようなところがあるのは、なんとなく恐ろしいなと。
青木:恐ろしいですよね。「お前、気がついたら分析しかしてなくね?」っていうやついるじゃないですか。それこそさっき、ラジオの方がいらっしゃいましたけど。「ラジオ、ああなるほど、つまり電波媒体ですね」とか。いやいや、それわかってるよって。
小野:(笑)。
(会場笑)
青木:それ言い換え、みたいなね(笑)。あるんですよ。
小野:言い換え要員みたいな(笑)。直感的な人を、もうちょっと活かした方がいいよな、っていうところが若干あるということですよね。
質問者2:そうですね、それだけじゃいけない。さっきのギーク・ハスラー・ヒップホップ?
青木:ヒップスター。もうそれでいいっす(笑)。確かめる価値ないんで。
小倉:ヒップホップ。YO!
(会場笑)
質問者2:(笑)。そういう感じで、いつも直感的なだけでは絶対いけないと思うんですけど。でもそういう人たちが、表で活躍できなくなるのもいやだな、寂しいなとは思います。
青木:なんかね、手前味噌なんですけど。ちょっと前に我々の媒体で、クリエーターの水野学さんっていう方と我々のスタッフと。
小野:「good design company」の(代表取締役でクリエイティブディレクターの)。
青木:そうですね。対談記事が載ったんですね。その中で水野さんが「考えることと悩むことは違う」と。「考えるということは行動を伴う行為だから、行動が伴ってないんだったら、それは悩んでるだけだ」っておっしゃってたんですね。
なぜ行動が伴わないと考えられないかというと、考えるための材料が生み出されないから。だから、ある意味では、分析するのは考えるための材料作りじゃないですか。なので、分析したら、たぶん考えなきゃいけないわけですよ。考えるということが、結局なんらかの行動に結びつくので「行動しよう!」という。たぶん(そういう)話なんだと思うんですよ。
でも多くの場合、分析したところで止まってるということは、分析したところから考えてたはずが、悩みモードに入って「どうする?」「え、わかんない。どうする?」みたいな。「いやいや、どうする?」「もう1回分析する?」みたいな。「じゃあもう1回ちょっと分析しようか」ということが起きてるってのはよくあって。
小野:(笑)。
青木:だから、よく僕の会社の中で「もう、やらんとわからんから、やろう!」って言って。やったらわかる、という。よく言うのは、自転車に乗るということを、自転車に乗れる(ようになる)前に、自転車の乗り方を一生懸命勉強してる。意味わからないじゃないですか。
でも、乗っていった瞬間にすべてがわかるじゃないですか。「あー!」って思って、もう何十年経っても忘れない。でもその前に「いやこれはジャイロ効果っていうのがあってね。補助輪がなくても、こういう物理法則によって倒れないんだ」とかっていくら勉強したところで、あまり意味がないので。
だから、そういう意味では、分析ってとても大事なことだと思うんですけど、そこで止まると、考えていたはずが、気がついたら悩んでいるだけになっちゃう。考えるためには、次に分析して何するかで、それが失敗でも成功でも、考える材料がまた新たに生まれて「俺、失敗したね。なんでだったか分析しよう」という。分析って、これでいいんだと思うんですよ。
分析して「こうだったから、じゃあ次こうかもしれない。やろう」みたいなことになっていく。そうすると、たぶん分析というものが活きてくるかなと思うんですよね。
小倉:僕は微生物の専門家になる前は、普通にデザイナーだったんですよね。その時に、いろいろな大企業とも仕事をして、いろいろなところを見ていったんです。その時に、今の「じゃあなんのために分析するのか」とか、「なんでこんな分析ばっかして行動しないのか」という話って。
企業が求めてるものというか、組織が求めているものが、結果を出すことではなくて、リスクを割り出すための、なにかしらの後ろ盾を求めてるというふうに、ちょっと文脈が違うんじゃないかと思っていて。
分析地獄ってけっこうあるじゃないですか。マトリックス作り地獄とか、レポート地獄とか共有地獄とか、いろいろな地獄がありますけど(笑)。仏教の八十八地獄みたいなね。ビジネス界のね、そういうのあるんですけど。
小野:(笑)。あるの?
(会場笑)
小倉:ないかな? でも、そういうのって、結果を出すためには絶対に、なにかしらの損を取らなきゃいけないので。その損を出した時の話って、結局、超ヤバいコンプライアンスに差し障る人種差別とかじゃなければ、事後報告でいいはずなんですよね。
僕の知り合いの会社で、ベンチャー期ですごく伸びてる会社は、やっぱりそこって意識的なんです。なんかこう、新しいことにチャレンジする時、究極、もう割り切った話だけど、ある程度やることだけ、大きな枠組みだけを決める。それで、あとは「これをやるか、やらないか」はいちいち自分に聞くなと。
それで、「『やってうまく行きました』『うまく行きませんでした』という事後報告だけちゃんとせい」と。それで、やるまでの意思決定に対する過剰な共有は、邪魔だからやめとけ、みたいな話。
企業の規模にもよるんだけど、本当に結果というものを考えていった時って、その共有を事前にするのか、事後にするのかみたいなのって、けっこう大事な話だと思っていて。
(意思決定についての共有は)事後に倒した方が、ポカもいっぱいあるけど、結果は出やすい。だから、結果を本当に出そうと(するときには)、ある種の優れた組織や失敗しない組織というもの(理想)を剥ぎ取ったほうがいい。とにかくこの目的に行こうという時は、過剰な共有はたぶんガンだと僕は思う。
でももし、今お姉さんがいる会社が過剰な共有みたいな(ものが求められているとしたら)。だから分析しちゃうと思うんだけど。それが求められるとしたら、組織としてそもそも何を求めてるかという根本のフェーズが、もしかしたら不健全かもしれない。
質問者2:一応、会社の名誉のために言うと、そういうことはぜんぜんなくって。相談するから、きっとみんなが分析したがるんだな、とは思うので。だから、そういう意味では変に共有したりとか(はしていないです)。でも、その一方で「自分じゃなかったらどういう考えになるんだろう」ということは気になるし、教えてほしいから、まあちょうどいいというのはあるかもしれないんですけど。
小倉:なるほどね。なるほど、じゃあ、いいんだ。
小野:(笑)。
質問者2:そう、だから、いいと思う。
青木:ぜんぜん、いいよ。
(会場笑)
小倉:いい会社だよ。
青木:いい会社だ。
質問者2:ごめんなさい(笑)。そう、いい会社だと思います、はい。
青木:いい働き方だよね。
小倉:だって、分析しないよりは、した方がいい。
青木:そうそう、分析は大事ですからね。ただやっぱり、分析する目的が、失敗しないためにやるというのは、あまりいいことじゃないなって思っていて。すべての仕事などをうまくいかせるための目的設定を「成功する」ということに置くとたぶん成功しなくて。
なんか、真理に近づくと思った方が、僕はいいなと思っていて。真理に近づくためには、結局考えていかなきゃいけない。考えていくためには、たぶん仮説も消していかなきゃいけない、となったら。
失敗した時も仮説が1個消えて、可能性が10個あるうちの1個が消せたじゃんという。9個にフォーカスできたじゃん、ということは間違いなくあるので、やっぱり、やるって、うまくいっても失敗しても、大成功か小成功かの違いで。
どっちでも、成功といえば成功なんだよね、とは思ってて。まあ唯一、即死しないようにやろうね、というのはあるじゃないですか。「いや、お前アホか」みたいな(笑)。1回失敗したら即死みたいな感じでやってたら大変だろ、というのはあると思うので。じゃあ、いい感じになったところで。
小倉:じゃ、小野っちですね。
青木:そうですね。
小野:(笑)。
青木:しゃべろう。
小倉:今日はもう、小野っちしゃべっちゃダメ、って縛りがあるからね。
小野:(笑)。でも「直感対客観」って、どうしても組織でやる上では、客観の方が重要視せざるを得なくて。共有できちゃうから、そっちの方を重視しちゃう。でも仕事としては、直感を証明するための客観にした方が本当は楽しいですよね。
さすがに思いつきはダメで、思い付きは言うなよ、みたいな(笑)。偉い上司ほど「これ直感だ!」みたいなことをやりがちなんですけどね。「それ思いつきだろ!」みたいな。
(会場笑)
そういうことをやりがちなんですけれど、みんなが直感的であることのサポートを、客観性が高い人たちがやるようにした方が、たぶん職場や仕事のおもしろさは生まれやすいんですよね。
それを全員でもうちょっと共有できたら。直感と客観の役割の差みたいなことを共有できると、もっともっとドライブしそうな。だから、「思いつきに近い直感」は言ってもよくて。ただ、説明できちゃう客観の方が、絶対尊重されちゃうのは世の常です(笑)。
(会場笑)
小野:だから、ちょっとそこだけ間引いて、直感の方をちょっと盛ってみんなで話すと「けっこう噛み合うよね」というところに最終的に着地できると。今、プロデューサーおじさんっぽいしゃべり方をしているんですけれど(笑)。
小倉:今初めて、ちょっと学びがある感じになりましたけど。
(会場笑)
青木:今日、初めて。
小野:いや、直感と客観。おもしろいテーマを(ありがとうございます)。
青木:いやでも、本当に助けていただいて。
質問者2:すっきりしました(笑)。
青木:いやいや、ありがとうございました。
小倉:ありがとうございます!
(会場拍手)
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