2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
役員セッション「今後の社会で活躍する為には?」(全1記事)
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真子就有氏(以下、真子):みなさんこんばんは、私はモデレーターを務めさせていただきます株式会社divの真子と申します。本日はよろしくお願いいたします。
最後のセッションは「今後社会で活躍していくには?」というテーマで進めていきます。今回40分という時間の中で5名のゲストでお話しするということで、私があんまり話しているとほとんど時間がないという状況なので割愛させていただいて、早速みなさんの自己紹介からお願いしたいなと思っております。
それでは、自己紹介を田口さんから、1分程度でお願いします。
田口槙吾氏(以下、田口):みなさんこんばんは。株式会社FORCASの田口と申します。
NewsPicksと同じく、ユーザーベースグループの1つの会社です。僕たちは最先端のマーケティングツールを作っている会社で、そこのビジネスの責任者をやっております。よろしくお願いいたします。
真子:みなさん拍手をお願いします。
(会場拍手)
諸戸友氏(以下、諸戸):クルーズはSHOPLISTというファッション通販や新規事業のメディア、ソーシャルゲームなどをやっている会社で、そこで執行役員をやっております諸戸です。
今日はほぼ僕の話は聞かなくてよくて、今日は素晴らしい方々がいらっしゃっているので、なかなかこういう機会はなくて本当にいいチャンスだと思うので、ぜひ質問のところでたくさんの人に質問していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
住谷猛氏(以下、住谷):USEN-NEXT HOLDINGSの住谷です。
USEN-NEXT HOLDINGSというのは、業務店向けBGM配信のUSENと動画配信のU-NEXTとが2017年の12月に経営統合して、USEN-NEXTグループになっております。
私はそこで人事部、総務部、広報部といった管理部門を担当しております。人事の仕事は30年以上やっておりますので、何かみなさんのお役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
三島健氏(以下、三島):こんばんは、JTB Webの三島と申します。
JTBという会社は旅行屋なんですけど、Web販売部は何やっているのかというと、単純にEコーマスサイトをやっています。売り上げでいうと2600億くらいで、そこの戦略を立てつつ外資系も長いです。
例えば、イーベイっていう会社の日本版の立ち上げをやったり、エクスベディアというところの日本版をやらせてもらっていたので。
わりと変わったことをやれというので、働き方改革を1人でやっています。skyticketっていうサービスなんですけどそこの社外取締役とかをやらせてもらってるので、海外と日本という話はできればと思います。
(会場拍手)
渡辺泰仁(渡辺):初めまして、渡辺と申します。
スクウェア・エニックスというゲームの会社で新卒でエニックスという会社に入って、そこから20数年ずっといます。
最初の頃はファミコン、スーファミくらいのゲームのプロデューサーから初めて、プレイステーション、プレステ2くらいになって、そこからオンラインゲームのところにシフトして、そのあと社内でFree-To-Playの部門を立ち上げて、当時Free-To-Playは「あんなのゲームじゃないよ」と言われていたんですけど、収益株を持っていったので、わりと社内の新しいもの好きで、新しいものに手を出すというポジショニングに今獲得しています。
このお正月にタイトーさんがスペースインベーダーの40周年記念というのを六本木ヒルズさんでコンテンツを出したりもしています。さっきDMMさんがいたので、僕らもteamLabみたいなの作らせてよって言いに行きました。そんな感じです。よろしくお願いいたします。
真子:よろしくお願いします。ここからはフリートークということで、今回のテーマが「今後の社会で活躍するには?」という大きなテーマで難しい質問だなと思うんですけど。「今後日本の若手がイノベーション起こすには?」というテーマで話していきたいです。
結構大きなテーマなので少し難しいかなと思うのですが。このテーマでいきなりふって話してもらえるかたっていらっしゃいますか? 結構難しい?
渡辺:これを見て思ったんだけど、今後の社会ってどの社会なんだろう? 多分ここにいる人たちもみんなバラバラの業界で働いていて、会社のかたちが全然違う。そこで価値ある人材って、タイプも全然違うと思うんです。そういうことを前提にして、うちの会社はこんなやつがこういう業界で活躍するよという話をしていけばいいんじゃないかなとちょっと思いました。
真子:今後の社会がそもそもどんなのかみたいな?
渡辺:社会といっても1つじゃないじゃですか。
真子:そうですね、なるほど。
渡辺:ふりが良くなかった? ごめんね(笑)。
真子:大丈夫です(笑)。今後の会社ごとに、それぞれこういう社会を実現したいみたいなものがあると思うんですけど。会社ごとに、自分の会社だったらこういう若手の人材が自分の会社を変えていくだろうみたいな、そういったイメージをお話していただけますか?
渡辺:では、最初に口火を切ったので私が。スクウェア・エニックスってご存じだと思うんですけど、「ドラクエ」とか「FF」とかそういう古いゲームのタイトルを扱っていて、みなさんそろそろドラクエとかFFとか知らない世代が増えていると思って……そんなことない? ありがとう(笑)。
でも、ドラクエやFFでスクウェア・エニックスを選ぶ人って全体の中でも、まあまあコンサバなんです。
サイバーエージェントに行く人って、サイバーエージェントってキャラクターがあるじゃないですか。そういう意味では、ちょっと自分が選ばない経路の違う会社に入るというのは、突出して価値を持っているような、そういう会社の選び方じゃないかなと僕は思いました。
真子:会社の選び方というところで、メジャーなところがコンサバな部署ということですか?
渡辺:うちの会社ってメジャーなタイトルがすごく古いタイトルだから、そもそもうちの会社に来ようという子は少しコンサバ気味な子が多いかなと思っていて。
真子:なるほど。
渡辺:そういう子がサイバーエージェント受けてみるとか、サイバーエージェントを受けるようなタイプの子がうちを受けてみるとか、そういうチョイスをしてみてもいいのではないかなと思います。
真子:ありがとうございます。では三島さん、自社でいうとどういう若手がイノベーションを起こすと思いますか?
三島:会社の中でいうと、やっぱり変わらなきゃという意識がすごく強くなっているんです。先ほどお話があったように、非常に社歴が長くなってたりするのでガチガチですと。
そんななかで新しいことをやろうっていうチームが出てきているんですけど、当然それでチームがあったからできることだけではなくて。逆に言うと、若い方々、それこそ今日来ていただいているみなさんほどマーケットに近いというのがあるので、そのときの感性をきちんと持った状態で社会人になっていくと。
当然「社会人」と「学生」って大きな線引きってありますけど、今の消費者目線の感覚って極めて正しいところは多分にあるので、その感性を社内に持ってきていただきたいです。そのときに疑問が出てくると思うので、その疑問を上の人たちや同僚にあてていく、逆に言うと常に好奇心を持ったりということを常にしていくのが大切だなと思います。
昔はそういう感じじゃなかったんですけど、今は興味と疑問というのを吸い上げる流れもできているので、そういう流れをきちんとつたっていく。ただやっぱりチャレンジということを諦めないでずっとし続けるというとこを若手に求めているかなと思います。
真子:諦めないで問いを投げかけられるような若手を求めているということですね。ありがとうございます。では住谷さんいかがでしょうか。
住谷:USEN-NEXTGROUPは事業会社が今16社あり、グループ内で業種も多岐にわたりますので、幅の広いキャリア形成が可能だと思っています。
「じゃあイノベーションをどうやって起こすのか」というところをお話させていただきますが、そもそもイノベーション起こしてやろうと思っている人がどのくらいいるのかなと。イノベーションってなんとなく日々の小さいチャレンジの積み重ねの結果がイノベーションになっていくのではないかなと感じているんですね。 なのでまずはやってみることが大切。まずやってみることができる人がイノベーションを起こすと思います。
この前のセッションでAidemyの方が、「まずはやってみる、それが大事です」と仰っていて、すごく共感したんですけど、それがちょっとした勇気がなくて踏み出せない若い人たちが多いのかなと思っているので、まずはやってみる人がイノベーションを起こすと思います。
真子:ありがとうございます。まずやってみるって分かっていても、なかなか難しいことなんじゃないかなと思うんですけど、どうやったら壁は超えていけると思いますか?
住谷:私は若い頃にそう決めて今も実践していますが、自分のルールにしてしまうんです。何か新しいアイデアをもらったり、新しい発見があったり、何か人から勧められたりすると、すぐにやるというルールを20数年前に、自分のルールとして作ったので、そうするとすごく簡単にできます。
真子:まずやってみるということを自分のルールにして、すぐやる。なるほど、ありがとうございます。では、諸戸さまはどうでしょうか。
諸戸:諸先輩方の仰った通りなので、その通りやればいいと思うんですけど、やる気、根性、情熱です、これからの時代は。時代に逆行しているかもしれないですけど、やっぱりそういうやり抜く人が活躍していくんだろうなと思います。
AIとか発達していて仕事がとっていかれると言われているけど、そういうときに活かされる人って、火事場のくそ力を出せる人だと思っていて、予想だにしないときに、予想もしないような力とか判断をできる人というのがこれからどんどん強いというか、勝っていく人なんだろうなと思っています。
なので、まずはとことんやり抜くということが、大事なのかなと僕は思います。実際うちの会社もそういう人を求めています。というか、そういう人が活躍しています。
あとは今後の社会で活躍していくためにはDMMさんに入ることだと思います(笑)。凄い会社なんでお金もいっぱいあるし、やることが半端ないのででっかいことをバンバンやるでしょう(笑)。僕も仕事柄投資とか若手起業家に支援とかもやっていますけど、ゼロイチで自分で作るよりも、よっぽどお金があったりノウハウのある会社でやらせてもらうほうが、成功確率って圧倒的に高いと思います。
ちょうど先日もDMMさんのケニアかどこかで挑戦した人も転職して1年で美容系で事業を立ち上げたという記事が上がっていたけど、あんなの01でやろうと思ったらなかなかできないです。
お金とか信用とかノウハウがあるからできるわけで、会社をつくるとか起業するってなったら自分たちでやるのが早いのですが、何かを成し遂げるとかこれから世界で活躍していく日本人になるためには、やっぱりお金や大きいリソースを持っているところでチャンスをもらってやるのが僕は1番近い道なんじゃないかなと思います。
真子:ありがとうございます。チャンスをもらえる……。
諸戸:そうですね、DMMに入れば(笑)。
真子:わかりやすい(笑)。ありがとうございます。田口さんいかがでしょうか?
田口:会社の中やフェーズによって、社会で活躍するみたいな問いだと違うかなと思っているのですが、僕は6社目なんですけどずっとベンチャー企業ばかりいるんです。
1つ前はSansanという名刺管理の会社でセールスマネージメントしていたんですけど、Sansanとかユーザベースみたいなベンチャー企業みたいなところにいると、会社にとらわれて何かをやるとか、会社の指示で自分が動く人って、あんまり活躍しているイメージはないです。
会社から言われたことではないことを自分のアイデアで何かやるとか、そういう人が結構活躍するんじゃないかなと思っています。つまり上司にこういうこと言われたからやりますではなくて、自分でやりたいことを見つけて率先してやるみたいな。
失敗したらなんでダメだったのか考えて、成功したら、もっと大きい成功って何だろうと自分で考えて自分でやり抜く人が、社会で活躍するんじゃないかなと思っています。
真子:ありがとうございます。共通するのは、会社に決められたことをただやるのではなくて、自分でどんどんやってみるとか、好奇心を持っている人がイノベーションを起こしていくのではないかという話ですね。
私は大学生の時に起業してずっとベンチャー一筋で経営者としてやってきているのですが、逆に組織の中で、イノベーションを起こすというか、若手から頭角を現して会社を変えていくイメージっていたことがないので、あんまり沸かないんです。
そういったエピソードというか、うちの若手もしくはみなさんのご自身のエピソードでもいいので、こういう新しい提案をして会社を変えていったとか、面白いことをしたみたいな話をちょっと聞きたいなと思います。
どなたかエピソードをご紹介していただけないでしょうか? 今取り組んでいることとか。その方がイメージがわきやすいかなと思ったんですけど……。
住谷:誰か1人が会社の中でイノベーションを起こすというより、どちらかというと会社が丸ごとイノベーティブに成長していくというイメージを持っています。
僕らは1998年に経営改革を行いまして、そこから1999年2000年2001年と3年間500人ずつ新卒採用をとりました。当時4000名から5000名くらいの会社で、そこに1500人くらいの新人を送り込むと会社が変わるんです。会社カルチャーがガラッと変わります。
個の力でイノベーションを起こすということも働き方としてあるだろうし、イノベーションを自社で組織を変えていくというそんな会社に入って、イノベーティブな仕事を体験していくということもできるのではないかなと思います。
真子:ありがとうございます。個人でやるよりも会社自体でイノベーションのことをやっている、はっきりした社会をイノベーション起こしていくと。
住谷:どちらの選択肢も働き方としてはありますよね。
真子:ありがとうございます。
渡辺:真逆な話で、先ほどうちの会社はまあまあコンサバだという話をしたんですけど、空気を読まないこと。ずっとやり続ける。「あほだー、なんでそんなに金にもならないことをやっているの?」って言われても空気を読まずにやり続けると、そのうち芽が出るかもしれない。とりあえずやってみる、折れない心、そんなかんじです。
真子:空気を読まないことが大事ってことですね。
三島:お二方の話に重ねるかたちになってしまうんですけど、社員の中でも新卒も含めて外国人採用を積極的にしてるんです。そうすると面白いのが、日本人の学生と外国人の学生で年齢も一緒ですが気性が違うところが非常にくっきりと出ていて、わりと海外の方が主張が激しいんです。
当然、問いとか、持ってくるものはいい悪いは別なのですが、常にアイデアを持ってくる。そうすると本人が考えているなって、人事上、何かを運用するときにこちらもだんだん思ってくるんです。
そうするとどうなるかというと、「こいつこんだけ言ってるんだから普段もっと考えているだろう、そしたらそういう部署につけてみよう」とデジタルマーケティングのチームに移してみたり、わりとこちら側も「チャンスをどんどん振り合分けてみよう!」となりやすい空気が出てくるので、問いにはないんですけど、きちんとチャレンジしていく、思ったことはきちんと発言してみるというのがいいです。
レガシーの会社の中でも、当然今までだったら「うるさいな」で済んでしまったところが、今は逆に声としてアイデアとしてきちんと拾うという空気があるので、そこは真面目に言われたことをやるだけなのも重要ですけど。
思ったことを発信してみることを常にやっていると、意外と言霊という言葉もありますけど、思ったとおりにならないことは多いものの、思っていない以上のことってできないので、それを人に対しても自分の思っていることを共有していくということは重要かなと思います。
真子:外国人学生の方、結構自分の意見をはっきり言う人が多いんですか?
三島:はっきりしています。
真子:それだけをきくと、これからイノベーションしていく人は外国人の方が強いのかなと単純に思うのですが、そういうところってあると思いますか?
三島:必ずしもそうではないと思います。僕自身外資系に15年いたんですけど、マネジメント会議に出ていても、フランス人とかヨーロッパの人はウダウダ長いこと言っていて、イエスノー言うのに30分かかるんです。
それで彼らもディベートっていう文化があるので、そうしているだけで別にイエスノーの答えはみんな分かっていて、自分の主張、もしくは自分のプレゼン差を出すためにずっと説明しているんです。
それって重要ではないんですけど、少なくとも自分の持っているロジックを相手に伝えるので、少なくとも相手はイエスノーという結果を聞くだけよりも、どうしてそうなったんだっていう相手の思考ロジックも含めてわかります。
そこに関しては日本人だと、それはもうみんな分かっているからイエスだよね、ノーだよねって忖度ってありますけど、それって同じ人種や環境にいればそうですけど、数式に頭の中に違うものが入っていれば、その数式が何なのか説明しないと分からないです。
そのあたりをきちんと議論ができる環境はもちろんあってのことですけど、きちんと議論して自分の思っていることを伝えてみる。そのときに、今風に言うと、昔だと状況とかコンテクストだけで伝えていました。
だけど、今はデータがあるし、コンテクストとデータをどうやって紐づけて自分の論理構想をしていくかを伝えていくというところを、意外と日本人って年代関係なく苦手なので、意外と外国人の方ってそこの論理構想の部分ははっきりしている伝え方をするので、そこの部分を意識的にしないといけないのかなと思います。
真子:ありがとうございます。諸戸さんはこのテーマに関して何かありますか?
諸戸:社内でということですよね。うちの会社でイノベーションを起こすというか活躍している人材でいうと、新卒で入った時にコピー機でひたすらコピーとりまくるようなんですね。
例えば、クルーズって売り上げでいうと200数十億なんですけど、SHOPLISTに関わっている社員って100人もいないので、目の前に役員とか部長が座っているんです。そして役員や部長が使う資料を積極的にコピーとりにいくんです。
そうすると、コピーを取るときに、先輩や役員や部長が何を議論しているんだろうみたいなのが見えるわけじゃないですか? なので徹底的に1枚ずつ見るんです。「めちゃめちゃ面白いな、こんなこと話してるんだ、こんなこと議論してるんだ」って。
すると今度は、勝手に自分から「先輩はこういうこと話してるんで、こういう情報もあった方がいいですよね」って提案し始めるんです。大体ズレてるんですけど。でもズレてたとしてもそれを持ってこられると、僕らとしても、「なるほどね、違う違う、こういう議論をしていて、こういう課題で今悩んでいて、欲しい情報ってこれなんだよね」ってヒントを与えるんです。そうするとまた違う形でそれを持ってくるわけです。
そうやって何度もやっていると、僕らからすると、「こいつはいいぞ!」となります。「次の役員会議に出すか」みたいな極端な話なんですけど、結構そういうふうにチャンスを得られる人がいます。
何が言いたいのかというと、イノベーションを起こすとか、何か活躍する人って、アイデアをバンバン出せばいいってもんではないと僕は思っていて、常日頃からやっていく仕事の中で、仕事の意義とか仕事に対してより付加価値を自分で見出せる人というのが、どんどん新しくチャンスを得られるんじゃないかなと思っていて。
真子:口数が多くて、いろいろ言っていればいいというわけではないんですね。
諸戸:そうそう、言えばいいというもんじゃないです。言うことも大事なんですけど、1つ1つに価値を見出して、ヒントを得て自分から取りに行くということが大事なのかなと思います。
真子:最初は無鉄砲なアイデアを出したりしてしまうと思うのですが、そこから学んで軌道修正していけるみたいな人が大事ということですね。ありがとうございます。田口さんは何か事例みたいなものがあれば……。
田口:何をもって若手なのかというのもありますが、若い人、新卒、入ってすぐの人とかが活躍するのって僕が見ていると、その人が感じる価値観ってすごくいろんな価値観があると思うんですけど。「なんで俺はこんなことをやっているんだろう」「何回もやっていない?」みたいな違和感を普通に気が付いて、「こうやったらいいんじゃないですか?」って言える人はすごく活躍しているというか、結局実益は何かという問いだと思うんです。
それに年齢や実力は全然関係なくて、みんなが便利になることとか、同じことを3回やっているなら4回目にテンプレ化すればいいということを自分で気が付いてやること。これって意外とベンチャーも大手も関係なく、過去はこうだったら今はこうしています、ということは山ほどあって、これは気が付きにくくなるケースって結構あると思っています。
それに対してみなさんみたいな若いデジタルネイティブな人が、「(メールじゃなくて)LINEでやったら終わるんじゃない?」「それってスマートフォンに最適化されていないのはなんでなんですか?」みたいな問いから自分でアイデアを出して、自分でやっていくみたいな。
先ほど諸戸さんがおっしゃったみたいに、ただ言うだけだとコメンテーターでしかなくて、それをいかにエグゼキューション(実行)するかみたいなところにコミットしてやり抜くみたいな、そういう人がいいんじゃないかなと思っているし、過去僕の周りにはそういう人が自分でやりたいことがこうしたいということを勝ち取っていきました。
海外で活躍したかったら、グローバルに関連することを自分で探して、こういうことが会社として組織として課題だからこれをこうしたらいいのではないか、そしてそれに最適なのは俺ですみたいに言って見つけていったというケースは結構あります。なのでそういう人が活躍するんじゃないかなと思っています。
真子:ただいうだけではなく、それを「自分がやります」みたいな?
田口:そうですね、言うだけって簡単にできるけど、それってただに批評家でしかないので、いかにエグゼキューションまでもっていくかということだと思います。その中には1人ではできないことがたくさんあって、だから周りを巻き込んだり誰かに相談することが大事なんじゃないかなと、そういう力が今後は特に必要なんじゃないかなと思います。
真子:確かにこれをやりたいと思っても、1人でできるかと言ったら難しかったりして、日ごろから信頼されておくとか、仲間をつけて一緒に取り組んでいくということが大事ということですね。みなさん素晴らしいお話をありがとうございます。
真子:それでは次に行きたいと思います。「今後求められる人材や市場価値が高い人材とは?」というテーマで話していきたいと思うんですが、みなさん技術経験豊富な方が多いと思います。今後という話があるので、人材のあるべき姿というか、これから社会がどう変わっていって、どういう人材が求められるかという話をしていただきたいと思います。
だれか先にお話してくださる方はいらっしゃいますか?
住谷:変化への順応力かなと思っていて、どんどん時代の進化が早くなっているので、それをきちんとキャッチアップできて自分のスキルや自分の仕事、スタイルを磨いていける方が伸びるのではないかなと思います。そのスピード感がすごく大事だと。
真子:変化への順応力が大事……。それは背景があるということでしょうか?
住谷:世の中が変わるスピードってものすごく早くなってるのでボーっとしていると取り残されてしまいます。それに追いつけるように周りよりもどんどん前に行ける人というのが、うちに欲しいなと思います。
真子:ありがとうございます。
田口:今の話と結構似ていると思うのですが、本当に社会の変化は速いと思います。そういうときだとどういう人材が市場価値が高いかというと、誰もやったことがないことをやれる人だと思ってるのですが、そういう人ってどういう人かというと、直感を信じる人って結構大事だと思ってるんです。
直感ってすごく重要な資産を富んでいて、「なんで自分はこう思ったんだろうって言語化できないけど、なんとなくこれはいい」と思うっていうのは意思決定の中であると思うんです。それってすごく重要で、なぜなら先が読めないので自分の感性を鍛え続けるしかないんです。
「わからないけどいいと思う」「言語化できないけどいいんじゃないか」みたいな感性を磨いている人って、すごく市場価値が高いのではないかなと思っています。なので、今いろんなビジネスの本が出ていますが、アートというのがビジネスではキーワードになっていて。
アートの感覚で考えられる、かっこいいかかっこよくないかというのはすごく難しいと思うのですが、とても大事だと思います。そういう考え方を持っているとか、そのセンスがピカイチな人ってすごく市場価値が高いと今でも思いますし、今後より高くなると思います。なぜならすごくカオスな社会なので、何が正解なのか誰もわからないんです。そのなかでやっていくというのは、そういう人じゃないかなと思っています。
真子:直感を信じる力が大事ということですね。ちなみに学生時代でいうとどういうことをすると磨かれると思いますか?
田口:これは完全に僕の意見ですけど、直感を信じて決定するということだけだと思うんです。意外と20年とか月日をたっていくと、最初直感ではAという選択がいいと思ったけど、周りに相談したらなんとなくBが良くなったとか、「でも結構リスキーだな」「親はなんていうかな」とかそうやって、なかなか最初の直感に信じる決断をしない人って多いと思っていて。
それを最初の直感を信じる、最初こう思ったんだからとりあえずやってみようということの数だと思います。それは必ずしも全部正しいわけではないので、ただそこで、失敗したらなんで失敗したのか振り返ればいいし、成功したらなんで成功したのかって再現性を持たせればいいだけなので、そういう日々の意思決定でしかないと思います、磨くのは。
真子:やりたいと思ったことをやりきってみるという?
田口:ビジネス関係なくプライベートでもそういう意思決定っていっぱいあると思います。「今告白したほうがいいかな」とか。よさそうな気がするんだけどやめとくかみたいな、そういうのを直感とかインスピレーションに従って生きるとすごくブラッシュアップされるんじゃないかなと思います。
真子:ありがとうございます。他の方どうでしょうか?
三島:採用から見ると人材ですけど、逆にみなさんから見たら自分自身の人っていう話だと思うので。先ほどの大企業とスタートアップの違いの時もありましたけど、大企業もあればスタートアップもあれば、はたまた今日本にはかなりの数の外資系企業もあるんです。
そうするとイノベーションってどこで起こすのかというのが前の話ですけど、それを日本企業の中でもスタートアップとレガシー、大きいところ、あとは外資系企業からみると実は全然違っていて、外資系はこの中でもみなさん採用チャレンジされた方、特に海外市場でいらっしゃるかもしれないのですが、新卒って実はほぼないんです。
イコール専門家として誰かを雇いたいという話しかなくて、ジョブ・ディスクリプションと言われる世界ですが、何をやるか明確になっているんです。
例えば、オンラインマーケだったら分析をするなら分析、SEOならSEO、デザインならデザインという、そして今度裏側のバックエンドの構築なら構築、フルスタックならフルスタックって分かれてしまうので、逆に自分がどうしたいのかと明確に求められます。
日本企業もそこまでいかないにしても、自分ってなんだろうというところで考えていかないと、先ほど仰ったようなアートとかデザインシンキングという領域とかをやろうと思ったら最初からやっておかないと、今を持っていて始めるのと、そのチャンスが世の中で顕在化したときにやり始めるのとでは、5年間のリードタイムが違います。
最終的には自分がどうありたいかと今の時点で考えておかないと、1年ってものすごく違うんです。先ほどお話ありましたけど、考えてばかりではなくやってみないといけないとか、直感力で選ぶことも大切だし、エグゼキューションして動くことも重要なので、その時にどんな領域に行きたいかというのを、まるで違う選択肢を逆に迫られてしまう。
逆にまるで違う選択肢が今あるという非常にいい状態なので、自分はどこの領域に行きたいのかというのを漠然とでもいいので、どこに行きたいのかというのを明確にイメージを始めてみるのはいいのかなと思います。
真子:ありがとうございます。学生の方で、どうしようと悩んでいる方結構多いと思うんですが、これから進む先のヒントを早く得るにはどういう行動をとっていけばいいと思いますか?
三島:NewsPicsを読んでください(笑)。
真子:みなさんNewsPicsを読んでください(笑)。
渡辺:今聞いていて思ったことはあるんですけど、ここにいる5社の人たちが欲しい人材、それに順応できる人材という視点だったと思うんですけど、最後に仰ってくれたのは、自分のコアスキルみたいなものはちゃんと持っていた方がいいみたいな話もあったじゃないですか。
さっき市場という話もありましたが、市場って、同じスキルを持っていても、ここでは欲しがられなかったり、ここでは欲しがられたりすることってあるじゃないですか。汎用的に市場価値が高い必要はないんです。自分ができること自分が楽しいことをきちんと突き詰めて、そこで価値が高まるところに自分で行けばいいと思うんです。
ここはわりとある程度安定した会社の人たちがここにいますけど、例えばうちの会社でこの前辞めた男の子は、突然「アフリカに学校作ります」とか言って辞めたりもするんです。彼はすごくアフリカでは価値があるんです。
だからこれだけグローバルになっている世の中で、体質的な、日本だとこういう人材が欲しがられるみたいなところに自分を合わせるのではなくて、自分が持っている物を突き詰めて、それに合うマーケットを自分で探しにいくという発想があってもいいのではないかなと今の話を聞いていて少し思いました。
真子:ありがとうございます。では最後に、諸戸さんお願いします。
諸戸:僕はまだ道半ばなので、誰か知っていたら教えてくれという感じなんですけど、前回のリクルートフェスティバルで箕輪さんと登壇させていただいたときに、おっしゃっていたことが自分の中でズシっときていて。
「自分がどうあるべきか、自分がどうあれば幸せになるのかという問いに答えられる人間というのがこれからの時代に勝っていく人間だ」と仰っていて、これはすごくシンプルなのですが深いなと思っていて。答えられるかというと、僕いろいろ考えてしまって答えられなかったんです。
自分がどうあれば幸せかなのか、そうじゃないものにいろいろ時間やお金を投資している気がして。でも彼が言うには、「そこを答えられて率直なアクションを起こせる人間がこれから必要とされていく」という話をされていて、当然彼の編集している本とかみてもすごく面白い。
そして僕はちょっと極端だなとも半分思っていて、少し個の力すぎるので、少し極端と思う反面、間違いなくそういう力がこれから必要とされるんだろうなと思うので、是非箕輪さん関連の本を読んでみて下さい。そこで感じるものがあると思う。「どうあれば自分の人生が豊かになり幸せなんですか?」という問いが答えられて、かつそこに対して1番近道をこれからの就活で選んでいくべきだと、彼の話を聞いて僕は思いました。
そういうところが市場価値につながっていくのかなと思います。
真子:自分の価値観が明確な人材がこれから活躍していくっていうことですね。会場の皆さんは自分の価値観を持てていますでしょうか。みなさんありがとうございます。
それでは時間が無くなってきたので、会場から質疑の時間を取りたいと思うのですが、せっかくの機会ですので、何かありましたら挙手でお願いしたいと思います。質問ある方、お願いします。
質問者1:お話ありがとうございました。質問としては、役員になったことでよかったことがあるかなと聞きたくて、社員と役員の違いみたいなもので、僕が考えたのは、会社の方針みたいなのを決められるのが楽しいのかなと思ったんですけど、それとは違うみたいな答えがあるとしたら教えてほしいです。
真子:すごくシンプルでいい質問なんじゃないかなと思ったのですが、どなたか役員になってよかったこと、違いですかね?
諸戸:良かったことよりも悪かったことの方が多くて、めんどくさいことばかりで、意志決定しなければいけないし責任を持たないといけないので、できればやりたくない、背負いたくないというのが僕の本当の素直な気持ちですが。
良かったことと言えば、肩書があって気持ちがいいことじゃないですかね(笑)。執行役員という肩書があって、こうやって呼んでいただいて、役員セッションで、本当はなかなか会えない方々とこういうところで座らせていただいてることで僕は気持ちいいので、これが僕は役員になってよかったなと思うくらい。あとはもうないです(笑)。
真子:ありがとうございます。結構ユニークなコメントが(笑)。他に役員になってよかったことはありますか?
住谷:社員と役員の違いというよりも、組織の中で働いている人間として、非常に嬉しいことや幸せなことは、大きな仕事を任せてもらえることです。大変な仕事を任せてもらえるところは醍醐味だと思っていて、私は仕事の上では結構Mなので、すごく忙しくてすごく大変な方が好きなんです。そしてそういう機会を多く与えられるようになったということが良かったかなと思います。
真子:ありがとうございます。うちの会社でも大学2年生が入ってインターン生の子が今取締役をやっているんですけど、なってみないと分からないところってあるのかなと思っています。彼はゴリゴリのプログラマーでめちゃくちゃ優秀なエンジニアだったんですけど、取締役にした瞬間からプログラムにあまり興味が無くなってきて、会社全体をどうやったら大きくしていくかみたいなところにすごく関心を持つようになって、「プログラミングは道具だよね」みたいな。
「プログラミングが人生だ」と言っていたのに全然変わってしまいました。なのでやってみて価値観が変わったりするものはあるのかなと思います。他にある方はいらっしゃいますか?
三島:自分が現場にいたときは自分がやっている、もしくは自分と同じチームの中だけでやっている人が嬉しいけど、マネジメントになってくると、チームが直接ストーリーにのっている、もしくはうまくいっているということが逆に嬉しくなるので、自分のことではなくて会社のこと、もしくはお客さまだったり、チームがうまくいっていることが逆に嬉しくなるというのが、多分嬉しさの中身が変わってくるのかなと思います。
真子:ありがとうございます。ではお時間が来たということで、最後に、ここにきている時点でみなさんはより高い人材価値を出していきたいと思っている方だと思うので、そういった学生のみなさんにむけてメッセージを一言ずついただきたいと思います。渡辺さんからお願いします。
渡辺:じゃあさっきの繰り返しになるのですが、汎用的な価値は高めないでいいです。自分の思う価値を追求していけばいいんじゃないかなと思います。
(会場拍手)
三島:さっきと同じですけど、世の中ABテストっていうデータを見ながら変えていこうというは話もあるんですけど、ある意味自分の人生もそうで。仮説を作ってやってみて、そのときに方向修正していくようにすると自分の中で今度は変わりすぎないというのも大事だし、もう1つは自分の会社だけではなくて、社外に対してもアドバイザーを持つというか、そのあたりも非常に重要じゃないかなと思います。
そういって意味でいうと、自分と横ならびではなくて自分が目標とできるような人を見つけていくのも大事だと思うので、是非探してみるといいと思います。
真子:ありがとうございます。
(会場拍手)
住谷:2つ言います。1つはなにか新しいことや興味を持ったことがあったら、勇気をもってまずはすぐやってみてください。すぐやることが大事です。2つ目は、これから会社選びをしていくと思いますが、直感で決めてください。それが正しいと思います。
真子:ありがとうございます。
(会場拍手)
諸戸:僕も同じですけど、なんでも食う。イタリアンもフレンチも中華も全部食うという。食っているとそのうちに美味しいものはどうやって作られるのかという共通点が見つかると思いますので、まずは食いまくりましょう。
さっき役員になっていいことよりもつらいことの方が多いと言いましたが、確かにいいことはそんなに多くないのですが、やっぱりよかったなと振り返ってみて思います。こうやっていろんな経験をさせていただいているのは、これはやっぱり今までいろんなもの食ってきたし泥水を飲んできたので、そういう人にチャンスが与えられるものだと思います。
ぜひいばらの道にみんな進んでいっていただいて、全員Mになったらいい思います(笑)。どっちか悩んだらつらい方を選んだ方がきっといいことがあると思います。
真子:諸戸さんありがとうございます。
(会場拍手)
田口:さっきとかぶりますが、直感を信じるしかないと思います。違和感を無視しないことが大事だと思っているので、みなさんの就職活動やプライベートのことでもなんでもいいので、意思決定に対して直感を信じてみて、インスピレーションを信じて1つずつ、すぐ行動するというのにトライしてもらえればと思います。応援しています。
(会場拍手)
真子:それでは登壇いただいた5名のみなさまに最後大きな拍手をお願いします。セッションは以上にしたいと思います。ありがとうございました。
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40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗