2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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経沢香保子氏(以下、経沢):私が聞いてみたいなと思ったことは、(田端氏と箕輪氏が)仲良くなったきっかけって何なんですか? すっごく仲良いですよね。いつもネットでいちゃついてるみたいな(笑)。
箕輪厚介氏(以下、箕輪):それはやっぱり、(田端氏の)本を作ったことが大きいですけど、僕が一方的に、田端さんの影響力や本質的な物言いが好きだったんです。「いつか本を書いてほしいな」とは思っていました。
経沢:初対面は?
田端信太郎氏(以下、田端):初めて会ったのがいつなのか、思い出せないんですよ。
箕輪:あれ、あれ。髪! 僕が美容師さんをプロデュースして((注: 「フォロワー数で値段が変わる美容室」)。
田端:あ、思い出した!「(Twitterの)フォロワー1人につき1円払うので、髪を切らせてください」という美容師さんがいたんです。1万フォロワー以上の人だっけ?
箕輪:そう。
経沢:箕輪さんが立てた企画なんですよね。
箕輪:そう。要は10万フォロワー以上いる人に絡んで、フォロワーの数だけ(お金を)払うから、髪を切らせてくれという企画をやって、異常にバズってたんです。田端さんやイケハヤさんに絡んでいって、わざわざ高知に行って、金を払ってイケハヤさんの髪を切るという(笑)。
経沢:高知まで行って切ったんだ。
箕輪:いろんなものを思いついたんだけど、田端さんが1番最初に反応してくれました。
田端:ていうか、「俺の髪って、切るとこないだろう」みたいな(笑)。
経沢:切るとこなーい(笑)。
箕輪:そのツッコミもおいしいなって(笑)。
田端:こんなに(髪が)ちょっとしかないのに、そんなにもらっていいんですかと(笑)。
(会場笑)
箕輪:あの時、田端さんはフォロワーは何人くらいでした?
田端:13、14(万人)。
経沢:その彼(美容師の金井亮氏)と、ワインを飲んでいましたよね。
田端:あ、そうそう。
経沢:(それを見て)さすがだと思って! 奢ってあげて優しいなと。
田端:いやいやいや。
箕輪:(貰ったお金を)意外と消化しきれないんだよね。
田端:その(髪を切ってもらった)あと、男3人で表参道のCICADAに行って、「1番高いワイン持ってこーい!」と思ったんだけど、実は3万くらいのワインしかないんだよね(笑)。5万もないんですよ。
経沢:へーそうなんだー。
田端:3人でけっこう高めに注文したつもりだったけど、10万円もいかなかった。7~8万だったね。
経沢:あ、箕輪さんも3人で。それが初対面?
箕輪:はい。でも、ずっと「NewsPicks Book」から、田端さんに(本を)出してほしいなとは、当然思っていましたね。自分のサロンの定例会に(田端さんを)呼んでもらって、それこそ経沢さんに来てもらった時とか。
「ブランド人になれ」というテーマでしゃべってもらいました。おもしろいから本を作ろうという感じですよね。
経沢:知り合う前は、お互いにどんな印象を持ってました?
箕輪:僕は別に何者でもないけど、田端さんがやっぱりすごいなと思うことは、田端さんが本を紹介すると、Amazonの在庫が切れるんですよ。
経沢:確かに。アフィリエイト収入はどれくらいあるんですか?
田端:アフィリエイトの収益自体はぜんぜんたいしたことないですよ。数万くらい。
経沢:イケハヤさんとかすごいんですよね。月200万円とか。
田端:イケハヤさんのアフィリエイトは、Amazonの本とかじゃなくて、仮想通貨の口座開設とかで、単価がぜんぜん高いものだと思います。
経沢:クレジットカードとかも。そうなんだ、(イケハヤさんはアフィリエイトの)プロなのね。
箕輪:田端さんは、本を紹介することにおいて、ものすごく信用がある人だから、田端さん自身が本を書いたらそりゃおもしろいよな、という。
NewsPicksの会議でも(本の企画が)2つあって、1つは『MEDIA MAKERS』の現代版みたいな「広告は死んだ」というもの。あと(もう一つ)は、「ブランド人になれ」「Twitterやれ」というような、田端さんの普段の煽りのほう。
田端:アジテーター(笑)。
箕輪:どっちでいくかとなったときに、名著のほうは別に我々がやる必要はないだろうと。それは宣伝会議とかがやってくれればいいんだから、こっちはやっぱりお祭り騒ぎを起こすのが使命だなと思いました。それで、『ブランド人になれ!』を書いてほしいとお願いしたという感じです。
経沢:(箕輪編集室での)イベントのときに決まったことを、そのまま(本の企画の)中心において?
田端:けっこうそうかもしれないです。あの場があったのは大きいですね。
経沢:楽しかったですね。ちなみに、Amazonでは評価が賛否両論でかなり炎上して(笑)。私は知らなかったんですけど、Amazonのアメリカのレビューってほとんど実名なんですって。日本だけ匿名で、賛否両論が割れちゃうそうなんです。本を出したあとの環境はどんな感じですか。
箕輪:(Amazonのレビューに)言い得て妙なやつもたまにいるんでね。
経沢:言い得て妙(笑)。
田端:昔よく、ネット事件簿で、Amazonのレビューにムカついた著者がレビューに降臨して、燃えることがあったんですよ。そういう人が何人もいて、僕は「(レビューを)どう書くかは読者の自由だろ」と思っていたんです(笑)。
経沢:うんうん、大きく見てた(笑)。
田端:いや、(著者が)イラッとくる気持ちはわかるんだけど。
経沢:自分がなったらどうだった?
田端:さすがにあそこに降りていこうとは思わないですけど。ただ、いろいろ見ていて、「へー、人ってそんなふうに感じるんだ〜」と思ったことがありました。例えば、(著書を手に取り)これってぶっちゃけ、30分か1時間くらいで読めるじゃないですか。
経沢:これは何文字ですか?
箕輪:7万字くらいですね。
経沢:でも7万なんだ。
田端:「読むのにかかる時間が、短いってことをいいと思う人」と「短いことをむしろ物足りないと思う人」と、2パターンがいるんだなと思って。
経沢:貧乏くさい発想になっちゃうね。文字が多かったら(読むのに)時間かかるしね。
田端:そうなんだけど。「読書したい!」という、ものすごくエンターテインメントとして読書が好きな人にとっては、小説を読み終えるのが惜しいと思うことがよくあるじゃないですか。そこまでいっていたら、定価1,500円での「楽しませてくれる時間」が、結局長いほうが満足度が高くなる部分もあるんだなって。
箕輪:それは(タイプによって)真逆ですよね。本当に忙しい人は、むしろ「サクッと読めたほうがコスパがいい」と言うんですよ。
田端:読書に対して何を求めているかで(違う)。『ブランド人になれ!』みたいな本は、読むこと自体をエンターテインメントと思ったり、「小気味いい」「リズムがいい」と褒めてくれるのは、まあそれも嬉しいんだけど、ぶっちゃけ純粋にエンターテインメントで消費されるよりは、おこがましいですけど、読んだ人の人生が変わるくらいのインパクトがなかったら、本当はダメじゃないですか。
そう考えると、本を何時間かけて読んだかより、これ(本の表紙)に書いてあるとおり「読み終えたらゴミ箱に投げる」と。実際、メルカリで売ってくれてもなんでもいいんだけど、その人が(本を読むことで)なにか読者の現実が変わったほうがいい。でも、Amazonのあれ(レビュー)を見ていて、結局、変わりたくない人って多いんだなと思いました。
箕輪:その人はまた次の本を読んで論評するだけで、論評するだけの人のために(本を)書いてないですよね。
田端:「本の内容に問題があった」ということにしたほうが、読んだにも関わらず、行動しない自分をそのまま正当化できるから。
経沢:世の中は二通りだからね。「行動する人」と「言いたい人、ただジャッジしたい人」だから。でも、(田端さんは)人気者ですね。いっぱい(感想を)言われていて、ちょっと羨ましい。
田端:そうですよね。とりあえず読んだと仮定するならばだけど、「本当に買って読んでんのか!? 」というのもあるし(笑)。それでも嬉しいですね。
経沢:逆に、誰かが行動してくれて嬉しかったこととか、もしくはこの本の中で行動してほしい3つのことを挙げるとしたらなんですか?
田端:本が出て、ちょっと経ったからあえて言いますけど、本を読んだら感想をTwitterに投稿してくれる人って本当に多いなと。まあ、本の中で「感想をTwitterに10連投しろ! そしたら田端と箕輪がRTしてやるから」と書いてますからね(笑)
箕輪:そういうの多いよね。
田端:「こいつらわかってねぇな」と思うのは、とにかく「こう書いてあった、こう言ってた、その通りやった、はいリツイートして! してして!」という、子どもが駄々をこねてるみたいなレベルのもの。俺のフォロワーにメリットなんもないじゃん!
経沢:すみません(笑)。
田端:そういう人もけっこう多くて、「こいつ、わかってないな」と思います。
箕輪:センスないよね。でも(本を読んで)「Twitterアカウントも実名で始めました」という人が多いですよね。
経沢:実名に変えました、という人がけっこういたね。すごいじゃん。
田端:まず最初の一歩だからいいと思うんだけど、そのあとですよね。でも、俺も2、3件見たかな。「この本を読んで、職場がクソくだらないから転職することにしました」という人がいて。それはさすがに、「お!」と思うわけですよ。
箕輪:いる! 嬉しいけどね。
田端:俺は責任持てないぞ、とも思うけど(笑)。
箕輪:毎回思う。例えば、「『多動力』を読んで(会社を)辞めました」と言われても、たぶん次の新しいところも辞めるんだろうなと思います。
田端:なんで(笑)。なんでそこまでネガティブになってるんですか。
箕輪:結局、歯を食いしばる力がないことの言い訳になってるような気もする。
経沢:でも、辞められないで悶々としている人よりは、なにか動くことで1つ見えることができてくるのはいいよね。
箕輪:まったくそのとおり。
経沢:次ですね。「炎上リスクを恐れない、そのメンタルの強さについて教えてください」。
箕輪:田端さんは、本当(メンタルが)強いよね。
経沢:日陰理論だったよね。箕輪さんは弱いの?
箕輪:僕は弱くはない。強いほうだとは思うけど、田端さんは本当に強いなと思う。
田端:今もLINEにいる谷口マサトさんが、「Twitter上の田端さんはカカシだ」と。カカシってわかります? 田舎に行くと田んぼにあるじゃないですか。あれって、鳥には人間に見えるから効果があるんだけど、(人間からしたら)カカシに怒ったってしょうがないじゃないですか。
メディア上に出た自分は、僕はカカシみたいな虚像だと思ってる。そこに心はないから、どれだけ叩かれても痛みを感じない無敵の存在なんです。
日陰理論とよく言うんですけど、メディアには必ず虚像と実像があると言うじゃないですか。メディア上にはいろんな人のインタビューが出ていますよね。例えば棒が立っていて、そこにライトを当てたら影が伸びるじゃないですか。メディアの上に現れるそういう人のインタビュー記事が描き出す人物像って、その人そのものの実体ではなくて、結局は、メディア上での虚像、つまりは影なんですよ。
もちろん実体があるから影が映るんだけど、その影の長さだけを見て「この人すごい」「お金持ちだ」「いい人だ」と思ってもしょうがなくて。それは、光の当て方でどうにでもなるんですよ。
僕も自分がインタビューに出るようになって、すごく思ったんですよね。客観的に見ると、僕のこのインタビューって「すごくイケてるビジネスパーソンみたいに出てない?」と思うんです。
経沢:出てる、出てる。
田端:そうは言っても、「このときすごく嫁とケンカしててさ」とか、別に(自分の)人生としてはぜんぜんよくなかった時期だな! とか。ある種、必死で演じているようなところがあって。
そういうことを逆算できるようになると、人のインタビューを見たときも全部、「この人、こんな威勢のいいこと言ってるけどさ……」というようなことがあって。メディア上で見ているものの裏の構造が読めるようになる。そうすると他人に対する嫉妬とか、まったくなくなってくる。
経沢:前澤さんはどうですか?
田端:いや、でも前澤さんはピュアなほうです。今や前澤さんはけっこう哲学的な領域に到達されてますよね。
経沢:確かに。
田端:「幸せとは?」とか、本当にそういう感じです。「成功とは?」「幸せとは?」「名誉とは?」という。
経沢:「平和とは?」みたいな。
箕輪:僕は会ったことがないのに、また前澤さんの熱愛報道の件で、『サンジャポ(サンデー・ジャポン)』から電話があって。
(会場笑)
経沢:でも、エンドユーザーサービスをやっている人は大変ですよね。
田端:大変です。
経沢:うん、イメージを売ってるからね。
田端:経営者は実業があるから、前澤さんがどれだけ叩かれようが、(会社の)業績がよかったら、それでもう正当化されるようなところがあります。
経沢:あと、前澤さんの場合は(業界が)ファッションだからいいんだよね。たとえば、私は興味ないですが、キッズラインなのに、(メルセデス・マイ)バッハに乗っていたら、提供するサービスのイメージとギャップがありすぎますよね。
箕輪:確かにね。キッズラインは1回炎上したらけっこうきついよね。
経沢:ファッションだといいよね。おしゃれで、ファンクで、ロックで。
箕輪:ファッションとか出版とかね。コンテンツに関して変であることは悪じゃないから。
田端:むしろ善だから。困るのは、いろいろな人から「あれ田端さん裏で全部アドバイスしてるんでしょ」って(言われることです)。僕が完全にコントロールできような御仁じゃないですよ(笑)
経沢:裏でなんの戦略でもやってるような(笑)。
田端:なんにもしてない。
経沢:ああいうふうに非難されたときは、必要以上に謝るのがポイントですよね。
田端:あ、そうなんですか(笑)。
経沢:私はそう思う! なにかクレームが来たら……
田端:俺は最初から一切謝らない!
(会場笑)
田端:「こいつは叩けば謝るだろう」と思われていると、みんなおもしろがって叩くから。
箕輪:でも(謝罪に関しては)どっちかだね。
田端:どっちかだと思う。確かに。
経沢:必要以上に謝って「じゃあ(非難されたものを)消します」と言うと、大先輩が「そこまでしなくても」と言い始めて、だいたい鎮静するなと思っています。
箕輪:小室(哲哉)さんが引退したときのようなことですよね。
経沢:そうそう。そこまで言えば、みんなそれ以上は非難してこない。
田端:確かにね。小出しにして謝るんだったら、いきなり土下座するほうがいいですよね。特定の投稿だけ消してたら余計まずい気がするから、全削除したほうがいい。
経沢:もう全部消して「生まれ変わります!」というほうが早い気がする。
箕輪:わかる、わかる。「(みんな)そこまで怒ってないよ」というね。
経沢:そうそう。「ごめんね」みたいな。
田端:怒った方が逆に「やべ、言い過ぎたな」と思う。
箕輪:会社でも経費(の精算)が遅れたときに、メールで「切腹します」とか書くと、「いや、それはしないでいいよ」と言われる(笑)。
田端:絶対すると思われてないよ(笑)。どうせ高田純次みたいなノリだと思われてる。
経沢:必要以上に謝ることは、けっこう問題解決になるよね。
箕輪:「そこまでじゃないから〜」みたいな。
経沢:次の質問です。「『ブランド人になれ!』を読んで、やるぞ! と火が付くタイプの対極で、ブランド人を支えたいタイプの人は、なに人になったらいいんですか?」
箕輪:あー、よく言う話だよね。
経沢:神輿を担ぎたいか、神輿に乗りたいか。
箕輪:風呂敷を広げるか、たたむか。
田端:たたみがいのある風呂敷を広げていく人とコンビになるしかないですよね。
経沢:でも、田端さんは前澤さんの風呂敷をたたんで、自分のを広げているから。
田端:でも、それは入れ子になっているんですよね。僕は、前澤さんがまず広げた風呂敷をたたんでいるとも言えるんだけど、たたんでいる振りをしながら、またそれを部下や外部の人に助けてもらっている部分があるから。
経沢:そっか! 同じか!
箕輪:結局、僕も見城さんの風呂敷はたたむけど、また広げるような。結局、食物連鎖みたいなもので、強いやつが(広げていくんですよ)。
田端:ロシアの人形のマトリョーシカとか、玉ねぎの皮みたいに。
経沢:確かに、その人もブランド人になればいいんですよ。経営をしていて思うのは、経営のことがわかっている人や、同じ気持ちになってくれる人のほうが共感を生みやすいんです。「自分は社員なんで」という感じになってしまうと、そこで心が断絶しちゃうからね。
箕輪:まったくそうで、「僕、風呂敷たたみ人なんです」みたいなことを言う人って、ロクでもない人しかいないですよ。
(会場笑)
箕輪:そういうことを自分から言う人ね。自分より風呂敷が大きい人を目の前にしたときに、広げた経験(があったり)、(自分が)広げられるからこそ、たためるわけですよ。
田端さんだから前澤さんのをたためるし、俺だから見城さんのをたためて。「俺はたたむことが得意だ!」と言っている人は、タイプはあるけれども、たいしたことないんだよね。
田端:あとは、どういうたたみ方が得意なのかというところです。でかい風呂敷を広げるときって、絶対1人ではたためないんですよ。
畳で言ったら、3枚分広げた風呂敷を「ここの1畳分は僕がたためます」とか、そこなんじゃないですかね。そのたたみ方が専門性を増していけば、それはそれで絶対ブランド化すると思うんですよね。
経沢:確かに。
経沢:さっきの「会社を辞めました」という話にちょっと関連する質問なんですけど、「田端さんや箕輪さんみたいに、転職がキャリアを積み重ねていくパターンと、いわゆるジョブホッパーになって、給料も上がらない人は何が違うのでしょうか?」。戦略がないということですか?
田端:ストーリーがあるかないかじゃないですか?
経沢:あー、ストーリーね。
田端:ストーリーにプラスして、人間性とかパーソナリティというか。
箕輪:まったくそう。だって、編集技術が僕よりうまい人なんて、たぶん何十人も……そんなにいないか。
(会場笑)
田端:さりげなく自慢入った(笑)。
箕輪:要は、編集の技術なんてうまい人はいくらでもいるけど、技術競争をやってもしょうがない。やっぱり「箕輪さんにお願いした」と言いたい、ということ。それはデザイナーでもカメラマンでも全部同じですよ。
篠山紀信が撮った写真と、そこらへんの人が同じ機材で撮った写真で、道ゆく人に「どっちが篠山紀信の写真でしょうか?」と聞いたら、そんなのわからないですよ。でも、篠山紀信だということにお金がついているから。「〇〇さんに頼みたい」ということになる。
まさに「ブランド人になる」ことが大事です。それはストーリーですよね。この人はこういうことをやっているとか、こういう生き様だとか。
経沢:ちなみに、いろいろなところに出ているとは思うんですけど、簡単にお二人の転職のときのストーリーや、描いていたものを教えてもらってもいいですか?
箕輪:僕が幻冬舎に入ったときは、前の出版社の双葉社が本当にゆるくて、「幻冬舎は厳しい」って超聞いてたから、やっていけるかなというくらい。入ったら本当にみんなが優秀に見えて、「これは無理だな」「これは編集者としてけっこうキツいな」と思ったけど。
NewsPicksと組んでやり始めたら、もともと幻冬舎はビジネス書がそんなに強くなくて、完全に誰もいない土俵だったから好き勝手ができたんです。好き勝手やると、やっぱり力を発揮できるから、どんどん売れました。そうしたら、完全に競争にもならないですよ。
幻冬舎は小説が強いから、文芸編集者がめっちゃいるんです。そうしたら「あの人がうまい」とか「この人がすごい」ということになるけど、ビジネス書を作る人は1人もいないから、完全に僕の独裁政権で。企画会議でみんなが企画書を出すんだけど、企画書も出さず僕がやりたいことを勝手にやれるようになりました。
じゃあ次は漫画だ、と。漫画もぜんぜん強くないから、幻冬舎コミックスと組んでガンガンやる。またそこで僕の独裁政権みたいになるから、やっぱり誰もなにもやってないところでやるのが一番強いですね。
経沢:私も何度か転職をしていて、ストーリーとしては、リクルートでは営業の経験が積めたんですけど、営業だけやっていたらドブ板すぎた当時は「ヒゲの生えたおばさんになるな」と思ったんですよね。紙媒体の営業をやっていたんですけど。
でも、リクルートは紙と紙の上での情報のマッチングというか。「とらばーゆ」などは、転職したいOLと採用したい企業のマッチングだから、「これをネットでやった会社はリクルートを超えるな」と漠然と体感していました。あんなに重い本を持って営業をしていたのが大変だったので。
それで楽天を見たときに、「私は営業力しかないけど、これからインターネットを知るべきだ」と思って、年収をかなぐり捨ててそこに飛び込みました。インターネット業界に乗り換えるというのが、私のストーリーだったんですよね。
さらにおまけでよかったのは、社長の側にいたから、経営者の思考回路をインストールできたり、新規事業をいっぱいやらせてもらえたことは、本当に財産としてついてきたなという感じなんですよ。田端さんはどうですか?
田端:僕がこの本と似ているところで言うと、波の予兆に乗るというか。「この会社は絶対、次来るぞ」というところと、自分の強みが掛け合わさって、よりおもしろいことになるようなことが、いつもあるかなぁと思っています。
例えば、LINEに戻ったのが2012年で、スマートフォンの波が来ると思ったし、それは結果的にだいぶ正しかったんです。今も「ZOZOスーツ」みたいなもので消費者を知ったうえで、1to1のものをオーダーメイドで作るという。たぶん、服以外の化粧品などもそうなるかもしれないし、ビールだってそうなるかもしれない。
「そういう時代がこれから来る」というところで、ある意味、広く(ニーズを)捉えたものを売るマーケティングみたいなことと、新しいメディアやデバイスが出てきたときに、それを最も早く有効活用する。実例を作るというところが一貫しています。
それはスマートフォンかもしれないし、コンデナスト(・パブリケーションズ)が戻ったときはタブレットみたいなものが出てきて、雑誌がそれでルネッサンするかもしれないし。そこがブレていない。こういうものは結果的に後づけみたいなところもあるんですけど(笑)。そう思います。
経沢:ありがとうございます。
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