2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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田口:はい、ありがとうございます。冨塚さん。
冨塚:僕はもう49歳なんで、皆さんとずいぶん年代が違うんで、当時の学生時代の雰囲気がまったく違うわけです。そんな中で自分何やってたかというと、僕は中学から立教でエスカレーターのとこ上がってたわけです。なんで中学で立教選んだかって、自分で選んだんですけど、野球がやりたくてしょうがなくて、甲子園出て六大学で野球やって、っていうことを考えてたんです。
同級生は長嶋一茂君とかですね。同級生で野球やってたんですけども、甲子園があと一歩で出れなくて、六大学でと思ってたんですけど、ピッチャーやってたんですが、(背が)小さいんでなかなか難しくて、脊椎分離症っていう病気になっちゃいまして「マネージャーでだったら入れてやる」と言われて「いやだ」と。やっぱり自分がプレーしたいんで。
結局体育会辞めることになって、何もやることがなくなっちゃったんですよ。もう新歓終わったあとだったんで困ったなと思ってたら、立教ていうのは学園祭がなくて「学園祭復活させたいんだ」て言ってる先輩がいて「お前暇だったら手伝えよ」っていうことで、手伝うことになりました。
最初の年はできなかったんですけど、2年目に、当時学生が1万2000人くらいいたんですが、2週間で1万人くらいの署名集めてきて大学側に「やらしてくれ」という話をしたんですけど「ダメだ」ということで。非常に悔しい思いしてやめようかと思ったんですけど「もう一回、来年チャレンジだ」っていうことでチャレンジをさせてもらいました。
大学側からお金も出ないんで自分たちで営業活動やって、パンフレット1ページ、50万円と。早稲田大学のパンフレットは1ページ10万円だったんですね。「なんで早稲田より立教のほうが5倍も高いんだ」って(言われて)「高いには理由がありまして」みたいな、こんなことを大学1年生からやってまして(笑)。
このあと会社に入ってまったく同じように「なんでリクルートさんだけ高いの?」っていうことを言われるのを、もうかれこれ20年間くらいずっとやってるんです。
翌年、そういうことで1000万円くらいお金も集めましたし、「これで出来ます」ってことで、なんとかやらせてもらいました。やっぱり、ないものを作るっていうのは、ないわけじゃなくて中止になっていて、皆さんわかんないと思うんですけど、中核派とか革マル派とかそういうセクトの運動があって、なくなっちゃったんです。
で、ヘルメットかぶったり角材持ってた人たちに、一応学祭やることを学校からOKもらったんだっていうことを、仁義切りに要町の組織に行ったわけです。皆で行こうとしたら先輩が「俺が行く」と。「30分経って出てこなかったら警察に電話してくれ」と言って一人で入っていったんですね。
15分後に、角材を持った、ヘルメットかぶった人たち5人と一緒に出てきて「じゃあ」と言って、握手をして出てきたんです。その姿に結構感動しまして、人間やっぱり話せばわかるんだっていうか。そういうかたちでできるようになりました。
そこで僕がこの学祭を作ったことで非常に学んだのは、やっぱり人と人とのつながりっていうのが、大学生でも社会人でも関係なく、僕は体育会で野球しかやってなくてなんにも知らなかったんですけども、そういう先輩とか同級生と「ないものをなんとか作ろうよ」ってことで、2年間かけて作れたっていうことですね。
もうひとつ大きいのがその翌年。9人で作ったんですけど、第2回ですね。第2回やろうとしたときに誰もやる気がなかったんですね。無から有を作ることに興味があって、できてしまったらそれを継続するってことに誰も興味がなかったので、僕以外やる人がいなくなっちゃったんです。「これどうするんだ、2回目」ってことで、でも仲間をもう一回、9人中7人と、新しいメンバー7人の14人で2回目やったんです。
こんな団体が今、立教に去年行ったら30回目で200人部員がいるっていう、最大だったESS(立教大学英語会)を抜いたサークルになっちゃったっていう、こういう学生時代ですね。
本当にそういうひとつのことに僕は結構注目してたっていう学生時代です。やんなきゃ良かったことは、ちょっと粋がって池袋の街を歩いてるときに、肩がぶつかって「痛いな」と言ったときに、羽交い締めにされてタバコをジューって(押し付けられて)、「若いのが粋がってるんじゃねえよ」てそのまま組織に連れて行かれてしまったんですね。
これどうなることかと思ったんですけど、親分さんに助けていただきまして、粋がっちゃダメだよということで、ああいう経験だけは2度としないようにしよう、というふうに思ったことくらいですかね。
(会場笑)
田口:ありがとうございます。小澤さん。
小澤:大学時代はアホですね。バブル経済っていうのがありまして、見てわかる通り私が上品なのは、父親が裕福でしたから、何不自由なく高校・中学と暮らしてきて、大学も入るわけです。家業を継ぎなさいということで後継ぎ息子として育てられたわけで、ずーっとふざけてましたね。
趣味はゴルフ、乗ってる車は外車、夏は別荘に行くというのが大学2年まで続きまして、バブル崩壊を迎えます。ある日父親に呼び出されて「話がある」と。「お前が継ぐ会社はなくなるぞ、ついでに60億借金があるから返せ」と。まだ20歳だか21歳のときでございますね。皆様方と同じくらいに私は60億の借金を背負ってましたね。それが学生時代です。
そこからは苦しいですよ。皆さん60億の借金背負ったら何します? ある日父親に告げられるわけです。ずっと金持ちだと思ってた父親から「60億借金あるんだよ、お前が返すんだ」と言われるわけですね。今思えばこんなにラッキーなことはない。あのまま育っていたら今でもアホ。今はちょっとアホ(笑)。
(会場笑)
ちょっと改善した。60億返そうと思うから、何しようと考えるわけですね。私が起業した目的は金のため、親の借金のためですね。物事を始めるときには何か理由がある。その理由は自分じゃ作れなかった。
黒船は父親の60億だった。日本という国にとっての黒船みたいなものが、自分にとってなんなのかと。私は親が作ってくれた。皆さんにとってはなんなんだと。作りきれないんだったら海外に行きなさいとか、作りきれないんだったら自分で60億借金作りなさい。
(会場笑)
それがきっかけになりますね。僕はその60億返すためにどうしようかどうしようかって考えたら大学3年、4年でした。結果的にね、返さなかったんです(笑)。父親に自己破産してもらいました。でも父親は素晴らしくて、自分の会社が潰れる寸前、ガタガタになってると、今ここにきて助けてもらうという可能性がひとつ。
もうひとつは「お前が起業する金くらいは出してやれる」と。その金で会社作れ、その金でなんとかしてくれ。僕は後者選んだんですね。そのお金でなんとか父親の会社は売却をして、従業員の雇用を守った。父親は自己破産をした。
ただ、僕はそのときもう会社を作って楽天に売っていたから、つまり潰れるのは何年後かなんです。大学3年だか2年のときにダメになってから、なんとか会社は7~8年持ったのかな。その間に私はITを見つけて、ITで会社を作って、結局自己破産して取られた父親の会社を僕のお金で買い戻して、お父さんお母さんこの金で暮らしなさいと言って、なんとかそれで小澤家を守ることに成功した。
あなたたちにとっての、そういう生活の変化ってなんなんだと。人間ってのは怠惰な生き物で、ものすごく高い志がある人ってそれで頑張れるけど、そうじゃない方ってのは何かのきっかけが必要です。私にとっての大学時代の一番大きなきっかけはその60億の借金とバブル経済の崩壊。非常に今でも感謝しております。ありがとうございました。
田口:ありがとうございます。今、3人の方々にそれぞれお話聞いて、気付いてる方と気付いてない方っていうのがあるんですね。実は創業したり起業したりするときに、創業者の方々、大体自己肯定感高いんです。それで物事に対する意味づけを勝手に自分で決めちゃうんですよ。
小澤さんなんかすごいですよね。60億借金あって「嬉しゅうございました」って言えるんですよ。これは意味づけを自分で決めるからなんですね。最初から悪いことなんてないです。自分が決めてるだけです。認識してるだけなんです。
そういうところも皆さんの中ではすごく消化の対象になるかと。それからさっき冨塚さんのほうからあったように、創業と処世は違います。創業のときはものすごいエネルギーいります。ものすごいエネルギーなんですよ。一回作っちゃうと、あとつまんなくなっちゃう。これ処世してかなくちゃいけない。ビジネスにしろ何かの物事にしろ、継続性が大事なんですね。社会変革っていうことには。
継続していくためには、創業する力と処世をして行くということが両輪になっていかないと、「ひとつのことを思いつきでやった、あとは知らない」ていうと社会変革は起きないんですね。そこのところはそれぞれの方々が皆さん経験をされてらっしゃることですので、シェアができればいいかなというふうに思ってます。
それで、それぞれさっきあった危機感のところがあって、60億返さなくちゃいけないっていうのも一番おもしろいテーマなんですけども、そのときに倫理観があるはずなんですね。「これはやっちゃいけない」ていうのがあるはずなんです。
それも踏まえて、社会に対して大切にしている、仕事の上で大切だと思ってるルールがあれば一言ずつお願いしたいと思います。なければなしでいいです。思うように「こうだ」っていうのも結構です。山田先輩。
山田:順番変えよう(笑)。
田口:じゃあ、小澤さん。
小澤:私からいきましょうか。60億円の続きしましょう。
(会場笑)
小澤:60億円の借金を返そうとすると、僕は今でもそうなんですけど、何かやろうと思ったらそれを成し遂げた事例を研究するわけですね。プロ野球チーム作ろうと思ったらプロ野球作ったことある人。これはいなかったんだけどね(笑)、その話は今度時間があればやるけど、プロ野球チーム作るって大変なんだよ。
田口:一応、楽天作ってますんで。
小澤:楽天イーグルスをゼロから作ったことあるんですけどね。皆さんも機会があったらプロ野球チーム作ってください。こんなにおもしろいことはないし、こんなにやりがいのある仕事はない。自分の作ったチームが巨人に勝って優勝するっていうことを去年やったんですけど、ビールかけ行ったんです。その頃ヤフーだったけど。
(会場笑)
三木谷さんが呼んでくれたから。本当に機会があったら「プロ野球チームの作り方」っていう講演を一回やりますから。なんの役にも立たないけど、好奇心は満たされる。
それはさておき、60億稼ごうと思ったら60億の稼ぎ方。長者番付ってのが当時ありましたから、どうやってお金稼いだっていう人がバーって並んでるわけです。そしたらほとんどが会社の社長とかそんなのばっかりだった。医者とか弁護士はいなかったから「あ、会社の社長になろう」と思うわけね。
会社やるんだったら何やろう。儲かるほうがいい、儲からんといかんと思って儲かるんだったら何でもいいや。いろいろ考えるわけですね。実はもう時効だからだけど、そんなにいいことばっかりじゃない。ちょっと良くないこともやりました、大学時代。
田口:メディアポリシーオープンなんで。
小澤:大丈夫です。20何年前ですからね、別に詐欺とかじゃないですよ。合コンの紹介斡旋業とかやってたんですよ(笑)。結構儲かるんです。でもこれ全然嬉しくない。
インターネットのビジネスやって一番良かったのは、見ず知らずの人に「ありがとう」って言われる機会が増えました。僕が一番最初、インターネットでビジネスやろうと思ったのは広告が取りたかった。広告を取ってインターネットのビジネス成立させようと思っていたから、広告取るためには人にいっぱい来てもらわなきゃいけないでしょ。
人にいっぱい来てもらわなきゃいけないってことは、便利じゃなきゃならないです。とことん便利なサービス作ってたら、毎日毎日「ありがとう」って言われるんですよ。全然儲からなかったけどね。
僕はそれまで電車で知らない人に席を譲ったときしか、見知らぬ人にありがとうって言われたことなかったんです。
皆さん思い返してください。知らない人にありがとうって言われたことありますか? ちょっと親切にしたとき「ありがとう」って言われます。でもね、僕が作ったインターネットのサービスって毎日50人、100人から「小澤さんの作ったサービス素晴らしい。ありがとう」って言われる。これが中毒になってしまった。それでお金ももらえますよ。
ありがとうって言って(くれて)お金ももらえる。これは最高だと。それまでやってた合コン斡旋業っていうのは「騙された! でも金は払う」っていうやつです。「約束だからお金払ってくださいよ」っていうやつですね。
これはいかんなと思って全部やめて、全部やめてっていうかちょっとしかやってないですよ(笑)。大学時代の一時期だけですが、あれは良くないと。やっぱ仕事やるには、気持ちよくありがとうって言ってもらってお金払っていただけるビジネスやろうと、そう決めました。それがいまだに続いているということになります。
田口:ありがとうございます。大変わかりやすいですね。
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