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社会を変革し、成長するためのキャリアの描き方(全4記事)

「儲けはうまいリクルート、を払拭したい」 "事件"のトラウマがもたらした、価値あるサービスへのこだわり

1988年に発覚した戦後最大ともいわれる贈収賄事件、リクルート事件。新入社員だった現・リクルートマーケティングパートナーズ社長の富塚氏には、当時のトラウマが色濃く残っているといいます。アポすら取れなかった苦難の時期を経験した現経営陣は、会社のイメージをどのように導くべきだと考えているのか。ロート製薬・山田邦雄氏、ヤフー・小澤隆生氏とともに、会場の大学生・大学院生に向けてその答えを語りました。(G1カレッジ2014 より)

リクルートへ新卒入社、2ヶ月後にあの事件が…

田口:冨塚さん。

冨塚:僕は堅い人間なんで、ちょっと堅い話から行きたいんですけども。入社した年が「リクルート事件」っていう。皆さん知ってますかね?

田口:リクルート事件知ってる人? 皆結構知ってるね、ありがとう。

冨塚:「リクルート事件」っていう事件があったってことを知ってる人は多いんですけど(笑)、どんな事件だったかっていうのは、結構皆さん知らない人ももう多いみたいで。

新入社員だったわけです。6月18日、まだ忘れもしません。いきなり新聞に「リクルート社」ていうのが出まして、それからほぼ毎日「リ社」ですね。カタカナのリに社。

営業やってましたんで、お客さんとこに電話をかけるんです。まだお取引がないお客さんに新人はいっぱい電話をかけるわけですけども、そうすると電話の向こうで「ふざけるな、リクルート」(と言われて)ガシャーンと切られるっていう。

大体1日200件くらい電話をするんですけど、190件はそんな感じ。アポイントメントとらないと外に出れないんで、僕はやらなかったですけど、隣の席の奴は「あ、そうですか。ありがとうございます。じゃ今からお伺いします」て切って、「お前アポとれたのか」て聞いたら「ううん」て言うわけですよ。

「え?」て思って「冨塚、でも家帰ると空しいんだ。留守番電話に自分の声が入ってるんだよ」って、自分の家に電話のアポ掛けをしてとれたような感じで外へ出てくっていうですね。

(会場笑)

こんな時代でございましたんで、何を一番思ったかっていうと、やっぱり信頼とか信用とかですね。誤解もいろいろあるんですけど、やっぱりそういうふうに思われるような仕事はやっちゃいかんなと。自分は何も悪くないじゃないですか。入った会社がたまたまそういう状態で、やってる事業も悪くないんですよ。

取引あるお客さんは当時の「リクルートブック」、今のリクナビみたいなものですけど、それやって人が足りて「ありがとう」と言ってくれる。でも世の中全体には「リクルートは……」っていうですね。

そのうちリクルート事件のほとぼりは冷めてきて、「リクルートは儲けるのはうまいけど……」みたいな、ネガティブな感じの雰囲気を言われることが僕は一番嫌いでして、そういった意味でのポリシーっていうのは、18人役員いて6人同期なんですけど、6人で集まって飲むと、とにかく世間様に対してそういう「マイナス・ネガティブな感情をどうやって持たれないか」ですね。

トラウマのように新人時代のそれがあるんで(笑)、世の中にとって本当に必要で、かつ喜んでもらえるようなサービスを作っていきたいなっていうのは、これは真面目にずっと思ってることです。

大手企業ほど保守的すぎて中身がボロボロ

田口:ありがとうございます。山田先輩。

山田:ちょっと元のテーマから設定ずれるかもしれない。もうこの中で就職が決まってる方ってどのくらいいらっしゃるんですか?

山田:まだ少ないですね。こうやって拝見してると、半分くらいは、自分でビジネスを起こすぞというやる気まんまんの人もあるし、半分くらいは何らかの会社なり大学なりへ入って仕事を始めようって方が多いと思うんですけど、いろんな会社があります。

だけど大体、大手で名前が売れてる会社って、入ってみると問題だらけで。見かけがいいとこほど中身がボロボロ、というのはよくあります。

でも逆にそこが僕はまたチャンスで、基本的に日本の会社、特に海外出ていろんな外国の会社のビヘイビア(行動)を見ると、やっぱりあまりにも保守的というか、自分の会社を守るという、しかも来期の業績をどうするかっていうことにますます最近シフトしてるような気がするので、それは日本の社会のために本当良くない。

皆さんはもし会社なりに入ったら、ぜひそれを引っかき回してぶっ潰してほしい。

「新しい仕事を作りたい」、これは立派ですよね。僕たちのときはまったくそういうオプションすら考えてなかったので、ぜひ新しく今までないことを起こすっていう気概を持たれた方があったら、ぜひ私に相談してください。できるだけ支援してあげたい。

特に生活に関わること、それから医療・ライフサイエンス。僕は本当にここの分野が、日本が最後に勝負できる、本当に世界に貢献できる分野だと思ってますので、格好良く言えば「10年後、20年後のために仕事ができる」という気持ちを持った人が、特に今日ここへ来ようっていう方はそういう使命があるというか、気持ちを持ってるからこそ来てくれてると思うので、その気持ちをすごく大事にしてほしい。

「今年・来年じゃなくて30年後考えたら、こうなるから今こういうことをやっておこうよ」、これを今純粋に皆さん思っておられるからこそ、大切にしてほしいなって気がします。

田口:ありがとうございます。今「社会において大事なルール」ということと、「自分の行くべき方向性」ていうことを山田先輩のほうからお話をいただきました。

グローバル社会だからこそドメスティックな一面を

田口:その方向性っていうことに関して、これから世界がどんなふうに動いて行くのか、そしてそれに対してどのように貢献するんだっていうところを、冨塚さん、小澤さんのほうからもちょっといただきたいと思っております。

冨塚:僕自身は非常にドメスティックな人間なんですけど、会社も1%の売上げもなかったところから一気に半分まで持ってくぞっていうような中で、結構今海外行って非常に思うことで、1個だけ今日は皆さんに伝えたいことがあります。

たとえばお隣の国、韓国に行ってお客様からおもてなしを受ける。そのときに板の間のお店に通されるわけです。そこの従業員の方々が、私1人、向こうの先方さん5~6人っていう中ですごい注目を受けながら食べるわけです。

そのときに、片膝立てて、箸をご飯に刺して、音をクチャクチャしながら食べる。これ、日本からすると非常に行儀の悪いことでしょ? でも向こうからすると、それが正式なご飯の食べ方ですっていう。

自分の国の歴史と文化っていうことを語れますか? っていうことなんですね。海外行くと、そういう晩さん会とまでは言いませんけども、食事をするような場で、日本という国に関して「あなたはどういうふうに歴史認識をお持ちですか」と聞かれたときに、皆さんなりに答えられますかと。

これは今、マスコミの報道があることを鵜呑みにするものではなく、自分自身で歴史っていうものをしっかりと捉えて、それに対しての自分なりの意見というものをちゃんとぶつけられるか。

たとえば従軍慰安婦の問題といったときに、「すいません」というのか「よくわかりません」というのか「いやいやそうではありません」というのか、それぞれあるじゃないですか。っていうことがしっかりと語ることができないと、やっぱりこのあとのやりとりっていうのはなかなか難しいな、っていうのは率直に思います。

僕は、日本って非常に素晴らしい国だと思います。ですから自国の歴史と文化を知った上で、かつ、お隣、相手の国の歴史と文化をちゃんと理解をした上でコミュニケーションをとるっていう、これだけは若い皆さんにひとつだけお話したいなと思ってました。

ヤフー小澤氏が予測する、ゴールドラッシュな業界

田口:ありがとうございます。じゃあ小澤さん。小澤さんのコメントでQ&Aに入って行きたいと思います。世界に対しての貢献、それから方向性ということで。

小澤:世界に。私がですか?

田口:はい。どういうかたちでもいいです、小澤さんでしたら。お好きにおしゃべりください。

(会場笑)

小澤:ありがとうございます。私が世界に貢献できることはまずないでしょうが、世界がこうなって行くというのは大体わかります。全部がわかるわけじゃないですよ、ごく一部についてわかります。

ますますインターネットが活用されるようになる。僕はその領域にいるし、20年前に僕が選んだのはインターネットの業界。なぜなら明らかにこれは革命的であり、私のようないちアホ人間でもこの業界で何かできる。

その結果皆様方からお礼を言われるようなビジネスを起こし、なんとかかんとか、この壇上に座っていられるようになっている。全部インターネットがあったから。おそらく紙だったらこうなってないんじゃないかな。アホだからね(笑)。

何が言いたいかというと、皆様方スマートフォンを使ってらっしゃるでしょ? 5年前、こんな事ほとんどなかった。情報革命・IT革命というのは信じがたいスピードで進んでいて、もっとも産業的にも経済的にも発展をしていると。

中国・東南アジア、もちろんアメリカと同じ、ぴったり同じ。IT、Information Technologyというのはますます盛んになっていく。僕がビジネス作るときっていうのは、必ずやってることがひとつある。右肩上がりの業界で自分の会社を作る。なぜなら右肩下がりのとこでやったら、相当実力ないとダメよね。

ゴールドラッシュってあったでしょ? 金山の、バーっと掘れ出したところに参入するのが一番良くって、掘りきったあとに入って行く人はキツイよね。今、そういう業界で就職活動してる人いませんか? 大丈夫?

IT、東南アジア。この辺はまだまだ行くから絶対大丈夫。そうじゃない領域、結構キツイと思いますよ。僕はそういう業界でもう20年いて、もう老害になりつつありますけど、なんとかかんとかやってきた。

これからは、おそらく日本ってのは人口も下がる、労働生産性もなかなか限界があるという中で、やっぱり世界に出てかないと、皆さん個人もダメだし日本にある会社もダメだということで。

リクルートさんだったり、私もちょっと前まで楽天という会社で役員やってて、今はヤフーという会社で役員やってて、三木谷さん、孫さんと今日本を代表する経営者と仕事をさせていただいてる中で、当たり前のようにグローバルだと。Go Globalと言ってる。こんなにわかりやすい話はない。

冒頭の話でってありますけど、英語しゃべれないと話にならん。ダメだぞ、俺!(笑)。世界の会社と物怖じせずに交渉できないとならない。英語なんて当たり前。その上で交渉力・プレゼンテーション力。

世界の経営者と、僕は幸いなことに孫さんとかと一緒に行って会う機会があります。たとえばジャック・マーさん。おもしろい顔してるわけですよ。でも30兆円の会社作った。それと交渉する。素晴らしい交渉力です、本当に素晴らしい。私は横で置物のようになってるわけですね。「……」ってね。

でも、彼らと一緒に交渉したいなあと。俺だってちょっとはおもしろいってとこ見せてやりたいなあ、ってこと思うけど、ずーっと黙ってるんです。

田口:十分おもしろいです(笑)。

小澤:日本語だったらね、こうやってしゃべれますよ。皆さんぜひ、右肩上がりの産業どこだ、と見抜いてそこで勝負をしよう。ITくるぞ、まだまだくるぞ。自動車の業界で言ったら、まだやっとタイヤにエンジンつけたら走るっていうくらいの状態です。1800年代後半、1900年代初頭だろうね。インターネットってそういうものだと。

世界はまだまだインターネット化する。心から信じております。皆様方の仕事、皆様方の起業する際は、インターネットをお選びください。以上でございます。

(会場笑、拍手)

田口:はい、ありがとうございます(笑)。我々のような、ずっとソリッドな仕事をやってますと、ソリッドな中で何を変革するかっていうのがひとつのテーマになります。またそれも皆さん考えていただけるとありがたいと思います。

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