2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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小園翔太氏(以下、小園):定刻となりましたので、開始させていただきたいと思います。本日はお忙しい中、ATHLETE LIVE STUDIOにお越しいただきまして誠にありがとうございます。
さっそく5名の方をご紹介したいのですが、主宰は誰なんだというところで(笑)。簡単に弊社のご紹介をさせていただきます。弊社は「株式会社アーシャルデザイン」と申しまして、私は代表を務めております、小園と申します。
(会場拍手)
小園:ありがとうございます。本日ファシリテートさせていただきます。弊社は創業から今3年半経ちまして、創業以来ずっと、アスリートエージェントというサービスを行っています。これは、引退したアスリートや体育会の学生にビジネス教育をして企業にご紹介する、というサービスです。
そのなかで、引退したアスリートでビジネスで活躍してる方と本当にたくさんお会いしてきました。本日ご登壇いただく方々ももちろんそうなのですが、弊社のWebメディアの『アスリートライブ』に載っているアスリートの方たちは、もともとトップレベルで(スポーツを)やっていて、今はビジネスでも活躍されていらっしゃいます。
ただ、「アスリート 引退後」で今ネットで検索をすると、2ページ目までほぼパーフェクトにネガティブな記事なんですね。本当に悲しくなるんですけど、創業以来ずっと一生懸命やってきたんですけど、やはりここはなかなか変わらずです。
ただ、やはりそういうふうに(ビジネスの現場で)活躍している人たちがたくさんいるので、どうにかそれを知ってもらう場を作りたい、ということで、昨年9月に立ち上げたのが、この『アスリートライブ』というメディアです。
小園:その中で、読者の方たちから「掲載されているアスリートたちの話を生で聞きたい」という声をいただいたので、今回スピンアウトというかたちで開催させていただいたのが、この「ATHLETE LIVE STUDIO(アスリートライブスタジオ)」です。
今後も定期開催はしていくのですが、このメンバーは最初で最後になります。かつ、豪華なメンバーを揃えましたので、いろんな話が聞けるんじゃないかなと思います。
本日は、せっかくそんな有名な方々が来てますので、みなさんと意見交換をしながらイベントを進めていきたいと思っております。みなさんのお手元の資料で、その登壇者の情報などが入ってる中に「Twitterでイベントをより楽しもう」という項目があるかと思います。
「#アスリートからビジネスアスリートへ」というハッシュタグをつけて、どんどんみなさんの感想ですとか、「もっとこういうところが聞いてみたい」など呟いていただくと、もう一つここにあるスライドに表示されるようになっております。
ゲストの東さんは「登壇しながら呟こうか」とさっきおっしゃっていました(笑)。どんどん呟いていただければと思います。ではさっそく、登壇者の方のご紹介をさせていただきたいと思います。
小園:本日5名の方にゲスト登壇をお願いしております。まず1人目は東俊介さんです。元ハンドボールの日本代表キャプテンですね。大崎オーソル、大崎電気ですね、宮崎大輔さんなどが所属していたチームです。そして、9度の日本一に貢献されています。
引退後はサーキュレーションという会社でパートナー社員として活躍されたり、株式会社富士商で取締役を務めたり、パラレルワーカーとしていろんな企業で顧問を務めながら活動されてらっしゃる、非常にクレバーなビジネスアスリートの方です。
2人目ですね。みなさんご存知かもしれません。大山加奈さんです。元全日本の女子バレーボール選手です。当時「メグカナ」「パワフル加奈」でテレビによく出ていらっしゃった選手ですね。全日本代表として7年間活躍して、2004年にアテネオリンピックに出場。現在はバレーボール教室後援、JOCのイベント、あとは解説などで活動をされています。バレーボールやスポーツの魅力を発信されていらっしゃいます。
3人目ですね。こちらも最近トレンドの方です。嵜本晋輔さん。元Jリーガー、ガンバ大阪に所属していた方です。引退後は株式会社SOUという会社を創業され、代表取締役を務められています。そして先日、元プロサッカー選手として初めて株式新規上場されました。
ちょうど2ヶ月前に上場をされている(2018年3月22日)はずです。アスリートで培った能力を存分にビジネスに活かしてらっしゃる方ですので、そういった話も本日聞ければと思います。
小園:では、4人目ですね。大山峻護さんです。本日お知り合いの方も多数いらっしゃるんじゃないかなと思います。元PRIDEファイター、総合格闘家です。2012年ROAD FC初代ミドル級チャンピオン。現在は格闘技とフィットネスを融合した新しいタイプのトレーニングプログラム『Fightness(ファイトネス)』の主宰をされてらっしゃいます。
当時は、ヴァンダレイ・シウバですとか、ピーター・アーツですとか、グレイシー一族と死闘を繰り広げる格闘家でした。今はそんな格闘技の経験を活かして、企業向けに、体を動かしながら発散をして、今課題になっているメンタルの問題などの課題を解決するプログラムを自分で開発されて、主宰されています。
最後は、大山未希さんです。本日大山率が60パーセントを超えております(笑)。大山未希さん、元バレーボール選手であり、元プロビーチバレーボール選手です。お気づきの方もいらっしゃるかもしれないんですけど、実は大山加奈さんの妹さんです。
実は妹さんもバレーですごく活躍されてらっしゃって、優勝して日本一になった回数が19回。お姉さんの加奈さんよりも多く、バレーボール界最多の優勝回数を誇っている。そんな元アスリートです。
今は東レ・プレシジョン株式会社で営業のアシスタント、なんと会社員をやっていらっしゃいます。今日の5名の中でも異例ですので、実際に今引退してビジネスマンとしてやっていて、そこの課題ですとか、あとは実際に(アスリートとしての経験が)活きた部分とか、そういったお話が聞けるんじゃないかと思います。
では、この5名でお届けして参りたいと思いますので、さっそく5名の方をお呼びしたいと思います。みなさま、拍手でお出迎えください。どうぞ!
(会場拍手)
小園:本日はこの5名で、90分間、20時半までお届けして参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
一同:よろしくお願いします。
小園:さっそく1つ目の質問をしたいと思います。みなさんの資料にも今日質問させていただくことが書いてあるかと思うんですが、先ほども申し上げたとおり、聞きたいものがあれば、ここにどんどんツイートしていただいて構いませんので、よろしくお願いします。
では1つ目の質問ですね。「競技経験があることでビジネスで強みになった点はなんですか?」。アスリートの方たちの競技経験が、今仕事上でどんな強みとなっているのか。そんなところを聞いてみたいと思います。では嵜本さん、よろしいでしょうか。
嵜本晋輔氏(以下、嵜本):はい。嵜本です、よろしくお願いします。私自身はもともとサッカー選手でガンバで3年やらせていただいたんですけれども。やはりサッカーというのは、個人競技ではなくてチームプレーなので、一人ひとりのプレースタイルをしっかりとお互いが理解し合うようにして、チームで勝利をもぎ取るものだと思うんです。
そういう環境を経験して、今経営者という立場になり、私自身はサッカーをしていた時は選手、今はある意味、監督の立場で采配を振るうというところで、やはり一人ひとりの個性を見極めて適材適所に配置をし、組織を作り、その事業やビジネスにおいて成果を最大化する、パフォーマンスが最大化するということをサッカーを通じて学べたのではないかな、と思っています。
小園:はい、ありがとうございます。チームスポーツというお話だったと思うのですが、個人競技も聞いてみたいと思いますので、大山さん……ああ!すみません、大山さんが3人いました(笑)。
(会場笑)
小園:下の名前で呼ばせてもらいます。峻護さん。どうぞよろしくお願いします。
大山峻護氏(以下、峻護):元格闘家の大山峻護と申します。よろしくお願いします。僕は、今やっている格闘技とフィットネスを融合したFightnessというプログラムを企業研修でやらせてもらっています。
それは自分で営業に行ってるんですね。自分でもう3年、今80社以上やらせてもらってきました。名刺交換から(始まって)、それからぜひメールで一度会ってくれませんかということから、打ち合わせに行ってプレゼンして、そしてFightnessまで繋げるんです。
普通の営業の方だったら、まずその場に立つまでが難しいと思うんですよ。だけども僕は、元ファイターということで、そこでまず興味持ってくれて。
アスリートってそれぞれが素晴らしいストーリーを持ってるんですよね。物語を持っているんです。それを伝えることで向こうが共感してくれて、それが仕事に繋がっていく。そういうことができるので、やっぱりがんばってきて良かったな、と思いますね。今までやってきた知識とか経験とかがずっとキャリアとして活きているな、と感じています。
小園:はい、ありがとうございます。今、個人競技というお話でしたけれども、ハンドボールでいうと、実際に引退後、ビジネスの強みになった点はいかがですか?
東俊介氏(以下、東):はい、元ハンドボール選手の東といいます。こんばんは。僕はハンドボールをすごくやってたんですけど、ハンドボールってけっこうマイナー……というかメジャーじゃないスポーツですよね。
ビジネスで強みになったところで言うと、大山さん、峻護さんですね。峻護さんが言っていたとおりで、ハンドボールをフックに会える人がいるんです。僕はハンドボールの実業団選手をやって、誰も知らないから自分で言うんですけど、僕ハンドボール元日本代表キャプテンなんですよ。
(会場笑)
小園:知っています(笑)。紹介してます。
東:こうなると、世間の人が知らなくても、ハンドボールやってた人は僕のことを知ってるわけですよ。ハンドボールやった経営者の人もけっこういるんですよね。なので、その人たちには会える。というか、現役の時からそういう、ハンドボールやってる僕を応援してくれた人には会えました。
僕は今、パラレルワーカーとして、いろんな仕事をやってるんですけど、1つの仕事がサーキュレーション、プロフェッショナルをシェアする、まあ顧問派遣みたいな会社のコンサルタントをやってるんです。
そこは経営者がお客さんなので、その経営者が「東くんだから」と言って会ってくれる。東くんだから一緒に仕事してると。もちろん、サービス自体も素晴らしいんですけど。そこはどのスポーツでもできるんじゃないかな。そこが競技経験があることでビジネスとして強みになった点かなと思います。
小園:ありがとうございます。実際、競技中も引退後に繋がるだろうな、というのは意識されてコミュニケーションを取られてらっしゃったんですか?スポンサー企業の方ですとか。
東:ハンドボールはそんなにスポンサーがないんですよ。プロチームじゃないので、スポンサーがないんですけど、僕自身は試合に応援に来てもらうと、なんていうんですかね、だいたいの人って、試合コートで活躍するじゃないですか。まあ僕も活躍してたんですよね。
(会場笑)
普通のプロスポーツ、例えば嵜本さんみたいにガンバ大阪とかで活躍するような、プロスポーツの人って、(試合が終わったら)もうそのまま帰るじゃないですか。僕らマイナーだからこそ、ユニフォーム着たまま応援してくれた人のところに挨拶に行ってたんですよ。
「今日はありがとうございました」って言う。そうすると経営者の方とかお世話になってる人は、自分の部下とかを連れて応援に来るじゃないですか。特別扱いしてもらえるんですね。これはぜんぜん意識してなかったですけど、僕、お礼を言いたくて行くわけですよ。それで、挨拶したら、もうすごい喜んでくれるじゃないですか。
そして、それが終わったあと、たいてい皆さん近くでご飯食べられるんですよ。ご飯食べてるところに、選手は行くか、というとだいたい行かないんです。
なぜかというと、チームで行動しなきゃいけないとか、アイシングしなきゃいけないとか、ケアしなきゃいけないから。でも、僕は絶対行ってたんですよ。絶対行って、「ありがとうございました」と言う。5分だけでも顔出してたんですね。
それでどうなるかというと、「お前、5分しかいられねえのか!」と怒る人は1人もいないです。「こんな短い時間なのに、来てくれてありがとう」と言ってくれて、そうするとずっと僕を応援してもらえるんですよ。でも、選手で活躍してるやつが、何もしないでいたら、そいつが引退したら次のコートで活躍してる人のことを応援するんですよね。
だから、その時は本当に意識や計算はしてないんですが、(挨拶や顔出しを)やったことによって、そこ(試合)だけじゃない魅力を感じてもらって、今も応援してもらえるというのはあります。
小園:そういう意味では、バレーもメジャーかというと微妙に意見が分かれるところですが、実際、バレーも競技経験があったことで、引退後に強みになった点は、大山加奈さんはございますか?
大山加奈氏(以下、加奈):そうですね、自分で言うのもなんですけれども、やはりみなさんが顔と名前を知ってくださっていることは、私にとっての一番の強みだと思っています。今、子ども向けのスクールをやりたいと思っていろいろ動いているんですけれども、みなさんが会ってくださる、扉を開いてくださるというのは本当にありがたいことだなあ、と思います。
引退した今、自分がやりたいことがその子ども向けのスクールなんですけれども、競技を一生懸命がんばってきて良かったな、と思っています。
小園:はい、ありがとうございます。プロビーチバレー出身だと、そこはどうでしょう? 今会社員をされていらっしゃいますけど、引退後に強みになったことがあれば。
大山未希氏(以下、未希):今、私は営業のアシスタントをしていて、お客様にお茶出しをしたり、まったく今までやったことのない仕事をしてるんです。
小園:お茶出し。
未希:はい。してるんですけど、まず大きい(身長が高い)ということで、何かしてたと思って、みなさんに声をかけていただいています。
(一同笑)
未希:「元東レのバレーボール選手だったんです」と言うと、なかには知ってる方もいてくださって、もちろん姉のことを知ってるから私に声をかけてくれるという人もいます。そのことで仲良くなって名刺を交換させていただいて、私がアシスタントをしてる営業さんにも良い影響があって、話題にもなるみたいなので、そこは良かったなと思います。
小園:なるほど(笑)。実際、身長は何センチあるんですか?
未希:この中ではちょっとちっちゃいですけど、178センチです。
(一同笑)
東:でけーよ(笑)。
小園:十分高いですね(笑)。
峻護:でも本当に、「会ってくれる」、あと「相手が話を聞いてくれる」、「受け入れてくれる」というのは、元アスリートにとって、ものすごい武器だと思う。
小園:そうですね。
峻護:有名無名問わず、がんばってきたアスリートには本当に経験があるじゃないですか。そういう経験のない方々は、すごくそういう話を聞きたがるんですよね。なので、僕たちのやってきたことというのは、引退したあとにものすごい武器になるなあ、と感じますね。
僕は、自分のやってきたバックボーンを再利用してるんですね。なかにはそういうことをしないファイターたちもいるんです。「そういうのはちょっと……」と。でもそれね、すごくもったいないことだなって思うんです。
やってきたことは絶対に(アスリートのキャリアが)終わった後にめちゃくちゃ活きていくことなので、ちゃんと自分のストーリーを語れるようにして、相手に伝えることは、これからセカンドキャリアを歩く選手は、みんな考えてほしいなと思います。
小園:そうですね。弊社でも、『アスリートライブ』の取材などを通していろんなアスリートとお会いしているんですが、アスリートの経験を活かしてる方と活かしきれてない方と、本当に2つに、きれいに分かれます。
そこで、嵜本さんは初のプロサッカー選手の上場企業の社長となりました。もちろんビジネス的な工夫もあったと思うんですけど、実際その事業運営において、アスリートだった経験が活きてる部分はありますか?
嵜本:私は一流のアスリートと言えるような成果は成し得ていないので、今日参加されてる方からすると正直、二流三流のアスリートだったな、と思うんですけれど、それでも、今ビジネスに活きてるなと思うのは、仮説の立て方とか、それに対する検証が自然とできることです。
PDCAを意識せずとも回せるのは、自分のスキルの向上、無意識に継続できるようになったりすることが、やっぱりサッカーで培った能力だったと思います。
ビジネスにおいても、やはり仮説を立てる力やそれを検証する力、ある意味、行動力とかアクションというのが非常に重要なんです。そこも私自身は意識せずとも勝手に回せているところが、今振り返るとサッカーからきている部分なのかなとは思います。
小園:嵜本さんは、もう現役の時からそういうふうに考えていらっしゃったんですか? というのも私、嵜本さんと初めてお会いした時に言われてた言葉がすごい印象的で、それが実はタイトルにもなってるんです。「アスリートは自分自身の経営者である」と。
「自分の強みを理解して、ちゃんといつまでやるのかを決めて、というところはもうビジネスとまったく一緒です」と。「なので、そういう意識でいました」というお話をされてたと思うんですけど、実際そこは現役の頃からそうされてらっしゃったのか、それとも引退したあとに気づかれたんですか?
嵜本:僕自身は、商売人がたまたまサッカー選手になったのだと思っています。僕がサッカーを引退したのが22歳なんですけれども、今平均で25、26歳でサッカー選手は引退されるらしいんです。
正直、サッカーを続けられるチームはたくさんあったんですけれど。そこで自分自身が、この3年間、約4年間やってきた自分のプレーと、それが通用してきたのかどうかを客観的に見て、これからJ2、J1にまた這い上がっていく確率がどれぐらいあるのか。商売人として自分自身の商品価値を見定めた結果、自分がここから2年3年かけてJ2、J1に這い上がっていく可能性が限りなく低いことがわかったんですね。
そんななかで、一度手にしたプロというもの、自分の憧れの職業というものを手放すのは、非常に勇気のいることです。多くの選手はやはり「プロになったから、手放すことが怖い」という方がほとんどのなかで、私は冷静に自分を見つめることができて、サッカーを手放せたからこそ、今があると思ってます。
ただ、手放したからこそ自分の意思決定を正しくすることに対しては、人より何倍も努力してきたと思います。なので、その勇気というか、今の自分がその仕事に合っているかを客観的に見れる、俯瞰的に見れる能力がけっこう重要なのかな、と思ってます。
小園:ありがとうございます。
小園:今、選手としての商品価値という、そんな話が出ましたけど、引退する時に、悔いがなく引退できたかどうか、というところは聞いてみたいんですけれど、大山加奈さん。どうですか。
加奈:そうですね。私の場合、怪我がありまして、数年間のリハビリ復帰を繰り返してまともにプレーすることができず、最終的に心の方が折れて引退することになってしまったんです。悔いがないかと言われれば、悔いはあります。
加奈:荒木絵里香選手はまだ第一線でがんばっていたり、という姿を見ると、「ああ、やっぱり同じコートに今も立っていたかったな」と思いますし、2020年に自国開催のオリンピックがあるというのはアスリートにとってすごく大きくて。
「自国開催の、しかも生まれ育った東京のオリンピックに出たかったな」と思うことはあります。それに、余裕があっていろんなものが見られている今の自分でプレーをしたら、若い時のいっぱいいっぱいの状態とはまた違った良いプレーができるんじゃないか、という思いもあって、やっぱり悔いはありますね。
でも、今のお仕事も本当に楽しくて。私、バレーボール選手になりたいという夢と同時に、学校の先生になりたいという夢も持っていたので、今、もう1つの夢が叶っている状況なんですね。なかなか人生の中でいくつも夢を叶えられる人もいないと思うので、そういう点では本当に幸せだな、恵まれてるな、と思います。
小園:はい、ありがとうございます。
小園:すみません、未希さんに振りたかったんですが、ツイッターから質問が来ていまして、振ってもいいですか?「現在スポーツに取り組むアスリートが、競技に打ち込む以外に何をしておくべきかを経験から基づいて聞きたいです」と。じゃあこの流れで未希さんにいきましょうか。
未希:私、正直、ちょっとどう見えてるかわかりませんけど、人見知りで。
(一同笑)
未希:あんまりこう、人と上手に接することができないんですけど。東レでバレーボールやってる時代は、それこそ木村沙織とずっとチームメイトでしたし、姉もいて、ファンの人はだいたいみんな、そちらに集まるんですね。なので「私がファンサービスをしなくてもみんながしてくれるからいいや」と思って、会場出てすぐバスに乗りこむぐらい、まあちょっと最悪な選手だったんですね。
(一同笑)
未希:今となっては後悔してますけど、「私がしなくてもみんなしてくれるし」というのがあったんですが、ビーチバレーに転向してからはもう自分1人なので、自分でそうやってファンの方にも挨拶をして、さっき東さんが言ったとおり少しでもいいから顔を出して、ということをしていきましたし、スポンサー獲得のために営業もたくさん行きました。
なので、人見知りも克服しましたし、そういうファンの人を大切にする気持ちとか、感謝する気持ちとかを知ったので、やっぱりビーチバレーに転向して良かったなあと思います。それは「東レ時代にもうちょっとやってれば良かったなあ」とも思うので、今現役の人たちには、ファンの人とかスポンサーさん、応援してくれる人に感謝する気持ちを持ってほしいと思います。
小園:支えてくれる人たちへの感謝などをしっかり伝えるということですね。
未希:はい。
小園:東さんにも聞いてみたいと思いますが、同じ質問いいですか?
東:「競技に打ち込む以外に何をしておくべきか」。なんでもいいんですけど、村の外の人と会うことですね。僕だったらハンドボールやってたので、ハンドボールの村以外、例えば格闘技でもサッカーでもバレーボールでもいいので、他の村の人とか、あとは学問の世界の人とか、あとはもうビジネスの人とかと会う。
さっきの嵜本さんの話でも「手放す勇気」って出てますけど、スポーツとかアスリートって、競技者として成功すればするほど、人生に失敗するような傾向がすごく高いと思ってるんですね。なぜかというと、そこで手に入れるスキルはよそで使えないからです。
だからもう嵜本さんなんて、まさに素晴らしいキャリアで、プロになるってなかなかできないじゃないですか。Jリーガーになるって難しくて、そこでやるだけやって、自分のいけるとこまでいったらスパっと辞める。そうすると、それを活かした新しい世界でチャレンジするのがいいですよね。22歳だともうみんな可愛がってくれるじゃないですか。
三浦カズさんまでいけばまた別の生き方もあると思うんですけど、全員ができるわけじゃない。J2でもJ3でもJFLでも、どんどん下に降りていってもできるじゃないですか、地域リーグとかで。でもやり続けて45歳になりました、サッカーしかしてません。(企業からの視点で)雇いますか? という話ですよね。
東:1日って24時間あるんで、8時間寝るとするじゃないですか。8時間トレーニングとコンディショニングに費やすとしても、あと8時間残ってるじゃないですか。だから、その時間で村の外の人とどんどん会っていけば、自分が現役やってるうちだと、さっきの僕みたいに応援しに来てもらえるんですよね。好きになってもらえるチャンスがあるので、好きになってもらえるところを見せる。
これを1日24時間サッカーとかハンドボールとかバレーボールとかのことだけ考えてると、終わったあと、それしかできないじゃないですか。世の中でそんなスキルは求められてないじゃないですか。ボールを思いっきり早く投げる能力とか、ゴールキーパーをよく見てかわす能力とか、(ビジネスにおいて)何に使えるの、という話で。そういう話だと思うんですよね。とにかく村の外の人と交流することかな、と思います。
小園:今、デュアルキャリアという言葉がスポーツ界でもよく言われてます。私たちも現役の方たちと関わるんですが、本当にそれを実践できてるアスリートって少ないんです。今ここにいらっしゃる5名は、本当にそこを体験されてらっしゃると思うので、こういったアスリートが増えてくれたら、と思っております。
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