2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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西野亮廣氏(以下、西野):何が言いたいかというと、いいやつが勝つ時代になってきたんです。これまでだったら、人のために立体的に動いてるやつって、人のためにはけっこうやったけど、情けは人のためならずって本当なの? っていう時代だった。要は、他人のために動いても、返ってくるルートがなかった。
でも、もうクラウドファンディングとかオンラインサロンとか、お金が返ってくるルートができたので、いいやつが勝つ、嘘をつかないやつが勝つという、わかりやすい時代になった。
いい例があるんです。『革命のファンファーレ』にもちらっと書いたんですが、先月、僕、『しるし書店』っていうサービスのアプリをスタートさせたんです。
例えば、僕たちが本を読むとき、読み方は2つあると思うんです。最初から最後まできれいに本を読むAパターンの人と、気になったところに付箋を貼ったり、線を引いたり、メモったり、楽しかったページを折ったりという、印を入れながら本を読むBパターンの人の2つに分かれる。
Aパターンの本はブックオフで買い取ってもらえます。でも、Bパターンの本をブックオフに持って行っても、買い取ってもらえない。線入ってるし、付箋貼ってあるし、折っちゃってるし、メモしちゃってるし。要は汚れ、キズ本。Bパターンの本は、市場価値0円ということです。
でも、果たして0円なのか、本当に価値がないのか、という話です。これまでは価値がないとされていたけど、本当にそうなのか。
例えば、孫正義さんが本を読んで、気になったところに線を引いて、気になったページに付箋を貼って、気になったページを折って、気になったことをメモった本があったら、たぶん欲しい人はいるんです。定価より高い値段で。1,500円の本に孫さんが線を入れて、1万円で売ってたら、買いたい人はいると思うんです。
なんで欲しいかというと、孫さんの視点ですよね。つまり、孫さんが何をおもしろがって、どんなことを感じているのか、知りたい人はたぶんいる。孫さんの信用がお金になっているのと一緒です。
この「その人が印を入れた本が欲しい」って人は絶対いると思って『しるし書店』という古本屋会を作ったんです。どういうものかというと、読んだところに印を入れてメモ書きをしてページを折って付箋を貼った、そういう本だけを出品するプラットフォーム。
やってみたところ、面白いこともありました。目黒(水海)さんという女の人がいるんです。彼女が出した定価1,500円の本が、3万円で売れたんです。一般の方なので、当然みなさんは知らないですよね。その彼女が印をつけた本が、定価よりだいぶ高く売れた。
なんで売れたかというと、やっぱり、目黒さんが読んだ本が欲しかった人がいたんです。目黒さんが読んで、目黒さんが線を引いた本が欲しかったんです。
じゃあ、目黒さんは何をした人かというと、なんてことはない。ただめっちゃいいやつなんです。この話をすると、絶対、時間が間に合わないので割愛しますが、僕は今週の頭にレターポットっていう、言葉を通貨にしちゃうアプリを作ったんです。
お酒を飲んだら財布なくしちゃうから、もう現金を持ち歩きたくなくて、言葉が通貨だったらなくさないですよね。言葉を通貨にしちゃおうと思って、レターポットを最初に作ったんです。でも、レターポットをバッて出しても、ほとんどの人はなにそれって理解できなかった。
でも、目黒さんが、彼女はデザイナー、イラストレーターなんですが、頼まれてもいないのに、Twitterで、レターポットってこういうことですよって、図解を書いて説明してくれたんです。それによって救われた人もめっちゃいるんです。「そういうことを西野は言っていたんだ」と。
率先して利他的に動いた。人のためになるようなことをやった。それで目黒さんの信用ポイントが、ガガガガガって上がったので、彼女が『しるし書店』でしるし本を出したときに、1500円が3万円という値段になった。こうなってきたら、目黒さんは信用持ちですよね。
信用持ちって超強くて、例えば、読んだことによって定価よりも本が高く売れるわけですよね。こうなってきたら何が発生するかというと、読書屋という職業が生まれる。
これまでなかった職業です。今まで読書は趣味でしかなかったのが、本を読むことで生計を立てられる。目黒さんも、今そう、読書屋さんです。本を読んでご飯を食べて、本を読んで家族を養っているという、読書で生きている人です。
読書屋になろうと思ったら、信用ポイントがすごく高くないといけない。目黒さんは、読書でもって信用をお金に両替している。『しるし書店』で両替をしているということです。とにかく信用を持っていたほうが、すごく生きやすい時代になってきた。かなり自由が利く時代に入ったということです。
クラウドファンディングの話に戻りますが、クラウドファンディングで勝とうと思ったら、当然信用がないとダメ。そんなことを言うと、じゃあロンドンブーツの田村さんにお金が集まっていないということは、淳さんは信用ないのかという話になってくる。
ないんです、結論。淳さんに限った話ではなくて、テレビタレントは信用ないんです。なんでないかというと、僕たちが、どういう人たちが信用できないかと考えると、やっぱり、嘘をつく人は信用できないと思うんです。
単純な話、嘘つく人は信用できない。テレビタレントの収入の流れを説明すると、なるほどってなると思うんですが、テレビタレントの給料の出どころは、スポンサーなんです。
スポンサーが番組の制作費を払って、その制作費の一部がタレントに流れてくるので、テレビタレントが求めなきゃいけないものは、とにかく好感度なんです。よく聞きますよね、好感度タレントとか、ランキングとか、好感度が高いやつがいい。とにかく好感度を取りにいかないといけないのがタレントの宿命です。
そうなると、例えば、グルメ番組でまずい料理が出てきても、テレビタレントは「おいしい!」っていわなきゃいけない。まずいものを食ってもおいしいって嘘をつかなくてはいけない。
でも、まずいものってまずいじゃないですか。僕、昔グルメ番組やってたときに、釣った直後に漁師さんが甲板でさばいてくれた魚を食ったんですが、釣りたての魚って、臭いんですよ。でも、グルメ番組で「くっせぇ!」って聞くことはあんまりない。
つまり、タレントは言えないんです。まずいもの食っても、「おいしい」って言わなきゃいけないんです。釣れたての魚が臭くても「新鮮でコリコリする!」みたいなことを言わなきゃいけない。
10年前、20年前は良かったんです。でも今は、その料理の味が、ぐるなびとかでお客さんにばれてるじゃないですか。Twitterで、つぶやかれているじゃないですか。「あれ、実はまずいよ」とか、「あそこのは臭いよ」とか。
つまりタレントは、この出方のままテレビに出続けると、嘘が嘘としてカウントされちゃう時代に入っちゃってるんです。
昔は事実を調べようがなかったから、まずいものを「うまい」って言っても、あーうまいいかなーって見てたんですが、今まずいものを「うまい」って言ったら、「あいつ嘘ついてる、嘘ついてる」って、10万人にリツイートされたりする。つまり、テレビに出続けることと嘘を重ねることがイコールになっちゃった。
この状況でテレビに出続けると、認知は得ることができる。つまり、人が知ってるタレントになることはできるけど、一方で、信用を、人気を落としちゃう。何が言いたいかというと、認知タレントと、人気タレントはまったくの別物であるということ。
認知タレントと、人気タレントはまったくの別物です。世間で言われている人気タレントのほとんどは、認知タレントです。要はみんなが知っているというだけで、人気ではない。そこに信用は伴ってないんです。
認知タレントってやばいんですよ、信用がないから。例えば認知タレントが、ひとたび不倫なんかしちゃうと、スポンサーが離れますよね。すると広告収入が減るから、次にどうするかといったら、たぶん、ダイレクト換金法に走るんです。
ダイレクト換金法なのか、クラウドファンディングなのか、オンラインサロンなのか、とにかくダイレクト換金法に走るけど、そのときにはもう人気がないんで、信用がないんで、金は集まらない。つまり、認知タレントが、ひとたび不倫なんかしてしまうと、スポンサーは離れてしまうわ、広告収入はなくなってしまうわ、ダイレクト換金収入もなくなってしまうわ、もう身動き取れなくなる。
この話をしたら、みなさんだいたいひとりの女性タレントの顔が出てくると思うんですが、そうです、ベッキーです。そうなんですよ、ベッキーが再浮上してくるには、ちゃんとした事情がある。
彼女は代表的な認知タレントだった。つまり、いいことしか言わなかった。グルメ番組で、まずいときも「おいしい」としか言わなかった。それで、どんどんどんどん信用が削られていって、結果、身動きが取れなくなった。
わかりやすいのが、ベッキーって、絶頂のときにCDを3枚くらい立て続けに出しているんですが、ぜんぜん売れてないんです。
もっとリアルなところで言うと、上戸彩ちゃんもそうです。上戸彩ちゃんもぜんぜん人気なくて、CD出しても売れてない。3枚出して、1万枚も売れてない。つまり、彼女たちにはファンがいない。信用度も、そもそもない。
歌は、めっちゃ上手いんです。歌はめっちゃいい。なんでそんなことになったかというと、やっぱり、嘘をついたから。CMで使ってもいない商品を紹介して、「これいいですよ」みたいな嘘をついた。あれはやばいです。ああすると、信用はどんどんどんどん削られていく。結果、手詰まりになっちゃった。
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