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人生をかけて取り組むべきことは何か(全3記事)

何千人もの子どもの命を救った医師は”自分のため”に仕事をする - 人生をかける意味

特定非営利活動法人ジャパンハート創設者の𠮷岡秀人氏がIVSに登壇し、海外の医療現場での実状や、若者たちに向けてメッセージを語りました。

自分が何をしたいのか、今でもわからない

時間がないのでもうまとめに入りますけど、僕この間お坊さんにこう言ったんです。お坊さんから講演を頼まれることが多いので。「お坊さん、ちゃんと修行してください」と。「それぞれの人にそれぞれの成熟する期間があります。スポーツ選手はピークは20代から30代です。医者は40代から50代です。坊主は70代から80代です」と言ったんです。

「だから成果が出ないと思って若い時に修行を捨てた人は、70、80の坊主にとってのピークはないですよ」という話をしたんです。皆さんも一緒で、何をしたい、どういう風に生きる、それを自分の中で照らし合わせて、そこまで頑張って努力するしかないんです。途中で諦めたらないです。20代で楽した医者の40代がないように、修行を60代ですっぽかしてしまった僧侶達の70代80代のピークがないように、必ずそうなります。

それから、もう一つ大切な事は、これは是非わかっておいて欲しいんですけど、一番最初にお話ししたようにね、まぁどうせ金儲けても幸せにならないですよ。それは、一部にはそれを使って何をするかにかかっているんですけど、そんなことよりも、とにかく僕もそうなんです。今でもそうなんですよ。

本当に自分はこれをしたいのか? と思っているんです。今でもですよ? 「先生も悩むんですか?」と言われるんですけど「悩むよ、毎日悩んでるんですよ」と言います。本当に俺は、自分は、これをしたいのか? と、自分は本当にこうやって子供達を今でも助けたいのかと、手術をしたいのかと、治療したいのかと、今でも自問自答していますね。

これはね、やり続けなければならないです。本当に自分はこれをしたいのかと。もし50歳になっても、50歳になった時にNO! という答えが出たら、勇気を出して変わるべきです。逆に言うと、そうでない事に人間は本当のエネルギーなんて集中的に出せないですよ。絶対出ないから。

どうせみんなも同じだと思うんですけど、色々興味あることあるでしょ? 全部やったら良いと思うんです。全部手にかけたら良いと。最後に残るのは、本当に自分のやりたい事だけ。もうそれしか残らないです。最終的には。だから色々試してみたら良いんですよ。どうせ捨てていく事になるからね。

でもその過程で得られるものは、人脈になるから。是非、色々チャレンジして欲しいと思うんですけど、だけど覚えておいて欲しいのは、一番だめな人間のすることは、考え込んで動かないことです。さっき言ったように”アウトプット”でしょ? 人生はアウトプットしなければ、何も変化しないですよ。今日と同じ明日が続くだけ。失敗してもいいから、アウトプットし続ける。

僕はいつも言うんだけどね、成功の確率なんて高くないから。普通ならよく考えて、慎重に考えていけばいいですよ。だけど、そんなに高いもんじゃないでしょ? で、僕はいつも本当にね、何か失敗した時にね、まぁ命取られるわけじゃないかと思って行くんですよ、本当に。

だからそれはもう開き直ってね、ビビりながら行くんですよ。皆と一緒で。今死なないからいいかぐらいの勢いです。だけどそうやって行動し続ける。ただそれだけですよ。その結果、10年20年という時間をかけたらですね、大きく人生変化していますよ。

それからもう一つ、今日やった努力は明日の成果に還ってこないです。これは覚えておいた方が良いです。今日努力したって、今努力したって、すぐには絶対こないです。ほとんど来ないです。

皆さん日本人だからピンとくるかもしれないですけど、日本には発酵とか熟成とかいう言葉がある。これは僕の知恵だけど、今日やった事が血肉になって、自分の中の過去の色んな物とミクスチャーされて、そして一つの形に出来上がって来るのに、時間がいるんです。タイムラグがあるんです。必ずタイムラグはありますから。

だからタイムラグがあるという事はどういう事かと言うと、今からやっておかないといけない。じゃないと、3年後4年後5年後の成果もないかもしれない。僕は10代の時からずっと思っていたんです。自分は何か人生の中で成果が出す可能性があるとしたら、40代になってからかな? と、僕は10代の時から思っていましたよ。

そんなに簡単に出ないと。ようやく最近形になり始めたんです。何十年かかっていますか? という話です。でもそれは若い時に投げておかなければ、決して熟成も発酵もしないですよ。熟成させて、その後発酵させないといけないんだから。

だから今のうちから、良いと思う事、正しいと思う事、やるべき事、やりたい事は全部やっておいた方が良いです。とにかく躊躇しないで、人生を変えたければ。より良く変えたければ。是非頑張ってやってください。

他人のためじゃない、自分のためだから頑張れる

小林(以下、小):質疑応答をちょっとしたいなぁと思うんですけど、何か質問ある方。はい。

質問者:お話を聞いて、自分がやりたいことというよりは、他人に何かしてあげたいという利他的な目的で、人生を歩まれていると思うんですけど、すごく難しいことだと思って、それを続けられるのはどういった事があるから続けられるのでしょうか?

:これはもうね、断言しておきます。僕は他人のためにやっていません。自分のためにやっています。人間は他人のためなんかにね、2年3年頑張れないですよ。自分のためじゃないと。自分のためだから頑張れる。逆に自分のためだから、辛いことがあっても耐えられるでしょ?

なぜ僕がこれを続けてられるかと言うとね、ここでこうすることが自分の人生を最も豊かにすると信じて疑わないからです。色んな人生ありますよ。日本で医者やったり、お金儲けもできるでしょう、地位も得られるでしょう。でもそんなものより、ここでこうやっていることが僕の人生にとって、最も自分の人生を豊かにする。

逆にもっと言うと、最も自分の価値を、さっき一番最初の言葉ですね、ビデオ。最も自分の価値を再認識できるんです。再認識するというのは、どういうことかというとね、人間なんて自分の価値わかんないです。自分の顔が鏡を見ないとわからないように、自分でわかんないんですよ。

だから、他人に言ってもらわないといけないです。あなた価値あるよって、あなた大したもんだよって。それを求めてみんな大きな企業家もやっているわけですよ。褒めて欲しくて。でね、褒めて欲しくてという言葉は悪いですけれど、社会貢献したら褒められるからやっているわけでしょ? 社会貢献なんて。

企業だって同じですね。別にやる必要ないのにやっているわけです。なぜ? と言ったら、それは社会から褒められるからです。そうする事によって、自分の価値が上がるから。自分の価値が上がるというのは、社会から認められないと、要するに人から褒めてもらって初めて、あるいは喜んでもらったらね、人が喜んでいたら、あぁ俺は人を喜ばせる価値があるんだと思うんです。

人に褒めてもらったら、俺ってそういう価値の人間なんだっていう。まぁ言葉じゃなくても、インフォメーションがどんどん自分の中に積み重なっていくでしょ? それの総和が今の皆さんの自己イメージなんです。なぜ褒めてもらいたいかというとね、まあもうちょっとだけ言うと、これは僕らの幼少期の体験にあるんです。

それは何かというとね、親に褒められた体験なんです。小さい時に何回も親に褒めてもらったでしょ? 物心つく前から、可愛い可愛いって頭撫でてもらったでしょ? だから子供って、褒めると何回も同じ事をするでしょ? それは褒めてもらうんです。褒めてもらいたいんです。そうだから何回も同じことをするんです、親の前で。

それがある年齢から、親から世の中に広がっていくんです。どんどんどんどん広がっていくんです。そして世の中全部が自分の対象になるんですね、親から。だけど求めているものは、親から褒められた体験を求めているんですよ、自分の中で。幼少期の体験。だから企業家だって同じ、みんな同じなんですよ。

社会から評価してもらう。親がかつて評価してくれたようにね。それを求めているんです。親の子供に対する愛情っていうのは、もう無条件の愛情だから。最終ゴールはそうなんです。社会に求めている。だからどんどんそれを求めて、まぁある意味暴走して、どんどん世の中に広がっていこうとするんです。

だから逆に、親に愛情を注いでもらっていなければ、枯渇感が非常に強いですね。だからそういう枯渇感をうまく解消できた人間は、それをエネルギーに変えてガンガン進んでいけるんですね。という事だと思います。

だからまぁ話ちょっと戻りますけど、僕は人のためにやっていないですね。自分のためにやっています。だから皆さんも、絶対に自分のためにやった方がいいです。自分のために。だけど自分のためだけに生きると、社会とコンフリクトを起こすでしょ? ね? それはワガママとか言われたりね? 我が強いと言われたりという事になるでしょ?

その時に社会が皆さんに対して、自分の本当にやりたい事をやった時に、バチバチバチバチ叩いてくるわけですよね? 批判してくるし。そしたら自分の中にマイナスのイメージが積み重なっていくでしょ? だからそうじゃなくて、そのバランスを取るという事ですね。

そうやって自分の中に、良い自己イメージを積み重ねていく事だと思います。ただし一番大切なのは、それぞれの人がみんな自分のために一生懸命やるという事です。自分のために生きる事ですね。他人は自分の人生をそれぞれ生きれないですから。それで自分は、自分の人生を、自分のために一生懸命生きる、という事が大切なんだろうと思います。いいですかね?

自立できるまで育てる

:じゃあ最後に一問。一番早い、あの彼ですね。

質問者:子供達の施設はとても素晴らしいと思います。ただ肥満になるまで食事を食べれる生活っていうのは、その生活に慣れちゃうっていうのは、新たな問題にも繋がってしまうと思っていて。例えば家に帰された時に、苦しい生活に慣れずに余計に餓死してしまう子とか、例えば他に何年も親と離れる事で、元々あった親への愛情とかも薄れていって、帰りたくなくなってしまう子とかもきっといると思うんですけど、そういった子供達にはどうしているのか、お聞きしたいです。

:それだけ言うと、どうもしていません。僕は僕の信じる正しいと思う事をやっています。だって皆さんが自分の子供が生まれた時に「これ食うな」なんて言いますか? 「腹いっぱい食え」って言いますでしょ? 腹いっぱい食えと、食べ過ぎないで、甘いもの食うなとか、ジュース飲みすぎるなとか、当たり前な事は言いますけどね。

でも食事を制限するという事はしないんです。まぁおかずはさっき言ったように、ほとんど増やしていないから、お米だけですけど。それはたぶんまぁ施設で育った子が言うんですけど、分からないんですけど、本当に親から離れて、あるいは親と死に別れて生活するというのはですね、まぁその子供達の面倒を見ている人の数というのは限られているわけです。だからみんなね、愛情を求めているんですよ。みんな愛情を求めている。

でも充分には与えられないじゃないですか? 一対一の親じゃないから。自分の親だったらくれますよ、全身全霊。でも与える方も、もらう方も、遠慮しながら受け取っているんです、お互いに。その中でやっぱりどういう風にしたら出来る限り、この子たちに愛情を感じてもらえるかと。

それは果たして人のやり方そのもの、それぞれだからね。それは、あなたがあなたの正しいやり方で進めればいいと思うけど、僕は僕の正しいやり方で進めますけど。まぁ本当に肥満児にしたら僕は問題はあると思いますけど、少しぽっちゃりしてるくらいいいでしょ? という風に考えています。

それから、もう親の所に帰す気ないです、僕は。要はしっかりさせて、その後自立してから帰っていけばいいと思います。だから、自分で食べれるようになってね。自分の食べるものくらい自分で食べて、なおかつ家族を養えるようになってから帰れと思っているんですけど。だからそのつもりで、その位の勢いで育てています。

20年くらい平気で面倒見る気でいますので。だからあんまり考えていないですね。とにかくしっかり育てると。そして彼らに渇望感を与えない。変な意味でのね。愛情ないとか、学校に行けないとか、勉強させてくれないとか、ごはんもものすごい制限されるとかね。そういう渇望感を、せめて、親の愛情がフルで同じ愛情が出せないだけに、与えないように気を付けてやっているという感じです。

質問者:分かりました。ありがとうございます。

目の前のことに、100%で向き合う

:ありがとうございます。お時間も終わりなんですけど、最後に何か一言、言いたいこととかございますでしょうか?

:はい。これは繰り返しになりますけれど、とにかく、常に自分の本当にやりたい事を見つけないといけないですね。僕は、せめて生まれてきたからには、自分がどんな才能があって、何が一番好きで、何に向いているんだろうかって知りたいんですよ、本当は自分で。だからそのためには、とことん自分と向き合いたいと思っていますね。

せっかく生まれてきのに、60%の能力しか発揮しないで死んでいくなんてもったいないと思っているんです。一生一回なのに。だから本気で、100%振り切って死にたいなと思っています。皆さんもだから是非そうして下さい。

そのためにはね、一生懸命自分と向かい合わなければならないんですね。自分と向かい合うという事は、もう少しだけちょっと言うとね、せっかくの機会だから。目の前の事に向かい合う事なんです。もうそれ以外ないと思います。

目の前に患者が来たら、その患者に100%向かい合うんです、僕だったら。そうでしょ? 皆さんだったら、それは今だって寝てる奴いたかもしれないけど、とにかく自分が望んだ、望んで前に出たんだったら、100%向かい合う事ですよ。自分が医者になりたいと言ってきてなったのに、患者が来て、診たくないと言わない事です。この患者嫌だと言わない事です。

だから本当に100%向かい合う事だと思います。そうやって患者避けたり、あるいは授業をサボったりだとか、まぁ何でもいいですよ。ここで居眠りしたり何でも好きな事をやっていいですよ。全部結果、自分が被るんだから好きにしろっていう事です。僕的には。

僕は僕の人生で、自分の人生に対してだけは真摯に向かい合いたいと思っているんです。だからサボらないし、緩めない。勝手に自分の人生を裏切っておけばいいと思うんです。そうやって今、たくさんの医者も学生も僕の所に来ていますけど、年間これ以上ですから、医療者だけであんなですから、本気で向かい合いたい人だけは面倒見ているんです。そうじゃない人は、叩き返していますけど。

それはなんでかと言うと、自分の人生にとって、みなさんそれぞれの人生にとって大切な事だから。僕はどうでもいいんです。皆さんが野垂れ死にしようが、破産しようが、何でもいいんです、僕は。それは皆さんの人生だから好きにしてくださいという事です。

だけど、そうやってただ一つ大切な事は、本当に目の前の自分の人生に、自分の人生ですよ? 真摯に向かい合う事。結果っていうのは、もう残骸みたいなものです。他人は自分の結果を大切にします。僕だったら医者としてのね、手術がうまくいったとか。

だけど、僕にとって大切なのはプロセスなんです。プロセスこそ人生だから。プロセスこそ人生なんですよ。患者が来た時に逃げなかったとか、葛藤しながら頑張ったとか、プロセス=僕の人生なんです。

だから他人は結果しか評価してくれないですけど、僕は僕の人生のプロセス。目の前のものに本気で向かい合う。そうやってプロセスを拒んだ人間は、自分の人生に裏切られるというだけですね。是非、自分の目の前の事をいいかげんに扱わないで、100%の力でぶつかって欲しいなと思います。

:これで講演を終了したいと思います。拍手でお願いしたいとおもいます。どうもありがとうございました。

:ありがとうございました。

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