2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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高木新平氏(以下、高木):実際に今日、支援プログラムに参加されるアスリートの方2名いらっしゃいますよね? ちょっとお話を聞いてみましょうか。じゃあ、前に来てもらって大丈夫ですか?
(2名登場、着席)
すみません、ちょっと自由なトークセッションで。今の為末さんのお話を聞かれていて、当事者が語るほうがいいかなと思いまして聞きたいなと思ったんですけど。
安彦考真氏(以下、安彦):私、安彦と申します。今僕40歳でJリーガーを目指してまして、今までは選手のマネジメントとか日本代表選手のマネジメントをしたり、サッカー教室とかサッカーの指導のほうに携わっていて。
まさにセカンドキャリアについては僕もマネジメントする側として選手にけっこういろいろ言ってきたんですけど、本当に為末さんがおっしゃる通りでクラブ、要はサラリーマンJリーガーなんですね。この言い方がいいかどうかわかんないんですけど、クラブに雇われてしまっている。
本当のところ、もし観客がいない場合はクラブのスポンサーがつかないと思うんですよ。要するに、ファンがいてこそのスポンサーであり企業スポーツだと思うんですけど、そこに目が向かなくなってしまっている。自分の未来を想像したときに、やっぱりコーチとかしか想像ができない。これを僕はどうしても変えたいっていう気持ちがあります。
あとは子どもたちの育成環境。今でも体罰とか、暴言とか多いので。僕にできること、僕の今のパワーだと、ノックしても向こう側に届かないんですよ。これで「40歳でJリーガーを目指す」ってなれば、発言力が変わるんじゃないかと。この注目はもしかしたら、違うぞ、と。
しかも僕は、人生は旅の途中が一番おもしろいと思っているんです。頂上まで行くとだいたい飽きちゃうんです、人って。僕はずっと、やり続けてやろうかなと思っています。
本当は12月3日に、あるJリーグクラブのテストを受ける予定だったんですが、その2週間前に足首をひねって怪我をしてしまいまして。「お前なにしてんだ!」っていう状態になりまして。せっかくのチャンスを棒にふるっていう(笑)。
ただ来年、またチャンスをもらえそうなので、それに向けていっているんですけど。
安彦:(もし40歳で)Jリーガーになったときには、年棒0円にしようと思っているんです。要するに、クラブから雇われない。
僕がなにを可視化したいかっていうと、パワーを可視化したい。だからCAMPFIREさんを使ってファンクラブをつくって、ダイレクトで課金してもらう。そして、先ほど言った「水なんでも飲めるよ」「ウエアはNIKEじゃなくていいよ」と……すみません、NIKEさんがいたら申しわけないですけど(笑)。
そういった状態をつくっておくことで、言いたいことを言えるようになるんじゃないかと考えているんです。まさにアスリートは控え室のトークがめっちゃおもしろいんですよ(笑)。なので、それが子どもたちのあこがれにも繋がるようなところにいけるんじゃないかって僕は思います。
とにかく年俸0円で、僕は技術よりも人間力で勝負をしようと思っているので。「こいつがいることで、チームが変わるぞ」と。どうせベンチに入っても全員は出れないので、1人くらいずっと抗議し続ける。「危なくなったときに、あいついたら変わるぞ」「負けそうなときでも、あいつがハーフタイムにいたら違うよな」みたいなところを出していく。
そうすると、育て方も変わると思うんですよ。「ただ技術を教えればいい」ではなくて、「こいつの持っている人間力、レジリエンス、リカバリー力みたいなものって、どうやって育つの?」みたいなことも言っていけるんじゃないかなと。
それが、セカンドキャリアになったときに「いつでも辞めたるわい!」「別に、次あるよ」「僕の目の前には100人のファンがいるよ」と。すみません、長くなって申しわけないんですけど(笑)。
僕、年俸0円のかわりに「観客席100席くれ」と言おうと思っているんです。そうしたら、100人の自分のファンを入れられる。ホーム&アウェイ、プラス100人、みたいな。そこで地酒を振舞ったり、B級グルメを出したり、そこでしかできないムーブメントが起きるんじゃないか。
そうすると、スポンサーさんがなにかしたいっていうときは、その100人に対してダイレクトでできるわけですから。「試し」をできたりとか、100人そういうふうにして。
それで「来年も年俸0円」「でも1,000席くれ」。あと9人、そういう人が現れれば、選手だけで1万人集められるわけですよ。そんなサッカー界、アスリート界になったら、その人たちのセカンドキャリアって実はハッピーなんじゃないかなって。
そのファンと共に移籍すれば、その人数が一緒に移動する。今はあくまでもサポーターであって、ファンじゃない。それをしっかりとつくっていきたいな、という意味では、今やられるファンクラブのなかのものは、ものすごく大事だなって思います。
金額の運用ももちろんなんですけど、ファンがいることの可視化、この掛け算は今までなかったと思うので、めちゃめちゃ大事だなって思ってます。(話が)長くなってすみません。
高木:ありがとうございます。実際に今、芸人さんとかを見ていても、本当に個人のファンに支えられて自由な発言をしている人ほど、どんどんおもしろくなっていって。
ネット上だと、きれいごとを言う人よりも、裏表なく、むしろ本音を言える人の方が人気が集まるじゃないですか。そういういい循環がどんどん生まれていきそうですよね。ありがとうございます。
江原さんはどう思います? なんでもいいんですけど、なにか考えを。
江原大地氏(以下、江原):フリースタイルモトクロスライダーの江原大地と申します。そうですね、僕まだ、見かけによらず22歳なんですけど(笑)。
(会場笑)
やっぱりフリースタイルモトクロスって、サッカーや野球、陸上みたいに、世間的に知られているスポーツじゃなくて。ぜんぜん、まだまだマイナーなスポーツです。
やっぱり知名度の問題もあって、僕たちの先輩が現役を引退した後の生活が、意外にほかのスポーツほど華やかじゃない。僕は、引退しようとか、そういう思いはまだ1ミリたりともなくて、現役でぶちかましてやろうっていう気しかないんですけど。
日本のなかでフリースタイルモトクロスがもし浸透したときに……。なんて言うんですかね、世界的にもオリンピック競技になってないくらいなので、やっぱりもっと浸透させたいという気持ちが、若いながら自分のなかにあります。
でも言っているだけで、結局は行動しなかったり、こういう場があるのに行かなかったり、チャンスを棒に振っている人はけっこう見てきたので。今回はがむしゃらに、しがみつくように、ここに来させていただいたんです。
CAMPFIREとか、クラウドファンディングっていうシステムを知ったのが、僕自身ここ1年以内の話です。いまだに正直、どういうシステムかもよくわかってないし、今後自分たちや業界がどうなっていくかもぜんぜん予想もつかないんですけど。
行動しないよりかは、行動した方がいい。誰もしていない行動を今の自分がしたら、周りの人がどう思ってくれるか、とか。そういうこともあって僕は……。「若いからなにもできないだろ」「若いくせに」とか言われたりするんですけど。それでも「おれはやってやったぞ」と何年後かに言えるようにしたい。
コアなファンの人も少数ながらいるので、そういう人たちに少しずつでも恩返しをして、ワールドツアーだったり、そういうのに招待してあげたいなと思います。僕が世界に行って、僕を目標にしてくれる小さい子どもたちが、サッカーや野球のように増えてくれたらいいなという思いもあって。
それで今回は協力をしてもらいました(笑)。
高木:ありがとうございます(笑)。
高木:先ほどの話で、広告やスポンサーをつけようとすると、どうしても競技人口が多いものになっちゃったりとか。メディア、テレビで成立するものにならないと、お金が集まらないみたいなことがありますけど。
家入さんも言っていましたけど、誰もが声を上げられるというか。小さな火を灯し続けるという意味で、ネット上だと、世の中的にマイナーなものでも熱量があれば、そこにお金や人が集まってきたりできる。そういう仕組みだと思うので、ネットから火がついたスポーツとして、広がっていく可能性は大いにあるなと思いました。
映像映えとかもいいと思いますし、相性がいいんじゃないかなと。それで為末さんにマイクを戻してもらって、お2人のお話を聞いて、どう思われましたか?
為末大氏(以下、為末):思ったのは、なんで最初からこの2人がここに入ってなかったのかっていう(笑)。当事者がしゃべった方がよかったなと。
まあ、でもやっぱり、小さいことって大事なんじゃないかなと思うんです。小さいことが集まるような仕組み。
コストが高くて、しょうがないから大きくなろうとしていたのが、インターネットができる一番夢があるのは、小さいままで許されること。小さいままでいろいろできる、みたいなことがすごく大きいんじゃないかと思っています。だから、マイナースポーツに希望があるっていう話もそうですし、あとは新しいチャレンジをされるという話もすごくいい。
僕は選手のセカンドキャリアなので、半分社会にいると思いながら、半分選手の側だと思っていて。
こういうシステムがあって、こんなふうにやってる選手を見て、「自分たちも変わんなきゃいけない」と選手の意識が変わることが一番、僕はおもしろいのかなと思っていますね。それで多くの選手がチャレンジし始めたら、空気が変わる気がします。
高木:ありがとうございます。本当はもっと続けたいんですけど、時間が来たということで。ここでトークセッションを終わらせていただきます。本当は1人ずつひと言もらいたいんですけど、だめですよね?
司会者:はい……。
(会場笑)
高木:じゃあ、これで終わります。ありがとうございました。
(会場拍手)
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