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著者と語る朝渋『人生の勝算』著者・SHOWROOM代表取締役社長・前田裕二さん・幻冬舎編集担当/箕輪厚介さん(全8記事)

あなたは「人生のコンパス」を持っているか? SHOWROOM前田氏が、“内省する時間”の必要性を説く

2017年7月21日、Book Lab Tokyoで毎週開催されている会員制朝活コミュニティ「朝渋」の人気企画「著者と語る朝渋」にて、SHOWROOM代表取締役社長で『人生の勝算』の著者である前田裕二氏と、編集者の箕輪厚介氏を招いてトークセッションが行われました。幼少期から異色の経歴を歩んできた前田氏と、堀江貴文氏の『多動力』、見城徹氏の『たった一人の熱狂』など、数々のヒット作品を手がけてきた箕輪氏がタッグを組んだ『人生の勝算』を軸に、自身の仕事論や生き方について、余すところなく語り尽くします。

クラス全員を分析していた箕輪氏

西村創一朗氏(以下、西村):その想像力が、箕輪さんも前田さんもずば抜けている。仕事の領域は違えど、必然的に今の成功につながっているのかなと思うんです。他者の視点に対する想像力は、どうやったら養われるものなんですかね?

前田裕二氏(以下、前田):なるほど。難しいですね。養われるというか。あ、ありますか?

箕輪厚介氏(以下、箕輪):前田さんは学生時代に弾き語りをやっていましたが、僕は中1くらいから、担任の先生とか友達を、ひたすら「こいつ、こういうやつだな」って批評する嫌なやつでした(笑)。分析って呼んでたんですけど、みんなからは、「出た、箕輪の分析!」みたいな。

夏もプールに入りながら、2、3時間ずっと友達に、クラス全員の「こいつはこういうところがコンプレックスで」とか「明るいように見せてるけど実は本当の友達がいない」みたいなことを、永遠にやってました。

西村:何者だっていう(笑)。

箕輪:それを大学卒業までずっとやってて、「箕輪に分析されるのヤダ」ってみんなに言われていました。

西村:でしょうね(笑)。いやですよね。

箕輪:それは、ふざけて笑いでやってたんですけど、それが今効いてるなと思いました。

前田:なるほど。箕輪さんは中学生からその才能、才覚を発揮していたんですね。

箕輪:意地悪でやっていたんです(笑)。

西村:なんでそれをしようと思ったんですか? 前田さんの弾き語りは、必要に迫られてるじゃないですか。分析は必要に迫られてはいない感じがするんですけど。

箕輪:先ほど言った、相手に才能ないと思っていたのに、実はあるって気づいたときにムカつくから、「あいつの言っていることは、こういうことの繰り返しで実際は中身がないから、数週間後にはクラスの中心から外れてると思うよ」という感じで(笑)。

西村:斜め~(笑)。

前田:おもしろい(笑)。

竹田:『ちびまる子ちゃん』の永沢君みたいな存在。

箕輪:そうかもしれない(笑)。クラスでワッと盛り上がっているけど、声が大きいだけでぜんぜんおもしろいこと言ってないなと思ったら、「声大きいだけじゃない?」って言うんです。「確かに声大きいだけだな」と、みんなが気づく。最低なことですよ(笑)。

竹田:箕輪さん中学時代に友達はいました?(笑)。

箕輪:めっちゃ人気者でした(笑)。

(会場笑)

他者への想像力

箕輪:前田さんと違って、ただただ単純に楽しく生きてきた人間です。でも前田さんのように、必要に迫られたものとはぜんぜん熱量が違うと思います。

前田:話を聞いてて思ったんですが、他者への想像力って、たぶん2つある……これは本当に2つあるんですけど(笑)。

(会場笑)

前田:他者への想像力を数値化するためのハードスキルは、絶対にあるんですよ。分析する力ですね。この人はなにに苦しんで、喜んで、悲しんでいるのかということを分析する力がないと、そもそも大前提でダメっていう。それがまずあったということでしょう。

もう1つは、その原動力というかドライバーなんですけど、他者への想像力って実際そんなに持てないんです。僕も朝起きて、「他者への想像力」って10回くらいつぶやかないと持てない(笑)。本当に持てないんですよ、これって。社員に対してとか、SHOWROOMを使ってくれるユーザーに対してとか。

なぜなら、僕らは普通になにも考えずに生きたり発言したりするときは、基本的に自分の論理を発してしまうから。他者の論理で動かそうとすると、なんらかの原動力が必要で。それが人によっては愛情だったりするし、箕輪さんはからかってやろうということかもしれない。

なんでもいいんですけど、原動力が強くないと、そんなに他者への想像力って持ち続けられないと思いました。だから他者への想像力が強い人になろうと思ったら、その2つが絶対に必要だなと今聞いて思ったというか。

箕輪:インタビューとかで、「どうしたら(他者への想像力を)持てますか?」って聞かれるんですが、「仕事のために他者への想像力を持とう」ぐらいだと、あんまり持てないですよね? 僕はたぶん根っから意地悪な人間でずっとやっていた。前田さんは必要に迫られていた。そうじゃないと、なかなか習慣化しないですよね。

前田:しないです、しないです。本当に。僕の場合は、本当に「その人の幸せを願う」という愛情ベースでいかないと続かないと思った。それは社員に対してもそうなんです。

社員に対して、本気でその人の幸せを願って、「その人が幸せになるにはどうしたらいいかな」ということを考えながらしゃべる。それが、その2個目(他者への想像力)の原動力になったりするんで、それがないと僕は辛いですね。

西村:それはまさに本でも書かれていた「人生にコンパスを持て」というのが、まさに今の2つ目の原動力になるということなんですかね。

前田:そうだと思います。それはかなり近いと思いますね。

「人生のコンパス」は持つべきか?

西村:人生のコンパス。僕もそういう意味で言うと、前田さんに若干境遇は似ていて、超貧困家庭で育ったので、ある種の逆境があるとそういうものを持てることもあるじゃないですか。逆境を乗り越えた場合。

ただ、そういうフィードバックを受けるのに違和感があるんですけど、「西村さんはいいですよね。そういう逆境やコンプレックスがあるから、人生のコンパスを持てるんじゃないですか?」ということはけっこう言われる。前田さんも言われることあると思うんですけど。

前田:あります、あります。

西村:でも、じゃあ逆境がなければ人生のコンパスが持てないかと言うと、そうではなく。箕輪さんは逆境というか順境ですよね?

箕輪:おっしゃる通り、僕はあんまりコンパスはないです。

西村:人生のコンパスを持たない生き方も、あるということですよね。

前田:持たない生き方も、「楽しくていいじゃん」と思ってる。堀江さんとかもそうなんですけど、ぜんぜん僕はそれを正義だと思っている。(箕輪さんは)持ってない認識があるし。堀江さんも別に持ってないし。

箕輪:「持ってたらいいなぁ」とは思う。つらいですもん。

前田:本当ですか?

西村:羨ましいと思うんですか?

箕輪:こういうふうに、自分のやってきたことだけをしゃべって、同じ給料を稼げたらどんなにいいだろうって(笑)。

(一同笑)

箕輪:「終わってるな~」とは思うんです。編集者で、もう現役として活躍してないのに、こういうことだけしゃべってる人は「終わってるな」と思う。「楽だなぁ」と。このあと会社に行って、「また膨大な本の編集作業と向き合うのか。地獄だな」と思ってるんです。コンパスを持っていないから(笑)。

前田:あ~、なるほど。

箕輪:だからね、つらいです。コンパス持たないと(笑)。

前田:そうなんですね。そういう認識があるのもすごいな。

西村:逆に、逆境がなくてもコンパスを持つ方法論みたいなのってあるんですか?

前田:自分についてとにかく深く考えることからじゃないでしょうか。本にも書いたんですけど、「考えた時間の総量」はけっこう大事だと思ってます。

割とあたたかい順境の家庭で育った結果それがコンプレックスですごくがんばっている人間が1人、DeNAにいるんで。そういうモチベーションの保ち方もあるんだなと、僕もそう思ったというか。

まさに西村さんとか僕みたいに逆境で育った奴が怖くて、絶対あいつらに負けるもんかってなる普通の人がいたんです。

竹田:「逆境がないという逆境」のような感じですね。

前田:そうそう。考え方によってはなんだってモチベーションは自分の中で作れるものなので。そういうモチベーションを彼が作れたというのは、たぶん自分と向き合った時間がちゃんとあるということだと思うんです。突然降ってくることもあるかもしれないけど、それもなかなか難しいことなので。

面接が得意だった前田氏

箕輪:就活の自己分析は、成功してる人は「そんなのいらないよ」って言うけど、大事ですよね。

前田:超大事だと思っていました。

西村:自己分析はちょっとチープですけど、内省というか。そういう時間を持つのは大事ですね。

前田:どれくらいやるかっていうイメージとしては、僕はすごく面接が得意だったんです。

箕輪:へ~そう!(笑)。

前田:そう、面接得意だったんです。

西村:「3つあって」って言いますもんね。

前田:「3つあって」も言うし。あと、なんで面接が得意なのかわかったんです。ポケモンで言うところの「その人は水属性だ」みたいなのが、その場でパッとわかるっていう。

一同:あ~。

箕輪:確かに。

西村:箕輪さんもそうだったんですね。

前田:10万ボルトってやるじゃないですか。

西村:「効果抜群だ!」って。

箕輪:情熱系だとか、ロジック系だとか、すぐにわかる。

前田:すぐわかる。嘘をつくわけじゃないけど、自分の中のどの要素を切り出してしゃべるのかっていうは、変わるじゃないですか。

箕輪:最強すぎる(笑)。

前田:それも2つあるんですけど(笑)。

(会場笑)

西村:3つじゃなくて2つだと(笑)。

自分の持っている「カード」は本物か

前田:これは2つなんです。面接をクリアするのに必要なことって、まず相手を見極める能力。相手の属性は、ポケモンだと水とか書いてあるからいいけど、人間は書いてないじゃないですか。まずは、「見極めるような質問ってなんだろうか」を考える。

例えば、僕は外資系の投資銀行ばかり受けていたのですが、だいたいよくあるのは、次の2タイプ。「お金とか女にモテたい」タイプと、「社会貢献したい」というタイプに分かれるんです。大きく分けて。

そのどっちかをまずパッと見極める。そこから細分化するので、細分化されたタイプ分けで、何のカードを切るか決める。その人を見極める分析作業が大事っていうのがまず1個。

2つ目に大事なのは、そのときに、その人に当てることのできるカードをちゃんと持っているかどうかというのが大事で。持ってないと、もう試合終了になっちゃうから。

西村:そうですよね。

前田:「お金がめっちゃ好きなんだよね」「自分の欲望を表に出すのが好きなんだよね」という人が来たときに、自分は何のカードを切れるのかっていうのが、ちゃんと用意できていないと勝てない。

箕輪:今の前田さんの話で1番重要なのは、こういう話だけを聞くと、間違って解釈する可能性があるんです。小手先のテクニックで「こういう人だからこれ出そう」ってなっちゃう。

やっぱり前田さんがすごいのは、そのカードが本物なんですよね。自分のその部分において、本当のところ。そうじゃないと単なる駆け引きになっちゃいますもんね。

前田:そうなんですよね。カードを用意するということの意味合いは。単純に、例えば「僕はお金好きなんですよね。いくらでも儲けたいです」という、そういう話じゃないってこと。そのレベルのことをカードと言ってるんじゃないんです。

箕輪:自分にとってお金とは何なのかを、人生レベルで考えろということですよね。

前田:超考えたからこそ、深く考えたということなんです。面接がなんで得意だったかと言うと、今の話もありますが、僕、毎回面接の度に思っていたことがありまして。

面接官が「その人自身のことを理解している度合い」よりも、「僕が僕自身のことを理解している度合い」のほうが絶対深いなって思っていました。つまり、僕が内省した時間のほうが、彼が自分のことを考える時間より長いということ。

西村:それは自負、自信ですよね。

前田:「君は将来の夢は何だ?」と聞いてくるけど、「お前は何なんだ?」ってめっちゃ思っていたんですよ。

(一同笑)

前田:根拠のない自信、賞賛というか。すごく自信を持って面接に臨めたと思う。だから面接官からすると、「なんでこいつはこんなに自信満々なんだ?」って思ったと思う。

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