2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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秋好陽介氏(以下、秋好):価値観の変容という話で言うと、「お金・時間」ではなく、3つの何でしたっけ?
佐藤朋保氏(以下、佐藤):無形資産のところですか。
秋好:この変化というのはグラフに書いていて、後ろの方には見えにくいかもしれないですけど、何でしたっけ? 3つの資産というのは。
佐藤:お金を稼ぐための「生産性の資産」。
秋好:それはスキルということですよね。
佐藤:はい。
秋好:プログラムスキルとか。
佐藤:はい、そうですね。あと「活力資産」ですね。心身を健全に保つための資産が必要だというのと、もう1つは変化に対応する、ネットワーク資産などの「変身資産」ですね。
秋好:「変身資産」というのは一番わかりにくいと思ったのですが、どういうことですか?
佐藤:本のなかでも変化に対しての柔軟な姿勢をすごい曖昧に書いているんですけど、目に見えるところでいうとネットワークですね。いろんな友だちじゃなくてもいいですけど、さまざまな人間関係を持っていて、発見を得られる場所に自分を置いておくというのがすごく重要だということです。
秋好:本の中では固定資産はお金とか土地ではなく、無形資産のほうにいく。正にこの瞬間をInstagramの150万人のフォロワーのいる人が、何かをやればお金を貰えたり稼いだりするわけです。ユーチューバーとかもそうですよね。信用というかネットワークの資産が、(固定資産に)取って代わるほどのものになるんですかね? 本当にお金が無くなるとか、そこまで過激にいきますか?
佐藤:たぶん、無くなることはないと思いますが、ただ100年あるので、有形資産だけを考えて維持し続けるのは大変ですよね。だから続けていくというのはすごく重要です。100年生き続けるということが重要だとすると、何か貯蓄していくよりは、その場その場で必要なものを組み合わせて生きていくことになるんじゃないかなと思いますね。
秋好:なるほど。ちなみに、たぶん一番みなさんが聞きたいんじゃないかなと思いますけど、人生100年になり産業寿命も短くなる。今日生まれた赤ちゃんの50パーセントは今は無い職業に就くって言われるこの不確実な世の中で、個人として今は何に備えるのかといったら変ですが、我々は何に気を付けておけばいいですか?
佐藤:それは自分もすごい悩んでいるところで、ちょっと思うのは、ランサーズさんが『ガイアの夜明け』で紹介されていた時に出ていたんですけれど、お風呂掃除をするサービスの方がいらっしゃって「苦痛じゃない」と言うんですよ。普通の人はお風呂掃除って嫌なことなんだけど、その人はそれがあまり苦痛じゃなくて、それを楽しくやれると言ってて。
その「時間を売る」というのがすごく印象に残っていて、自分は何が好きなのか。他の人は嫌いでやりたくないんだけど自分は苦痛じゃなくてできるという。それは何なのかというのを突き詰めて考えることがすごく大事なことかなと思いますね。
秋好:なるほど。何が好きなのかって気付いていないというか、気付くのが難しいっていうのはよく言われますけど、どうやったら見つけられるんですか?
佐藤:それは逆に伺ってみたいですね。秋好さんも多分おもしろいって言ったら失礼ですけど、普通のいわゆる新卒一括採用で、日本の仕組みに乗って働いてきてここに至っているわけではないと思いますけど。
秋好:1回、富士通に新卒で入ってから起業したんです。
佐藤:最初から自分で何かやりたいことが心の中にあって、それはどうやって気付くのかというのを教えてもらえますか?
秋好:すみません。まずはご興味が高いって思わなかったのでアレですけど、体験のN数な気がしますね。体験の数をどれだけ増やせるか。要は、例えば世の中で飲み物をコーヒーしか飲んだことがない人に、「何の飲み物を好きか?」と聞かれてもコーヒーしか飲んだことがない。会社員として何かの業界に勤めるとか、そこしかなかったら本当にそれが好きかどうかはわからないですけど、外国に行くと日本のことを客観的に考えますよね。
なのでいろんなことをやると、もしかしたら今やっていることがクリアに好きなことだと理解するかもしれないし、いろんなことを経験する中で好きなことが見つかるんだと思うんですよね。偶発的に私がやりたいことが見つかったっていうのもいいと思うんですけど、コントローラブルにできることはチャレンジの数を自分で増やす。
将棋が好きだったら、何連勝もしている人を見て将棋をしてみるとか、旅行が好きだったら旅行に行くとか、体験の数を圧倒的に増やすということが、コントローラブルに好きなことに行き着く可能性が高くなるんじゃないかなと個人的には思います。
僕も若い時には、今も20歳ぐらいの気持ちに思っていますけど、若い時はもうありとあらゆることをしましたね。本もたくさん読みましたし、いろんな人に会いに行きましたし。
佐藤:たぶん、自分の中だけで絶対的に探すというのはけっこう難しくて、いろんなものを見て相対的に発見するというのが見つける道じゃないかなと1つ思っていて。御社のサイトを見て「いろんな職がこんなにあるんだ」って気付くだけでも、本を読むことと同じぐらいの発見があるなと思います。
秋好:なるほど。ありがとうございます。私が答えてしまってアレなんですけど、会場からの質問にいく前に、最後に質問できればと思っているんですが、この『LIFE SHIFT』を通して、リンダさんが伝えたいことはたくさんあったと思うんです。編集長としてこの日本社会に一番伝えたかったことって何ですか?
佐藤:自分にも言い聞かせるようにしているんですけど、「所得を下げていく」ということですね。
秋好:「所得を下げていく」。
佐藤:「お金に価値観を置かない」ということですね。僕らぐらいの世代だと、さっきジェーンの世代は政府にも国にも頼らないと言ってましたけど、やっぱり計算したことがあるんですよね。年金はいくらぐらいもらえるのかとか。企業にいたら生涯いくらぐらいもらえるのかって。
その発想で、つまりお金でこの先は損をする、得をすると考えていくと、もう選択肢が無くなっていくということをすごい痛感していて、その基準で物事を考えないというのがすごい重要だなと思っていて。みんながそう思えば自分もそっちに引っ張られるから。
秋好:所得を3割削って。
佐藤:そうです。それでもハッピーっていう。
秋好:人生100年を早くつくりたい。わかりました。実は40分中、もはや30分も経過していてですね、最後、会場からぜひ質問を。なかなか質問をする機会もないでしょうし。できれば2、3人一気に質問を当てて、その中から答えやすいものをと思うんですけど、(1人が挙手)ではお1人、あと2人ぐらいいらっしゃらないですかね? せっかくの機会ですからね。
(会場挙手)
ではもうお1人とそちらのお1人ぐらい。ありがとうございます。では、そのお三方。まず最初の方。
質問者1:お二方、お話をありがとうございました。私は学生上がりでそのまま起業しちゃったタイプなので、今、人の生産性を最大化させようとしていて、クラウドで付けるGPマシーンを主にフリーのクリエイターを使い作っているんです。ちょっとそれを置いといて質問をしたいこととしては、私の場合でもいっぱいメディアとかで、「若い人、優秀な人が起業してこんなに稼いでます」と紹介されている。そんななかで、「私も起業したい」、「僕もやりたい」っていう人がいっぱいいるんですよ。
ただ私個人としては、最初「止めとけ」と言っているんです。といいますのも、その気持ちだけを持ってやってみたけど失敗した人がいっぱいいるんです。そういうことを踏まえた上で、「こういう人は起業を止めたほうがいいよ」「独立は止めたほうがいいよ」ということについて、何か知見じゃないですけど、何か意見がありましたら教えていただきたいなと思います。
秋好:起業に対する意見ということですね。ありがとうございます。じゃ、お二方目どうぞ。。
質問者2:貴重なお話をありがとうございます。お聞きしたいことは、先ほどの方と近いところもあるのですが、多分これからフリーランス化していくというか、先ほどのランサーズさんの資料にもありましたけど、フリーランスの人が確実に増えていくなかで、フリーランスとして食べていくために必要な素養といいますか、それはどういったものであるとお考えでしょうか?
秋好:わかりました。ありがとうございます。では、最後の方どうぞ。
質問者3:ありがとうございます。株式会社メルカリでトップグローバルの人事を担当しております。僕自身はお話しの中ですごい共感したんです。メルカリとしては女性も働きやすい環境とか、グローバル化を目指しているんですけど、ただ僕らの中でもグローバル化って結構難しいなと思っていて、日本は世界に比べてグローバル化は低いです。そんな中でグローバルに挑戦するために日本人がしなければいけないことや必要な要素があればぜひとも教えていただきたいです。
秋好:グローバルで日本人が挑戦する要素。1つ目が起業についての意見。2つ目がフリーランスとしてどうやったら食っていけるか。3つ目は日本人がグローバルで挑戦するにはどうしたらいいかという質問なんですが、お答えするのは残り3分。
佐藤:日本人がグローバル化でどうやって生きていけばいいか。これはすみません。自分の体験では喋れないので、自分が作ってきた本を参考に喋らせていただくと、やっぱり世界のゲームがどんなふうに動いているかというのを知ることだと思います。
『日本の水ビジネス』という本を作ったことがあるんですけど、途上国に水道を通すインフラを売る時に、いろんな先進国と競争するらしいんです。その時にゲームがどんなふうに動いているかとうのがわからないでやるとほとんど勝てない。
例えば、ある国はコンサルタントが1人で来て全部喋っちゃう。実務はその後で別の人がくるんですけど、日本はプレゼンに20人来て、これの担当はあの人、この担当はあの人ってやると絶対に受注できないというのがある。世界のゲームを知るということ。ルールを自分で作れればいいと思うんですけど、それができなければ知るというのが1つの答えだというふうに思います。
秋好:2つ目。フリーランスって言ってしまうとアレなんですけど、本の中でも「インディペンデントワーカー」みたいな下りが出てきて、企業に勤めるだけじゃなくて独立した起業家というのか、フリーランスというのかみたいなものが今後は増えていくんだと。そういうものに対応しなければいけないというのがあったと思うんですが、どうすればそこに対応したり、そこで食っていけたりするんですかね。
佐藤:本の中では「ジェーンさん」が正にその生き方をしていて、お祭りが大好きで、お祭りで知り合った仲間たちと一緒に何かを立ち上げて、お祭りを盛り上げて楽しかったということをすると。それが評判を呼んで、いろんな企業から声が掛かるようになって、その企業で働くようになるというようなシナリオになっているんですけど、それを何と紹介すればいいですかね。そういう生き方がいいと言ってしまうのか。
秋好:はい。でも本ではどう総括されているんですか?
佐藤:やっぱりその繰り返しになりますけど、自分が好きなことをちゃんとやっていく。あとはお金に価値を求めない。それでいくら稼ごうと言って、一気に起業まで持っていかないという所がおもしろいなと思っているんです。
秋好:好きなことをするということですね。
佐藤:そうです。
秋好:大丈夫でしょうか。最後、起業。
佐藤:起業はフリーランスで働いていればもちろんハードルは高いと思います。起業の本を僕は作ったことがあって、その人の言葉を借りると、「世間を知れ」と。大企業から外に出た時に、だいたいの人がみんなわかっていると言うけど、名刺で仕事をしているということを理解していてない。その現実を知る。例えば会社をやめる前にクレジットカードを作っておけとか、そういうところに配慮できているかということは、起業家としてその後いけるかどうかの1つの基準にもなるとか。
あとは名刺にカタカナの企業名と自分のアルファベットの名前しか書いていない起業家がいて、その人に、「何をやってる会社ですか?」って聞いても新しいビジネスということでよくわからない。「顧客は誰ですか?」って問うたら「法人です」って答えが返ってきた。でも、その本の著者に言わせると、日本企業相手のB to Bビジネスをしていて、こういう名刺で挨拶にいくというのはあり得ないとか、そういうけっこう細かいことを教えてくれて、「ああ、起業のハードルは高いな」と思いましたね。
秋好:わかりました。ありがとうございます。
残り1分ということなので、個人的に今のフリーランスは、今までの社会だと働くジョブって数万個ぐらいしかなかったんですけど、これからテクノロジーが進化してランサーズもそういうところを目指しているんですが、お風呂掃除をできることが仕事になる。たぶん、そういう時代になると思うんですよね。
「1億総クリエイター」「1億総オタク」というというふうに言われたりするんですけど、その時におっしゃっていただいた好きなことをしておく。時代は絶対に追いついてくるし、その好きなことが絶対に仕事になるので、個人的にも好きなことをやるっていうのは食いっぱぐれない方法かなと。好きなことであれば突き詰めていけるし、好きであれば諦めないでしょうし。
起業に関しては個人的には経営者って、やらない後悔ってめちゃくちゃするんですよね。ただ、やった後悔は基本的にしないというか。なので自分自身がやりたいと思うタイミングでやればいいと思います。
今までは大企業に勤めて一般的な組織マネージメントとかビジネスマナーを学ぶことは価値があったと思うんです。しかしこれから大きく社会が変わっていくので、むしろそれ(好きなことを知っていることのほうが、さっきの価値観が縛られちゃうじゃないですけど、20代で起業されてそのまま突き抜けられるほうが個人的にはいいんじゃないかなと思います。
第1部は以上とさせていただきます。それでは佐藤編集長、ご登壇いただきありがとうございました。改めて拍手をお願いします。
(会場拍手)
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