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人生100年時代!?これからの働き方、生き方はどう変わる!?(全3記事)

1つの企業に居続けることはリスクである--人生100年時代、日本が解決すべき課題とは?

人生100年の長寿時代の生き方を説いた、リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』。その担当編集者である東洋経済新報社の佐藤朋保氏と、「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」をビジョンに掲げるランサーズ株式会社代表取締役社長の秋好陽介氏が、「人生100年時代!?これからの働き方、生き方はどう変わる!?」というテーマで対談を行いました。日本で最も売れているという『LIFE SHIFT』が浮き彫りにする日本の課題について、2人が議論を交わしました。

『LIFE SHIFT』の潮流

秋好陽介氏(以下、秋好):よろしくお願いします。

佐藤朋保氏(以下、佐藤):よろしくお願いします。

(会場拍手)

秋好:みなさんこんばんは。ランサーズ株式会社の秋好と申します。

今日の私の立場としては、私が聞くというよりは、ここにいらっしゃる120人ぐらいの代表者として、みなさんが聞きたいだろうなということを質問しようと思います。逆にリンダさんになりきって。『LIFE SHIFT』の概要は今みなさんがお聞きになった通りだと思いますが、今日はここから30分、40分ぐらいはその内容をより深く掘っていきたいと思います。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

質問にいく前に、みなさんが今どういう目的で、どういうステージなのかということを知ったほうが答えやすいと思います。実年齢を聞くと大変恐縮なので、さきほどの「ジャックとジミーとジェーン」でいうと、自分はどれが一番近いか。

ちなみに、ジャックさんは1945年生まれ。ジミーさんは1970年ぐらいですかね。ジェーンさんが1990年ぐらいの20代の若者。心の年齢でいいので手を挙げていただければと思います。

「自分はジャックさんとステージが近いよ」という方はどれぐらいいらっしゃいますか? いない?

(1人だけ挙手)

お、1人。次、ジミーさんは45歳なんですけど、心の年齢、「ジミーさんぐらいかな」という人。

(会場挙手)

なるほど。半分ぐらいがジミーさんと同じステージ。じゃあ、「ジェーンさんと近い」という方は?

(会場挙手)

これまた6対4ぐらいですね。そういうステージの方が多く聞きに来ていただいているということで、進めていければと思います。

この本を2016年10月に出版して、海外ではこういう『LIFE SHIFT』の流れがあることを本を通してすごく理解できました。実際問題として、今この瞬間の日本ではどうですかというのもなんですが、『LIFE SHIFT』の潮流を何か感じたり起きたりしていますか?

佐藤:そうですね。みなさんにこうやって来ていただいているのを見るだけでもすごく感じますね。

Twitterとかで検索すると、いろんなところでイベントをやられていて、こんなに潜在的なニーズがあったんだなというのは、僕らも作ってみて驚いたというところですね。

秋好:なるほど。この、「人生100年時代」というタイトルがとても衝撃的で、僕個人的にはすごいポジティブな人間なので、「あっ、人生20年増えるんだ。やったな」というふうに思うんですが、人によっては「長寿社会になるのは幸せなのか?」「あと20年も生きるのか」みたいな声もあると思うんですけど、Twitterの声も含めて実際にこれはいいことなんですかね? 「人生100年時代」というのは。

佐藤:自分の世代もそうですが、みなさんちょうど3ステージから途中で変わる世代なので、「あっ、自分も100年生きるんだ」とか、古い言い方で恐縮ですが、「ふんどしを締め直した」というコメントをしている人が多くて。

たぶんそういう意味では、お金の心配をする人もいますけど、ポジティブに考えている人もたくさんいる。例えば「子供と長くいられるんだ」「子供の孫や、その下の世代も見られるんだ」というふうに、やっぱり長く生きたいし、健康に気をつけたいとか、そういうことを言う方もいらっしゃるので。

日本の課題は終身雇用

秋好:本のなかでもそれについて書かれていまして、つまり長寿社会というのは良いことなのか悪いことなのか。おそらく本のなかでは良し悪しではなく、良くするんだというマインドが大事であるということだと思いますが、よろしければその部分をもう少し。

佐藤:本当に良くしなければいけない、それは自分次第ということですよね。

秋好:佐藤さんおっしゃっていましたよね。

佐藤:著者がはしがきで書いているんですが、「この本は日本人にこそ読んでほしかった」という。一番長く生きるという点では日本が先端的なところにいるということになる。課題先進国ですけど、やっぱり課題を解決するためのアイデアに早く気付かないといけない国でもあるので、そこに気付けたらやっぱり日本は世界をリードするんじゃないかとも言っておりますので。

秋好:リンダさんはかなり来日されていて、実際にこの本は日本が一番売れているらしいんです。

佐藤:そうなんですよ。

秋好:リンダさんは、「日本はとても可能性がある。ただし課題もある」ということをたぶんおっしゃったんじゃないかと思うのですが、彼女からすると日本の課題は何だと言っていましたか?

佐藤:ひと言でいえば終身雇用ですね。やはり1つの企業に忠誠心を見せる働き方はあり得ないという。本人も疲弊しますし。こうやってランサーズさんのような仕組みもありますけど、どんどん技術革新が入ってきているので、そういう中で企業の寿命はもしかしたら人間よりも短くなるかもしれないので、そんな時代に同じ企業でずっと働くというのは考え難い。あり得ないんじゃないかと思います。

秋好:よく言う話で、例えばイギリスの靴職人はスミスさんという名前が多いんです。革靴職人は産業がずっと続くので、親子10代に渡って靴職人とか。親子10代に渡ると言いましたけど、我々の業界でもインターネット、スマホが10年前に登場してから、最初はC言語で(コードを)書いてたのがJAVAになりSWIFTになり、変な話そのエンジニアは4年で職が無くなる。それぐらい産業寿命というか職の寿命が短くなっていくので、1つの企業に居続けるというのが逆にリスクということなんですかね。

佐藤:そうだと思います。それに加えて今はAIというのが話題になっていて、人間の仕事がAIに置き換えられるんじゃないかとみんながすごい注目していますよね。怖いですね。

既得権を持つ正社員

秋好:一番売れているのは日本だというリンダさんの話もありましたが、世界と比べて日本の特徴、もしくは日本の商慣習や生き方、働き方や育ち方は、この「人生100年時代」においてポジティブなこともあれば、先ほどの終身雇用の問題もあると思いますが、他に何かあったりしますか?

佐藤:リンダさんが指摘しているのは女性の活用が少ないことですよね。

秋好:もっと女性が活躍すべきだと。

佐藤:そうですね。男性がすごく多い。あとは(日本人は)英語が喋れないって言っていましたよね。おそらくランサーズでもそうですが、繋がろうと思えばこれだけグローバルに海外の人と仕事ができる環境がすごくあるのに、非常にドメスティックなところがまだ残っていますね。

秋好:「これは日本の課題だ」とよく言われるんですよ。その中で最も1丁目1番地たる課題は、それはつまり可能性なんだと思うんです。けれども、「これが課題だ」というのは何だと思いますか?

佐藤:先ほど終身雇用と言ったんですけど、さらに言えば正社員という所が今の産業で一番既得権を持ってしまっているので、そこが変わるというのがすごく重要かなと思ってます。

秋好:それは企業が変わるということですか?

佐藤:企業だと思います。

秋好:経営者が変わるということなんですかね。

佐藤:そうです。経営者もですね。

秋好:どこが変わればその既得権が変わっていくんですか?

佐藤:大阪大学の安田洋祐先生に取材をした時に、正社員の介護離職が日本企業を変えるいいきっかけになるんじゃないかと言っていました。すごい主戦力ですよね。正社員の50代ぐらいの人が、自分の親の介護で辞めざるを得なくなるというときに、辞めるか残るかという選択しかないと、会社自体が危なくなっちゃうので、多様な仕組みがたぶんそこからできあがってくるんじゃないかということを言っているんです。

秋好:そこがチャンスじゃないかと。一方でランサーズのようなサービスもそうですけど、今、企業はテレワークを推進していて、テクノロジーの進化によって病室や介護室でも働きながら親御さんをサポートできる。実は弊社の社員も1人そういう経験をした人間がいました。テクノロジーの進化というのは企業革命を阻害しているんですかね? 辞めなくて済むという(笑)。

佐藤:いや、そんなことはないと思いますね(笑)。企業はそれを使いこなせていないので。それを使いこなすことはたぶん今の企業形態ではないと思うので、いろんなものが変わるんじゃないかと思いますね。

秋好:わかりました。ここにも書いていますが、「少子化、課題先行、日本が変わる」というところで、最初に質問した世代は40代ぐらいの方が約6割で、心の年齢20代の方が3、4割ほどでしたけど、その世代間のギャップとか価値観の差ってそんなにあるものですかね。本に書かれているほどの。かなりコントラストが明確に「ジャックさん」とは違うと思うんです。

デジタルネイティブじゃないと経営ができない時代になる

佐藤:すごくあると思います。個人差だと思います。たぶん僕の世代でもこれから出てくると思いますが、動く人は早く動くと思います。世代の差というのがあるので。

例えば元々スマホがある人。生まれた時からスマホがある人とない人では発想も違うと思います。きちんと働きたいと思った時に、僕らの世代は大学を出てからアルバイトではなく「新卒一括採用」という枠に乗るのがちゃんと働くという意味ではいい仕組みだった。今ならランサーズさんで自分のやりたい仕事を検索してみるという仕組みがあるのはすごいことだと思うんです。

秋好:例えば私は今35歳ぐらいなのでどちらが近いか微妙ですけど、あえて20代のほうが近いとさせていただくと、40歳ぐらいを前後にして、すごい価値観の差を感じるんですよ。

もちろん個体差はあるので同じ35歳、1981年生まれでも、いろんな考え方があります。ただ、いい意味で国に頼ろうとか、何か大きなものに依存しようという人が我々の世代ってものすごく少ない。

基本的に今の20代であれば、生まれた時にスマホとかインターネットがある世代なのでデジタルネイティブだし、ICT活用という発想が何か変というか、そもそも生まれつきあるので、なんて言ったらいいんでしょうかね。自動活用というけど、「元からあったし」みたいな発想の前提条件が違う。特にこれからの企業経営は。今はまだまだICT活用と言っていればいいと思うんですけど。

質問というか10年後の私の思っているところなんですが、例えば2025年とか2030年になった時に、おそらく経営者の顔ぶれが全部替わっているんじゃないかなと。つまりデジタルネイティブで、そういったことが前提じゃないと経営できない時代になると思っていて、そこは先ほど手を挙げた方はすごいチャンスなんじゃないかな。

デジタルネイティブ的な発想でクリエイティブなりテクノロジーがわからないと会社経営ができない時代になると思う。本にもちょっとそういうことが書かれていたと思うんです。

佐藤:そうですね。ギグエコノミーで強い個人がそれぞれのコミュニティを形成していく時代になるんじゃないかと思っています。

そういう意味で僕はずっと会社で働いていますけど、自分の仕事の定義が明確化されていないと感じることがあります。いろんなことをやってきている。一方で、ランサーズさんの仕事を見てみると、ジョブディスクリプションが明解なんですよね。そういうの明解さがないということは、経営者が交代するというか、組織の中の人が外部の人を使うことに長けてないと思うんです。

秋好:そうなんですよね。

佐藤:そうだと思います。

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