2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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三木谷浩史氏(以下、三木谷):そろそろ、我々のスペシャルゲストを呼び込んだほうがいいかな。
YOSHIKI氏(以下、YOSHIKI):スペシャルゲストですか。この前、一緒に食事した。
三木谷:YOSHIKIさんのお友達の。
YOSHIKI:いやいや、三木谷さん(笑)。
三木谷:私ですか。いや、お願いしますよ。
YOSHIKI:小泉さん、まだいらっしゃいますか?
(会場拍手)
三木谷:X JAPANの大ファン!
小泉純一郎氏(以下、小泉):いや、偶然だけど。今週の月曜日3日、六本木シネマ(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)で『WE ARE X』を観たんだ。
何気なく、新聞に広告が出ていた。そして、六本木シネマに電話したら、1日1回しかやってないと。もうじき終わるかもしれないと言ってて。夜21時からだって言うの。広告を見たのが3月30日くらい。これは! と思って。行ったよ! 21時から。
(会場笑)
21時からの会合、300人くらい入るのかな?
YOSHIKI:そうでしょうね。
小泉:100人くらいいるんだよ。一番後ろの席で観てみると。
YOSHIKI:どうでした?
小泉:あの心の痛みというか、辛さね。お父さんを子どものころに亡くして、HIDEも亡くなって、TAIJIも亡くなって。この悲しみから『Forever Love』とか『Tears』が出てきたのかなと。すごくロマンティックなバラード。それが大好きなんです。
それからです。総理になるまではX JAPANのこと知らなかったですから。
(会場笑)
三木谷:立っててるのなんなんで、座っていただいて(笑)。
小泉:これ、すっごくおもしろい話なんだ。
YOSHIKI:自民党の……。
小泉:そう! よく覚えてる!
YOSHIKI:そうですよね。『Forever Love』を使っていただいて。
小泉:2001年7月の参議院選挙で、自民党のコマーシャルを作る。20秒くらいなんだけど、BGMを使いたいと、党の本部が持ってきたわけ。20秒ぐらい、そこ、X JAPANの『Forever Love』を使っていいか聞いてくれ、と。
(歌い始める)もう独りで歩けない~。
三木谷:もうちょっと大きい声でお願いします(笑)。
YOSHIKI:カラオケへ行きましょうか(笑)。
小泉:歌が始まる前まで、20秒くらいバーン、バーンと。これが、ウケたんだよ!
(会場笑)
三木谷:それで圧勝したんですね。
小泉:それがご縁で、X JAPANを知るようになって。知ったのは、紅白歌合戦。子どもたちとトランプしてた。NHKをかけながら。そうしたら、『Forever Love』を歌い出したの。それまでは聴き流していたんだけど。
そこで、これいい曲だなと思って、非常に聴き入っちゃった。CDもちゃんと買った。あとで聞いたら、X JAPAN解散の後だったんだってね。
YOSHIKI:そうです。X JAPANが当時、最後に歌った曲。
小泉:だからすごく心がこもってるんだよね! それ以来、X JAPANを好きになって。私の後援会の人たちはX JAPANと言ってもわからないんだ。新聞にも「小泉、X JAPANのファン」と書いてあるんだよ。
YOSHIKI:アメリカのタイムマガジンにも出てましたね。
小泉:私の支援者のなかには「バツジャパンってなんだ?」と言っている人もいたよ。
(会場笑)
以来、寝る前にX JAPANのCDを聴いてる。バラードが大好きなんだ。
YOSHIKI:以前、フィルムコンサートにも来ていただいて。
小泉:そう、あれもよかった。ピアノの素養があるから、ああいうロマンティックな哀切極まりない曲が書けるんだよね。そして『WE ARE X』、いいドラマですね。1時間40分くらいだったかな。
YOSHIKI:そのくらいです。
三木谷:司会からの質問はもういいんですかね?
YOSIHIKI:質問ですか? どうぞ、続けてくれれば。
(会場笑)
司会者:もうご自由にってことをスタッフさんから聞いてるんですけど(笑)。
小泉:今日は、講演だけの予定だったんだ。
三木谷:そうですね。
小泉:なにが偶然、幸いするかわからない。
三木谷:そうですね。
YOSHIKI:この前、3人でご飯食べましたもんね、そういえば(笑)。
三木谷:僕は、YOSHIKIさんのような人は日本だけじゃなくて、世界にいないと思うんですよね。
小泉:いないね! 天才だとわかった。『WE ARE X』観て。話していると普通に見えるけど。あの映画見てから、とんでもない天才と知り合っちゃったなと思ったよ。
(会場笑)
小泉:天才じゃなきゃできないね。
YOSHIKI:天才も紙一重ですからね。なに自分で自分のこと堕としてんだろう(笑)。
(会場笑)
小泉:すごい能力の持ち主ですよ。
三木谷:間違いなく。
小泉:努力家でしょ。
司会者:すみません、お話の途中ですが、もう1問よろしいでしょうか? YOSHIKIさん、次に見据えているもの、次なるチャレンジはどういったところにあるんでしょうか?
YOSHIKI:失敗って自分で認めるまでは、失敗じゃないと思うんですね。どの時点で失敗と区切るかという。
アメリカのマディソンスクエアガーデンでやりましたし、カーネギーホールでもやりましたと言っても、それはただ、1回やっただけ。東京ドームでは、18回くらいやってるんですけど、点を線にしていかなければ、意味がないと思うんです。
マディソンスクエアガーデンでもまたやりたいですし。英語だと、「household name」と言いますけど、アメリカの中で僕が街中を歩いていても、まだ気付かれないですし。どこかで「WE ARE?」といったら、「X!」とやる人はいるかもしれないですけど(笑)。
日本の街中で「WE ARE?」とやったら、誰か「X!」って答えます。
三木谷:この会場の方は、みなさんやると思います(笑)。
YOSHIKI:そのくらい認めてもらえるように。あと僕は、海外のアーティストとも交流、コラボレーションもしていますので。それはアメリカに限らず、ロシアもそうですし、アジアのアーティストもそうなんです。音楽を通じて、国際的に協力できればと、思っています。
三木谷:昔はCDを出せば売れたけど、最近ではCDもだんだん売れなくなってきて、もっと経営者的な感覚というのがアーティストには必要な時代になってきてますよね。
今でも活躍しているアーティストは、自分自身の持ってる資産をベースに、どうやって影響力を出していくかということともに、ツアーとかCDだけじゃなく、いかに、ビジネス的なこともやっていくかと考えていると思います。YOSHIKIさんもある意味、ベンチャー起業家ですもんね。
YOSHIKI:音楽家になろうと決めたとき、僕はお金を稼ごうとは思わなかったんです。
いろいろな職業があると思います。これに決めようというときに、必ずお金というものは絡んできますけど、とりあえず僕は音楽家になりたい、ミュージシャンになりたい、作曲家になりたいと思った。
そのとき「お金はどうするの?」と母親とかに聞かれますよね。「どうやってYOSHIKIは、生計は立てていくの?」と。
そのときは、どうでもいいと思ってしまったんです。おそらく、成功すればなにかついてくるんじゃないかという。もともと、その考えから始まっているので、あまりそこに執着はしなかったんです。お金というものに執着するのであれば、違う職業を選んでいたと思うんです。
なにが言いたいかというと、音楽の著作権ビジネスに関しては、まだ60年70年のものなんです。200年前というのは、モーツァルトとかベートーベンとか、スポンサーありきで成り立っていた。だから僕はこの時代に、音楽をやって、お金を稼ぐものなのか、そもそも稼ぐほうがいいのかということから、まずは考えたいです。
稼ぐのであれば、その間口は広ければ広いほうがいい。配信になって、今ストリーミングになって、CDを買う人はほとんどいないんですけど、別にCDにいろいろな特典を付けて売らなくても、フリーにしちゃうという。僕がそういう発言をしちゃうと問題になるかもしれないですが、その分みんな、音楽が伝わるコンサートに来ていただける。
コンサートでチケットを売るなり、もしくは、マーチャンダイズなどいろいろな方法があるので、まずは音楽でお金を稼がなきゃいけないということ自体に、執着しないことが一番だと思うんです。
逆に言うと、スポンサーがいないと、成り立たない職業かもしれないわけです。実際、100年前とかは、成り立たなかったので。著作権というビジネスが成立されて、CDが売れることでいきなり大金が入ってきた。それが普通に思われていますが、100年後はぜんぜん違うかもしれないですし。
ただやはり、商品を作るという感覚ではなくて、芸術を作っている感覚でいたいですね。
100年後、200年後に聴いてもらえる、そういうものを今、作らなきゃいけないと思う。100万円稼ぐ、1億円稼ぐじゃなくて、そっちのほうに、アーティストはシフトしていかないといけない。
この職業をなぜ選んだのかというと、年収1億、10億円あげたいんだったら、不動産屋になっていればよかったんじゃないかと考えてしまう。
音楽家を選んだということは、芸術を作ることに専念したいわけです。その上で、いろいろな可能性はあると思うので、柔軟に考えていきたいと思います。
三木谷:やり方が、昔とだいぶ変わってきてるじゃないですか。インターネットも出てきたし。
YOSHIKI:そうです。ある種、そういう時代の変わり目というのは、とてもチャンスだと思うんです。クラウドファンディングとかが出てきている。これからの日本であれば、IoT、AIとかもある。
基本的に、作曲パターンはある程度決まっているので、ヒット曲のコード進行みたいなものってほとんど決まっています。データを打ち込んでしまえば、基本的にヒット曲はAIでできてしまうんです。
じゃあ、僕らはなんでAIに勝てるのかというと、やはり、人の無謀さとか、そういうものだと思うんです。計算不可能なものというか。それがある種の芸術なんじゃないかと、僕は思います。
司会者:ありがとうございました。残念ではありますが、時間の都合上、トークセッションはこれにて終了とさせていただきます。
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