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既存の概念を変えるサービス(全3記事)

「いい会社より“将来がある会社”を選べ」既成概念に挑むベンチャー経営者らが就活生にアドバイス

マイナビが主催したイベント「ベンチャーPARK」のなかで、「既存の概念を[変える]サービス」というセッションが行われました。登壇したのはRetty・奥田健太氏、アイスタイル・吉松徹郎氏、ザワット・原田大作氏。モデレーターはC Channel・森川亮氏が務めました。人も生活スタイルも思想も多様化していくこれからの時代、就活生はどういった会社選びをすべきなのか。既成概念を覆してきたベンチャー経営者らがアドバイスを贈りました。

求めている人材は「一緒に頑張れる気持ち」があるかどうか

MCあまり氏(以下、あまり):ありがとうございます。「リアルなベンチャー企業とは」というところのお話をうかがいましたが、会場のみなさんからも質問がきてますので、ちょっと読ませていただきますね。

じゃあこちらの方。「ベンチャーによっても規模が違うと働き方が違うと思うんですが、それぞれこれから求めている人物像はどんな人でしょうか?」という質問です。吉松さん、どう思われますか?

吉松徹郎氏(以下、吉松):どんな人か。あまり変わらないですよね。僕、よくベンチャーを船に例えるんですよ。3人でやってるのはモーターボートで、10人ぐらいになったらクルーザーで。3人だったら楽しいんですよ、みんなで話したりして。10人も楽しい。

そして「これからこれで儲けようぜ」と、漁船になってくわけですよね(笑)。それから港と港を渡っていくフェリーになっていこうと。「俺たち、大きくなったから海外へ行こうぜ」って言って、タンカーみたいになっていくわけですよ。

でも、タンカーになると今度は「船長の顔が見えなくてつまんねぇ」となってくる。だから、モーターボートが楽しい人はモーターボートに乗っていればいいんです。ただ、それは海外までは行けない。だから、自分がどの船に乗りたいかが大事かなと。

求めている人材は、実はあまり変わらないです。いわゆるタンカーであってもフェリーであっても、嵐が来たらみんなで頑張んなきゃいけないので。一緒に頑張れるって気持ちがあればいい。

ただタンカーとかフェリーだったら、今まで自分は客室しかやってなかったのに、急に「エンジン係やれよ」と言われる可能性もあるので実はそういう楽しさもある。その楽しさの選択肢の幅しか変わんないかなぁって気はします。

あまり:大手企業だと、自分をしっかり持つというよりは、いろいろとスタンスを広く持てるような人が向いていると思います。ベンチャーは突出した「これがやりたい」っていう思いが強い人ほど向いているというか。

吉松:「なにかやりたい」というより、モーターボートの荒波とか、「やべぇ超楽しい」って言う人はいいかもしれないですね(笑)。

森川氏「若い女性の気持ちはおじさんにはわからない」

あまり:なるほど。ありがとうございます。じゃあ続いての質問なんですけれども、これおもしろいですね(笑)。「御社で結果を出している社員に共通している特徴はなんですか?」と。

これはじゃあ、Rettyの奥田さんに聞いてみたいと思います。どんな人が活躍されてますか?

奥田健太氏(以下、奥田):おそらく共通して言えるところは、「Rettyというサービスを、事業をこうしてやりたい」という思いを強く自分の中に持っている人っていうのは、圧倒的に成果を出せているなぁと思っていて。

いろいろ面接をしていても、優秀な人はいっぱいいるんです。でも、「自分が入るからにはRettyをこうしたい」みたいな問題意識というか、会社をどうしていきたいっていう思いがある人は圧倒的に強いです。

自分の成長軸よりもサービスをどうしたいとか、会社をどうしたいという軸が強い人が、結果的には成果を出している印象はありますね。

あまり:ありがとうございます。そういった意味では森川さん、例えばC Channelみたいな若い方々に向けてのマスメディアは最初「なにが正しいんだろう」って悩まれたと思うんですが、そういったところでやっている若い子が主導してプロジェクトが動き出したっていうのはあるんですか?

森川亮氏(以下、森川):基本、若い女性の気持ちはおじさんはわからないので(笑)。若い女性がこうだと思うものを応援するのがおじさんの役割かなと思いますね。吉松さんなんかも、そういうところあるんじゃないですか。

吉松:まさしくその通り、ですけど、森川さんがおじさん風発言するなんてびっくりしました!

(会場笑)

一番女性の気持ちがわかってそうな人なので(笑)。

あまり:物腰がやわらかですからね! 

「自分がやりたいこと」なんてすぐにわかるはずがない

ありがとうございます。そういった意味ではザワットの原田さんはどうですか? どういった方が活躍すると思いますか?

原田大作氏(以下、原田):ちょっと先の未来を見定めて頑張れる人ですかね。やっぱり僕たちベンチャーは少し先の未来を作っている会社がほとんどだと思うんですね。新しいものとか、今後こうなるだろうなとか。

そうやっていくと、自分のキャリアとしてもプラスになるし、ワクワクするし。そういう思いがある方が残ってずっと頑張ってくれてますね。

森川:ちなみにいいですか、よく「やりたいことがないんですけど、どうしたらいいですか」って質問を受けるんですがそう言う人は、ベンチャーに向かないんですかね?

吉松:いや、そんなことないですよ。よくみんな「やりたいことやれ」「好きなことやれ」って言いますが、わかるわけないじゃないですか。

だって俺、いろいろ就職活動した時「好きなことはなんですか?」と聞かれましたが、学生時代は「そんなもんないしわかんないから、今就職活動してるんです」って言ってましたもん(笑)。

そこに嘘つく必要ないんですよ。自分がどういう人間なのか、少なくとも(大学の)学部は選んでるわけじゃないですか。大学行く・行かないを選んだわけじゃないですか。部活でなにをするのか、選んだわけじゃないですか。

その時の選んだ基準が自分の見えないなにかってことだけわかれば、大丈夫な気がします。

あまり:なるほどですね。やっぱりどうしても「やりたいこと」「誰かのやってることを支えたい」っていう方が、大企業に向いてるかなと思うんですけれども、そうではないと。

みなさんがまだ気付いてないだけで、向いてるものであるとか、やりたいものはきっと眠ってるんじゃないかなと思います。それはぜんぜん恥ではなくて「まだまだ掘り下げていっていいんだ」っていうことですよね? 就活さえも、モラトリアム期間に入れちゃえばいいと思います。

吉松:まるまる2年やりましたわ(笑)。

あまり:ありがとうございます。

難しかったのは「まだ実現していない理想を相手に伝えること」

あっ! これ聞きたいですね。今回のトークセッションはVENTURE SESSION「既存の概念を[変える]サービス」というテーマで進めています。既存の概念を変えるということで、聞きたいのは「経験した中で最も難しかった交渉を教えてください」。

森川:これは、やっぱり吉松さんじゃないですか?

吉松:これね、本当に一番難しかったのは、会社を始めて3人から10人に増やした時ですね。なぜかと言うと、「世の中のクチコミサイト」って他にないから、@cosmeって言っても見えないんですよ。

今だったら「食べログの化粧品版作るからさ」とか、「Amazonの化粧品版」。わかんないですよね。「僕はクチコミサイトを作ろうとしているのに」って言ってもみんなイメージできない。

イメージできないけど「お前、会社を辞めて給料が半分だけど俺んとこ来いよ」「なに作るの?」「クチコミサイト。よくわかんないけど」っていう奴を増やす。これを口説くのが一番大変でしたね。

(会場笑)

あまり:自分の描いている理想を相手に伝えることが一番難しかった?

吉松:これは難しい。化粧品メーカーさんでも今だったら贔屓ですけど、昔は「悪いこと書かれるんでしょ? なんであんたたちに写真情報あげなきゃいけないの」って。

それで「ダメでした」って報告する上司もいないわけですよ。「ダメでした、でもどうしよう」から始まる。やっぱりそこが一番大変でしたね。

あまり:チームをまとめる時の、1本旗を作るっていうのは大変ですね。

吉松:そうですね、交渉って言うよりもう粘るしかないみたいな(笑)。その時が一番大変でした。

「まだないもの」をやる時の難しさ

あまり:奥田さん、かなり頷いてらっしゃいますけど、同じ経験はございますか?

奥田:交渉というか、まさに採用の部分でいうと。私も6人目で入りましたが、Retty当初のユーザー数なんてまだ20万人くらいでした。もちろん全くないものを作っていたわけではないんですけど。

そんな中で弊社元GoogleのCTOを引っ張ってきたんです。

8ヶ月ぐらいずっと夢を語り続けることをやって、給料が何分の1くらいになってきてもらう……みたいな交渉ですね。本当にパッションと夢、それから実現したい世界みたいな大きなところ、熱いところをひたすら語っていました。

給料何分の1って、かなりのことなので。次の年に税金も払えない感じになるんですけど(笑)。当然、今のRettyはある程度の規模の会社になったので、相応の水準の給与を払っています。

しかし、当時の台所事情では、そんなに払えないので。そこに、ものすごい経験を持った人を引っ張ってくるのは、本当に熱い夢だけでどうにかしなくてはいけなくて。かなり難しい交渉を、20人くらいになるまでは同じように続けてたというのはありますね。

森川:ある意味、吉松さんみたいに、なにもないものをやる時の難しさもあるけど、一方ですでに強いサービスがいるというのも難しかったんじゃないですか?

奥田:そうなんです。非常に大きくて有名なサービスが同じ業界にあるので、そことは違う軸で、みんなに愛されるサービスという点を押し出していくしかないですよね、そこは。

あまり:ありがとうございます。

今の会社じゃなく、将来がある会社を選ぶべき

それでは残り時間も少なくなってまいりましたので、最後に本日集まっていただいた会場のみなさまに、今後役立つアドバイスを、一言ずついただければなと思います! 

吉松さんからお願いできますか?

吉松:ぜひみなさんには今の会社じゃなく、将来がある会社を選んでください。

20年前のアクセンチュア、アンダーセンは、僕の大学の教授も知らないような会社でした。そして15年前にサイバーエージェントと電通に受かって、サイバーエージェントを選ぶと言ったら、みんなは「バカじゃん」って言われたと思うんですよ。

でもその時、サイバーエージェントを選んでいた人は絶対にいい経験して、成長している。

10年前にグリーと任天堂に受かっていた時に、「グリーへ行く」って言ったら「はあ?」と言われていたと思うんですけど、絶対にいい経験しましたね。大きい会社へ行くより、5年後10年後15年後、みなさんが力をつけていく時に、大きくなる会社を選ぶべきだと思います。

それはなにか。さっきの話にあったみたいに、どうなっていくかってイメージすることだと思います。今好きかどうかなんて正直わかんないし、できないということでいいんですよ。

ただ、「こっちの方の船に乗りたい」っていう思いが強ければ、それは一緒の船に乗っていく中で学ぶ機会もたくさんあるから。少なくとも大企業かベンチャーかではない。将来に可能性がある会社かどうかでみなさん選んでもらえたらいいと思います。

その中で、アイスタイルはめちゃくちゃ将来がありますからね(笑)。

(会場笑)

吉松:世界に行くのは、俺らだって真剣に思ってますから。ぜひうちの会社も選んでもらえると嬉しいと思います。

(会場拍手)

自分がやりたいことを自分の力でやっていくことが重要になる

あまり:ありがとうございます。上手な売り込みでしたね(笑)。では続いて原田さん、お願いします。

原田:残酷な事実を2つ教えます。1つ目、今後、日本人が減っていって、若者もどんどん減っていくことです。みなさんの親の世代の当たり前や大企業にいれば安心とか、もうすでに崩れていますよね。

じゃあ将来、みなさんどうしますか? 自分たちで頑張っていかないといけない。という事実がまず1つ。

もう1つ目は、みなさんの寿命が延びていることです。平均寿命80歳って言われてますけど、実は僕たちの世代は平均100歳まで生きるそうです。なので、みなさんたぶん110歳くらいまで生きちゃうんですよ。

『LIFE SHIFT』という本に書いてあるのですけども。そうすると、終身雇用60歳じゃないよね。70歳、80歳まで働かなきゃいけない時代がきています。

そうなったとき、最後に信じられるのは「自分がやりたいことを自分の力でやっていく力」だと思います。それは大企業でもいいし、ベンチャーでもどこでもいいんですけど。それを見つけられるように就職活動を頑張ってください!

弊社はまだ20名で、チャレンジできる環境があります。ぜひ、興味ある方は今日、僕は後ろのブースにいますので、気軽に話しかけてくれればと思います! よろしくお願いします。

(会場拍手)

自分が「気持ちいい」と思えるポイントを知っておく

あまり:ありがとうございます。奥田さんお願いします。

奥田:さっき、ちょっと途中で吉松さんがおっしゃっていた話と少し被るところがあるんですけど。「自分がなにをやりたいか」ってたぶんまだわからないし、僕も別に今ですら完全には定まっていないと思っているんです。

ただ、自分がどういう状態にいる時に気持ち良いと思うか、エクスタシーを感じるかっていうことは把握できてると、自分が本当に気持ち良い人生を歩めるんだろうなと思っていて。

例えばさっきの話ですと、僕は変化がどんどん起こっている状態が気持ちいいと思うし、それってたぶん人によってぜんぜん違う。「この分野がやりたい、こういう仕事がやりたい」というよりも「こういう状態になりたい」みたいな。

「こういう状態になっていると気持ち良い」と思えるポイントをできるだけ理解して、それに合ってそうな場所で仕事をするっていうのが、一番幸せになれるんじゃないかなと思っています。

最後、恒例の自分の会社の説明をすると(笑)。僕らの会社としてはまさに変化ですね。しかも自分たちで変えていけるような環境があるので、そこにエクスタシーを感じる人はすごく合うと思っています。

僕も原田さんと同じように、後でそこのブースに立っているので、お気軽に話しかけていただければと思います。今日はどうもありがとうございました!

(会場拍手)

古い世代の人たちを、テクノロジーに置き換えていく世代

あまり:ありがとうございます。では森川さん、最後にみなさんにアドバイスをお願いします。

森川:世代で言うと、私の祖父がちょうど戦争で戦った世代で、父が戦後を立て直した世代。そして僕の場合、バブル世代と言われてるんですけど。

バブル世代の人たちのいいところを挙げるとすると、日本が一番いい時のイメージを持っている。それをまた具現化しようっていうところだと思うんですよね。

みなさんの世代がやるべきことは、古い世代の人たちを、ある意味テクノロジーに置き換えなければいけない世代かな、と思っています。今までの日本って、アメリカとか海外で成功したモデルを磨き上げて成功しただけの話で、むしろ今これからの成長を作るのはそれを壊さなきゃいけないんですよね。

おそらく、壊す切り口としてはITだったりとかフィンテックだったり、新しいテクノロジーだったりなので、ぜひそのテクノロジーを使って、既存産業を壊すような動きをしてほしいなぁと思います。

僕自身はその中で、メディア産業を今壊そうと思っています。今、メディアを見ても暗い情報ばっかりで。ああいうの朝から晩まで見ていると暗くなったりとか。

炎上すると数字上がるんだけど、その先になにもないんですよね。それを変えたいなと思っています。あとは日本の場合、女性の活躍の場がけっこう少ないかなと思っています。それを、女性が活躍してむしろ海外へ出て行けるようなプラットフォームを作ろうとしているので、ぜひ女性で世界で活躍したい人、お待ちしています。

あまり:ありがとうございます。

(会場拍手)

さあ、以上をもちまして、VENTURE SESSION2を終了させていただきます。森川さん、吉松さん、原田さん、奥田さん、どうもありがとうございました!

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