2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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ギャレス・エドワーズ氏(以下、エドワーズ):こういう場は苦手です。
(会場笑)
いつもならカメラの反対側におりますので、こちら側は少々緊張しますね。
さて、どこから始めましょうか。父が映画ファンだったので、僕は幸運にもごく幼いころに、芸術的、先進的でいて革新的な1本の映画を、両親に見せられました。何かの映画祭だったと思いますが、その映画で僕の人生は定められたのでした。
『スター・ウォーズ』です。僕はこの会場のみなさんと同じく即座に「これを生涯の仕事にしたい」と思いました。自分のやりたいことがわかったのです。同盟軍に参加し、デススター破壊に参加したい。それが絶対に達成したい人生の目標、プランAになりました。
しかし「ギャレス、それはできないことだよ」と教えられました。実現は不可能で、映画という嘘なんだと。僕はがっかりしました。でもそれはとてもリアルでした。でも、おもちゃを買ってもらい、「ギャレス、実際にはできないことなんだ」と言われたんです。
そしてそれができないとなると、次の最良の選択肢は、嘘つきになることでした。僕が映画を作ってやるんだ。よし、絶対にそうしよう。僕はプロの嘘つきになって、映画製作をするんだ。
僕を足止めさせた唯一のことは、「どうしたら映画監督になれるか?」という問題でした。このスピーチにタイトルをつけるとしたら、まさにこれです。「どうしたら映画監督になれるか?」。
子どものころにはまったく知識がなく、どうしたら映画監督になれるかわかりませんでした。どこを探したらよいか、どうしたらよいか、ヒントすらありません。当時はインターネットもありません。
僕は文字通り「スティーブン・スピルバーグ・ストーリー」で育ちました。文字通り「スティーブン・スピルバーグ・ストーリー」という本を持っており、それが僕の唯一のガイダンスでした。
(エドワーズ氏、本を掲げて見せる)
インターネットが無い時代にはこの本が僕のバイブルでした。その中の一章に、スピルバーグが映画監督をするようになったいきさつが描かれていました。チェックリスト方式で書かれており、抜粋すると「スピルバーグ、父のカメラを使って低予算の映画を撮る」「大学へ進学」「本格的な短編映画を製作しハリウッドのプロデューサーに送る」「ユニバーサル・スタジオと映画監督の契約をする」。
それを読んだ僕は「よし、僕も同じことをしよう」と思い、実践しました。「父のカメラで低予算映画を撮る」にチェックマークを付けました。「大学に進学」、チェックマークです。「本格的な短編映画を制作」、チェックマークを付けました。その映画をハリウッドのプロデューサーに送ったところ、たいへん丁重な却下の手紙が来ました。
ちょっと待て。却下の手紙だと? お母さん、聞いていないよ。索引に「却下」なんてあったっけ? と調べてみました。「ちくしょう!」そんな感じでした。
ではこれからどうしよう? 僕はその頃、21歳になっていて、映画学校を卒業したばかり。人生や人生の目標など、すべてを無駄にしてしまったような心境でした。
さて映画学校では、映画を勉強しているさまざまな学生と出会うことができます。同居していた男が、コンピュータ・アニメーションの映画制作という、まったく新しい勉強をしていました。ジュラシック・パークが公開されたばかりで、当時においてもこれが未来の映画製作であることは明白でした。
そこで僕はパソコンを購入し、実家に帰りました。父には「実家暮らしをするなら、就職しなさい」と言われたため、夜はスーパーマーケットで棚卸をして、昼はソフトウェアの開発をしました。恐竜やロボットをアニメ化して親の車庫通路に置いたりなど、くだらないことを山ほどしました。これらのショートフィルムをみなさんにお見せしたいのですが、ひどい作品なので、たいへんお恥ずかしくて恐縮ですがお見せできません。
さて、ロンドンで監督業の就職面談を受け、自分の短編作品を見せたところ、先方にたいへん気に入られました。恐竜やロボットを見せると、突如このようなやりとりになりました。「なんだねこれは」「僕が自宅で制作した作品です」。1997年のことです。「まさか! これは自宅では制作できないだろう」「いいえ、自宅のパソコンでできますよ。Windows95です」。
「ソーホーでこういったエフェクトを製作させたら何十万ポンドも取られる。2,000ポンドの機器でどうやったらできるんだ」「それは御社の問題ですね。でもこれは本当にWindows95で作ったんです。僕にはできます、嘘ではないです」。
こうして僕は、監督業ではなくコンピュータ・グラフィックスの仕事をもらいました。まあいいでしょう。こういったことは得意ですし、お金も入ります。ソフトウェアの技術も身につきます。その後に映画を作ろう、と思いました。
また、こういったテクノロジーについては、動作の速度を上げるなどのことを、自分で好きにやってよいという約束をしてもらいました。ムーアの法則では2年単位でコンピュータの処理速度は2倍になるとか、そんな話でしたよね。「そんなことは時間の問題で、僕にはできます」ということで、こうして僕はVFXの仕事をもらいました。
ここで1つおもしろいことが起きました。BBCの「ディスカバリー・チャンネル」などの顧客の仕事をしていると、予算やスケジュールなど、映画製作のプロの立場に接することができます。
僕がコンピュータ・グラフィックスの仕事をしていて気づいたことがありました。会社は、10万ポンドで番組オープニングのVFXを請け負っていますが、僕であれば1ヶ月わずか2,000ポンドで同じものを作ることができるのです。「僕だったら98,000ポンド儲けるわけか、悪くはないな」と思うようになりました。
そこで僕は小狡く立ち回りました。撮影の間に顧客と仲良くなって、ドアが閉まると、そっとささやくわけです。「もし10分の1の資金で同じものを作りたい時には、僕に言ってください。仕事を辞めて、すぐに作ってあげますよ」。すると大抵は鼻であしらわれたり「君の上司にそんなことは言えない」などと言われてしまいます。ところがある日、とうとう1人が「OK」と言いました。
そこで僕は仕事を辞め、帰宅して自分のベッドルームにこもり、その人に番組のオープニング映像を製作しました。僕はこれまでの1年分の給料を1ヶ月で稼ぎました。
そして僕は思いました。「これはすばらしい。僕はこの方法で、自分の映画の制作資金を稼ごう。これだったら時間の無駄にはならない」。
僕はBBCで「ベッドルームでグラフィックを作ってしまう若者」と評判になりました。おかげでますます仕事が増えました。すると仕事が増え過ぎてしまい、自分の映画製作がどんどん後回しになってしまいました。
当時の僕に「ずっと話している自分の映画を、なぜ今作らないんだ?」と聞けば、「来年ソフトウェアのアップデート版が出る予定で、そうなればいろんなことが楽になる。ソニーが新しいカメラを出す予定だし、最新のHDがどうだ」といった塩梅にぺらぺらと答えたことでしょう。
それは全部嘘で、現実には僕は失敗を恐れていました。もし僕が作るものが、とんでもない駄作だったらどうしよう? 僕が自分が思っていたような、映画を作る人材ではないことを認めざるを得ないかもしれない。
そこで僕はずっと言い訳を続け、何年も、とてもお勧めできないような、不健康なゲームを続けました。IMDb(インターネット・ムービー・データベース、俳優、映画、テレビ番組、テレビ・スターおよびビデオゲームに関する情報のオンラインデータベース)を見ては、大好きな監督の生年月日を調べ、初監督作品の制作年を引き算しては落ち込むのです。この簡単な教科書レベルの計算で、スティーブン・スピルバーグは28歳で、ジョージ・ルーカスは27歳で、スコセッシは確か30歳で初監督作品を撮ったことがわかったからです。
僕が30歳に近づいた頃、思いました。この生活をこのまま続けるが、30歳になる前には、絶対に1本映画を撮らなくてはいけない。ここがデッドラインだ。
そして僕にはもう1つ可能性があることに気づきました。BBCの仕事をしていて、「TV番組を1つ僕に監督させてくれれば、VFXを全部無料で制作しますよ。」と言ってみました。すると「ははは。ギャレス、おもしろい冗談だね」と笑われ、もう二度と取り合ってもらえませんでした。
BBCの人々と仲良くなって、「お願いしますよ。僕はぜひとも映画を撮りたいんです。僕はVFXの人間ではないんです」と頼みました。しかし彼らは僕をそのように見てはくれませんでした。「君はVFX担当でしょう。監督ではないですよね」。これは「コードCGI、コンピュータ生成画像」という名称の問題だと思います。
コンピュータは動画を生成するもので、それしかできないと思われてしまうのです。アーティストが作るものとは見なされません。人が作っているものだとは思ってもらえません。バイオなコンピュータが生成するもの、と思われているのです。
朝起きてスイッチを入れると、夜にはピクサー作品ができていると思われています。
(会場笑)
電話をかけながら「また新作だよ。今回は恐竜を頼むよ」。
VFXは、個人と結びつけてもらえません。映画のシーンを「カメラ生成画像」とは言いませんよね。シナリオも「コンピュータ生成書類」とは言いません。VFXは一種の魔法で、ボタン1個を押せば作動する、と思われています。僕は満たされませんでした。このように、監督をするきっかけがなかなか掴めませんでした。
30歳になった時、僕は「しまった。終わりだ。目的を達成できなかった」と思いました。当時のガールフレンドが、「なにかお祝いをしましょう。パーティを開きましょう」と言ってくれました。でも、僕には友達がいません。恥ずかしい状況になるのは明らかです。
(会場笑)
そこで彼女は「今までずっと行きたいと思っていた場所はある?」と聞いてくれました。僕は「ずっとチュニジアへ行きたかった。スター・ウォーズの撮影現場だ」と答えました。そこでチュニジアへ行きました。この話をするのは初めてです。もう彼女とは別れてしまったのですが、まだ友達です。彼女は、最前列に座っていて、頭を振っています。僕がこれから何の話をしようとしているのか、よくわかっているのです。
(会場笑)
チュニジアは『スター・ウォーズ』のロケが行われた所です。僕たちは、スターウォーズの撮影現場には詳しいのです。現場はいろいろな場所に散らばっていて、なにもない所にぽつんとあります。僕たちは北アフリカに行きました。途中で彼女はなにか悪い物を食べたらしく、体調がたいへん悪くなり、ひどい腹痛を起こしました。
僕たちは、300マイルほど離れたルーク・スカイウォーカーの家を訪れる予定でした。その途中にオビ=ワン・ケノービの家があり、今行かなければ、もう一生、こんな所に来ることはできないだろうと思い、彼女に「オビ=ワン・ケノービの家には絶対行こう」と言いました。彼女は「とてもだめだわ。ホテルに帰って休んでいる」と答えました。しかし目的地は、ほんの5分行った先にあるのです。しかし彼女は「もう限界だわ、5分ももたない」。僕は「お願いだから! 5分だよ」。「じゃあちょっとだけ。ちょっとだけにしてね!」
彼女に「急いでね」と言われ、僕は車から降りました。ヘッドフォンをつけ、ジョン・ウィリアムズのトラックを探してかけました。僕は、オビ=ワン・ケノービの家の中を歩き回りました。みなさん、覚えていらっしゃいますか。オビ=ワン・ケノービは、ここでルーク・スカイウォーカーに彼の宿命を、生涯を通しての運命を告げたのです。僕はまさに、そんな場所にいました。
ジョン・ウィリアムズのサウンド・トラックを聞きながら、感動的な啓示が訪れました。心を激しく揺さぶる、スピリチュアルな瞬間でした。
オビ=ワン・ケノービの家の玄関のドアを出ると、目の前で彼女が、足首まで下着を下ろし溝の中にうずくまっていました。「ちょっと! ぼーっとしていないで、ウェットティッシュを取ってちょうだい!」
(会場笑)
もう彼女とは別れたんです。
最終的には、僕はルーク・スカイウォーカーの家に行くことができました。ルークと同じテーブルについて、青いミルクも飲み、オタクとしての冥利がつきるようなことをすべて実践しました。
この旅行は、僕に大きなインスピレーションを与えました。子どものころから愛したスターウォーズ、反乱同盟軍に加わることなどは無理だ、と言われたスターウォーズは実在したんだ、本当にあったことなんだ、と思いました。
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