2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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――本日はよろしくお願いします。この企画では「プレイヤーからリーダーへの転換ポイントは?」ということで、曽山さんご自身がリーダーになるまでの経緯などをうかがいたいと思っています。
さっそくですが、曽山さんは新卒で伊勢丹に入社されたと聞きました。そこでEコマース立ち上げなどに関わっていたとのことですが、当時からチームを率いるような立ち位置になることが多かったのでしょうか?
曽山哲人氏(以下、曽山):そうですね、まず僕自身のファクトを申し上げると、昔から目立ちたがり屋だったんですよね。
――目立ちたがり屋ですか。
曽山:はい、どちらかというと(笑)。そもそもリーダータイプだった、というよりも、目立ちたがり屋だったのでしょうね。だから学生時代、生徒会で副会長をやったりしていましたね。高校時代にはストリートダンスで、当時日本テレビの番組内企画だった「ダンス甲子園」に出場して全国3位にもなったりして。
新しいものと目立つものが好き。好奇心旺盛なんでしょうね、すごくポジティブに言うと。
いわゆるリーダーシップ経験でいうと、大学時代のラクロス部でキャプテンになったことがスタートだったように思います。日本学生ラクロス連盟というさまざまな大学のラクロス部が集まる団体があって、部活のキャプテンと同時に連盟の広報委員もやっていました。
日本学生ラクロス連盟は130校くらいの大学から選出された幹部メンバーでチームを作って、広報活動としてチラシを配ったり、雑誌社を回ったりしました。
――学生の部活といえど、メンバーをまとめるのは大変そうです。
曽山:そうですね、大変でしたね。あと、血液型や性格診断とか、自分の性格を診断できるものがあるじゃないですか。
――ありますね。「O型=おおらか」みたいなものですよね?
曽山:それです(笑)。僕、そういった性格診断系テストをやるとほぼ確実に「完璧主義」って出るんですよ。ストイックというか、神経質なんでしょうね(笑)。
さらにいうと、自分にも厳しくありたいと思うタイプです。ラクロス部でキャプテンをしていたときも、ほかのメンバーより絶対に早くグラウンドに入るようにしていました。当時は横浜に住んでいたんですが、朝6時か6時半には東京・四谷のグランドに必ずいるという。
――横浜から四谷って、けっこう距離がある気がするのですが……。
曽山:朝4時半には家を出ていましたね、それも週3回(笑)。でも、いい結果は出せなかった。チームの難しさを感じていましたね。辞める部員をどう引き止めるか、どうやって部員を増やすのか、どうやってみんなのモチベーションを上げるのか。より強いチームを作るにはどうすればいいのか。すごく考えていました。
――具体的に、そういった問題をどう解決していったんですか?
曽山:結論を言うと、解決できなかったですね。なんというか、僕は僕自身のテンションを高く保つことを苦に感じるタイプではありませんでした。だから、チームの雰囲気は決して悪くなかった。
では、なにが課題だったのか。象徴的なのが、僕がキャプテンとして持っていた「人事権」でした。いわゆる「誰を試合に出す・出さない」を決めるものですね。これは、自分の中ではすごく大きな壁でした。
僕が人事権を持っているということは、ほかのメンバーの判断が反映されない。でも実際には、試合ではキャプテンの意思とはまったく別の判断が必要とされることがよくあります。試合中、ほかのメンバーが「こういう状況だから、あいつを出そう」といった瞬時の判断ができないのは良くない。
そこで、キャプテンとは別の「戦略遂行責任者」というポジションを作りました。チームの戦略をずっと考える人ですね。それを僕の同期にお願いして、試合の人事権も彼と副キャプテンに任せました。
あれは、たしか夏にあったリーグ戦でした。ずっと負けが続いていて、その時、僕はレギュラーのゴールキーパーとして出場していたんですけど、試合の人事権を任せていた彼らが「曽山をレギュラーから外す」という選択をしたんです。
――それは、なんというか。
曽山:すごくショックでしたね。本当にショックでどうしようもなかったんですけど、結果的にその試合は勝ったんです。人事の妙で、成果は変わるんです。
戦略遂行責任者から試合後に言われたのは「曽山をキャプテンとして認めていないわけじゃない。勝つために誰をレギュラーにすればいいかを判断した結果だ」でした。その言葉にすごく救われました。
僕が外れた後半戦のほうが、いい試合ができていました。自分が出ない状況になって初めて「あ、なるほどな」って思ったんです。そこで学んだ教訓は「勘違いの責任感」でした。
――勘違いの責任感?
曽山:はい。当時の僕は「自分がキャプテンとして、ゴールキーパーをレギュラーでがんばってやることが勝利につながるはずだ」「なぜなら、自分が(ほかのメンバーに)模範を見せなければならないからだ」と思っていたんです。
でもこれ、勘違いなんですよね。僕はこれを「偽善的責任感」と呼んでいます。
責任感を勘違いして、自分のポジションにこだわってしまう。そして結果的に「組織のため」と言いながら、実は自分のプライドを傷つけたくないというのが裏側にあるという。これが「偽善」ということです。
「組織のため」というのは善。でも、その裏側には「自分のため」がある。これは、真面目な人、特に責任感が強いリーダーや管理職の人ほどなりがちですね。「自分ががんばらなきゃ」と言っている人は、だいたい偽善的責任感になりやすい。
――「自分ががんばらなきゃ」は、危ないワードなんですね。
曽山:ですね。今ちょうど松下幸之助さんの本を読んでいるんですけど、そこに「知識や知恵、スキルはメンバーに劣っていていい」「でも、情熱だけは絶対に負けるな」とあります。
情熱が負けていると、メンバーは離れていく。スキルが劣っていても情熱が強ければ「下手だけど、手伝ってやろうかな」「あの人には気持ちでは勝てない。だから、あの気持ちに僕もついていこう」と思える。でもその逆はない。これ、けっこう大事だなと思っていて。
責任感があること自体はポジティブです。ほかのメンバーより情熱が突き抜けている。でも、それが歪んでしまうと、偽善的責任感になってしまう。
当時の僕は、もうわかっていました。ゴールキーパーとしての自分の限界を。できることはあるにしても、試合の中では、僕は抜けたほうがいい。これを、本当は自分から言いたかったんだと、あとになって気づくんです。もうこれは、偽善的責任感の極みみたいな感じです。
本当にできるリーダーというのは、チームのことを真剣に考えている。だから、自分の感情を後にできる。
偽善的責任感を持ってしまいがちな人は、どちらかというと「そこまでしなくても」となりがちな真面目かつストイックなタイプが多いですね。ほかの人からすると「無理」というくらいのものを目指しがちな人です。
僕はサイバーエージェントで人事に携わって10年ほどになりますが、そういったことがだんだんわかってきました。
――偽善的責任感というワードがすごくしっくりきますね……。
曽山:毒のある言葉ですよね(笑)。「偽善的」と「責任感」がそれぞれ真逆のイメージなので、インパクトもあります。
――曽山さんの場合、ラクロス部のキャプテン時代からリーダーとして成果を出していますし、そもそもの経験値も高い印象があります。
曽山:いやいや。リーダーシップってトレーニングみたいなものなんです。ずっと磨き続けるものなんですよ。
どちらかというとラクロス部時代は「チームが盛り上がれば強くなれるんじゃないか」と思っていた程度でした。経験値はあったかもしれませんが、会社で求められるマネジメントスキルとしてはまったく違うものです。
大学4年で就職活動をして、伊勢丹に入りました。配属されたのは、今で言うと新宿本店にあるメンズ館。そこでいち若手社員として働きながら、一方でラクロス部OBとしてアシスタントコーチもやっていました。
――基本的に掛け持ちされていますね。
曽山:そうそう(笑)。
僕がキャプテンをやっていたとき、ラクロス部を強くできなかったんです。それが悔しくて。だから卒業した翌年に4つ年上の先輩にヘッドコーチをお願いして、自分はアシスタントコーチに就任しました。
その影響もあり、それまで2部の中堅あたりのランクでしたが、コーチに就任した年には1部に昇格したんですよ。これ、ラクロス部の10年くらいの歴史のなかで初めてのことだったんです。
これは、うれしかったですね。本当はコーチになったとき「3年後には1部に昇格させる!」と計画していたんですけれど、予想以上に早く達成できました。特にメンバーが素晴らしかったんです。でも、彼らの力を最大限にするためには、やはりコーチが必要です。メンバーそれぞれの力とチーム編成の掛け算で、いい成果を得られたんだと思います。
同時に、当時の僕は伊勢丹で紳士服の販売をしていたんですが、「Eコマースを立ち上げるから、曽山くんも手伝う?」と声をかけていただいたんですね。すぐに「ぜひ手伝わせてください」とお願いして。そして、うれしいことにEコマースで洋服がめちゃくちゃ売れたんです。
売れた理由は、サイズの大きいハイブランドを扱っているのが当時、日本では新宿伊勢丹くらいだったんです。Eコマースでそういった商品を展開したところ、全国から発注が殺到しました。改めて「ネットってすごいな」と思いましたね。
どんどんネットへの興味が強まっていって、次第に「ネット業界へ行きたい」と思うようになり、伊勢丹を1年で退職。そして、サイバーエージェントに入社しました。
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