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自信と決断(全2記事)

「人から生まれる不幸をなくしたい」渡米して日本を知った、芦名佑介氏の野望

「学びを遊びに」のテーマのもと、さまざまな業界のトップランナーを招き、新たな学習体験を提供する「MOA大学」。特別講義で登壇した芦名表参道社長の芦名佑介氏は、電通からプルデンシャル生命保険にヘッドハンティングされた後、俳優を目指しハリウッドへ渡ったという自身の異色の経歴について振り返りました。

お金持ちはみんな人格者だと思っていたら違った

芦名佑介氏(以下、芦名):そんな感じで、23歳で入社して、25歳のときには、営業所長になるわけなんですけど、そこまでいって、僕はなぜか俳優になり始めたんですね。今思うと、すごい話ですけど、けっこうお金を稼ぐことができたんですよ。当時25歳で、月収が2,400万とか越えました。すごいですよね。

僕、ビックリしました。「口座にこんな入っていいんですか?」みたいな。わかんないんです。お金の価値が。今思えばお金をすごく無駄遣いしていました。

なんでそんな会社をやめたかっていうと、僕お金持ちって、みんな人格者だと思っていたんですよ。人格がよくないと、稼げない。稼いでる人は、人格者だ。って教わってた気がしたんですね。ただ僕が見た現実は違ったんです。

お金を持つようになって、お金持ちの方とお会いして「え、こんな人が金稼いでるんだ」って、僕はすごくショックだったんですよ。

この人たちより僕の方が絶対すごい。なんとかして、この人たちよりも優れてるっていうことを証明できないかなって思ったんですけど、ビジネスの世界で、僕が彼らより優れてるものって何もなかったんですね。経営をする力、お金を稼ぐ力、営業をする力、僕よりすごい人、めちゃくちゃいたんですよ。

ただ1個だけ、「ここ負けねえんじゃねえかな」というところがあったんですね。それが、僕の雰囲気とオーラと表現力だったんです。これは、たぶん隣に、孫正義が座っても、勝てるんじゃねえかなと思ったんですね。となると、「芸能界か」とちょっと思ったんですよ。

ただ、日本の芸能界は、ちょっと枕の香りがしたり、政治の香りがするんで、「ちょっと日本の芸能界はな」と思ったんですよ。

そんなことを考えていたときに、たまたま僕の友達に、アメリカでチアガールに挑戦する女の子がいて、ロサンゼルスのLAクリッパーズとかってわかります? あと、レイカーズっていう。そこのチアガールに挑戦してるファイナリストに残ってる女の子がいたんです。

その子と日本でご飯を食べてるときに、彼女がふざけて、僕アッシュって呼ばれてるんですけど、「アッシュも、LA来ちゃいなよ」って言ったんです。「いや、お前LAなんて……アリだな」と。

(会場笑)

「アメリカは、考えてなかった!」と思ったんですよ。

(会場笑)

よし行こうと思って。それからワクワクがとまらなくて。気付いたら、辞表をだして。支社長も引きとめようとはしたと思うんですが「何をするつもりだ」「俳優です」「うんうん」ってなりました。

(会場笑)

言葉の壁を“完コピ”で乗り越える

それから、アメリカに行くことになったんですけど、僕は英語喋れると思って、行ったんですよ。一般受験で慶應に入ってるので、慶應に認められた英語力だと思って。

(会場笑)

スポーツ推薦と思われがちなんですけど、一応一般入試で入ってまして。一般入試で入っていって、慶應に認められた英語力があるから、英語喋れると思ったんです。アメリカ行ったんです。なにも聞き取れなかったんです。帰国子女の方って、いらっしゃいます?

僕、最初向こうに行ったとき、「I’m gonna do that.」って聞き取れなかったんですよ。これみなさん、わかります? 「I’m gonna do that.」これ、日本英語にすると、「アイアムゴーイングトゥードゥーザット」ってなるんです。「やるよ」みたいな。これカリフォルニアだと、「I’m gonna do that.」って言うんですよ。「え?」。

(会場笑)

「アイアムゴーイングトゥードゥーザットって言ってくれよ」っていう。もう俳優としては、致命傷なわけです。もう英語を喋れないってことに気づいたんです。それから、がんばって英語を勉強しようと思って。

僕、向こうでルームシェアだったんですね。ルームシェアのルームメイトが、アメリカ人の黒人だったんです。

彼にずっと僕は英語を教わっていて、その黒人と仲良くなって、オーディションとかも受けることになるんですけど。オーディションはモノローグだったんですね。要は、一人芝居。一人芝居っていうのを、コメディっていうおもしろい系とドラマっていうシリアス系、これ両方やるんです。

この演技の両極端を見るっていう、それが向こう主流のオーディションなんですけど。とりあえず、本屋があるから、本屋で脚本を自分で買って、自分の好きな脚本でいいから、「モノローグ、一人芝居をやれ」って言われたんです。脚本を買ったものの、わかんないですよね。とくにコメディなんかわかんないですよ。

一応全部英語を日本語訳にして、全部理解するじゃないですか。「これ、どこがおもしろいんだ」っていう。アメリカ人のツボがぜんぜんわかんないんですよ。でも、やるしかないと思って。コメディもドラマもずっと、がんばってやって。

これやっぱり発音がよくないと難しいんで、ルームメイトの黒人の部屋にお邪魔して、「ちょっと、お前これ全部喋ってくれ」と。僕がさっき、プルデンシャルで感じた「完コピすればいいんだ」と。この黒人が言ってるテンポとか間とかって、すべて完コピしたら、これはもうアメリカ人だと思ったんですね。

僕はその彼の喋りを、そのときiPhone4sぐらいだったと思うんですけど。そのiPhoneで、彼の声を録音して、ずっと自分の部屋に帰って、同じ反復を繰り返すわけですよ。まったく同じ英語に聞こえるように。意味がわかんなくても、ずっと聞くんです。それをずっとやって。

それで、オーディションがあったんです。オーディションに、僕はぜんぜん知らなくて、太ったおじいちゃんがいたんですね。カーネル・サンダースかと思ったんですけど、そしたらそのカーネル・サンダースみたいなおじさんが、ダイアナ・ロスとかアル・パチーノとかを監督した、すごい巨匠の映画監督で、その方が僕のオーディションを見てて、「君すばらしい」。

(会場笑)

「君すばらしいから、僕が今書き終わった舞台に入れるよ」って言ってくれたんですよ。「君は、本当にすばらしかった」。「ところで、君の英語は、なぜそんな黒人なまりなんだ」って言われたんですよ。

(会場笑)

ぜんぜんわからなくて、アメリカンフットボールやってると、アメリカンフットボール選手全員黒人なんです。ほぼ。だから、聞いてる英語も黒人だし、ルームメイトが黒人だし、黒人こそアメリカ人だと思ったんです。

(会場笑)

例えば、白人だったら、「What’s up?」は、「ヘイ! ワッツアップ?」ってなるんですよ。でも、黒人なまりだと、「エイズァー」ってなるわけですよ。

(会場笑)

人から生まれる不幸をなくしたい

そんな感じで、オーディションやってたんですよ。日本に帰ってきて、いろいろ感じることがあって、会社を立てたんですね。

なにかっていうと、アメリカに行って、アメリカがわかったんじゃないです。アメリカに行って、日本のことがすごくわかりました。僕が今なにを思ってやってるかっていうと、人から生まれる不幸をなくしたいなって、すごく思ってるんです。日本だと自分がやりたいことをやろうとすると、すげえ批判されるんですよ。

じゃあ、今度自分がやりたくないことをやるじゃないですか。すげえ、褒められるんですよ。こんな世界、おかしくない? 僕ぐらい「うるせえ、だまれ、このやろう」ぐらいの気持ちでやってれば、なんとかなるんですけど、ちょっとでも勇気がなかったりすると、けっこう不幸になると思うんですよね。

じゃあ、それは、なにで解決するかっていうと、僕は、愛っていう考え方かなって思ってるんですね。

僕が思う愛っていうのは、等身大をさらけ出す勇気、そしてそれを受け止めてくれる勇気って、その両方がないと、人から生まれる不幸はなくならないと思って、そんなことが実現できるようななにか仕組みが作りたいなと思いました。

なんでそれを会社にしたかっていうと、自分がやりたいことやるための資金源として、借金ができるっていう。それだけです。あとは、なんかかっこよさそう。そんな感じです。ちょっと時間もないので、最後にどんな仕事してるかっていうと。

芦名表参道っていう、すごくスタイリッシュな会社なんですけど、いろいろやってます。今度個展を開きます。僕はすごく今まで自分の言葉に自分も助けられてきたんで、そういう人を勇気づけるようなものを会場に展示して、会場は全部真っ暗です。みなさんに、ペンライトをお渡しして、そのペンライトで見ていただく。

集まったみなさんの勇気っていうのが、蛍みたく美しく会場を照らしているっていう。そういう言葉のアートというのをやろうと思います。あとは、音楽活動を、これからやっていく。あとは、Yourselfっていうのは、着飾ることがかっこよしじゃないっていう。

「お前で勝負しろ」っていうキャッチコピーで、すごくシンプルなアパレルを展開していく。まずは、トークライブとかを、たまにやってます。あとは、芦名表参道っていう和菓子屋さんを、今年の秋ぐらいかな。和菓子屋をやっていきます。どんなコンセプトかってのは、追々お話します。

SNSチャリティーっていうのは、僕は情報をお金にするというのは、僕はちょっと反対なんですね。めちゃくちゃいい情報だったら、多くの人間に絶対届くべきだって思ってるんで、途中で「こっから有料です」って言われたら、僕はすげえムカつくんで。「それは無料にしろよ」って、僕は思うタイプなんですね。

だから、僕からの情報っていうのは、全部SNSで無料でバラまいてます。あとは、コミュニケーションデザインっていうクライアントをもった、ちょっとどうやってうまく広告コミュニケーション、プロモーション、ブランディングやっていきましょうか、SNSをどう使っていきましょうかっていうことも、お手伝いしながらやってる。

そんな感じです。最後に今日、ちょうど芦名表参道のホームページがリリースされまして、僕のFacebookとかTwitter、Instagramからリンク飛べると思うので、もしよかったらチェックしていただければと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

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