2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:続きまして、ゲストプレゼン第2弾といたしまして、dely株式会社代表取締役の堀江さまより「高エンゲージメントを生み出す動画とその秘訣」についてお話しいただきます。それでは、堀江さま、よろしくお願いいたします。
堀江裕介氏(以下、堀江):はじめまして。dely株式会社の代表の堀江と申します。
私たちは「KURASHIRU」という料理動画で今、国内最大のシェアを持っているメディアを運営しております。Facebookなどでこういった動画を見かけることが、ここ1年くらいで急激に増えたと思うんですが、今、料理動画のなかではかなり見ていただいているんじゃないかと思います。
(事例動画流れる)
こちらはヤマサ醤油さんの商品をネイティブアドとしてやらせていただいたときの動画です。
今日はエンゲージメント率というテーマだったんですが、再生回数が51万回で、「いいね」も1.4万くらい付いていて、実際にユーザーさんにアクションを起こしてもらって、かつ、これが終わったあとにアプリ内で写真を投稿していただいたり、そういったアクションが非常に多かった動画です。
うちの動画に関しては、2016年の2月から始まったんですけれど、実際にどんな会社なのかを、ご説明させていただきたいと思います。
2014年創業で、(KURASHIRUを)2016年に始めたということで、その間なにをやっていたのかというと、その前は料理のデリバリーのサービスを渋谷でやっていました。本当にお弁当屋さんみたいなことを学生のときにしていました。
そのサービスがあまりうまくいかなくて、その後、空白の1年があって、この料理動画のサービスを立ち上げたのが2016年です。「食」、料理について、家庭のなかで実際にアクションしてもらって、いかに簡単にどんな料理でも作っていただけるような状況をつくるかということが、僕たちにとってかなり大事です。
ビジョンとしては、「70億人に1日3回の幸せを届ける」。今は国内集中でやっているんですが、動画ということで将来的にはグローバルも見据えて、動画を見るだけじゃなく、その後に家庭でつくってもらって、それで家庭内で幸せが広がるようなメディアを作っていければという思いで、運営しています。
僕たちは、KURASHIRUという食が専門の動画をやっているんですけれど、実は、2016年に始めた際には、最初は「kurashiru」というアカウントでアニマルとか、ニュース系のサイトとか、いろいろなジャンルの動画メディアを運営していました。いろいろなジャンルの動画を作っていたので、料理以外のこともかなり知っているつもりです。
では、そもそもなぜ僕たちが動画ジャンルのなかから「食」を選んだのかということですが、もともと動画の市場が伸びていたというなかで、これからなにをしていこうかと思ったときに、とりあえず全部試してみたんです。
それで、このなかから何を選べばいいかなと思った時に、今回のテーマである圧倒的なエンゲージメント率というところで、「食」が非常に高かったんです。
あともう1つ大きな理由としては、ネイティブアドが非常になじんだということですね。実際、僕たちは過去に記事のメディアをやっていたこともあり、そのときに大きく感じていた悩みが、昨年よく言われていたいわゆるステマとかいう問題。メディア側としてネイティブアドを行なう際に、コンテンツと記事の内容を、いかにうまくPRしたかたちで、さらにユーザーさんに楽しんでもらえるか。
こう考えたときに、「これがクライアントのコンテンツだとしてもまったくユーザーさんにとっては害じゃないな」と思えるコンテンツを作れたのが食でした。先ほど見ていただいた動画もそうです。
美容やデバイス系のメディアをやっていたときに感じたのは、やはりふだん発信している情報はおもしろいんですけど、それが広告になった瞬間に広告色が非常に出てしまうということです。
では、いかにそれをなくして、PR記事、PR動画になった際にもユーザーさんが最後まで見てくれるコンテンツがなにかと探し求めていたときに、料理に絞ろうと決断しました。
僕たちがふだんどういったフローで制作しているかというと、今KURASHIRUには専属料理人がいます。彼女たちは栄養管理士だとか、東京の有名なイタリアンで働いていたとかそういった方々で、もともとはKURASHIRUをユーザーとして見ていてくれていた方々をスカウティングして、来ていただいています。
人材採用サイトで採用したのとは違って、KURASHIRUのことがそもそも大好きなユーザーさんに来ていただいているので、彼女たちが食材をなににするかを考えたり、今の旬はなんだろうとか、クライアントのコンテンツに対して最後まで見たいコンテンツはなんだろう、今のブームはなんだろうと、レシピから考えてくれています。
月間の制作本数に関して、けっこう自信を持って言えるのが、今1,000本オーバーの動画を作っているんですけれど、たぶん料理動画に関しては世界で1番うちが作っているんじゃないかなと思っています。オフィスの中もたまに納豆のにおいがしたり、いろんな料理が置いてあって、1日50本から60本制作しているような状況です。
その作った動画を1週間ほどで配信までもっていくんですけど、うちはSNSを初期にやっていました。ただし、SNSだけだとやはりクライアントさんにも積み重なるようなものがないし、僕たちとしては、拡散だけではなくて、いかに本当に作ってもらうところまでいくかということがテーマとしていたので、そのビジョンを追いかけると、やはりアプリは必要だよね、ということで、2016年の5月、SNSをリリースした4ヶ月後くらいにアプリを作りました。
先ほどから何度も言っているように、作りやすさに特化した料理動画サービスということで、本当に次のアクションにつなげてもらうことを僕たちは追求しています。
(スライド)左が先ほどのヤマサさんの動画ですが、今回の話でいうと、単純に醤油を使うだけだとおもしろくないので、肉を炊飯器で調理して、それに醤油で味をつけるといったことをしています。
どういうネイティブアドかというと、ここにあるように商品の映り込みをさせたり、最後にロゴを出したり、非常にCMに近いかたちです。しかし、1番最初に僕たちがこのコンテンツを配信して感じたのは、FacebookやInstagramで配信したり、Twitterでも配信したりはしているんですけれど、それだとなかなか作ってもらうところまでは難しいなということです。
実際に数字はどうなんだという話になるんですが、SNSで配信した場合、再生完了率はだいたい30パーセント前後だったんですね。
ただし、うちのアプリ内には検索機能があるんですけれど、アプリをみるときのユーザーさんはそもそも作るという目的で、辞書を見に来ている感覚、料理の百科事典を見に来てくれるような感覚で来ているので、再生完了率が平均で50パーセントから60パーセントになります。これはネイティブアドのコンテンツと、ふだん配信しているコンテンツとで、まったく変わらないくらいまでのパーセンテージに再生完了率を高めたうえで配信できた事例です。
(スライドを指して)これは80パーセントぐらいの方が1番最後まで見てくれました。
Facebookでは視聴再生というカウントをクライアントさんに報告するときに、3秒以上再生がされたらカウントとしているんですけれど、これは僕はちょっと違うんじゃないかなと思っていて、実際に最後まで見てくれて次のアクションに起こしてくれる。
とくに食の場合は、C Channelさんのように、例えば化粧品を買ってもらうみたいなアクションではなくて、クライアントさんが求めているのは実際作ってもらうとか、棚に置いてほしいとか、いかにリーチさせるかというところだったんですよね。となると、SNSではいかに多く拡散するか。
クライアントさんのもう1個の課題としては、商品の新しい使い方を提案してほしいということで、今でいうと、レシピのタイアップコンテンツや、あとはレシピを配信した後にたべれぽをユーザーさんにあげてもらうというアクションをしてもらって、クライアントさんに対してユーザーさんが実際にこんなふうにレシピを投稿してくれましたよと報告するようにしています。
今、SNSはFacebookとInstagramを合わせて140万。視聴完了率がだいたい30パーセントぐらいのほうですね。
アプリに関しては、視聴完了率が50パーセントから60パーセントということで、非常に高いエンゲージメント率を出しています。
アプリを開くと1番上に自動再生の動画が入っているんですけれど、そこでもこれくらいの再生完了率が出ているので、クライアントさんには1番上の自動再生の、ここにCMを入れるとか、後は僕たちが作ったコンテンツをここに入れるとかを推奨して、今年のメニューとして推しています。
月間では、約1,400万(重複あり)にリーチさせていただいているということです。
では、どういった方が使っているのかというと、やはり料理ということでかなり女性が多いです。都市部の方が多いということもあるんですけど、人口的にも25才から34才の女性、もしくは35才から44才くらいの主婦の方が、僕たちのイメージとしてはかなり多いです。
けっこう食のクライアントさんが抱えている課題としては、商品の購買をネットでおこなってもらいたいと思ってない方が非常に多くて。例えば、そこで1,000個醤油が買われたとしても、クライアントさんとしてはまったくペイしない。
いかに商品の認知度をあげるか、いかにリーチを増やすかというところと、さらに実際にSNSとかで作ってくれたところを動画であげてくれたり写真であげてくれたり、そういうユーザーアクションのところをとりたい、ということがクライアントさんからの宿題としていつも与えていただいているところです。
では、僕たちがアンケートをとった結果、実際に87.4パーセントの方が「KURASHIRUの動画を見たあとに食材を買いに行って料理を作ったことがある」ということです。
これは僕たちとしては、思ったよりも多いなという結果です。たしかにまだまだ動画や写真でSNSにあげられない方もたくさんいて、たべれぽを投稿している人以外にも、潜在的にたくさんの方が作っていただいているということが、僕たちとしてもわかりました。
では、僕たちがどういった市場を狙っているかというと、AbemaTVさんやC Channelさん、いろいろなメディアと一緒に、僕たちがモバイル動画で、テレビCMの次の市場を作っていこうという1つの市場が、モバイル動画市場です。そしてもう1つが、競合他社になってしまうんですけれど、クックパッドさんの動画版というところ。これが僕たちが大きく狙っている市場です。
オンライン用に動画を作り変えるべき理由というものがあるんですけれど、先ほども申し上げた通り、テレビCMで使った動画をそのままアプリ内で使いたいという要望もよく受けるのですが、実際に僕たちがおすすめしているのは、「モバイル用に動画を作り変えてください」ということです。
僕たちはここで儲けようとはしていません。実際に制作単価も1本数10万円単位で作れるようになっていて、僕たちとしては本当にユーザーさんにアクションを起こしてもらうとか、リーチをするか、テレビCMと同じようなことをしたいんです。
テレビCMと比べて圧倒的にコストが低くて、先ほどのヤマサさんの動画は、SNS、Facebook、あとはアプリ内で100万再生以上出ているんですけれど、そういった動画をいくらでできるかと言うと、制作も含めてだいたい200〜300万円くらいのコストでできる時代になっています。
制作から拡散まで、すべてをKURASHIRUでどうやって完結させているかというと、先ほど書いてあったように、ふだんは専属の料理人がレシピを考案して、これを絵コンテという状態でクライアントさんに1回投げます。
そのレシピ案を気に入っていただけた後に僕たちが撮影するんですが、まだまだ動画市場ができあがっていないので、一緒にクライアントさんにオフィスに来ていただいて、料理をしているところを見ていただいたりしています。今日もやっていたんですけど、そうするとやはり安心して動画の配信までできるので、一緒に見てもらうということを最近はよくしています。
作った動画を拡散、そしてデータを分析して、「では、次回のシーズンは、こういった動画を作りましょう。あと、アプリ内の検索データでは、例えば6月には『ナス』という検索キーワードが非常に多かった。実は、かけあわせで『ナス かつお節』というキーワードが多かった。だから、来年はこういうテーマで配信するべきじゃないでしょうか」と、そういったデータをクライアントさんに提供して、分析、そして次の制作につなげています。
これはうちの強みでもあって、アプリの中でどういう動画がよく見られているか検索もできて、その検索データをクライアントさんに提供しつつ、次のシーズンの流行りはなんなのか、どういった動画が見られるのかとかいうことを、僕たちとして提案させていただいています。
すでに、ネスレ日本さん、カリフォルニアプルーン協会さん、キリンさん、などいろいろなクライアントさんにお取組みいただいていて、リピートいただいている企業さんも数多くいます。
実際、拡散力がどんどんマスに広がっていまして、テレビで取り上げられて、うちの料理人さんがプロの料理人さんと対決するとか、日経さん、『とくダネ!』さんと本当にどんどん家庭に広がっているなと感じるような取り上げ方をしていただいております。
(スライド)これが今のいろいろなメディアのデータなんですが、実際に僕たちが今後動画市場を作っていくうえで指標にしたいのは、あくまで視聴完了数です。うちは視聴完了率が、ずば抜けて高いと思っています。
これは、SNSというのはたまたまフィードに流れてきた動画を目的なく見る、だから視聴完了数はかなり低くなってしまう。だいたい20パーセントから30パーセント。ただしうちのメディアは検索をして、さらにそこから作るというところまでいくので、50パーセント以上の人が再生完了しています。さらに言うと、制作本数が1日50本、60本。これはなにをやっているかというと、「バズる動画」から「実際に作られる動画」に移行しています。
ということで、実際にバズる動画というのは作りづらいものが多いんですけど、僕たちはユーザーさんの検索に対応するために、「カレー」とあったら、ただ単にカレーが見たいんじゃなくて「10種類のカレーのなかから選びたいよね」「家庭でよく作るカレーも見たい」、ということで、バズる動画という観点から抜けて、検索に対応できる、ユーザーさんが満足できるコンテンツを、本当に今年にかけて一気に配信していこうということで、これだけたくさんの動画を作っております。
最後になぜ僕たちがアプリをはじめたのかということをまとめると、1個のプラットフォームにトラフィックを依存してしまうと、「じゃあ、Facebookがなくなった時に僕たちはどうなるの?」「Instagramの流行がなくなったときにどうなるの?」という話がある。
もう一方で、アプリがあることによって、検索機能が付いたり、お気に入り保存、ユーザーのアクションが見られる、たべれぽ投稿機能がある。
こういったことで、より深い、SNSで取れないデータを取ることによって、言ってしまえば僕たちは食のGoogleみたいなことをやっているので、クライアントさんに対して僕たちのデータを提供することによって、実際に拡散するだけじゃなくて、次の商品開発にも活かしていただけますし、どういう方がどういう料理を作っているというところまで見ていただくことが可能です。
ということで、僕たちのメディアのご説明はこれで終わりになりますが、この後も引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。
(会場拍手)
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