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PremiumSeminar」(全5記事)

「ゲームって、社会にとって害じゃないの?」に対する南場智子氏の回答がすばらしい

DeNAが開催するビジネス向けサマーインターンシップ「StuDIG」の説明会にて行なわれた、南場智子氏とインターン経験者によるディスカッションを書き起こし。プログラム内で行われる新規事業づくりの現場や、内定者自身の企業判断軸などについて、赤裸々に語られた。(StuDIG説明会「PremiumSeminar」より)

DeNAにおける"本気"の濃度

南場: 3つめの質問は、尊敬する先輩はどういう人がいるか。

宮川:DeNAの社員に対してどういうイメージを持っているかと、尊敬しているかってことですよね? まず、さっき中島さんも言ってましたけど、いろんな人種がいるんです。そしてみんなそれぞれの仕事の、ゲームだったらゲームだとか、各々の分野に対してマジで本気なんですよ。

例えば「お菓子をモチーフにしたゲームを作ります」っていったら、その場でお菓子買ってきてずっと眺めるみたいな。

(会場笑)

でもそれも結局、どうやったらリアルな質感を出せるのかってことを本気で、かなり細かく考えている。それを眺めているのを見て、やっぱすげーな、みんな本気だな、と思う。

何かのテーマに対して議論をすると、溜まりに溜まってるものが全部溢れ出てくるかのごとく、本気の意見が返ってくるんですよ。そういう環境で意見を交わしていると、本気なんだなこの人、って思い、その瞬間に尊敬します。

あとは責任を持って……目標を追っかけることも本気ってことなんでしょうけど、その責任の持ち方も生ぬるい感じじゃなくて、「俺が全責任を持つ」と。もうなんか、気持ちいいじゃないですか。女性から見ても男性から見ても、そういう人ってすごく輝いて見えますよね。だからそういう人がいっぱいいて、そういう人を尊敬しますね。

一生懸命になれないことのほうがカッコ悪い

徳田:まずDeNAの社員の人たちに対する印象なんですけど、StuDIGの前後で変わりました。StuDIGの前はいろんな情報を先輩やいろんな方から聞いて、どうやら頭がキレキレな人が多いらしいと。そういうイメージだけついてたので、ちょっと冷たくロジカルに物事をバッサバッサ切っていくような人が多いのかなと思っていました。ところが、StuDIG通して、その後僕はけっこう進路に悩んだりしたこともあり、いろんな社員さんに会わせてもらう機会がありました。

その中で、一番自分にとってのギャップで、意外だったのが、もちろん頭は抜群にいいんですけど、同時に自分が取り組んでいる物事や仕事に対する熱量を、凄く高い温度感で持っている人がめちゃめちゃいることです。

僕が会った人は全員そんな人でした。それが僕はすごく嬉しいというか、すごく心地よくて。もちろん頭が良くないといけないと思っているし、でもただそれだけじゃなくて、今自分がやっている仕事を世の中に対して発信して、もっともっと大きなインパクトを残していこうとすることに対する本気度とか熱量がすごく高いっていうのが、DeNAの社員の方々に対する僕の印象です。

プラス、どういった人を尊敬するかについては、それこそ「誰が言ったかではなく、何を言ったか」というところで、自分の意見に対して正しい否定をする、物事を最終的に自分たちが見据えてるゴールに対して、それが違うんであれば違うし、正しいんであれば正しいと、相手が誰であっても伝えることを徹底している人を尊敬します。

例えばStuDIGでもあったんですが、StuDIGの最終日、の前日ですね。夜中ずっと、チーム4人とメンターの方2人と一緒に、計6人でプレゼン資料を一緒に作っていました。その中で僕らがやりたかったことと違ったことをメンターの方が書いていたんです。

僕が「それちょっと違うんですけど」というようなことを言っても、ちゃんとその人は僕の意見をよく聞いて理解するし、僕らが一緒に作っているという意識があるからこそ、その人なりの視点で、僕らのやっているプランをブラッシュアップしようと意見を出してくるってことも多々ありました。そういった考え方は全社員に徹底されているのかなと。僕はそういう人を尊敬していますね。

南場:一生懸命とか熱量とか情熱という言葉は、ちょっとカッコ悪いと思うかもしれないけど、私は逆に、物事に一生懸命になっている自分が認められない、斜に構える行為っていうのが、すごく子供っぽいことだと感じます。

「何かに一生懸命になる」っていうことをオープンにしようと私も心掛けています。とにかく精一杯やってダメだった時のために、保険をかけるようなことも嫌だし。

DeNAって、二番煎じばっかじゃないの?

南場:今(2人の)話を聞いてて、良いことばかり言っていて気持ち悪いな、と思った人もいるかもしれないので、2人に聞いてみます。DeNAの、あるいはStuDIGのここが良くないとか、これ変えたい、期待ハズレとか、自分はここを良くしてやるんだとか、こういうやつ気に入らないとか何でもいいんだけど。

あまりポジティブな話ばかり聞いてると、いや、私はほんとに頼んでないですよ。良いことしか言わないでね、とは言ってないんだけど、でもそういうふうに聞こえないかと思って。気がついたことを言ってみて下さい。

宮川:実は僕と徳田って、内定出てからセブ島へ2週間の語学研修に行かせてもらいました。ちょうどこの2人だったので、そこが僕らのはじめましてだったんですよ。StuDIGの時は別のチームでした。で、セブで仲良くなったんです。その2週間、ひたすら「DeNAってさ、なんでこんなに二番煎じ感MAXなんだろうね」っていうのを2人でトコトン話してたんですよ。毎晩毎晩。

南場:なんだ、セブ島が酷かったっていう話かと思った(笑)。

宮川:いや、環境は酷かったですよ(笑)。

南場:で、二番煎じ感。なるほど。

宮川:この中でもうちの事業をちょっと知ってる人だとわかると思うんですけど、他社がやってること、例えばLINEがこれだけ普及していて、でうちはcommってやってるじゃないですか。コミュニケーションツールとして持ってますが、LINEのほうが圧倒的に勝ってますと。それも、二番煎じなんじゃないの? って言われたら確かにそうで、その通りですね、という話になる。

開発してる方の思いとかももちろんあると思うんですけど、ただ、僕ら2人がセブ島の時にずっと語り合ってたのは、そこは俺らで変えてやるんだと。僕らの代で変えてやるんだってことは熱く語ってましたね。

南場:頼むよ。

(会場笑)

宮川:あと、南場さんと今、週1でミーティングしているプロジェクトがあるんですけれども、一番最初、南場さんがまさに今日みたいな感じで「おつかれ。人生どう?」みたいな感じで部屋に入ってきて、うちってこういうふうな会社だよね、って話をしました。例えばR天さんのように、構造的に強い事業はうちにはまだない。

ただ、そういう事業はないけれども、世界で1番だって言い切れるものがうちにはたったひとつだけあると。それは間違いなく、社員たちの人材力だと。それは間違いなく世界一だって自信を持って言える、って南場さんが言ってて、なるほど! と。それを今までこのディスカッションでも言ってきたように、僕らは散々感じてきているわけですよ。それは間違いないなと。

なのであれば、パイオニアになれるような事業も作れると僕は信じてるし、そこにワクワクするっていう感じですかね。

南場:なるほど。早く入って来てよ。今何月? 6月? はー、あと10ヶ月か……。

構造的な強みがないのがおもしろいところ

宮川:あとは「MYCODE(マイコード)」。遺伝子検査サービスも似たサービスもう出てますよね。

南場:MYCODEは、どんどんオリジナリティ溢れるものに進んでいきますから、そこは任してほしいんだよね。

宮川:「宮川が言ったように二番煎じだよね。そんな会社に行きたくない」と思う方も中にはいるかもしれないんですけど、じゃあ逆に皆さんに聞きたいのは、「出来上がったところに行くのはワクワクするんですか?」っていうのをすごく思っていて。僕は全然ワクワクしません。逆に未完成なほうだったり、俺らの代、俺がこれを変えてやるんだ! って環境のほうが皆さん、ワクワクしません? っていうふうに僕は思っています。僕の身近にはあんまりそういう学生がいなくて……。

南場:いやいや、ここで聞きましょう。誰か宮川に挑戦状を叩きつけて。

(会場笑)

南場:さっきのR天の話は……もちろん匿名希望の、まあ楽天さんですが。

(会場笑)

南場:例えば、楽天のビジネスモデルはやっぱりめちゃくちゃ強いですよ。楽天市場というビジネスモデルの新しさや古さを超越して、盤石な経済圏をすでに作っている。

一方DeNAは、構造的な強みを作れてない。それが我が社にとってのおもしろいところっていうか、足りないところ、悔しいところ、全然まだまだなところ。それを一緒に作ろうっていう仲間探しですね、採用というのは。

「DeNA? なにそれ?」という現実

徳田:具体的なことを全部宮川に言われたので、これっていうことは今は言えないんですけど、抽象的な話をすると、僕がStuDIGをはじめいろんな社員と会っていろいろ聞いてみて、「もったいないな」っていう感覚がすごくあって。

どういうことかっていうと、さっき言ったようにここの会社にいる人って本当に優秀なんだとか、目指している世界があるとか、実現したいことがあるとかっていういろんな想いを持ってここにいて、恐らくそれを実行できる能力を持った人がたくさんいるなってのをすごいたくさんの人に会うなかで感じていて。

たださっき言ったように、事業として核となるものってのもまだあまり無い気がします。今会社として掲げている「グローバルナンバーワン」のインパクトを出すサービスがあれば、恐らく日本中の人はほぼ使うだろうし、世界の中でも多く使われるサービスになって、DeNAの存在が多くの人に知られることになると思います。

ただ現時点で、僕の身近な人に「DeNAに行くことに決めました」って言っても……。野球選手として採用されたのかって本気で聞いてくる奴がいたりしたわけですよ。そういうのってちょっと悔しいなって思って、DeNAってほんとに良い人材もいるし、出してるサービスもいろんなものがあって、価値があると思えるものもたくさんあります。

あるんだけど、実はあんまり知られていないし、みんなに使われていないっていうことは「グローバルナンバーワン」のインパクトっていうのは実はまだ出せてないんじゃないかなとか、でもそれを出せる人が集まってるはずなのにな、とか、そういうもどかしさ、悔しさみたいなものがあります。

南場:そう、悔しい。今週わたし達、焼き肉行くよね。明日か。そこで話そう。そうなんです、そこでね、私はビジネスの議論をしたい。

ゲームは人にとって害か?

南場:他なにかある? 聞きたいこと。

質問者:私が知りたいのは、どういうモチベーションで仕事に臨んでいるかっていうのと、なんでDeNAとして世界にインパクトを与えたいのかっていうことです。なんでかっていうと、DeNAっていうのは、私のイメージでは『怪盗ロワイヤル』とかモバイルゲームで大きくなった会社だと思っています。私はそのモバイルのゲームについて、もちろんゲームをやることでクリエイティブな人も出てくるだろうし、雇用も創出してるし、新規事業として価値も生み出してるし、いい面も確かにあると思うんです。

でも、日本の全国民的に見たら、多分ユーザーの割合は日本人が多いと思うんですけど、マイナスの側面で捉える人も多いかなと思っていて。例えばそれは「このタイミングでこのアイテムを出せばこいつは買うぞ!」っていうデータを解析してやっているわけじゃないですか。その人の人生が変わってしまう可能性もあるし、その人の思考力を奪っているっていう可能性もすごくあると思っているんですね、正直。

そういう事業をする一方で、さっきの初等教育を変えたい、っていうような想いもあると。そういういろんな事業があるなかで、本当に自分がやりたいことをDeNAで出来るのかとか、私から見ればそういう矛盾を抱えている企業なんですけれども、そのあたりを社員の方はどのように考えているのかを聞きたいです。

南場:我が社は、ゲームだけをやる会社じゃなくて、基本的にはみんながビジネスクリエーター、サービスクリエーターになれるステージを用意している、そういうチームでありたいと思っています。

そうは言ってもですね、ゲームについてどう思うかというと、私はなんの曇りもなくゲーム大好きなんですね。ゲームがないと生きていけないし、いま私DeNAランキングで1位のゲームもあります。

(会場笑)

ゲームって、むちゃくちゃ刺激的で面白いと思っています。それが、ソーシャルゲームっていうとイメージが悪いけれども、ネット環境が進化して、ローカルでやるのではなくつながりながらできるんだったら、それはつながってやったほうがもっともっと面白いよね、というのがソーシャルゲームだと思います。

私みたいにゲームが好きな人はゲーム事業部をやればいいし、君みたいな人はゲーム事業部に関わらなくてもいいと思うんだよね。自分のやりたいことが実現できるプラットフォームがDeNAです。

ゲームが子どもたちにもたらす良い影響

南場:私は「ゲーム」って言っただけで「ええ? ゲーム?」っていう人がいることは悲しいです。で、教育と医療って言ったらみんなすごい喜ぶわけ。もう二度と遊ぶなよ、って思っちゃうわけ。マンガとかゲームは大切な大衆文化です。

一昨年、アメリカで『キッズ・アー・オールライト』っていう本が出たんだけど、子供を片方はインタラクティブなゲームをやっているグループとやっていないグループの2つに分け、皆をフィールドに連れて行って作業してもらうという比較実験をしたら、ゲームをやっている子供のほうが、圧倒的にチームワークとパフォーマンスが高かったという報告がなされました。この本を読んだ親たちから、ほっとしたという喜びの声が届いたと著者から聞きました。

ただ我々事業者は子供たちが課金をしすぎないように、可能な努力を行う義務があると思っています。ゲームについて中島の意見は?

韓国の人気職種1位はゲームクリエイター

中島:まずゲームのところからいくと、私は去年、韓国や中国、あとシンガポール、ベトナムの拠点を担当してたんですね。そこのメンバーといろいろ話したり、サービスを提供する先の現地の人たちと話をしたときに、「何やってんの?」って聞かれて、「ゲームの事業やってるんだよ」って話をすると、すごい羨ましがられたり、尊敬されたりするんですね。あまりにも日本の反応と違うから、ちょっとこっちが戸惑うくらいで。

南場:そうだよね。アメリカやEUも日本とは違うよね。

中島:そういったウエストの世界も含めて、「ゲームのクリエイターなんだよ」って言うと超尊敬されるっていうか「凄いねキミ! クールだね!」みたいな。

南場:韓国ではなりたい職業の1位だと聞きました。

中島:韓国のなりたい職業ナンバーワンはゲームクリエイターなんです。日本の中のその感覚は実はちょっと偏ったものなんだな、っていう考えを持たなきゃいけないっていうのは、感覚的に思いました。個人的におもしろいと思うのは、なにか世の中の問題を解決してるとか、新しい楽しみを提供しているとか、なにかイノベーティブな事を起こすから世の中にインパクトを与えられることができて、その時ってけっこう、「なんか、人生楽しいな」みたいな感覚があって、その感覚ってすごいエキサイティングなんですね。実際に世の中に変化を起こせたりすると。

例えば、ゲームをグローバルに出してみましたと。そうすると、いきなり何百万、何千万人の人が使ったりって、ものすごいことなんですよね。今までそんな現象って起こったことがなかったんだけれども、それがモバイルインターネットがつながって、世界中の人が端末を持って、新しい趣味をみんなで共有しながらワイワイやってる、みたいなところをクリエイト出来るっていうのは、やってみると純粋にすごく楽しいです。

今の話はゲームだったけれども、全然違う領域のEコマースでも、全く新しい楽しみ方や価値観の提供があると思うし、例えばそれが農業でもいいし、介護でもいいし、世の中の変化や進化に自分が働いた時間をレバレッジして、世の中に影響を与えられるっていうことが、働いているモチベーションかなと思います。やっぱ楽しいんですよね。

ゲームにこだわりはない

南場:この価値観を別に押し付けるつもりではありません。例えば、我が社はEコマースで始まった会社なんだけど、うちの凄腕エンジニア達にいつプログラミング覚えたのって聞いてみたら、だいたい小学校の時からゲーム作ってたってやつが多いことも事実です。

ただDeNAっていうのはさっき言ったように、ひとつの領域に囚われないって良さがあるんですね。ゲーム嫌いな人がいて、ゲームやっている人を「お前なんかウンチ」とは言ってほしくないんですよ。そうじゃなくて、違う領域で、例えばヘルスケアとか教育とかでも当社は攻めてますから、それを全力でやれば良い。ステージを選んで輝いてもらいたいと思います。

中島:人それぞれだと思います。私は基本的にはジャンルフリーなんですね。このジャンルじゃなければダメとか、逆にこのジャンルは嫌とかもない。そういう人もいますし、エンターテイメントのなかでも特にゲームを人生のテーマとして選びたい、って人も来てもいいと思うし、ゲームはちょっとピンと来ないんです、でも違うところでイノベーション起こしたいんですって人も全然社内にたくさんいるし、そこら辺はあんまりこだわってなくて、人それぞれでいいんじゃない? って感じがしますね。

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