2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小泉文明氏(以下、小泉):メドレーはどうですか? マーケティングの変遷などで。
石崎洋輔氏(以下、石崎):やっぱり4つ事業があって、各ステージもバラバラなので、本当にサービスごとによるんですよね。
例えば「CLINICS」という、遠隔診療のところだとまだ立ち上げ時期で、まずは医療機関に導入していただければ、その医療機関に診察に行っている方々がオンラインの診察で使ってくれるようになるので、まずは病院やクリニックがどれだけ導入してくれるかという、営業活動がメインになっています。
「ジョブメドレー」は、成果報酬型の求人サイトですので、どれぐらい求職者からの登録があって、面接が設定されて、入職が決まるかという率が、もう5年以上やっている事業なので、ある程度わかっているので、そこを割り戻していくらまでCPAかけていいんだという計算を踏まえて運用型広告を最適化していっています。
あと、「介護のほんね」でいうと、立ち上げ期はけっこう……。これは別に最初から思っていたわけじゃないんですけど、結果的にはスケールしないことをやるというのをすごい重視していました。
先ほど言ったように、重要視していたのはとにかく口コミの量と質。量は後からお金で買ってくる人もいるかもしれないので、とにかく質をまず追求することと、介護業界の方たちにいかに認めてもらうかというところを、最初の半年とか1年はすごい重視していました。
口コミ型のメディアなので、最初に事業計画を作った時はもっと3~4年ぐらいずっともぐって、そのかわりちゃんとその後に持続的成長を続けるという事業企画をひいていたので、最初の半年~1年はとにかくそういう土台作りじゃないですけど、今後サービスが伸びるために必要なものをとにかく集める、評判を築くみたいなところに注力していました。
小泉:食べログの初期もけっこうそうだったよね。デジカメじゃなきゃ登録できなかったりとか。
石崎:調べました。Livedoorグルメから、どれだけメールで連れてきたかとか。
小泉:今、4事業(やっている)じゃないですか? そのなかでノウハウの共有はどうやっているんですか? 「(ジャンルが)違うので、ノウハウの共有もクソもないよ」という話かもしれないですけど(笑)。
石崎:例えば開発部は事業部横断の組織なのでノウハウ共有は定期的にしていますし、経営会議とかに出ていると横の事業の数字がわかるので、この場合は「このステージだったら、こうしたほうがいいんじゃないか」というのを指摘し合ったりはしています。
小泉:リソースの取り合いはどうなんですか?
石崎:今は完全に事業部単位でやっています。事業部単位でも1つの会社のように運用をしていて、それぞれにPLを作り、採用もそれぞれにするみたいな感じになっています。そのなかで、希望があれば。
小泉:採用も別なんだね。
石崎:そうですね。採用も別にしていますね。なので、例えばジョブメドレーとCLINICSで、お互いに面接してどっちもいいとなったら、取り合いになったりする。
小泉:(笑)。おもしろい。メルカリ、どうですか、そのへんは? 立ち上げ期から(の変遷は)?
伊豫健夫氏(以下、伊豫):メルカリの場合はもう明確にECというか、いわゆるマーケットプレイスというのがあるので。これはある意味、数勝負みたいなところがかなり大事で、DAUあってなんぼみたいな世界なので。
そういった意味でいうと、たぶん立ち上げ期から、今でもそうなんですけれども、オンラインのペイドのマーケティングというのは、相当こだわっていますね。
日本の事例なんかでもそうですけど、ユーザー数がいることである程度下地ができて。我々にとっての下地とはなにかといったら、新しいユーザーが入ってきて、彼ら・彼女たちがなにか出品をした時にそれがすぐ売れるかどうか。
それが回り始めたなと思ったタイミングあたりで、テレビCMのような、一気にマスの広告を打って純粋想起を上げて、さらにそこから勝ちパターンを作って盤石にしていくというのが、基本的なマーケットプレイスのマーケティングの1つの成功事例なのかなと思っていて。
USでいうと、ステージが今、まだ若いので。そういう意味でいうと、まだテレビCMというところまではいっていなくて。どちらかというと、オンラインマーケを研ぎ澄ましまくっているというフェーズです。
社内で議論しているんですが、やっぱりそれだけ研ぎ澄ますとなると、いわゆる代理店さんだけから力を借りるマーケティングから、今どんどんインハウスのオンラインマーケティングにシフトが進んできています。
今、社内のマーケティングチームは実際4人しかいないんですよね。4人で今、日本のオンラインマーケティング、USのオンラインマーケティング、あとこれから始まるUKのオンラインマーケティングを立ち上げようとしている。
そんななかで、代理店さんの力を借りずに、自分たちでノウハウも含めてすべて溜めていこうというインハウスを志すうえでは、けっこうオートメーションというか、自動化というのもすごく大事で。そこに関しては、僕らプロダクトチームが一緒に入って、その技術面をサポートするみたいなやり方でやっています。
例えば、細かい話でいうと「FacebookのマーケティングAPIをたたきましょう」とか、「モニタリングAPIたたいて、データを取って自動でチューニングかけましょう」みたいな、社内に自分たちで作ったインハウスの仕組み一式があって、それで回していると。
なので、さっき言った全米3位みたいなものを支えていた時のオンラインマーケティングも、実質1人の担当者が自動化ツールもうまく使いつつ回していたみたいな。それぐらいこだわりがあるというのが、けっこうメルカリのマーケティングの特徴かもしれないですね。
吉田大成氏(以下、吉田):うちもインハウスですね。1人でやっていますけど(笑)。やっぱり、それやらないとむずかしいですよね、もう今は。
伊豫:本当、そう思います。
小泉:Winner-take-allのマーケットなので、最初はボリューム勝負になっちゃって。最初、オンラインが1人しかいなかったので、代理店をうまく使って、「金で解決できるものは金で解決しようフェーズ」がけっこうあって。そこでバーッとボリューム取って勝ってから徐々に進もうという。そういう歴史ですよね。
時間が残り少なくなってきたので最後に、経営とプロダクトの関係みたいなところ。今は会社のなかでプロデューサーとかエンジニアとか、いろんな職種があると思いますけれども、とくに今日はプロダクトの話なので、プロダクトと関係する人たちのなかで、成果を出している人の特徴。
もしくは、カルチャーも含めてどういう組織なのかという各社の特徴と、活躍する人材の共通項みたいな、そういうのを教えてもらいたいなと思います。
吉田:僕らの会社ですと、同じようなメディアの形式で4つ運営していることもあって、けっこうお互いに年代も近いので、切磋琢磨し合っているというか。お互いにいい意味でライバル視しながらやれている環境があります。社内にいい意味で競争環境があったほうが自分も伸びやすいし。
結局、人が伸びればサービスも伸びるので、意図的にそういう環境を作っているところはまず1つあるかなと思います。社内に競争の環境がどう生まれるか。
それで、成功している人のパターンというのは、明確な意思を持っているかどうかがすごく大事だなと思います。例えば、僕と各メディアの編集長というか、責任者で必ず権限をわけてあるので、僕が日々のコンテンツに対して意見を言っても、基本的にはあまり採用されないんですよ(笑)。今、立場が一番弱いので(笑)。
小泉:そうなんだ(笑)。
吉田:例えば、「もっとこれやろうよ」とか「食材テカらせようよ」とか言っても、「いや、それは求めてないから」と、よく言われるんですよね。やっぱり明確な意思を持っていることが大事ですし、日々ちゃんとユーザーと向き合っているかどうかもすごく大事なので。だから、明確な意思を持っている方のほうが成功している。
スキルが足りている・足りていないは、そこから学べばいいだけです。自分で成長をしはじめるので。だから、やっぱり成功したいと思っている方のほうが、活躍はしやすい気がしてはいますね。
小泉:これからどういう人材がほしいと思います? 「こういう人材が活躍するだろう」もしくは「今、足りてない」みたいな。
吉田:全職種足りてないという状態なんですけれども(笑)。まず、僕らがやっている事業が、まず「動画制作」という領域と「メディア」という領域の2つの側面を持っているんですよね。この2つを掛け合わせた人材はたぶん今、世の中に100人いればいいほう。第一人者という方がまずいらっしゃらないんですよね。
なので、逆にWeb系の出身であれば動画のこと学べばいいですし、映像制作をされている方は、Webというかネットのことを学べばいいかなと思っています。ここから先、どう考えてもネットで動画を配信することが主流になって、テレビで動画を見るということじゃなくなると思っているので、そういう意味では今すぐにでもこの業界にきて学べば、第一人者なんですよね。
「自分はスキルがないから」とか「映像さわったことがないから」と思うぐらいであれば、とりあえずこの業界に入ってみればいいと思っています。
正直、うちの会社は、動画メディアの会社なのに動画制作出身者が0人なので、会社作ったタイミングでカメラを買って、Adobe Premiereという編集ソフトと、その説明本を買って始めているので(笑)。なんとかなるなと思いながらやっているので、そういうメンバーでやれればいいなと思っています。
ここから先、動画コンテンツだけではなくて、自社のアプリを作っていこうと思っているんですよね。さっきちょうど石崎さんから話がありましたけれども、僕らのアプリの方針はけっこう明確に決めていて。例えば、レシピアプリとかが世の中にたくさんあるなかで、僕らじゃないと実現できないことが確実にあるなと考えています。
これまでのアプリで事例がないユーザ体験を実現していきたいので、チャレンジした人勝ちというか、先にやったもの勝ちなので。そういう前例がないことに対して、チャレンジしたい人が一番いいんじゃないかなという気がしています。
小泉:メドレーはどうですか? 共通項だったり、強みというところでいうと。
石崎:4つの事業があるんですが、先ほど吉田さんが「競争環境にある」ということをおっしゃっていましたけど、すごく大事です。
我々は、毎月月末に全社員が参加する納会やっていて。そこで、事業責任者が今月の予算の進捗や新たな取り組みなどをみんなの前でしゃべるんですよね。その時にやっぱり達成してないとすごいみじめな思いをするし、達成すればうれしい。達成してもしなくても来月もがんばろうという気になるように、毎月成果を発表する場があって、それぞれお互いの事業で競争し合っている環境を作っているというのがまずあります。
活躍する方の特徴としては、「責任感」が大事だと思っていて、これには2つ意味があります。
僕は一応、ディレクターみたいなことをやっていますけど、実質は開発や専門職以外のことをなんでもやるみたいなところがあります。で、一つひとつの仕事はほとんどやったことがないことばかりという時に、ちゃんと突きつめるところまでやりきれるかというのがすごく大事かなと。それは今、持っているスキルとかというよりも、どちらかというとマインドで「自分がやらなきゃ」、「ここまでやらなきゃいけない」と思えるかどうかが大事なのかなと思っています。
もう1個が、やはり医療を扱っていたり、あと社内に医師がいることで、ともすれば人の命を預かるようなことになるサービスを作っているため、間違ってもバグが起きちゃいけないとか、間違ってもオンライン診療をやっていることで病気の改善率が悪くなってはいけない。
それはやっぱり社内のムードとして、医師もエンジニアも自分の技術で課題を解決するというか、救急をやっていた人間、ドクターヘリに乗っていた人間もいるので、すごい責任感のなかで仕事をしていける人たちが揃っているので、そういう方のほうが活躍しやすいかなとは思います。
小泉:なるほど。じゃあ、エス・エム・エスはいずれ超えるということですよね?(笑)。
(会場笑)
小泉:すごい話しづらそう(笑)。伊豫さん、最後にメルカリどうぞ。
伊豫:活躍しているプロデューサーやディレクターということで端的に言うと、僕は2つあるかなと思っていて、1つはモノづくりに精通していることというのはすごく見て取れるなと。これはよく「エンジニア経験が(必須)」とかいうんですけども、必ずしも別にエンジニア経験が必要なんじゃなくて。
やっぱり我々はいわゆるこういうITといいますか、ネットの世界、あるいはスマホの世界にいるので、そういうところで行われている、営まれているモノづくりのスタイルであるとか、「どういうことにエンジニアは困るんだろう?」あるいは「困らないんだろう?」「うれしいんだろう?」ということを理解している人というのは、やっぱり活躍しているというのが1つ。
もう1つは、アイデアマンであることですかね。非常に引き出しが多い人というのは、やっぱり活躍しています。そういう人を見ていると、引き出しを作るために非常に工夫をしている。例えば、とあるアプリを使いたいがためにインドまで行った同僚がいますが、そういう異常なプロダクト愛があるとか。もうとにかく新しいものを見たら、プロダクトをまず1から10まで試して全部知っているとか、そういう世界ですよね。
なので、とにかくそれを1個1個全部自分の引き出しにして持っている。その自分の引き出し力とモノづくりに対する理解があれば、たいていのことは任せられるというのがやっぱりあります。それがゆえに、余計な承認プロセスみたいなものを大きく割愛できるというメリットもすごくあります。
なので、現場にスピード感が生まれて、さっき言った1日50本のA/Bテストが可能になるという組織がメルカリのプロダクトチームだと思っているので、やっぱりメルカリで活躍している人の共通項というと、そういうことかなと思います。
小泉:メルカリのエンジニアになる人の特徴、伊豫さんのなかであります?
伊豫:エンジニアの特徴ですか? 1つは平均年齢が高いという(笑)。
(会場笑)
わりと(メルカリは)「大人のベンチャー」とか、よく書かれてますけれども。僕も面接で「大人のベンチャーとは、どういう意味ですか?」と聞いたら、「平均年齢が高いです」と言われて(笑)。
小泉:そのままですね(笑)。
伊豫:というのも1個あるし。けっこう地に足がついている人が多いなと思うのと、やっぱりプロデューサーに対して求めてくるものも非常に多いというか、レベルが高いというか。「ここまではもうプロデューサーが考えていて当然ですよね」みたいな。
例えば、要件としてやりたいことだけじゃなくて、「テーブルをどうやって持ちたいか」みたいなところまで聞いてくれる人もいる。だから、さっき言ったモノづくりに精通している人たちとはギアがかみ合いやすいなとは思いますね。
あと、やっぱり判断が大人な人が多いですよね、エンジニアでも。変なわがままを言う人は多くないというか。いろいろ大人な事情に理解力がある人が多いみたいな(笑)。
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