2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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向千鶴氏(以下、向):コンデナストに行くことを決めたのはなぜなんですか? コンデナストではどういうお仕事をされていたんでしたっけ。
軍地彩弓氏(以下、軍地):それまでは私ドメスティックっていうか、日本の会社ですよね。講談社のなかでフリーランスでやっているという立場だったので。
コンデナストに行ったのは、実は「新雑誌を作りませんか、編集長になりませんか」っていうお誘いを受けたからなんですけど、最初はもう怖くて怖くて。インターナショナルの世界なんてもう英語が飛び交っていて、私みたいに日本で生きてきた人にはできないんじゃないのって、すごい思ってて。
ただその何だろう、「見てないものは見に行きたい」と思ったんですよ。自分が持ってない手で、こっちでは日本のドメスティックなことをメディアでやってて、こっちにはインターナショナルの大海があるわけ。今でいうブルーオーシャンっていうのがあるんです。そこに飛び込まないでどうするんだっていう葛藤があって。
こっちではもうぬくぬくと生きていけるわけですよ。ある程度日本の女性誌では自由にやらせていただいていたので。だけどインターナショナルに行くっていう意味が、思ってたのとやってみたのでは全然違うもので。
向:どう違いました? 一番違ったところは。
軍地:自由なんです。大変さはあるんですよ、英語という課題はすごい大変で、それから私、英語の学校に入れさせられるんですけど。向さんも一緒で海外とかでお仕事するときに、英語でやり合うっていうことをいろいろ経験してると思うんですけど。
インターナショナルな人のほうがすごくやりたいことがあったときに、タスクに対してやらなきゃいけないことをきちんとやるので、企画力があったり、何かやりたいと思う人にとってはものすごく楽しい職場になるんです。インターナショナルな場面っていうのは。
やってみれば、そうするともしかしてそれがアジアで最初の事例になるかもしれないし。そういう意味ではすごくおもしろかったです。コンデナストに行ったことで。
よく井の中の蛙って言うじゃないですか。本当にこんなところにいたんだ、自分は。なのにそんななかで偉そうにしてたんだ、って。出てみたらもう自分なんて。インターナショナルからみたら、世界中の何十カ国っている人のなかで、何か発信しなきゃいけないって思いが出てきて、それはすごい刺激になりました。
向:なんとあと10分弱になっちゃって、あっという間に時間が過ぎているので。
そのインターナショナルを経験して、改めて今現在の、お肩書きが出ていますけど(『ヌメロ・トウキョウ』エディトリアルディレクター)。ここで今やりたいと思って、なぜここに入ることを決めたのかというところをちょっと。
軍地:そうですね。さっき言ったみたいに、ものすごいデジタル化になっちゃったんですね。(コンデナストの)『VOGUE girl』も最初の創刊のときからデジタルマガジンを併設して、デジタルの環境も作っての『VOGUE girl』だったんです。自分の仕事もちょっとデジタルのほうに偏り出しちゃって。
だけど雑誌って紙ですけど、やっぱり読者と強いつながりを持って、例えばページを開いたときにばっと人を喜ばせる力だったりとか、こういうタレントさんをこの時期に起用しようみたいな博打を打つとか。
やっぱりその雑誌のおもしろさっていうのは、片手に持ってなきゃいけない。それができて、プラス、デジタルのことをいろいろみていこうと思って。
それから逆にいうと、そのコンデナストを出ることによって、もう1回フリーの立場になれたということも大きかったんですよね。
向:結局またフリーに。
軍地:結局は。コンデナストにいたときも半分フリーだったんですけど。
向:そんなにたくさんの、内、外、内、と。本当にいろんなところで「エディターという肩書きは便利だ」って軍地さんおっしゃいますけど。いろんな人と会ってみて、今、皆さんに伝えたいキーワードとしてあげていただいたのが、「ファッションはプラットフォームとなる。越境するファッション」。これ一体どういう意味ですか。
軍地:そう。時間が足りなくてちょっとかけ足になっちゃったんですけど。私はファッションという仕事をしていて、いろんな人に今出会える機会をもらったんですね。
先ほどおっしゃっていただいた、「いろんな仕事してますね」と。今、私が具体的にどういう仕事をしているかというと、ファッション編集を中心にして、ファッションのコンサルティングやったり、アート系、建築系、文学系の人と出会ったりとか。
あとデジタル、Web、C CHANNELの顧問やってたりとか、イベントやったり。いろんなことが今できる環境になったのは、実はファッションをやってるからだなと思って。
やっぱり何か軸を持ってるってことが大事なんですけど、ファッションってどことも手がつなぎやすいんですよね。ファッションを知ってる人が入る建築だったりとか、ファッションを知ってる人と何かやるアートだったりとか。
例えば、『ファーストクラス』っていうドラマの監修もしましたけど、あれもやっぱりテレビ業界って固まっちゃってて、ファッションも彼らの思う架空のファッションになっちゃってて。そこにファッションをきちんと監修してくれる人がほしいと言われて私が入ってるんです。
向:もう時間ないけど、どうしてもお伝えしたいのは、ドラマの現場にも取材に行かせていただいたんですけど。そのドラマを見ていると何かいちいちこう、刺さるセリフがたくさんあるんですよ。
「今、日本はこのままなかにいてはダメだ」とか、「外に出なければ」とか。どうしてこんなにドラマに今までなかったリアリティ、業界のリアリティがあるのかなと思ったら、実は裏に軍地さんがいてっていうところで。
それもテレビという、言ってみればすごく多くの人に、なるべく刺さらなければならないという課題があるもののなかに、深いリアリティを刺すことができたのは、やっぱり根源にファッションを持っていらっしゃるからだと思うんですけど。そういうことを、ここ全部でやってるんですよね。
軍地:そうですね。でもWeb業界だとWeb業界の人はやっぱり頭が固くなっちゃってて、ファッションをやっぱり横目から見てるから、「じゃあ、ファッションの人のマインドはこうですよ」ってことを伝えたりとか。そういうことが大事で。
逆にいうと、ファッションはファッションのなかで完結しがちなんです。いろんな会社もそうなんですけど。だから逆にファッション業界のコンサルティングするときには、「いや、Web業界はこういう考えしてますよ」とか。イベント、音楽系の人にも……、今日はあとでNFの話も話そうと思ってたんだけど、これはまあちょっと置いておいて。
ファッションでつながっていくことって、これからどんどんどんどん越境していくと思うんですよね。
逆に皆さんにお伝えしたいのが、今ファッションを目指すことで、すごくファッションのシステムが変わってます。そのやり方も変わってる。わかってると思うけど、オムニチャネルってものが入ると販売の仕方も変わる。「ファッション、オワコンじゃね?」っていう人がいるじゃないですか。
向:うわこん?
軍地:オワコン。
向:オワコン(笑)。
軍地:オワコンじゃないかって言われがちじゃないですか。雑誌もオワコンじゃねえかって言われることも多いんですけど、逆にいくとチャンスですよね。
変革することが必要で。その代わり個の力が使える時代。さっき言ったSNSが広まってきたっていうのは、皆さんの一人ひとりの発信力でモノゴトを変えられるぐらいの力があって。
私たちの頃は、雑誌だったりテレビだったりを動かさなきゃ人に伝わらなかったので、やむなくじゃないけど、そういう雑誌業界、テレビ業界に入っていったんだけど、もう逆にいうと個の存在で、デザイナーだったりとかになって、例えばそこから発信していって、いろんなところに影響を与えることも可能になってくる。
というと、私が2016年から就職されるような方が本当にうらやましいなと思うのは、もう業界の変わる変革期をやる人になるし、やる種になる。
だからあなたたち、皆さんが考えてることが、いかにファッション業界にどう刺さっていくかっていうことが、これからすごくファッション業界にとっても必要なことです。
例えば、「そんな記事読まないよ、Facebookとかで」とか。「Facebookもう終わってるから、Snapchatでやってくださいよ」って言われることが、私たちにとっては刺激ですよね。
だからどんどん皆さんの、ジェネレーションZって呼んでるんですけど、94年以降のデジタルマインドのある方がこの業界を変えると思うので、私はこれから入ってこられる皆さんにすごく、何だろう、期待していて。そのキーワードはさっき言ったように、ファッションを通じていろんなところにつながっていってくださいっていうことなんですよね。
向:そのファッションは、洋服が好きっていうことだけとも違いそうですね、お話をうかがっていると。
軍地:洋服が好きなだけでもいいんですよ。ただ洋服って、昔、私たちの頃、70年代ファッションとかっていうと、例えば、ビートルズだったらビートルズを通じて、ファッションってそのカルチャーになっていったんですよね。その周りに文学が出てきたり、いろんなものがくっついてくる。そういうものが今でも多分あると思うんです。
で、そのサカナクションを出したのも、今NFっていうイベントをお手伝いしているんですけど、音楽の名のもとにファッションを。
向:スライド進めてもらっていいですか?
軍地:ん? ああ、はい。(パソコンをいじって映像を進める)
向:どうぞ見てください。
軍地:そうね、これね。見ていただければと思うんですけど。NFっていうイベントをやってるんですけど、リキッドルームで。これも音楽の名のもとに、ファッションのブランドをつくってみたりとか。
奥山由之さんが写真を撮ったりとか。スタイリストの三田真一さんがインスタレーションやったりとかするんですけど。こういうのを山口一郎さん(サカナクション)から直接、「いや、ファッションとつながりたいんだよ」って言われるんです。
だからこうやって横につながっていくことで、いわゆるお店に置いて、ただ売ってるっていう、ショーケースのもののファッションじゃないつながりがこれからとっても必要になってくる。
そうなると、皆さん世代の何でも興味あれば引っ張ってこれる力っていうのは、すごく使えるっていうか。すごく意味のある流れになっていくと思います。
向:ありがとうございます。全然お話はつきないんですが、いよいよお時間も参りましたので。皆さん、ハッシュタグをつけて質問を受け付けるということも行ってますので、ぜひ。本当はこの場でできれば質問を受けたいんですけれども、次のコマに進みたいと思いますので、どうぞ質問のほうも後から送ってみてください。軍地さん、どうもありがとうございました。
軍地:ありがとうございました。
向:以上で終了になります。どうぞ拍手でお送りください。ありがとうございました。
(会場拍手)
軍地:じゃあそこら辺にいますので、わからないことがあったら。
向:本当に本気でぶつかりますよね(笑)。
軍地:ありがとうございました。
向:ありがとうございます。
司会:軍地様、そして向さん、どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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