2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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向千鶴氏(以下、向):今お話いただいているのが、女性の思考の変化とか、女性と社会の変化がメディアと連動していて、このスライドでいうと、一番下のデジタルのヒストリーなんかとも関連していくよっていう過程についてですよね。今、2000年ぐらいまできてると思うんですけれど、『GLAMOROUS』で軍地さんがしたかったことっていうのは、一言でいうとどんなことだったんでしょうか。
軍地彩弓氏(以下、軍地):女性の生き方を根本から自由にしたいってことだったんです。さっき言ったみたいに、『JJ』や『CanCam』も働く女性というところでスキルアップみたいなことをやっていたんですけれど。もっと選択肢が広くていいし、結婚するとかしないとかじゃなくて、その人の生き方で服を選べばいいんじゃないかと。
その頃さっき言った、『ViVi』とか、『CanCam』とかでも、モテ服だったりとかすごくコンサバといわれる、親からはすごく褒められるけど、何かを主張している服ではないようなものがすごくもてはやされていて、バカみたいに売れたんです。ツインニットとか、普通のワンピースみたいのが。
そういう誰かのために生きる人生じゃなくて、女の子が自分で選択して、カジュアルで会社に行ってもいいし、子どもだって産んでも産まなくてもいいし。
素敵な男性と恋をして自分1人で子どもを育てる人も今はいっぱいいますけれど、当時はまだ何か後ろ指差されるような空気があって。だけどやっぱりこれから女性もどんどん社会に出ていかなきゃいけないし。当時は出てなかったわけじゃないんだけれど、何か窮屈だったんです。女性の働く環境として。何となく結婚したから会社を辞めなきゃいけないとか、子育てと仕事を両立するなんて子どもに悪いとか。
向:まだ、今もあるところですね。
軍地:それを少しでも変えたくて、女性の自由解放宣言だと私は思ってるんですけれど。そのとき『GLAMOROUS』を始めて、それがある程度、評判になったんです。
向:そういったことって、いわゆる政治主導でできるようなことでもあったり、企業自体でもできるけど、ファッションの雑誌自体も、ファッションのスタイルを見せて、生き方を見せていくこと。ファッションを通じて生き方を見せていくみたいなことができると思うんです。ファッションを通じて、女性の新しい考え方みたいなものを伝えたい、表現したいっていうのがあったんですね。
軍地:ファッションを通じてっていうよりは、何ていうのかな、ファッションに生き方が現れると思ったんですよね。だからすごくコンサバな服を着ている人はやっぱりコンサバな生き方をすると思うし、カジュアルな人はカジュアル。
さっきの村上(要)君みたいに、やっぱりこうおもしろい、いろんな情報をキャッチしている服を着る人はやっぱり自分を表していると思うんです。ファッションってやっぱり自分を現すツールだと思って。
「こう見せたい、こうなりたい」っていうので、一番ファッションってわかりやすいじゃないですか。私も今仕事でファッション選んで一番よかったなと思うのは、ファッションってやっぱり身につけるものなので、人の生き方とか心理にすごく近いんですよね、本当に。だから今日多分、向ちゃんはちょっと女教師で。
向:そう、そしたら、たまたまリボンが被って。
軍地:そうそう。私もおリボンを被って。これ女教師コスプレって言ってるんですけど(笑)。
向:(笑)。
軍地:まあ、これは冗談でも。
向:気分をつくってくれますよね。
軍地:うん。ファッションがやっぱりその空気を伝えるものでもあると思うんですよね。安室ちゃんブームのときでも、皆がミニスカートを穿いてブーツを履いていると、安室ちゃんの空気っていうのは伝わってくるし。その時代の空気とファッションがすごく密接にあるから、私はすごくおもしろいなと。
向:おもしろいですね。その頃を振り返って戻らせていただいて、ファッションの流れでいうと、『GLAMOROUS』ぐらいのときぐらいですかね。ちょうどファストファッションみたいなのが。『GLAMOROUS』後半ですかね。
軍地:そうですね、後半から。
向:出てきたところですよね。
軍地:H&Mが入ってきたりとか。ユニクロには、今まではフリースのイメージがあったのが、いきなりスキニーデニムを出して。ファストファッションでもモードになるっていうか、ちゃんとトレンドを捉えているという流れが出てきたのが、多分2008年ぐらいにファストファッションが上陸してですね。
逆にいうと、それで109ブランドが結構あおりを受けたんですね。ファストファッションが先に出しちゃってるから。
向:どういうふうに見えてました、軍地さんにはファストファッションの登場って言うのは。
軍地:もともと109っていうのは、ファストファッションの牽引的なことを先んじてやってたと思うんですね。わかりやすい例でいうと、パリス・ヒルトンが日本に来たときにアテンドをしてると、109に突進するんです。
向:アテンドしてるんですね。
軍地:パリス・ヒルトンの。そうそう、ショッピングアテンドを『ViVi』の取材で。「パリス・ヒルトン、1日ショッピング、東京でどこに行った」みたいな取材をしてるんですけど。
そうすると彼女たちと一緒に行くとね、私がリストアップしてあげると、だいたい109に突進して。「何で109がおもしろいの?」っていったら、「ランウェイで出てるものがビアウェイで出てる」って言うんですよ。
で、109って、今だと春夏シーズンに、9月10月にショーがありますけど、それを見て、その数ヶ月後に企画を始めるので、1月ぐらいにはそのコレクションのものが、ばーっと店頭に並んでるじゃないですか。これがメゾンブランドはもっと後ですよね、出てくるのが。
商品を実際に手に取れるのが半年後になるので、要は、ファストファッションは今もそうなんですけど、トレンドを先んじて先に出すっていうか。安い値段で大量生産するっていうのは、ファストファッションが便利なので。109のファッションは早かったと思うんです、そのサイクルが。
その当時、ZARAとかありましたけど、今でいう声優さんみたいな感じのイメージだったんです。あまりトレンド寄りっていうよりは、ライフウェアみたいな感じだったので。そうすると、109はそのシステムの一番先をやってたと思うので。ただそれが世界規模でどーんってやってくると、生産から価格から全然もう太刀打ちできないですよね。
向:それはファッションの民主化の1つだったんですかね? その存在っていうのは。
軍地:そうですね。何しろその民主化って、私がさっき言った49,800円で安いっていってたバブルの時代から、トータル10,000円以下で最先端のファッションができちゃうんですから。それはもうどんな人でも、学生さんでもトレンドのスタイルができるっていうものができたので、それは一方で、すごくいいこと。
向:その流れと、この一番下の流れでいくと、インターネットが、かなり盛り上がって、さらにSNSやTwitter、Facebookが2004年、Twitterが2006年、iPhoneが2007年。まさにSNSの黎明期といいますか、ぐらいのところとファストファッションの登場っていうのが重なってますよね。そこも関係しているところがあるんですよね、広がりというか。
軍地:そうですね、あと消費されやすくなった、情報が。今だとその春夏コレクションが出てもすぐInstagramでばーっと見れるようになりますけど。当時はある程度タイムラグがあって伝わってきてたものが、ダイレクトに1分1秒、ラグがない状況で、今だったらストリーミングとかで世界同時で見れるので。
向:思い出しました。ちょっと話が、一瞬それますが、私コレクションの写真をパリコレで撮ったものを、成田まで運んできてもらって成田まで取りに行って。それが、2000年……でも本当に最近です、2003年とか2004年ぐらいまではポジといわれる写真を撮って、そこからいろんな情報が広がって。
軍地:いかに。
向:スピードがね。
軍地:とくにここで見てわかるんですけど、2007年、2008年、2010年ぐらいからの加速度がすごいんですよね。できなかったことができちゃうようになったんです。要は情報が一方的に伝えていたものが双方的になりますよね。
だから私もTwitter出る前に、この後、私、コンデナストって『VOGUE』を出してる会社に移動するんですけど、全部インターナショナルな指令がくるんですけれど、「とにかくデジタルに力を入れろ」って、2008年にすでに言われていたんです。で、そのぐらいそのファッションはこれからデジタルで伝えていく時代になるっていうのは、世界的にもうそういう流れができてた。
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