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第46回:Webデザイナーを志す方に聞いて欲しいこと(全1記事)

これからWebデザイナーを目指すとき、まず考えて欲しいこと

これからWebデザイナーになりたいという方は、まず何から手を付けたらいいのでしょうか。ラウンドナップコンサルティング代表の中山陽平氏によれば、一口に「Webデザイナー」といっても、その実態はさまざまで、目指すところも人それぞれとのこと。ですので、まずは自分の5年後の姿を想像し、そこに到達するために具体的に身につける必要があるスキルや、取っていくべき行動を考えるといいようです。

Web業界は人材が足りていない

中山陽平氏:今回は少し毛色が違う内容ですね。最近わりと質問をいただくことが多いので、それに対しての回答を集中的にやろうかなと思っています。ぜひ、どんなかたちでもいいのでご質問ください。それについて答えられることはどんどん答えたいと思っています。

今回テーマにもなっていますけども、Webデザインについてです。Webデザイナーっていうものになりたいということで、じゃあどういったことをしていけばいいのでしょうと。もちろんこれはいろいろなレベルがあります。今までデザイナーをやってきて、今度からWebに転向したいという人もいれば、今までは普通に一般的な仕事をしていたけど、Webデザインをしたかったという人もいます。

また、Webのディレクターとかそっちの方向をやってきた方が、「本当は私はデザインをやりたかったんです」というケースもあります。

いろいろなケースがあるので微妙にずれる部分もあるかもしれませんが、とにかく、まず「Webデザイナー」ってものすごく足りていないんですね。今Webの世界って、ひどく人材難で、求人を出してもなかなか人が採れないというのがあります。なので、ぜひWebデザイナーを志すという方は、その意志を貫いて、人材市場にでてきていただけたら本当にうれしいです。

ただ、その中でWebデザイナーというものの仕事の内容はどんどん広がっています。ベンチャー企業であればなおさらですし、大企業であっても、Webデザイナーはデザインだけやっていればいいよねというケースはなかなか少ないです。その周りにあるJavaScriptであったりHTMLであったりを当たり前のように知っていて、そういった部所とのコミュニケーションが円滑にできるような人材が求められている状況もあります。

Webデザイナーといっても、実際はさまざま

じゃあ、改めてWebデザイナーになるためにはどうしたらいいのかというところです。実は私は大学に在学中にDTPのデザイナーというところからこの人生が始まったんですね。その頃はこういうことをやっているとは思いもよりませんでしたけど、DTP、紙媒体で、スーパーのチラシとかを作っていて、その中で観光マップのデザインをしたりとか、そこでちょうどWebなんかが勃興といいますか、個人でやるWebサイトがメジャーになってきたような時期。

まだISDNとかの時期に、自分でホームページを作り始めて勉強して、在学中になぜか仕事をちょっともらったりして、卒業と同時に独立をしたという流れがあります。なのでデザイナーの方の気持ちや悩みはある程度わかると思います。

その経験を踏まえて思うのは、とにかく5年後に自分がどういう姿になりたいのかというのを考えたほうがいいです。何も考えずにひたすら目の前の仕事に打ち込むというのは、言葉だけ聞くと非常に綺麗な印象があるんですけど、実際にそれをやっていると、手癖が増えるだけ。手についたいろいろな細かい慣れ、シワみたいなものですね。それが増えていっているだけになってしまいます。

そうではなくて、5年後にどういう仕事がしたいのか。これって掘り下げていくと、みなさん全然違うはずです。ある人はトータルデザインをして、デザインを通じてこういう印象を与えたいといったような、デザインを包括したことを5年後にしていたいという方もいれば、デザインというものを広げてテクノロジーとつなげて、とにかく新しいことをしたいんだという方もいれば、お客さんの頭のなかにあるものをいかにキレイに取り出してあげて、Webサイトなりなんだりに落としこむことがやりたいという方もいます。

これは本当にバラバラで、バラバラでいいんですね。Webデザイナーという言葉って非常に広いので、中にはいろんなお仕事があります。なので5年後に自分がどういう形になっていたいのかを意識して、じゃあそこに至るまでにどういうスキルが必要なのかということを考えて逆算して、出していく。

5年後の姿を想像して、具体的な行動を

これがどんなものでもそうですし、よく言われていることではあるんですけど、Webデザイナーでもやっぱり同じように重要です。その過程で、いろいろなことを考えていると、自分の仕事って実はプロデューサー寄りなんじゃないかとか、プロジェクトをまとめるマネージメントを学んでお客さんとの折衝をやってデザインというものを上手く伝えていくのを自分はやりたいんじゃないかとか、むしろツールとかサービスを作りたいわけであって、デザインというのはそれを実現するための手段でしかないんじゃないかとか、いろいろなことが見えてきます。

その気付きが大事です。漠然と「デザイナーになりたい」というだけだと、なかなか具体的な行動に移せません。それをブレイクダウンして、自分はこういうことをやりたいんだと意識してもらうことによって、やっと初めて細かい、やらなければいけない行動が浮かんでくるのです。

なので、ぜひ目指している方、それから今勉強中の方は、一体自分は何のためにこの仕事をやっているんだろうということを再確認してください。そうするときっと見えてなかったものが見えてくると思いますし、今まさに何をやらなければいけないのか、今日の帰りがけにどんな本を買わなければいけないのか、今後どういう情報収集の仕方をしていかなければならないのか。

そういったものは、細分化して逆算して考えることによって全然変わってきます。ぜひそういうことを行なっていただければと思います。

得意なものがあると発注もしやすくなる

本当に、人材としては足りないです。もし例えばフリーランスで食べていきたいという場合は、特にこういう専門化が大事です。「私はこういうことをやっていて、こういうことが得意で、こういうことに関して実績を上げてきました」という方だったら、大企業であろうと、どんな企業であろうと、発注や「提案してください」という依頼がしやすいです。

「なんでもできます」とか、ただ単に10年やってきましたとか、この人を選んだ理由みたいなものを説明できないので、発注の前段階も含めて提案もしづらいんですよね。選定しづらいです。

ということで、ここは無理矢理に1個決めるでもいいですから、そういったことをする必要があるんだよということも、また押さえておいていただければと思います。

あとは、デザインというのは本当に手段でしかないですよね。文字を書くという行為もそうですし、なんでもそうですけど、デザインをすること自体が目的ではない。企業としても、デザインそのものを求めているわけではない。デザインそのものを求められるのはアーティストです。それをしたいのであれば、アーティストの方向にはやく行った方がいいですね。

そうではなくて普通にデザインをするのであれば、それはメッセージを伝える媒体ですから、メッセージを伝えるツールとして、それを使いこなせる人というのがデザイナーです。それを使って何をしたいかというのを、ぜひ考え直してみてください。

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