2024.10.10
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竹俣紅氏(以下、竹俣):高校生の部活でよく学ぶことといえば、人材の活かし方。その人材をどうやって活かすか。私は将棋部のマネージャーをしていて、そういうことをすごく学びました。
そもそも人材には4種類あるって皆さん知ってましたか? この話は、私の学校の先生からの受け売りなので、私が考えついたわけじゃないんですけど。
この4つ(「人財」「人材」「人在」「人罪」)は漢字で意味の察しが付くかと思うんですけど。
普通の人材は、チームにとってプラスに働く人材、その仕事をきちんとできる人、有能な人物のことです。
ではこれは何でしょう? この財という字。この一番上の人財ってどういう意味だと思いますか?
参加者:組織の中で財産みたいな人?
竹俣:そうですね。組織の中で財産みたいな人。プラスに働くのはもちろんなんですが、リーダー的な存在。人をまとめられて、この人がいないとっていう財産のような人ですね。
この3つ目の「在」っていう字は何ですか?
参加者:人がいる。
竹俣:そうですね。そこにいるだけで、ほとんど仕事はしてない。チームにとってプラスマイナスゼロの人。何もしないけど、特に悪影響も及ぼさないみたいな。そういう人。
じゃあこの一番下の字は?
参加者:チームにとってマイナスに働く人。
竹俣:素晴らしい! そうですね。チームにとってマイナスに働く人。チームワークの足を引っ張ったり、そういうことをしてしまう人です。
でもこの4つって、人が生まれながらに最初から決まってると思いますか? 生まれたときからこれは絶対で、誰かはこれとか決まってるわけじゃないですよね?
それはリーダーやそのチームの環境や雰囲気で、人のいいところが出たり悪いところが出てしまったりがあると思います。
いかにその人の個性や、良いところを引き出せるかによって決まってくる、今はそうなっちゃってる人も、(ほかの人材に)なれないわけじゃない。
それはいかに個性を引き出せるかということだと思います。なので、活かし方によって人は変わってくるというか、「君は仕事ができない」とか言われたりしても、できないんじゃなくてまだ引き出せてないっていうだけだから、そんなにがっかりしなくても大丈夫。
逆にすごい人材っていうのは、人のいいところを見出せる人で、これはものすごい才能だと思います。
では、高校生の私たちがやるべきことってなんでしょう? 今お話した人材の話がありましたけど、将来チームにおいて自分がどんな人材になれるかというのを高校生のうちから考えておく。
自分にはこういう特技があって、こういう仕事ができるなとか。自分は他の人のいいところを見出せる力があるとか。
自分のいいところは、チームにとってどんなふうに役に立てるかなっていうことを考えておくこと。ちょっと考えるだけで大丈夫なので、考えておくことが大切かなと思います。
それから社会貢献。高校生のボランティアだと、お金はもらえないですけど、人のために働くっていうことがどういうことか。人のために働く喜びを感じることができるので、経験しておくと絶対にいいと思います。
最初のほうのお話でありましたが、スルーする力っていうか忍耐力。就職して、あまりの環境の変化に、「こんな会社だと思ってなかった」って悩んでしまうかもしれないんですが、少し我慢する力を持っておく。
すぐに放り出さないで、「ちょっとこの1日だけ頑張ってみよう」とか、「この1カ月頑張ってみよう」とかやってみる。
あとは、高校生ですから夢を持つこと。我慢してる間に、「高校生の時どんな夢があったっけ?」「どんな希望を持っていったっけ?」。自分が何になりたかったとか、何をやりたかったとか。そんなことを思い出すと原点に帰れる。初心に帰れるので、夢を持つことが一番大事だと思います。夢っていってもなかなか思いつかないかもしれないけれど、些細なことでもいいので。
この4つを念頭において、高校生活を楽しんでいただけたらと、私も高校生ですけど思います。
じゃあ、ここからは皆さんからの質問の時間にしたいので、質問がある人? どんどん上げて。ちょっとしたことでもいいですよ。「好きな食べ物は何ですか?」とかでも大丈夫ですよ。ありますか?
質問者:将棋っていつからやってるんですか? 何でやろうと思ったんですか?
竹俣:将棋は小学校1年生に入るちょっと前ぐらいからやり始めて、最初はそろばんをやりたくて、そろばんの本を買いに近所の本屋さんに行ったら、たまたまそのコーナーに子供向けの将棋の入門本があって、パラパラっとめくってみたんです。その頃漢字がすごく好きで、駒って漢字が書いてあるじゃないですか?
「漢字がいっぱい載ってる!」と思って、それで買ってみて読んで、面白いなと思ったのがきっかけです。
家族も誰も将棋ができなくて、小さい頃はすごくさみしくて。家で一人で盤を置いて、こっちで一手差したら向こうに行って一手差す、みたいな。一人ぼっちで将棋をしていました。
質問者:「2010年、小学生として史上初めての女流王将戦の本戦に進んだ。中学生になった12年7月に、女流棋士として所属。10月からは女流2級デビュー」と書いてあるんですけど、好きな食べ物は何ですか?
(会場笑)
竹俣:素晴らしい笑いのセンスですね! 質問忘れちゃいそうですね。好きな食べ物は、最近夏バテをしかけているので、元気が出る食べ物をと思ってうなぎとか、あとは焼き鳥の砂肝とか。
普通にいちごとかも好きです。マカロンとかも好きです。そんなに好き嫌いがなくて、アレルギーがあるので、アレルギーが出る食べ物以外はみんな好きですね。
質問者:頭の回転が早いですね。
竹俣:えっ! 今のせっかちですねっていう意味!? ありがとうございます。
質問者:好きな駒って何ですか?
竹俣:好きな駒は「金」です。金って金将。なぜかというと、金は王様を守る時にも相手の王様にトドメを刺す時にも使うんですけど、それがすごい。いじめられてる子を守っていじめっ子をやっつけるみたいな、正義感あふれる駒に見えるので好きです。
質問者:ありがとうございました。
竹俣:ありがとうございます。他に何か?
質問者:プロになるまでで、勉強になった将棋の本を3冊教えてください。
竹俣:3冊? 勉強になった将棋の本? 将棋やられるんですか?
質問者:そうです。
竹俣:どのくらいの強さですか?
質問者:三段。
竹俣:おお! 強い! 強いですね! 勉強になった将棋の本は、専門的になってしまうんですが『矢倉の急所』とか。
(会場笑)
竹俣:わかった?(笑) あとは何だろう? そうですね、あと羽生先生の手筋の『羽生の法則』シリーズとかですね。
あれは本当に勉強になりました。あとはやっぱり詰将棋をいっぱいやってましたね。そんな感じで大丈夫ですか? 他に。
質問者:好きなことを仕事にしようって、その年齢で思われることってなかなかないと思うんですけど、続けてきた将棋を仕事にしようと思ったきっかけってありますか?
竹俣:そうですね。本当にすごい好きだったので、小学校1年生で将棋を始めた時に、母がネットで日本将棋連盟がやっている「子供スクール」っていう将棋教室を見つけてくれて、そこに行っていたんですけれど、そこではプロの先生方が教えてくださるんですね。
そこで将棋のプロっていう職業があるのを知って、自分もそれになって、大人になってもずっと将棋をしていきたいなと思ったのがきっかけですね。
質問者:小学校のころに?
竹俣:はい。小学校1、2年ぐらいの時に。
質問者:今高校生じゃないですか? 僕たちは普通の高校生活を送れてると思うんですけど、竹俣さんは、なかなか高校生らしいことができない時間が多いと思うんですよね。高校生だから遊びたい時あるじゃないですか?いろいろ。気になる人とかってできたりするんですか?
竹俣:将棋してると、盤面と相手と表情とか、顔の造形っていうより、相手が眉間にしわが寄ってるなとか、口を「ン」ってやってるとか、そういうほうに目が行くので、あんまりそういうのは興味が出てこないですね。
高校生らしい生活をあまりしてないっていうか。ずっと将棋と勉強の時間ですね。あと遊びの時間があったら、将棋につぎ込んでる感じで。
学校の宿題で大学の学園祭に行ったことがあったんですが、その時も大学の将棋部に行って将棋差したりとかしてました。
質問者:今の目標って何かありますか?
竹俣:今?
質問者:今。次の将棋大会に絶対優勝とか、そんな感じのでもいいので。
竹俣:そうですね、ひとまずの目標は昇段ですね。今1級なので初段に上がりたい。あとやっぱり、将来的な目標はタイトルを取りたいっていうのがあって。
人生的な目標で言えば、人の役に立てるような人になりたいと思っています。
質問者:将棋を抜いて何か他にやってみたいとか、興味があることって何ですか?
竹俣:将棋以外で? もし将棋がなかったらっていう感じですか? 小さい頃お医者さんになりたいと思ったことはあって、本当に小さい頃ですけど。
でもゴムのアレルギーがあって、ゴム手袋ができないから「お医者さんになるのはきついよ」ってお医者さんに言われて、それで夢がなくなってしまったので……。
部活でのマネージャーとして、マネジメントの勉強とか。ドラッカーの『マネジメント』っていう本知ってますか? あの『もしドラ』のですね。あの本を読んだりとか。
それでそのマネジメントに関する論文、うちの高校は卒業論文があって、マネジメントに関する卒論を書いたりとかしていて。なので経営に関することを学びたいなっていう気持ちはあります。
質問者:好きな勉強科目は?
竹俣:好きな勉強科目? うーん体育以外。体育が本当に苦手なんですよ。勉強科目はみんな好きで、体育だけは本当にちょっと無理っていう感じですね。好きな科目何ですか?
質問者:体育です。
竹俣:すみません!
(会場笑)
竹俣:体育本当に苦手なんですよ!小学1年生の時に「幼稚園生を迎える会」があって、幼稚園児と遊ぶ時間があって、「何して遊ぶ?」「かけっこしよう」っていうことになって、かけっこしたんですが、「ヨーイドン」って出た瞬間に幼稚園児に抜かされてて(笑)。もう全然だめなんですよ。運動神経本当に悪いんでしょうね。
参加者:スタートが大事って言いますからね。
竹俣:スタート?
(会場笑)
竹俣:スタートが大事だそうですよ(笑)。他ありますか? はい。
質問者:将棋をやってて、今どきの女の子の話とかについて行けなかったりして、辛かったりとかありますか?
竹俣:あんまりないかな?友達と話してて、知らない芸能人の名前が出てきても、その都度教えてもらうみたいな。聞く、教えてもらう感じだと思えば、意外と大丈夫でしたね。
逆に将棋の話はあんまりしないっていうか。しても多分わかんないし(笑)。普通にしゃべってるっていう感じです。他ありますか? はい。あ、三段の人だ。
質問者:人生で一番緊張したのはいつですか?
竹俣:緊張した……。人生でって言われると結構難しいですね。直近で一番緊張したなって思うのはこの前の対局。やっぱり対局の時は、プロ3年目ですけれどやっぱり緊張しますね。すごく張りつめた終盤戦だと、本当に緊張して。
あと対局の前の日とかはすごい緊張して夜寝られないんですよ。そこは改善しなきゃいけないですけど、だいたい緊張して眠られないです。あとお1人いらっしゃいますか? はい、最後に。
質問者:名前の由来聞いていいですか?
竹俣:名前の由来……。紅っていう名前はちょっと珍しいと思うんですが、私の祖先が山形の人なので、山形県の県花の紅花から紅とつけたらしいです。
あとは外国の人からも「ベニー」みたいな感じで呼びやすいとかあったらしいです(笑)。
以上で4時間目を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
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