2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
どれだけのお金があっても、僕たちの不安は消えない(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
井上ヨウスケ氏:どうも。元役者でファイナンシャルプランナーの井上ヨウスケです。
悲しい現実なんですが、ただただお金を貯めていったら自然とお金の悩みがなくなると思いがちなんですが、残念ながらそうではなくて。今日は「お金だけがあったとしても不安は消せない」というお話をしたいと思います。
それはなぜかと言うと、「お金を貯める」という行為は僕たちのアイデンティティにもなってしまう部分でもあります。お金を貯めて、使う時期になったらお金を気兼ねなく使えるかと言ったら、まったくそんなことはないということを、図を使いながら解説をしていきたいと思います。
時間がない方もおられると思うので、まずは動画のポイントを解説していきます。ポイントの1つ目ですが、本当に不安を解消したければ、お金だけではなくて、自分がどういう人生を望んでいるのか、そもそも自分は何が不安なのか、もっと自分の価値観を追求していくことが必要だと思います。
なぜかと言うと、正直お金がいくらあっても不安だし、人間の不安を潰せるほどの財産というのは、たぶん一般的な所得の方は構築することができない。だからこそ、そのあたりはしっかり考える必要があると思います。
そしてポイントの2つ目にもあるとおり、「お金を貯める」というのは、もはやその人のアイデンティティや性格そのものです。
お金があるのに使えないとか、高齢者の方が亡くなるまでに使いきれない財産を持ちながらお金を節約したりするのは、その人がそういう性格だからであって、お金が貯まったら不安がまったく消えて、お金が使えるようになるということはあんまり考えられないです。そういう観点でも、「お金があれば不安が消える」というのは考えにくいなと思っています。
そのロジックとして、3番目に書いてあるとおり「なぜお金が貯まるのか」というところです。稼ぐ量の人的資本が高くて、お金が貯まっていて、自分の財産が増えているのか。それとも、不安から使う量を抑えたりすることによってお金を貯めているのか。
その経路によって、財産がどういう役割を果たすのかは変わってくるので、このあたりを図を使いながら説明していきます。
そして最後のポイント4にも書いていますが、お金に対する態度はその人のすべてを表していると思っています。だから僕が、お金をめちゃくちゃ増やすことが好きではないのにこうやってお金の話をよくするのは、その人のすべてだからだと思うんですね。
その人がどれだけ口で言ったとしても、その人の行動がすべてを表すのと同じように、お金に対する態度がその人の人生観そのものだと思っています。だからこそ、お金で悩むことをやめたければ、お金だけを貯めていくのではなくて、自分の価値観もしっかり追求していく必要があると思っているので、1個ずつ解説をしていきたいと思います。
今日のお話は、実はもともとこういうタイトルで話すつもりではなくて。ちまたでよく本のタイトルにつけられる「資産を使い切る」みたいな言葉に、僕はすごく違和感を感じていたんですね。
そもそも資産を使い切る必要はないと思っていますし、例えば「人生の目的は思い出を作ることだ」みたいなのも、僕はまったく共感ができなくて。だから、お金を使い切るという発想にすごく違和感を感じるんですね。
それはなぜかと言ったら、お金を貯めるという行為を30代とか40代でしっかりしていく人は、その人の1つの性格だからです。その結果蓄財された財産を、いざ高齢期に入ったからといって「ゼロになるように使い切りましょう」と言って使えるほど、人間の性格はシンプルではないと思っているからなんですね。
この部分を理解しておかないと、お金を貯めたのはいいけれども、お金はあるけど不安で、本当は旅行に行けるはずなのに行けないとか、使っていいお金なのになぜか使えないといって、「もっとお金を使っておけばよかった」みたいな後悔につながってしまうと思います。
そもそもなぜお金が貯まるのか、自分はなぜお金が貯まるのか、どっちの力が強いのかというところから図を使いながら解説していきたいと思います。
人がお金を貯める・貯まるというのは、(「稼ぐ」か「使う」の)どちらかが強いと思うんですね。要は、稼ぐ力が強いのか、それとも使うことによるものなのかがあると思っていまして、このギャップから資産額ができあがっていくと思います。
例えば、稼ぐというのは人的資本によります。その人が持つスキルの希少価値が高いからたくさん稼げるのか、もしくは学歴なのか、その人の人的資本から稼ぐ量は変わってくると思います。そして使う側ですが、これは正直ご自身の性格やアイデンティティとか、人生の中でどういう経験をしてきたのかという、その人そのものが出ると思うんですね。
この時にめちゃくちゃ人的資本が高い人は、どれだけ散財してもある程度お金は貯まっていく。いわゆるIT系の社長とかは、まさにここ(人的資本)が高すぎるからこそ、自然と財産が貯まっていくところがあると思います。
ただ、一般的な所得の方の場合はそんなことはないと思っています。こっち(稼ぐこと)が長けているからというよりかは、貯蓄の原動力は性格によるもの。つまり、不安とかコンプレックスから「お金を貯めよう」という動機が生まれていると思うんですね。
この「コンプレックス」は、すごく大きいと思っていて。人がお金を使う理由とか、何にお金を使うかというのは、不安やコンプレックスから来ているなと思います。
「若い時にこういうことを言われたから」「誰々さんに笑われたから」「仲間はずれにされたくないから」ということが、何にお金を使うのか(に影響を与える)。こういう部分がかなり強いと思ってるんですね。
「お金を貯める」という行為もここから来ていると思っていて、だからこそ僕は、貯蓄が貯まるというのは性格から来る行動の結果だと思うんです。だから、結果として貯まっている貯蓄が一定額に達したから使うというのは、できるかと言ったらできないと思います。それをこのページで説明していきたいと思います。
僕はよく「投資していることをアイデンティティにしないほうがいい」と言うんですが、資産形成は、どうしてもご自身のアイデンティティになっていくと思います。資産形成というきれいな言葉を使ってますが、蓄財することをアイデンティティにすると使えなくなってしまうので、あまりしないほうがいいと思います。
その部分をロジックでお話ししていきたいと思いますが、僕たちは「将来不安」を抱えていますよね。ほとんどの人はこの将来不安から、「お金を残しておかないといけないな」とか、蓄財とか、将来に向けて投資をするという行為をして、それによって今の自分は安心できるわけです。
ですが、ほとんどの場合は、自分が最初に決めていた目標をクリアしても、なぜかそこで安心が終わることはなくて、「もうちょっとお金を残せるから残しておきたいな」と思う。
それはなぜかと言うと、今のペースで言ったら2,000万円お金を貯められるけれども、「このペースでいったら3,000万円貯まりそうだな」「4,000万円貯まりそうだな」となってくると、手の届く範囲が増えていくんですね。すると、「もうちょっと貯めたら介護施設の分も足りるな」となったりする。
当初の将来不安からは想像できなかった不安が見えてきて、「じゃあ、もっとそれに備えなければいけないな」となってくると、さらにお金を貯めたくなっていくんですね。それはもうその人の性格によるもので、「将来を異常に不安に思ってしまう」という性格です。
実際にお金を使う人は、将来不安を持たないですからね。蓄財するモチベーションを持たないので、入ってきたらすぐ使うんです。将来の不安はあんまり考えていないということなので、ある種、「将来に対して不安を抱く」というのはその人の性格ということです。これは別に悪いことじゃないですよ。(それがその人の)性格だということです。
じゃあ、その人が老後生活に入った時に自然とお金が使えるのか? という話です。実際に年金生活に入りましたとなったら、当然年金だけでは生活ができないので、今まで自分が貯めてきたお金を取り崩すステージに入っていくわけですね。すると、将来の不安を持つ人は「財産が減少していく」という不安に駆られます。
考えてほしいんですが、35歳とか20代の人でも「老後が不安だ」と言いますが、70代は70代より先が老後になるわけです。つまり、70歳であっても老後不安は持つし、80歳でも老後不安は持つんですね。
老後不安というのは、言ってしまえば未来に対する不安です。これは、生きている限り常に僕たちを襲ってくる不安なんです。だからこそ、何歳であったとしても、今の財産を残しておくことだけが不安に対するヘッジになるのであれば、節約するモチベーションは常に生まれるんですね。
だからこそ、ほとんどの人は財産を残すかたちになる。これが普通なんだと思います。だから僕は、「財産を使い切る」みたいなことはあんまり考えるべきではないと思いますし、ほとんどの人は財産を使い切ることはできないと思います。
たぶん「財産を使い切る」というのは、正確に言ったら2,000万〜3,000万円くらい残して、残りを使い切るみたいな発想なんだと思うので、もしこれが一般的なケースと仮定するのであれば、自然にお金が使えるステージは訪れることはないんじゃないかなと思います。
そして、もしこれを見てくださってるみなさんが「あぁ、本当にそうかもしれないな」と思うのであれば、恐らくお金があるだけでは不安は消えないことになるんじゃないかなと思います。お金というのは不思議なもので、なんでも叶えてくれるもので、増えれば増えるだけ手が届く範囲が増えていきます。
「もう少しあればあれができるな」「もう少しあればこの不安は消せるな」となると、お金が増えれば増えるだけ、自分の目の前に出てくる不安の種類が変わっていくだけです。
お金を増やせば増やすだけ、実現できる不安解消が増えていくので、また「お金を増やす」というモチベーションになるんですね。だからこそ、さらなる蓄財のモチベーションにつながっていく。そうなると使う段階が来なくなってしまうんですね。
じゃあ、この動画で何が言いたいんだ? という話なんですが、お金さえ貯めれば将来の不安が消せるのかと言ったら、僕はそう思ってないということです。自分の中で、ある種の諦めを作らないといけないと思うんですね。
「これぐらいの不安はあるけれども、これ以上言ったら仕方がないよな」というところを持っておかないと、たぶん将来の不安って消えないんですね、不安というのはずっと付きまとうものでありますし、みんな不安を持っています。
例えば、多くの人は「何者かになりたい」と思っていると思うんですが、一方で何者かになった人は「何者かであり続けられるか?」という不安を持っているわけですよね。
だから、パッと見で「あの人みたいになったら不安は消えるんだろうな」と思うかもしれないけれども、それを達成した瞬間に今度は失う恐怖が出てくるから、いつまで経っても不安は消えないわけですね。
だからこそ、不安を消せると思っているとずっと不安なので、不安は消えないからこそ、自分の中で「もうこれ以上は無理だよな。こんなことを言い出したらキリがないもんな」と思っておかないとずっと不安なんです。ただ、それでも「お金を貯める」ということが自分の人生観だというのは1つ(のあり方)なので、それでもいいとは思います。
ただ、お金を増やすことが直接的には不安を消すことにならないと思っているからこそ、「自分はどういうことに対して特に不安を感じるんだろうか」「自分はこういう部分に関しては人よりも不安を感じないな」とか、もしくは人からどう思われるかも不安の原因になるので、そのあたりをもうちょっと精査していく。
そうすると、「人との付き合いを減らしていけばその不安は消せるんだ」とか、お金を増やす以外にも不安を減らす方法はあると思います。それをするためには、自分がどういう人間なのか、自分は何を大切にしているのかを知るのも、不安を消すための1つの処方です。
最近はお金が万能だと思われすぎているからこそ、「お金を増やすことが不安を消す」というところにつながると思われがちなんですが、それだけでは足りないと思うので動画にしてみました。
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗