2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
第1251回 仕事に役立つABC『部下の意見の受け止め方』(全1記事)
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熊谷翔大氏:今日は「部下の意見の受け止め方」がテーマです。上司の立場の方や、今後部下を持つ可能性がある方。もう少し広げてとらえますと、後輩がいる方にお伝えしたい内容です。
それぞれの職場やチームで仕事をする中で、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか?」という意見や提案は、日頃からいろいろあるはずです。その中でも、ある意味で一番ハードルが高くて貴重な意見や提案は、仕事の現場に最も近い存在でもある、部下や後輩の立場の方からのものだと私は考えています。
というのも、立場が上の上司や先輩が「もっとこうしよう」と言うのは比較的簡単なんですが、その逆は難易度が高いと思うからなんですよね。
「上司から言い返されたらどうしよう」とか、極端な話「評価に影響が出たらどうしよう」みたいな感じで、ネガティブに考えれば考えるほど、「波風立てずに黙っておこう」というふうになりがちです。
そんな中でも意見・提案しようというのは、部下・後輩の方からすると勇気がいることですし、その方がよっぽど大事だと思ったから言ってくれたパターンが少なくないと思います。だからこそ、リーダーやマネジメントを担う方にとっては、「部下・後輩から意見が出やすい職場作りをいかに推し進めるか」ということが欠かせません。
そこで、リーダーやマネジメントの役割を担っている上司のあなたに質問です。自分の部下や後輩の方が何か意見や提案をしてくれた時に、どんなふうに対応をしているでしょうか?
というのも、その時の上司の対応・反応次第では「これからもガンガン意見・提言していこう」と思うのか、反対に「この上司には何を言ってもムダだ。もうやめておこう」というふうに思われてしまうのか。どっちにも転ぶ可能性があるからなんですよね。
当然ながら、上司がしっかりと受け止めてくれれば、部下・後輩もポジティブにとらえてくれます。反対に上司が意見をないがしろにしたり、そもそもしっかりと聞いてくれなかったりすれば、ネガティブにしかとらえてもらえません。
私、熊谷も今までマネジメントをしてきた中で、いつ何時も100点満点の立ち振る舞いができていたという自信はもちろんありません。しっかりと受け止められずに、耳を傾けることができなかった場面もきっとあるはずですし、実際に部下からの耳の痛いフィードバックをいただいたこともあります。
そんな失敗もしてきたからこそ、ようやく自分の中で「部下が意見をしてくれた時にはこんなふうに受け止めよう」という、大切にすべきポイントが見えてきました。ということで今日は、部下の意見の受け止め方について、私が大切だと考えていること、そして実際に日々心がけていることを3つのポイントに絞ってご紹介いたします。
まず1つ目ですが、何か意見を言ってもらった時には笑顔で「ありがとう」と伝えましょう。これは本当に当たり前のことなんですが、意見してくれたこと、提案してくれた事実に対して、まずは感謝を伝えるのが必要だと思います。内容に反応してしまう前に、まずは笑顔で「ありがとう」と言うのが大切です。
反対に、何か意見をしてもらって嫌な顔をされたり、いきなり内容について厳しく突っ込みを入れられてしまうと、部下・後輩の方はもう次からは言いたくなくなってしまいますよね。これは、立場を入れ替えてイメージしてみるとわかるかと思います。
だからこそ、忙しい中や言いづらい中で伝えてくれたことに対する、感謝の気持ちをはっきり言葉にして伝えるのが、上司の大切な仕事だと考えています。
続いて2つ目ですが、意見・提案の意図をしっかりと聞きましょう。パッとその意見を聞いて、何かコメントをしたくなる気持ちは湧き上がってくるかとは思うんですが……。一番避けたいのは、実は上司のほうがよくわかっていなくて、これまでの経験や勘を踏まえて、部下・後輩の意見をすぐに否定してしまうことだと思います。
一方、部下がうまく言葉にできていないだけとか、反対に部下・後輩の方が現場の一次情報を持っていてよく見えていて、それを踏まえて意見してくれたということもあるはずです。
もし部下・後輩の意見や提案に対して「うーん、ちょっとうまく理解できている自信がないな」と感じたのであれば、まずは意図をしっかり聞き返して、いろいろと質問をして理解を深めましょう。
最後に3つ目ですが、そのまま部下の意見を尊重する心の余裕を持ちましょう。これは自分への戒めを込めてですが、どうしても心の奥底で「上長の自分の考え方が良いのではないか」というふうに思いがちなんですよね。
だからといって、部下・後輩の意見や提案に対して「うーん、こっちのほうがいいよ」と毎回返してしまうと、たちまち何も言ってくれなくなるはずです。だからこそ、時にはぐっと気持ちをこらえて、部下の意見をそのまま通すのもいいかと思います。どっちを選んでも、最終的な成果は大きく変わらないことも少なくないからなんですよね。
「あなたがそう思うなら、それをやってみよう」というふうに言って受け止めてあげたり、それぐらいの余裕というか、ドンと構える器の大きさを持ちたいなと思っています。
今日は、部下の意見の受け止め方について3つのポイントをお伝えしました。まず1つ目、笑顔で「ありがとう」と伝える。2つ目、意図をしっかりと聞く。3つ目、そのまま部下の意見を尊重する余裕を持つ。
今日は上司・部下と目線を分けてお話ししたんですが、一番強くて素敵な職場・チームというのは、もはや立場関係なく意見を言い合える状態だと思います。それに向けての第一歩としては、部下や後輩が意見しやすい環境作りではないでしょうか。簡単なことではないんですが、上司・先輩がしっかりと受け止めることがとても大切だと思います。
私もあらためて心がけていきたいと思いますので、何か少しでも参考になっていれば、今日から意識してみていただけるとうれしいです。それでは、今回はここまでです。本日も素敵な1日をお過ごしください。
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