2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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生成AIやメタバースなど、日々進化するテクノロジーをどのように捉え、どう使いこなせばいいのか。本イベントでは、各界の識者たちが登壇し、これからの時代のテクノロジーとの向き合い方について語りました。本記事では、早稲田メンタルクリニック院長/精神科医でYouTuberの益田裕介氏が、「なんとなく」で情報収集をしないほうがいい理由について解説します。
山田裕輔氏(以下、山田):あとは、「SNSとの適切な付き合い方が知りたい」と。これもまずはご自身のメンタルヘルス(を改善することですかね)。
益田裕介氏(以下、益田):そうですね。でも現代人は情報が多すぎるので、これ以上何か知らないといけないことは、たぶんないのではないかなと思うんですよね。「将来転職したい」とか「結婚すべきか」という時に、情報収集から始める人が多いんですけど、情報収集は要らないのではないかなと、僕は患者さんとしゃべっていていつも思うんですよ。
情報収集するよりも、もうちょっと自分と向き合う時間を作る。「他の人はどうしているんだろう?」じゃなくて、自分の価値観を見直してみて、必要があったら調べればいいと思うんですよね。
「とりあえず調べるところから始めます」みたいな人が多いんですけど、たぶんみんなすでにいっぱい知っているから、そもそも調べなくてもいい。「まず自分と向き合うところからスタートしたら?」と、いつも診察室で僕は言っています。
山田:なるほど。「こう書いてあったんですけど」となってしまうのが、そもそも(自分と)向き合っていないんですね。自分自身がそういう気持ちではないと。
益田:うーん、もうちょっとビジネスマン向けに言うと、「Why」が足りないんですよね。だから「不安です」と言われて「いや、何が?」と聞いても、「いや、なんとなく」とか。「お金がないんです」「じゃあどれぐらいないの?」「いや、月5万円ぐらいは貯金できているんですけど」とか。「じゃあいくら貯めたいの?」と聞くと、「転職する予定で」とか、いろいろ言うんです。
「そもそもこれは何なの?」「どれぐらい必要なの?」「どうしたいの?」とか(自分の考えが足りていない)。その上で情報を集めにいかないといけないのに、なんとなく金融関係のニュースをダーッとザッピングしていても、ぜんぜん意味がないので。それは上手な(SNSとの)付き合い方とは言えないですよね。
でも、「キャリアを考えた時に、成長産業はここで、自分はこういうスキルを身につけたい。じゃあどうしたらいいんだろう?」と考えた上でSNSをたどるのだったら、何を見つけにいくかが決まっているので、無駄な使い方にはならないと思うんです。
山田:なるほど。やはりSNSというサービスの特性上、中途半端に自分に寄せてきているから。それが逆に……。
益田:そう。だからふわーっとなんとなくザッピングしてしまうと、時間の無駄になっちゃいますよね。
山田:あともう1つ、事前にあった質問ですけれども、「依存で一番多いものは何ですか?」。
益田:その文脈で言うと、SNS依存が一番多そうですけど。実際臨床的に問題になっているのは、やはりアルコール依存ですよね。最近テレビで性依存なども話題になっていますけど、基本はアルコールです。アルコール依存症とは言わなくても、アルコール依存のせいで糖尿病治療が進まないとかは、臨床的にはよくありますね。
山田:ありがとうございます。みなさまもご質問があれば、Q&Aにぜひ。SNSの質問を1ついただいています。「『発達障害の人はYouTubeを見ることをやめられない』と言う人が周りにいます。発達障害と依存性の因果関係はあるのでしょうか」ということですけれども。
益田:そうですね。ADHDの人は衝動性が高いから衝動的に見てしまうんですよね。自分で止められないんです。だからYouTubeを見続けてしまうことがけっこう多いですね。
あと(ADHDの)子どもだと、歌舞伎町の通りを映した映像とか動物園のライブカメラをずーっと見ているとか、けっこう多いですね。「関係ありますか?」と言うと、まあ、ありますね。
山田:(確率的に)高くなるということですね。あとは、やはり事前にいただいた質問で、SNSとお子さんとの関わり合いで、少し悩まれている方もいらっしゃいます。
「不登校の子のSNS依存のメリット・デメリットについてもお聞きしたい」というのを、事前質問としてはいただいています。先ほどから一貫して、基本的に「依存にメリットはないよ」ということだとは思うんですけれども。デメリットと言ってしまうと難しいですよね。
益田:うーん、不登校の子のSNSもけっこうややこしいですよね。だから、N1(特定の1人の顧客を深く理解することに焦点を当てた分析手法)でうまくいったケースがよく言われたりするんですよね。つまり、「もともと不登校だったけど、ネットの力で良くなったよ」という声は、けっこう拡散されやすいですよね。
あんまり言わないほうがいいけど、芸能人とか女性アイドルとかで、「私も引きこもっていた」「うつだった」と、「SNSでみんなに意見を言えたのが良かった」と言う方がけっこういるんですよ。
そういう成功例もある一方で、やはり悪い例もありますよね。不登校の子が、SNSでOD(オーバードーズ)を知ってしまうとか、今は市販薬でODするのがニュースになっていますよね。あとは売春、性的虐待の問題。SNSで仲良くなった人が、「今度(家に)来なよ」と言って、性的暴行に発展している場合もある。
だから、いい情報に触れているんだったらいいけれども、SNSは何でもアリなので、どうしても弱っている時には、長時間見ていると悪い情報に流れがちですよね。それで今たくさん犯罪とか問題が起きているので、できれば制限したほうがいいと思います。
山田:なるほど。「禁止」までいかないSNSの制限って非常に難しいのかなと思ってしまうんです。
益田:24時間どこでもできてしまうし、どんな情報でもアクセスできるのはSNSの利点でもあるし、危険さもあります。どういうかたちで不登校の子や、心を閉ざしている子とコミュニケーションを取って、適切なルールを作るのかは難しいですよね。そもそも心を閉ざしていて言うことを聞いてくれないですものね。
山田:そうですよね。ご質問を1ついただいております。「ついSNSを頼って情報収集してしまい、誰かの意見を気にしてしまいます。気にしないようにするには、どのような行動やマインドを持てば良いでしょうか?」という質問です。
益田:そうですね。すごく意地悪な話をすると、実際SNSで発信している人って、暇な人というか問題がある人もけっこう多いですよね。それは子どもたちはわからなかったりしますよね。Xだと、匿名で短い文章で行間を持たせて発信する人もいて、さも物を知っているような感じがするじゃないですか。でも実際は問題があったり、よくわかっていない人が多かったりする。
あと、「意外と誹謗中傷するのは中高年で、学歴が高い人が多いんだよ」とか言ったりします。(この誹謗中傷も)実際は偏った知識だったりするので「大したことじゃないよ」と言えると思います(笑)。
当たり前といえば当たり前ですけど、ちゃんとした人はあんまり(誹謗中傷を)言わないんだよね。匿名だったり数が多かったりすると、人間の認知の特性上、「さもちゃんとした人が、すごくまともな意見を言っているのではないか」とか「ちゃんとした人なのではないか」と感じて、これがわからなくなってしまうんですよね。
あるラーメンをまずいと言っている人がいたとして、「ちゃんとした人ではないかもしれないけれども、もしかしてラーメンマニアだからよく知っているんじゃないか」とか勘違いしますけど、ぜんぜんそんなことはないので(笑)。「大したことない人が言っているしな」と思うことですよね。数の暴力ですけど、ちゃんとしたコメントをしている人のものだけちゃんと見るというか。
山田:ちゃんとしているかどうか、そこのジャッジが非常に難しいですよね。
益田:だから、だいたいはちゃんとしていないんだよね。
山田:そうですね(笑)。
益田:そうそう。ちゃんとした人というか、普通の会社員は(誹謗中傷を)書いている暇がないし、匿名であってもリスクがあることは書かないですよね。
自由な会社はそうではないかもしれないけれども、日本の多くの会社って、SNSで何か(会社のことを)書いていると言ったら、それだけで処分を食らうような保守的な会社だから。良くも悪くも、意見があってもみんな黙ってしまうのが、日本社会の特徴です。それがわかっていれば別に気にしないというか、しても仕方がないですよね。
山田:「どうしてもヤフコメとかが気になってしまう」は、質問者の気持ちがわからなくもないです。ついつい見ちゃう。
益田:患者さんもよく言いますね。「いや、そんな大したやつじゃないんじゃない?」と言っても、「いや、大したやつじゃない人にまで嫌われるなんて、私が最低なんじゃないか」って。
山田:(笑)。確かにそうですね。
益田:「いや、普通の人は嫌わないんだよ」と。「普通の人」とか「駄目な人」と言うとちょっと差別的ですけど、やはり心が病んでいたり、何か偏っている人が書き込むことが多いので、その人たちから好かれようとするのはけっこう大変ですよ。
僕だってクチコミの半分は1を付けられて文句を言われているわけですよ。「こんなことをやっていて、嘘つきだ」とか言われているので。嘘つきも何もないんだけど。でも、そういう人たちがいるという多様性を理解すれば、「そんなもんなんだな」と思って対応できるはずです。
山田:ありがとうございます。もう1つご質問をいただいております。「不安をやわらげたくてYouTubeでメンタルヘルス系のコンテンツをつい見てしまうのですが、本来はそれもしないほうが良いのでしょうか? ご意見をうかがえるとありがたいです」。なるほど。
益田:メンタルヘルス系のコンテンツって大量にあって、僕みたいなドクターがやっているのもあれば、そうでないのもある。騙す系もけっこう多いんですよ。
「小さいチャンネルだし、すごく親身になってくれるのかな」と思って行くと、LINEから勧誘があって、セミナーに引っ張って、セミナーの中で物を売るとか。そういうビジネスもあるので、それは気をつけたほういいですよね。
結局、メンタルヘルス系のコンテンツを見ないほうがいいかと聞かれれば、基本はそのほうがいいよね。どちらかと言うと、自分と向き合ったり何が不安なのかを特定するほうが大事なので。
ただ、不安があった時に、知識がないとそれを言語化することって難しかったりするんですよ。だから不安な時とか、病気のこととか、例えば旦那の浮気があるから離婚するかしないかとか、周りには普通に相談できない時はメンタル系(のYouTube)で相談する。
(Xのような)テキストだとちょっとわかりにくかったり、生々しさがなかったりするし、即時性もないので、そういう時はYouTubeやコメント欄を見ると、同じような体験をしている人がたくさんいるので冷静になると思います。あとは、言語化の助けになるような場合はいいのかなと思います。とにかく漠然とザッピングするのは、あんまりお勧めしないですね。
山田:なるほど。ご質問にある「不安をやわらげたい」の「不安」がどういうものかをわかった上で、その助けをYouTubeに求めるとか言語化するためならいいかもしれない。ただ「なんとなく」は良くないんですね。
益田:そうそう。何の不安なのか(を言語化する)。例えば恋愛の不安とか、離婚するかしないかで悩んでいるんだったら、そこを具体的に扱っているものを見たほうがいいですね。「生きるためには何をする? ベスト3」とかをなんとなく見るのは、たくさん見ていても解決にはつながらないので、やめたほうがいいと思います。
山田:ありがとうございます。もうあっという間に時間です。今回は「SNSとメンタルヘルス」というテーマだったんですけれども、いろいろ話が右へ左へといってしまって申し訳ないです。では、最後に益田さんからご覧いただいている方に「今後どう向き合っていけばいいか」をお願いします。
益田:そうですね。何度も言うと、(SNSとどう付き合うかは)難しいと思うし、まだ人類の中で答えが出ていない問題だということです。周りに流されず、自分たちの身を守ることが大事です。
会社であれば、テキストコミュニケーションをしていく中で、どうやればいいのかというSlackのガイドラインとかを、どの企業さんも作るといいと思いますね。
エンジニアの方はたぶん在宅勤務が多いと思います。例えば「こういう業務内容だったら夜間でも聞いていい」「こういう内容だったらSlackで翌朝に打ち込む」「未読のままにしてもいい」というルールを作るだけでだいぶストレスは減ると思います。
山田:ありがとうございます。
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