2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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『嫌な仕事のうまい断り方』著者である人気経営コンサルタントの山本大平氏と、プレゼンテーションクリエイターの前田鎌利氏が「大人の処世術 上手な断り方」をテーマに対談を行いました。本記事では、嫌な仕事を依頼されても断れないという人に向けて、自分でできる未然防止策を解説します。
前田鎌利氏(以下、前田):(参加者コメントで)「マイクロマネジメントで、嫌だし合わないからと敵にした自分を反省してましたが、その人がいなくなるのを待ちました」。
山本大平氏(以下、山本):いいですね(笑)。これはすごく良い視点ですよね。
前田:仮にこういう嫌な方がいたとした時に、周りからいなくなったことってありました?
山本:あります。(人間は)0か100かじゃないから、間のゾーンのタイプの人もいました。その場合に、この「いなくなるのを待ちました」はかなり良い術です。鎌利さんも僕も、日によってコンディションは違うじゃないですか。その視点が、この「いなくなるのを待ちました」というご回答と、僕の中ではつながるんです。
めっちゃ寝た次の日ってすっきりしてますよね。その時はたぶんセロトニンやオキシトシンがいっぱい出ているので、脳が良い状態。でも、寝ていないとその物質が科学的に減るから、イライラした態度を取りやすいし怒りっぽくなる。
同じ文面を見ても、「前田鎌利」という人物は同じなのに「なんかムカつく」「なんか良い」と、同じ人物でも(タイミングによって)解釈がぜんぜん変わるんです。そうなってくると、相手の状態が変わるのを待つともとらえられる。時間で様子を見るというのは一手。すばらしいなぁ。
前田:良い手ですね。
山本:めっちゃ良いです。それでもダメだったら「ずっとそういう人だ」というか(笑)。
前田:それはもう、そういう人だから(笑)。
山本:そういう人がいっぱいいるんだったら、そのコミュニティは自分には合わないよ、というだけの話。
前田:待つっていいですね。僕も本当に嫌な上司がいた時はお祈りしてました(笑)。
山本:(笑)。
前田:「いなくなってくんねぇかな」「やめてくんねぇかな」「部署異動してくんねぇかな」とお祈りしてましたが、そういうお祈りって意外と通じるもんですね(笑)。通じるというか、態度に出たり、伝わっていくんじゃないかなと思ってたりします。ありがとうございます。
前田:(参加者コメントで)「嫌な仕事の断り方の極論が『会社を断る』?」。
山本:「会社を断る」は極論だけど、そうじゃないですね。まずは未然防止として素でいること。断る手前の術としては、自分で断るシチュエーションを作らない。結局は自分しか変えられないから、そこ(他人)に沼らない。
前田:そうですね。相手は変えられないけど、なるべく相手の状況を知ることによって、その人との接し方を変えることはできるので。状況を変えると自分の行動が変えやすかったりするので、まずは相手のことを知る。
山本:それは大事。
前田:さっきの「ちょっと待てば変わる」というのと同じかもしれないです。
山本:大事です。ただ、1ついいですか? 95パーセントの情報は可視化できてないという、さっきの量子の話です。僕らは人間として、アリストテレスの時代からDNAはずっと変わってない。そうなると、最初の直感って意外とバカにできなくて。
「なんか違う」と思った時にそれを無視して、自分のエロ心で「給与が高い、受かりたい」で(会社に)入っちゃってるでしょう。だから、もしかしたらそういうところを改めると楽になるよというか(笑)。
前田:なるほど、確かにね(笑)。
山本:鎌利さんがさっき言ってた「接し方を変える」というのは、入ったあとの話です。ただ本質的には「嫌だ」と1回思った時点で、たぶんその認識は合ってるんですよ。
前田:直感ってけっこう大事ですよね。
山本:直感は、言語化、データ化、可視化できないことです。測定技術がないので。ただ、間違いなくあるんです。
前田:みなさん、直感は大事です。
山本:沼ったあとの話か、未然に沼らないようにする話か、どっちかです。僕は今言った後者のほうをおすすめします。
前田:(参加者コメントで)「転職したことないの、ヤバいなと思いました」。
山本:そんなことない。今の環境が良くて、スキルセットがあるなら無理やりするものでもないです。
前田:(参加者コメントで)「直感は脳のハードディスクが分析した結果。確かに、勘って経験からきているんですもんね」。
山本:そうなんですよ。「勘」という言葉、いいですね。
前田:『右脳思考』を書かれた内田和成先生が、ボスコン(ボストン・コンサルティング・グループ)の時にいろんな企業さんをコンサルしてきて、「経営者はだいたいみんな直感だよ。右脳で考えてるんだよ」とおっしゃってましたけどね。
山本:ややこしいことを1個だけ言っていいですか? 「直感を鍛える」って、じゃあどうすりゃいいんだよという話。
前田:これ、みんな聞きたくないですか?
山本:そうなんですよ。先に言っておくと、これは「いろんな人に出会う」しかない。嫌な思いもするしかないっていうのはあって。
前田:良いのも悪いのも経験しないと。
山本:それは間違いなくあるし、どの経営者の方も言っている。
前田:なるほどね。直感力は鍛えたいけど、鍛えるには痛みも伴ってくる。
山本:物理的に最初から(直感を鍛えること)は難しいから、「まずいと思ってたんだよなぁ。やっぱり勘が当たっちゃったよ」なんて言って、だんだん自分の直感に自信が持てるようになる。
前田:そういう意味でいうと、最初のうちにというか、若いうちに失敗をいっぱいしておいたほうがいいんでしょうかね。
山本:そうですね。人と会って、コミュニケーションを取って、いろいろ試す。失敗も過程ですよ。僕も死ぬほど失敗してるので(笑)。
前田:(笑)。みんなそうです。
山本:本当にそうです。今後も失敗しますよ。
前田:これはすごく大事な話です。例えば80歳になって老人ホームへ入った時に、選んだ老人ホームで失敗したらちょっときついですね。
山本:あんまり0:100議論には持っていきたくないんですが、とはいえちゃんとうまくかわす術はありますよ。今日は時間がないから本質的な未然防止の話をお話ししましたが、0:100じゃない。テクニックも使ってください(笑)。
前田:わかりました(笑)。詳しくは『嫌な仕事の断り方』を読んで、勉強していただけるといいんじゃないかなと思います。ということでお時間です。あっという間ですね。みなさん、いかがでしたでしょうか。
後藤美佳(以下、後藤):1個だけ質問をしたいとおっしゃってる方がいます。
前田:どうぞどうぞ。
質問者2:さっき「直感を鍛えるには人と会う」と言われていましたが、私も最近は「いろんな人と会いたい、紹介してくれ」と言われて紹介しているんです。ただ、その人が大事にするトーンと、私がその人を大事にしているトーンが違っていて。
例えば予定の候補をもらったとして、「来週の予定はこれです」と言ったのに、3日も4日もスケジュールの返答がないと、だんだんイライラしてきちゃったりするんです。
紹介する側になられた時に、「人と会う」ことをどう考えられてるのか、最近ずっと気になっていて。山本さんがどういうふうにお考えになられてるのか、参考に教えていただければ大変うれしいです。
山本:わかります。今の境遇にダイレクトに答えられているかわからないんですが、そもそも「あんまり断られても気にしない」という前提でつきあえばいいのかなと思っていて。僕がひねくれた性格になっちゃったから、あんまり人に期待してないんですよね(笑)。
(一同笑)
山本:「リアクションがなくても仕方ないや」みたいな。正直、家族でもそれぐらいのトーンでいたりするので、意外と自分自身は楽になりますね。
今「イライラ」とおっしゃったと思うんですが、どうしても連絡が欲しい場合には、コンタクトとして手紙を書くとか、そういうテクニックを使ってみるのも有効かもしれません。状況がまるっきりわかってないので、違ってたらすみません。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。
前田:「過度に期待しすぎない」って、本当にすごく大事な処世術だと思っていて。僕もそうなんですよ。
山本:だから、そこも「素」でいいんじゃないですか。
前田:そうそう。
前田:見返りを求めちゃうと、あとで「期待しなきゃよかった」みたいになっちゃうじゃないですか。僕も30代の後半ぐらいで、もう期待しなくなったんですよね。
山本:楽になりますよね。
前田:すごく楽になったんですよ。選択肢とかやってることが1個になっちゃうと、そこに集中しちゃうので、バラそうと思って。バラし始めたら、どれもこれも「返ってきたらラッキーだ」ぐらいな感じになりますもんね。
山本:お客さんでも「これだけ会社に対してやってあげてるのに」という人はいます。やはり期待しちゃってるんですよね。
前田:「やってあげてる」的な、言い分がかなり利己的だなっていうことがあって。利他なんて時間が経ってから返ってくるものだし、相手が思うかどうかですから、押しつけちゃダメですよ。
山本:そうなんです。自分が楽になる方法は「期待しない」。
前田:期待しないでください(笑)。
質問者2:わかりました。期待しません(笑)。
山本:いやいや。「1つの個人的な考え方」ぐらいでとらえてくださいね(笑)。
質問者2:でも、楽になりました。相手の方が紹介してくれって言うから、こっちは「それぐらい紹介してほしいんだ」と思って、紹介してあげようと思うんです。
例えば「鎌利さんを紹介してくれ」と言われたら、鎌利さんからスケジュールを聞いてその方に候補を出してるのに、なかなか返ってこないと「鎌利さんのスケジュールをいくつも押さえてるんだ。早く返してくれよ」って思っちゃうところがあったので。期待せずに、そういった人にはもう紹介しないって思うのも1つかなと思いました。
山本:もっと言うと、僕らがやってることや鎌利さんが言ってることとかも、期待しないほうがいいんですよ(笑)。うちはAIの専門会社なんですが、AIレベルで見ると人間がやってることなんてAIからすると誤差なんですよ。ビジネス書とかを偉そうに書いてる人っているじゃないですか……(自著を取り出す)。
(一同笑)
山本:AIレベルで言えば(人間がやっていることは)誤差だから、みんな平等ですよね。
質問者:わかりました、ありがとうございます。
前田:ありがとうございます。ということで美佳ちゃん、みなさんからの質問はこれでだいたいよかったですかね。
後藤:大丈夫です。ありがとうございます。
前田:時間もあっという間に過ぎておりますが、本日のゲストは山本大平さんでした。最後に大平さんにちょっとリクエストがございまして、毎回質問が3つあるんですが、最後に「今伝えたいこと」を一言お願いしてるんです。
せっかく今日はリアルでお会いしてますので、どこかの番組で見たような感じですが、こちらのボードに一言メッセージを書いていただきたいなと思います。
山本:今日はこれですね。「素」。自分に対してもだし、相手に対してもだし、期待をしないという意味においてもです。「自然体」と、とらえてもらえればいいと思います。
僕は学生時代にずっと分子生物学を研究していたので、DNAを研究して作っていたりしたんですが、無理してるのって人間くらいですね。例えば、ライオンとかは「もうお腹いっぱいだけど、もう1頭いくか」みたいに、必要以上に獲りにいかないんですよ。
でも、人間はちょっとエロいから(笑)。本当の意味の生物学的な「素」でなくなっている状態で、いろんなトラブルや嫌な仕事が起きるんじゃないかなと、ぼんやり思ってます。
前田:「獲りにいくんだ!」って、僕も今日の研修でけっこう叫んでましたから(笑)。
山本:それは否定しない(笑)。それが鎌利さんの普通であればぜんぜんいいと思います。そういうDNAなんだから。
前田:あんまりエロすぎるのはよくないぞと。やはり素は大事ですよね。
山本:自分も相手も、そのほうが楽かなと思います。
前田:そうですね。みんなが幸せになるために「素」という、今日は良いキーワードをいただきました。ということで、ゲストは山本大平さんでした。どうもありがとうございました。
山本:ありがとうございました。
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