2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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3万人以上を指導してきたリスキリングのプロ、清水 久三子氏。今回は清水氏の22冊目の著書となる『リスキリング大全』の出版を記念し、リスキリングの始め方、成功させるための方法を解説します。本記事では、学びの定着率をアップさせるコツや、三日坊主になりがちな人におすすめなリスキリングへの取り組み方を紹介します。
松岡永里子氏(以下、松岡):続いて、これもあるあるなのかなと思いました。「一念発起してリスキリングを始めても結局三日坊主で終わってしまいます。学び続けるコツは?」というご質問です。
清水久三子氏(以下、清水):リスキリングに限らず、いろんなことを学ぶ時には(三日坊主は)つきものですよね。たぶん、みなさんが最初にやろうとする計画が無茶なんじゃないかなと思うこともあるんですよ。
いきなり「毎日2~3時間〇〇する」となったら、絶対に誰でも続かないと思うんですよね。なので私としては、3分でも5分でもいいから「朝起きて〇〇する」「移動時間に〇〇する」とか、スケジュールに入れることをおすすめします。
みなさんは「時間がない」って絶対に言うんですよね。でも、時間は見つけ出すと必ず出てきます。例えばスマートフォンを触っている時間って、スクリーンタイムとして出てきますよね。スクリーンタイムを見ると、1日あたり3時間とかスマホを触っているんです。中を見てみると「SNSが何時間」とか。
そこで「2時間溶けたな」と、思っていただくといいと思うんですよね。「スマホを開いたらSNS」という動作が自分の中にインストールされてしまっているので、Facebookを一番奥のほうというか「そこまで何回も押さないと開けないんだったら、開かないな」というところに置いておく。
開いた瞬間、指が届くところにKindleのアイコンがあるとか、最初に開きたいところに置いておくのは1つですね。なので「初動をどれだけ短くできるか」と「どうしてもやってしまうものをどれだけ遠ざけておくか」です。これは「ストッパー」と「ドライバー」という言い方をします。
ストッパーを仕込んだり、ドライバーを入れたりしておくことで、「意識しなくても気がついたらそれを手に取っていた」という環境を作っておきます。
清水:特に最近だとKindleもそうですし、Audibleとかいろんなオンラインの学びツールが圧倒的に増えています。なので「この時間になったら始まってしまう」と自動的にすることで、気がついたらやっていることはあると思います。仕組み化して仕込んでおくことがおすすめです。
松岡:確かに。「つい手が伸びちゃう」みたいなことは遠ざけて、手が遠いものを近づけるということですね。
清水:そうですね。コンサルタント時代にやっていたことがあります。コンサルタントとして身につけなくちゃいけないものは本当に多岐にわたるので、それを1人でやっていてもみんな挫折しちゃうんですね。
その時に入った同期と、1週間に1冊「MBAなんとかシリーズ」といった本やホワイトペーパー(白書)を決めて読んで、読み終わったらレポートを書いて全員で出していました。全員がレポートを出すので、絶対に読まないとダメなんです。そうすると、挫折することはなくなりますね。
みんなも読んでいるし、アウトプットを出してくるので自分も出します。そのアウトプットを見て、また学びが深まるところもあるんですよね。なので、1人で無理だなと思った時は誰かと一緒にやることがおすすめです。
松岡:ありがとうございます。
松岡:今のお話と関連して、ご質問が1つ来ています。「仲間と一緒に学ぶことやアイデアはありますか? 具体的なテーマの立て方や運営方法があれば教えてください」。今のお話に近いのかなと思います。
清水:これは「何を学びたいか」でやっていただくのがいいかなと思いますね。例えば特定のスキルを身につけたいのであれば、今日やった仕事の成果として「そのスキルを使ってどうだったのか」をオンラインでみんなでディスカッションできるような場を作っておいて、今日1日の振り返りを書き込むとか。
それをやり続けることですごく刺激になるところもありますので、いいですね。前職の時に語学でやっていたものは、「スタディなんとか」とかいろんなアプリがありますので、今日は何をやったかをみんなで登録していました。グラフになるので、ものすごく刺激になると思いますね。
松岡:すごいですね。
清水:「今日覚えた珍しい英単語1つ」や「会議で使える一言」をみんなで共有していくことで高め合うとか。どういうスキルを身につけたいかで、テーマの立て方がいろいろあると思います。
松岡:ありがとうございます。「一緒にダイエットをやろう」みたいなアプリがあるので、それも近いのかなと思いました。
松岡:今の話と似ているかもしれませんが、「清水さんが、ふだんインプットの際に取れ高を上げるために、意識的にアウトプットを作っている、取り組みやすい例を教えてもらえると助かります」というご質問です。
清水:アウトプットの取り組みやすい例ですか。
松岡:そうですね。今の話とちょっと重なるかなと思います。
清水:例えば、何かを決めて毎日投稿するのも1つです。あとは、ある程度まとまりそうなタイミングで、自分が発表する場を作ってしまうことです。これはかなりハードルが高くなるのですが、「人に教えなくちゃいけない。伝えなくちゃいけない」となると、吸収率がぜんぜん違ってくるんですよね。
私は前職でもいろんなコンサルタントの人を講師としてスカウトしていたんです。現役のコンサルタントの人に「この研修の講師をお願いします」と言うんですが、「いや、自分はそんな教えられないです」と言って断ろうとする方がほとんどなんです。
でも、違うんですよ。「できるから教えるんじゃなくて、教えているうちにできるようになるからやってください」という感じで口説いていました(笑)。そして、やった方は口を揃えて「教えている自分が一番成長した」と言うんですよね。
なのでちょっとハードルは上がるんですが、「人に教える」というアウトプットの場を無理やり作ってしまうと、一気に「やらなくちゃ。覚えなくちゃ」という感じになります。「今まで自分がやってきた体験を一気に棚卸ししよう」となりますので、ハードルは上がりますがかなりおすすめですね。
松岡:教える機会や発表の場を作ってしまう。「ラーニングピラミッド」ですね。教えるとなると、学びの定着率もすごく高まるという話がありますよね。
清水:自分の学びとしてはそれが一番大きいですね。
松岡:それこそ、闇練し続けてその先に出口がないよりも、ちゃんとデビューする場を設けておくということですね。
清水:そうしたほうがいいですね。
清水:メンタルブロックを抱える人は「(自分は)間違っているんじゃないか」と思ってしまって、「正しいかどうかわからないことは伝えられない」と言うんですが、本当に正解かどうかがわかることはずっとないと思うんですよね。
ビジネスにおいて唯一無二の正解ってないじゃないですか。どんどん変化していくこともあるので、「今の時点で自分はこう考えている」と発表すればいいだけなんですよね。
それが1年経ったら変わっていることも十分あり得るので、「私が得てきた知識はこういうことですよ」と伝えるだけでいいんだと思うと、だいぶハードルが下がっていくんですよね。それに対して「それは間違っている」と言うような人は、そもそも付き合わなくていい人だと思います(笑)。
松岡:(笑)。
清水:自分が発表したら「僕はこう考えるよ」「それだったら、こういうのを読むと、もっといろんな情報があるよ」とか、逆にもっといいいいフィードバックがたくさん来ます。「恥ずかしい」「間違っているんじゃないか」というブロックを外してやっていただくといいと思います。
松岡:「フィードバックが欲しい」という声もありましたので、もらえるものに目を向けて、もし不必要な言葉を投げかけてくる方がいたらブロックするということですね(笑)。
清水:そうですね。
清水:1つ思いついたので、言ってもいいですか?
松岡:はい。
清水:例えば「自分がこうありたい存在」とか、憧れの存在がいるじゃないですか。本を書いている人に質問してしまうのも1つですね。
そうすると質問するために一生懸命学びますし、その人にフィードバックをもらえるとものすごくやる気が出たりするんです。なので「ちょっと遠い存在だから無理」というのではなく、思いきって質問してみる。
今回もそういう機会かもしれませんが、セミナーに出て質問をさせてもらって「もしこういうことに困ったら、また質問してもいいですか?」と言うと、けっこうな確率で「いいですよ」と言ってくださるんですよ。私は何回もそれをやっています。
なので「フィードバックをもらおう」「ああいう人に近づこう」というモチベーションがあると、非常にいいかなと思います。
松岡:「自分でたぐり寄せる」というか、あまりビビらずにやっていくということですかね。
清水:みなさんからたくさん質問を書いていただいたのですが、これは本当に重要ですよね。「恥ずかしい」「こんなこと聞いちゃいけないんじゃないか」と思ってやらないでいると、得られる答えやフィードバックがどんどん減っていってしまいます。なので、どんどん外に出ていただくと取れ高がぜんぜん違うと思います。
松岡:人同士だからこそ得られるものに目を向けて、「じゃあやってみよう」と思うと、楽しく始められそうですね。
清水:得られる情報そのものというより、自分のメンタルやモチベーションへの働きかけのほうが効果としては大きいんですよね。それがあればもっとがんばれるとか、もっと続けられるということがあります。自分で楽しくできるように仕込んでいくのがいいかもしれませんね。
松岡:ハードルが高いと思っていたのですが、一つひとつは少しの一歩でできそうなことなので、すごく前向きになれそうです。人間同士だから起こるケミストリーがありますね。すごくかっこいいです。
清水:素晴らしい言葉を使わせてもらっていますね(笑)。
松岡:(笑)。
清水:私もフィードバックを得ています。
松岡:ありがとうございます。「清水塾の塾生になれば、一歩踏み出せるようになるかも」というコメントをいただいています。入塾したいですね。
清水:(笑)。ありがとうございます。
松岡:ご質問をたくさんいただいているのですが、お時間も残りわずかとなってきました。最後に清水さんから一言いただきたいなと思うのですが、よろしいでしょうか。
清水:ありがとうございます。冒頭でも言いましたが、リスキリングを「切羽詰まって」「やらねば死んでしまう」みたいな感じでやると、あまり楽しくないですし、取れ高が減ってしまうこともあります。
「人生100年時代」と言われて久しいですが、1つの仕事や1つの会社で仕事人生が終わるということは、どんどん減っていくと思うんですよね。なので、どんどんステージが移り変わっていくのが当たり前になっていくと思います。
ステージが変わる時に命懸けで移るのではなく、楽しみながら移れるようにすることが、リスキリングスキルを身につけることになります。また、いろんな不安を解消することにもなるかと思いますので、ぜひ自分なりの体系化や、自分なりの新しいことへの取り組み方を身につけられるといいかなと思っています。
松岡:ありがとうございました。私も書籍(『リスキリング大全』)に書いてある「学びは不安を解消する」というところがすごく好きです。「こうやらなきゃ」と思ってやると、おもしろくなくなっちゃうんですが、「自分のために」「周りの人のために」とか、より良くするために動いていることを忘れなければ、本当に楽しめるんじゃないかなと思いました。
清水:そう思っていただいて、本当に書いてよかったです。
松岡:素敵な書籍です。今日は本当にありがとうございました。
清水:ありがとうございました。
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