
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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データによる技術分析や未来予測などを提供するアスタミューゼ株式会社。「破壊的イノベーションはどこから生まれるのか」をテーマとしたセミナーに、同社社長の永井歩氏が登壇。新規事業の創出に取り組む経営者やビジネスパーソンに向けて、新くの企業がオープンイノベーションで直面する課題や、成長産業の中で事業を展開することの重要性などを語りました。
永井歩氏(以下、永井):次に「既存アセットを生かした新規事業の作り方」についてお話します。未来を推定すると、「こんなプレイヤー、こんなキーパーソン、こんなイノベーターがこういうことやっているんだな」ということがわかりました。
「じゃあその人たちと組みましょう」といっても、相手からすると「なんであなたたちと組まなくちゃいけないんですか?」ということになりかねないです(笑)。もちろん「お金を出しますよ」はあるんですが、むしろお金が余っていることもあります。
世の中にはベンチャーキャピタルやファンドはいっぱいあるものの、投資先のベンチャーやスタートアップが足りない状況もある。いかにお金じゃない武器……アセット、ノウハウ、データ、技術をイノベーターたちに提供していくかも、オープンイノベーションの中では重要です。
今日参加されている大手の企業さまにとっては、今持っている武器や技術、資産、データがいかに新規事業で使えるか。闇雲な新規事業ではなく、未来推定で出てきた新しいマーケットに使える新規事業になります。
自分たちの持っている技術や資産を自分たちのメイン事業に使う。これは言うまでもなく、みなさまは日々の中でやっていらっしゃるかと思います。でもぜんぜん違うマーケットでその技術や資産を使う。
マーケットといっても単なる飛び地ではなく、今後どんどん重要になっていく社会課題に適用する。今いろいろなところで「知の探索」という言葉が使われていますが、各企業さまがかなりここに悩まれていると感じます。
「アイデアがなかなか出てこないな」「自分たちの強みを活かそうとしたら、自分たちのアイデアの周辺だけになってしまう」と。たくさんのアイデアがあったとしても、どれが一番有望かを選べない。
各アイデアを立ち上げていくことに、経営陣や社内の理解がなかなか得られない。聞いたこともないような成長産業やマーケットに関して「本当に大丈夫なのか」とスピード感を持って進められなかったりする。
私たちは、さまざまな未来推定から新規事業の立ち上げ、オープンイノベーションの手伝いをする中で、データで分析することはもちろん、事業の立ち上げのチャレンジもお手伝いさせていただいています。
その中で、「自社でこういうことがあるのは本当に恥ずかしい」とおっしゃるんですが、けっこうどこの企業さまも同じような課題にぶち当たっていると感じます。そこで今日は、具体的な課題への解決策をいくつかご紹介させていただければと思います。
自分たちの強みを活かす中でいろいろな事業・イノベーションを立ち上げていく時、自分たちの今の既存事業の延長線を考え「そこから未来予測して使おう」としてもなかなか難しい。ある程度世の中の成長産業を、網羅的に把握しているほうがいい。
例えば、一般的に事業を立ち上げる時は「この技術、この資産があるんだったらこんな事業はできないかな」と事業を構想してからマーケットを調べたりすると思うんですね。
市場規模や成長率がどれくらいか。今持っている自分たちの技術がどれぐらいKSF(Key Success Factor:重要成功要因)になるのか。こういった順番で調べられるかと思うんです。でもそうすると場当たり的になってしまい、結局あまりおもしろいアイデアに踏み出せなかったりします。
そうではなく最初から「世の中でお金が流れ込んでいる、100兆円も流れ込んでいる産業はこういうところなんですよ」「実際に今こういう分野でイノベーションが活発なんだよ」と面で把握しながら、自分たちの技術をぶつけていく。こういう分析が重要です。
どこの会社さんかわかりやすいと思うので(笑)、弊社が担当したわけけではないのですが一般的な事例として富士フイルムさんを取り上げさせていただきます。富士フィルムさんはフィルムの薄膜のコラーゲンを化粧品や医薬品に使われています。
これには2つポイントがあると思うんですね。1つ目は自分たちの競争優位性が出しやすい技術がしっかりと使えるマーケットを見つけられているところ。もう1つは化粧品や医薬品という、成長産業であるマーケットに対して取り組んでいるところ。
化粧品・医薬品だけで「成長産業だから」と取り組んだとしても、武器がなかったりする。そうなるとマーケティングだけで勝負しなくてはいけない。逆に「自社が持っているコラーゲンを使うんだ」と言っても、あまり成長していないマーケットで出口を探しても、両方中途半端になってしまうわけですね。
成長しているマーケットだとすでにレッドオーシャンだったりするので、いかにこれから成長するだろうというマーケットで、自分たちの持っている武器を使うか。それを同時に実現できるかが重要になってきます。
私たちは機械的に分析するツールを持っていまして、各成長産業の中で自分たちの持っている技術がどう適用できるかを掛け合わせて整理しています。
もともと私たちは、各社さまの持っている技術がどの産業で使えるかを分析するツールを使っていましたが、最近はかなり横断的に分析できるようになってきました。
例えば成長産業だけではなく、社会課題や脱炭素、サーキュラーエコノミー(循環経済)などさまざまな出口に対して、自社の技術が使えるかどうかの判別ができるようになっています。
せっかく良い武器、技術、資産、データがあるのに、適用させるところが中途半端だと、がんばって取り組んでもなかなか活かされない。サステナブルである、これから指数関数みたいに伸びるマーケットであれば、ふたを開けたら技術力がなかったとしても、なんとか成長産業の中でやっていけることもありますので。
ある程度大枠の中で成長していてサステナブルであるマーケットの出口に、自分たちの技術を使っていく。そこに当てることがとても重要だと感じています。
私たちが分析をすると、アウトプットイメージは(スライドの)こんなかたちになるんですね。
左側の縦に技術が並んでいて、横に全部並べると大変なので、SDGsの番号ごとにまとめました。社会課題ごとに自分たちの技術を使うと、どんな出口のアプリケーションがあるのか、どういう用途展開があるのかが、分析結果として出てきます。
よく「技術はわかりましたが、じゃあデータはできるんですか」「資産はできるんですか」とご質問いただくんですが、実際過去に不動産や空間、データなどで適用できるかどうかを分析したケースもございます。
必ずしも技術を持っていなくちゃいけない、特許がないといけないわけではありません。自分たちの会社にテコが効く「コア」なもの、競争優位性があるものがあれば、それを軸に網羅的にあらゆる出口で見ていくことができます。
前半は未来を推測する中でのイノベーションのお話をさせていただきました。基本的には、自社が1つの未来にコミットしていくのではなく、あらゆる未来の予測結果に対してどこが一番相性の良い未来なのか、成長産業なのか、社会課題なのかを見にいくアプローチになります。マーケットに対して自分たちがしっかりと使える武器を使ってイノベーションをしていくのが、このアプローチです。
自分たちの技術をどう適用できるかの根拠としては「ほかの会社さまで御社と同じような技術を使って、こんなことをやろうとしていますよ」という情報が抽出されます。
各社さまが持つ技術がまったく想定していないものでも適用できる。
私たちの妄想でレコメンドしているのではなく、実際にやっている会社さんや、やっているプレイヤーがいるからなんですね。さらに投資がされているわけです。
例えば「これからこんな未来になっていくんですよ。御社の技術を使えばこんな取り組みができるんです」と私たちの分析結果をお伝えすると、「いや、そんなことはできるはずがない」「そんなものはニーズがない」とおっしゃるお客さまもいらっしゃいます。
そんな時私たちはこうお伝えします。「実際私たち自身がマーケットでのニーズを正確に確認できているかというと、そうではないところもあります。ただ少なくとも御社と同じ技術をお持ちの会社さんが、まったく御社とは違う使い方、活用の仕方を発表されて、結果としてベンチャーキャピタルが1億円を投資したという事実があるんです」と。
プレイヤーがどうマーケットの裏側の情報を把握しているのか、投資家がマーケットの蓋然性を把握したかどうかは、私たちも全部データとして取れるわけではありません。しかし、1つの事実として、同じ技術を持つプレイヤーさんがお金を集めていたり、投資されていたりする。その金額がけっこう大きいという事実は、「自分たちが何か勘違いしている可能性があるんじゃないか」という証左として、大変参考になる情報だと思っています。
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