2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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営業力を上げるノウハウを詰め込んだ『無敗営業』などの著者であるTORiX代表取締役の高橋浩一氏が講演を行いました。「『成長が早い』営業メンバーに育てる4つの鍵」と題し、メンバーの「営業センス」を伸ばすためのヒントをマネージャー視点から解説しました。
高橋浩一氏:これ以外にも、いくつか気づきを促すやり方があります。「ロールスイッチ」というのが典型的なんですが、「売る側から買う側へ」ということで、メンバーにお客さま側をやってもらってロールプレイをやります。これは一番やりやすい方法の1つですね。
当社も営業支援の中で、いろんな会社でロープレをやることが多いんですが、お客さま役をやっていただくとけっこう発見が多いんですよね。
そして「教えられる側から教える側へ」。例えば、メンバーの方が2年目、3年目といった年次だったら、1年目の後輩をつけてあげる。そうやって指導する側を体験してもらうと、「指導する側になって、ようやく◯◯さんがおっしゃったことがわかりました」みたいなことが起こるわけです。
さらに「脇役から主役へ」ということで、だいたい目標達成に執着しない人は、「自分の達成状況って、そんなに別に大事じゃないでしょ?」みたいなことを考えたりします。
今まで本人が「重要な位置づけでない」と自己認識していた場合、「チームの目標達成における欠かせない存在である」ということを明示することで、目標達成センスに刺激を与えることもあります。
手っ取り早く変わってほしいんですが、手っ取り早くやると、だいたい間違えてしまうんですよね。実はこれは実験結果でも検証されています。
例えば、子どもの教育において「正解」を褒めるのがいいのか、「学ぶ態度」を褒めるのがいいのかというと、正解を褒められたグループよりも、学ぶ態度を褒められたグループのほうが、理解度がアップして難しい問題に取り組む時間が長くなるんですね。
手っ取り早さというのは、むしろ(スライド)左側の「正解を褒めるかどうか」じゃないですか。右側って、ちょっと時間がかかる気がしますよね。なんですが、右側のほうがパフォーマンスは上がりました。
他にも、「よくできた人にはおもちゃをあげる」と報酬を約束されたグループと、報酬を約束されなかったグループ「評価に反映させることで◯◯をがんばってもらおう」みたいなのは、よくあると思います。ただ、これにはちょっと気をつけなくてはいけなくて。
パフォーマンスが上がるのは、外的な報酬ではないんですよね。外的な報酬ってなんか気分は上がるんですが、パフォーマンスが上がるわけではない。これがけっこう大事なポイントなんですね。
さらに左側のグループは、自発的な興味を失い、自分なりの工夫をしなくなり、手っ取り早い方法でいいかげんに結果を出そうとするようになる。だから、あんまり短期目線で指導すると悪影響が大きいということです。
さて、センスを磨く「事実ベースの指導」とは何かということなんですが、直接的に「ダメだ!」とダメ出しをしたり、相手の考え方を否定しても変わりません。「変わりなさい」と言っても、人はそんなに変わりません。気づくきっかけを作りましょう。
遅い思考、『ファスト&スロー』で言うと「スロー」の部分を刺激するために、事実と思考プロセスを丹念に辿ってあげる。時には、気づきを促すためのロールスイッチも有効です。
ということで、「どうやって(営業)センスを伸ばすのか」についてお話をしてまいりました。とは言えども、みなさんは「いやいや、そう言われても忙しいんですよ」とも思われるんじゃないでしょうか。そこで最後に、マネージャーが忙しくてじっくりと指導できない場合に、どうしたら良いかという話をしていきたいと思います。
まず、忙しい中でどうやって指導してあげたらいいかということなんですが、ここでは「メンバーが順調な成長をしている状態とはどういうことか」を定義していきたいと思います。
「経験学習サイクル」という考え方がありまして、「メンバーが成長している時にはこういうことが起こっています」というものが体系化されているんですね。
デービッド・コルブさんという方が提唱している「経験学習サイクル」は、まずは「経験」があります。これは、いつも通りの変わり映えしない経験だとあんまり刺激がないので、新しさを伴う刺激があることがいいとされています。
そうすると、「あれ?」と思うわけですね。それを振り返っていきます。振り返って、「あぁ、そうかそうか。こういうことか」とキーワードで言語化されて、「じゃあ次からは新しくこれを試してみよう」となると、順調に成長が加速していきます。
もう少し具体的な観点からお話をしますと、経験学習サイクルが回る例と回らない例です。
商談でいつもと違うお客さまの反応があった時に、経験学習サイクルが回っている人は「あれ? ちょっと待った。いつもの商談に比べて、お客さまが課題を率直に話してくれたけど、これはなんでだろう?」と、まず振り返るわけですね。そして、「そういえば今日って、自分から先に自分の自己開示をしたのが良かったかもしれない」と、キーワード化をします。
キーワードとして「自己開示」という言葉が出てきました。そうしたら今度は試行ということで、「今度の別のお客さまとの商談では、冒頭の5分間でもう少し自己開示してみよう」となる。こういうサイクルが回っている人は成長が早いんですよね。
ただ、成長が早くない人は、「忙しくて考える時間がない。さあ、次の商談だ」とか、キーワードも「大量行動で関係構築だ」と考えを止めてしまう。そして「とにかくがんばるだけだ」となる。残念ながらこれだと成長スピードは上がりません。
どうすると経験学習サイクルはうまく回るんでしょうか。冒頭で「具体」と「抽象」を書かれた方が何人かいらっしゃいましたが、その話をしたいと思います。
具体と抽象を往復させると、経験学習サイクルがうまく回ります。抽象的なキーワードとして、「こうすればうまくいく」という成功の鍵ってあるじゃないですか。
一方で、具体的な事実として「本当に『成功の鍵』は正しいの?」となった時に、「確かにA社の商談でこういうことをやってうまくいったな」「B社の商談でこういうことをやってうまくいったな」「C社の商談でこういうことをやってうまくいったな」というふうに事実が積み重なってくれば、これは信じられますよね。
ということで、まずは「具体」と「抽象」を意識していきましょう。経験や試行で広げるというのは、先ほどの経験学習サイクルで言うと、自分が新しく何かをやってみようとすると、サンプルとなる「経験」がどんどん横に広がっていくわけですね。
振り返りとキーワード化によって、縦がつながっていく。すなわち成功の鍵と行動・結果が「あ、そういうことだったのか」と、腹落ちをするわけです。
いろいろなメンバーのタイプがいますが、みなさんの会社にもよくこういう人がいると思うんです。何を言われても素直に「はい、わかりました。すぐやってみます」という経験重視タイプです。
経験と試行の数が多いのはいいんですが、その人(経験重視タイプ)には振り返りとキーワード化をサポートしてあげる必要があるんですね。考えないと、結局はキーワード化がされないんです。
逆のタイプもいらっしゃいますね。とにかく勉強熱心で、ノウハウを学ぶことに熱心な学習意欲が高いタイプもいらっしゃいます。自分で個人的に本を読んでいるとか、SNSを頻繁にチェックしているとか。
ちょっと落とし穴になりがちなのは、世の中にある成功の鍵を自分に当てはめても、それをやるかどうかという部分はマネジャーが支援してあげたほうがいいわけです。
それに、世の中はいろんな情報が散らばっていますので、頭でっかちにならないように、ある程度マネージャーが「どういう情報にアンテナを立てたらいいか」はサポートしてあげたほうがいいでしょう。
そして、センスが鋭いアナロジータイプ。どちらかと言うと、むしろ手がかからない、成長が早い人だと思うんですが、(ポイントは)他での経験を今の業務にどう当てはめられるかです。
例えば中途の人で、前職での経験をうまく活かせるかどうかにこのセンスが表れたりするんですが、そういうのがけっこううまい人は、チューニングさえ支援してあげればぐんぐん伸びていきます。
チューニングを支援するというのは、どんなふうに前の会社の経験を活かしていくかについて、会話をしながら助けてあげるということです。
いろいろと話をしてきましたが、なんだかんだ「経験学習サイクル」は重要なキーワードですので、ぜひ押さえていただきたいです。例えば、働きかけの中で「経験を定義する」ということをやってあげましょうと、ここには書いております。
「今日の商談は、いつもに比べてこちらが話す時間よりお客さまの話している時間が長かったね」と。このポイントは、「いつもに比べて」ということです。「いつもに比べて」(という言葉)を混ぜて定義をしてあげることによって、「あ、そうか。これっていつもと違っていたんだ」とメンバーが認識するわけです。
あるいは「どうだった?」と、振り返りを促す。これはコーチングですよね。そして、キーワード化を助けてあげる。さらに、試行を後押しするということです。
「自分の中で『深掘りモード』を意識してやったほうがいいね。じゃあ、別のお客さまとの商談でも、『深掘りモード』でいっちょやってみようか」と言ってあげると、メンバーの行動が後押しされます。
こういう気づきを促す働きかけの時間をうまく取れない場合は、日報を書いていただく時に、「経験学習方式」で書いてもらうことも1つ(のやり方)です。「4行日記」という言葉がありますが、事実から振り返りをして、キーワード化をして、そしてアクションプランに落とし込むということです。
例えば、「今日はいつもと少し違うお客さまの反応があったな」という経験の部分があったら、何が良かったのかを振り返る。
「いつもの商談に比べて、お客さま側から率直に話してくれたのは、先にこっちが正直に自己開示を自分からしたのが良かったのかもしれない」とキーワード化をし、最後に試行をアクションプランに落とし込んでいく。こういうスタイルで報告を書いてもらうのも1つのやり方ですね。
ということで、経験学習サイクルを回しやすい育成についてお話をしてまいりました。「経験→振り返り→キーワード化→試行」の循環を押さえましょう。
そして、マネージャーが「気づき」を促すよう働きかけることが有効なんですが、時間がうまく取れない時は、経験学習サイクルが回るような日報を書いてもらうのも1つのやり方です。
最後に簡単にまとめてみたいと思います。まずは「センス」の定義なんですが、「目的に向かって、スキーマを柔軟にアップデートできること」が、今回のセミナーにおける「センス」の定義でした。
そこで4つの話をさせていただきました。まずは「思い込み」の話です。歪んだスキーマにとらわれていると、成長が鈍化する。スキーマを柔軟にアップデートできるどうかが、センスの鋭さや成長スピードを決める鍵であるということでしたね。
「センス」という話をする中で、確か営業センスは3種類ありました。会社から与えられた責務を全うするのは「目標達成センス」、お客さまに貢献して喜ばれるのは「顧客志向センス」、自分の立ち位置を正しく捉えるのは「自己認識センス」です。
じゃあセンスをどう磨くの? という話が、「事実ベースの指導」でした。MMOTの話をしましたね。直接的に考え方を否定したり、変えさせようとするのは意味がない。「気づくきっかけ」をどう作るかです。
『ファスト&スロー』の話をしましたよね。「遅い思考」を刺激するために、事実と思考プロセスを丹念にたどりましょう。そして、気づきを生むためのロールスイッチも有効です。
さらに、忙しい営業マネジャーの方に向けて、「経験学習サイクル」の話を最後にいたしました。メンバーが経験学習サイクルをバリバリ回してくれれば、成長スピードは上がるわけです。「経験→振り返り→キーワード化→試行」ですね。
もちろんマネージャーは「気づき」を促すよう、時間をかけて働きかけられるとベストなんですが、時間が取れない時は、経験学習サイクルが回る日報を書いてもらうようにしましょう。
ということで、セミナーでお話ししてきた内容は以上です。ありがとうございました。
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