2社間ファクタリングを利用した場合、回収した売掛金は支払期日までにファクタリング会社に支払う必要があります。
「売掛金の入金が遅れたらどうなる?」「支払期日の延長や分割払いはできる?」など、支払いについて不安を感じている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、ファクタリングにおける支払期日の基本や2社間・3社間ファクタリングにおける違いなど、基礎事項をわかりやすく解説。
さらに、支払期日に遅れた場合のリスクや対処方法、支払期日を守るためのポイントについても詳しく解説します。
安心してファクタリングを利用するためにも、ぜひ参考にしてください。
ファクタリングにおける支払期日とは?

ファクタリングにおける「支払期日」とは、利用者がファクタリング会社に対して、売掛先から回収した売掛金を支払う期限を指します。
ファクタリングとは、自社が持つ売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期に資金化する資金調達法です。
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」という2つの契約方式がありますが、売掛金の支払いは2社間ファクタリングで必要になる工程です。
支払期日はファクタリング契約時に定められますが、売掛金の入金日当日になるのが一般的です。
支払いが遅れた場合には遅延損害金が発生するなどのペナルティが発生するため、売掛金が入金されたら速やかに支払いを済ませる必要があります。
2社間と3社間ファクタリングで支払期日はどう違う?
ファクタリングでは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという2つの契約方式があります。
ここでは、2つの契約方式における支払期日の有無や違いについて解説します。
また、どちらの契約方式を選ぶべきか迷ったときの判断ポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
2社間ファクタリングの支払期日は売掛金入金日が一般的

2社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社のみで成立する資金調達法です。
基本的な流れは下記のとおりです。
- 商品やサービス提供し、請求書を発行する(売掛債権が発生)
- 利用者が売掛債権をファクタリング会社に売却する
- 売掛債権の買取金(手数料などを差し引いた金額)を受け取る
- 売掛先から売掛金を受け取る
- 回収した売掛金をファクタリング会社に支払う(支払期日の設定あり)
ステップ5で売掛先から回収した売掛金をファクタリング会社に支払いますが、このとき、支払期日が設定されています。
一般的に支払期日は売掛金の入金日当日のケースが多い(※)ですが、ファクタリング会社によって基準が異なるため、契約時に詳細を確認しましょう。
- 自社調べ
3社間ファクタリングは支払期日の設定なし

3社間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社のほかに売掛先も関与する資金調達法です。
基本的な流れは下記のとおりです。
- 商品やサービス提供し、請求書を発行する(売掛債権が発生)
- 利用者が売掛債権をファクタリング会社に売却する(事前に承認を得ることを推奨)
- 売掛先へ売掛債権の売却を通知する(ファクタリング会社が代行することもある)
- 売掛先から同意を得る
- 売掛債権の買取金(手数料などを差し引いた金額)を受け取る
- 売掛先が直接ファクタリング会社に売掛金を支払う
3社間ファクタリングではファクタリング会社に売掛金を支払うのは売掛先のため、利用者に支払期日が設定されることはありません。
ただし、2社間ファクタリングよりも工程が多いため、急いで資金調達が必要な場合には向いていない点に注意が必要です。
2社間と3社間、どちらを選ぶか迷ったときの判断ポイント
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングはそれぞれ特徴が異なるため、支払期日の違いだけで選ぶのは避けましょう。
大きく異なるポイントは下記のとおりです。
| ファクタリング契約方式の違い | ||
|---|---|---|
| 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング | |
| 契約当事者 | 利用者、ファクタリング会社 | 利用者、ファクタリング会社、売掛先 |
| 支払期日の設定 | あり (利用者が支払う) | なし (売掛先が支払う) |
| 売掛先への通知 | なし | あり (同意が必要) |
| 現金化までのスピード(※) | 即日から2〜3営業日内 | 1〜2週間程度 |
| 買取手数料(※) | 10〜20% | 1%〜9% |
| 審査 | 通りにくい | 通りやすい |
| おすすめな人の特徴 | 急いで現金が必要 売掛先に知られずに資金を調達したい | 手数料をなるべく安く抑えたい 売掛先から同意が得られる 売掛金を返金する手間を減らしたい |
- 自社調べ
基本的に、2社間ファクタリングは急いで現金が必要な人や、売掛先に知られずに資金を調達したい人におすすめです。
ただし、買取手数料が高くなる傾向があるため、少しでも安く抑えたい場合には3社間ファクタリングがおすすめです。
ただし、3社間ファクタリングは売掛先から同意を得て契約するため、現金化まで時間がかかる点には注意しましょう。
ファクタリングの仕組みや2社間・3社間ファクタリングの選び方について、より詳しく知りたい場合は下記の記事を参考にしてください。


ファクタリングの支払期日に遅れたらどうなる?原因別にリスクを解説

ファクタリングの支払期日に間に合わなかった場合、起こりうるリスクは遅延の原因によって大きく異なります。
ここでは、「売掛先が原因の場合」と「利用者が原因の場合」に分け、それぞれどのようなリスクがあるのか解説します。
①売掛先が原因で支払いが遅れている場合
売掛先の倒産や経営不振により、売掛金の入金が遅れることがあります。
このケースでは、ファクタリングの契約内容(償還請求権の有無)によって利用者が負うリスクが異なります。
詳しく見ていきましょう。
ノンリコース契約では利用者に支払い義務は発生しない
償還請求権がない「ノンリコース契約」を結んでいる場合、売掛先が原因で支払いが滞っても、原則としてファクタリング利用者が返済義務を肩代わりする必要はありません。
償還請求権とは、売掛先が売掛金の支払いが困難になった場合、売掛先の代わりにファクタリング利用者に売掛金の支払いを請求できる権利です。
ノンリコース契約では売掛先の未払いリスクはファクタリング会社が負うことになります。
リコース契約では利用者に請求されるリスクがある
一方、償還請求権がある「リコース契約」を結んでいる場合は、ファクタリング利用者に売掛金の支払いを請求される可能性があります。
日本のファクタリング契約ではノンリコース契約が主流ですが、悪質な業者の場合は償還請求権があるリコース契約を結ばせようとすることがあります。
実際に、日本貸金業協会が公開しているヤミ金融業者の特徴として、償還請求権付きの契約が例にあげられています。
ファクタリング契約では必ず償還請求権の有無を確認し、ノンリコース契約を選ぶようにしましょう。
②利用者が原因で支払いが遅れている場合
売掛金をほかの用途に使ったり、意図的に支払いを怠った場合には下記のようなリスクが発生する可能性があります。
- 遅延損害金が発生する
- 売掛先に債権譲渡通知が届く
- 刑事罰に問われる
ひとつずつ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
損害賠償として遅延損害金が発生する可能性がある
ファクタリングの支払期日を守らなかった場合、遅延損害金が発生する可能性があります。
遅延損害金は支払いが遅れるほど金額が大きくなるため、資金繰りがさらに悪化する危険性があります。
遅延損害金の利率は契約によって異なりますが、一般的には年率14.6%とするケースが多いようです(※)。
- 自社調べ
売掛先に債権譲渡通知が届く可能性がある
売掛金の支払いを怠った場合、ファクタリング会社から売掛先に債権譲渡通知が届く可能性があります。
売掛先が関与しない2社間ファクタリングであっても通知が行われる場合があるため注意しましょう。
売掛債権を譲渡した事実はもちろん、支払いが遅れていることも知られてしまうため、今後の取引状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。
最悪の場合は刑事罰に問われる可能性も
売掛金を回収できたにもかかわらず、ほかの用途に使って支払いを怠った場合には横領罪に該当する可能性があります。
これは、ファクタリング契約によって売掛債権の所有権がファクタリング会社に移っているためです。
たとえファクタリング利用者が売掛金を回収したとしても、それは一時的に預かっているだけ。
ほかの用途に使ってしまうと最悪の場合は刑事罰に問われる可能性があるので注意しましょう。
ファクタリングの支払期日に間に合わないときの対処方法

ファクタリング契約では、原則として支払期日までに売掛金を一括で支払う必要があります。
ですが、何らかの理由で「支払期日に間に合わないのでは」と不安に感じるケースもあるでしょう。
ここでは、ファクタリングの支払期日に間に合わないときの対処方法や注意点について解説します。
ファクタリングの支払期日は延長できる?分割払いは可能?
ファクタリング会社への支払いが難しい場合、「支払期日を延長してほしい」「分割払いで支払いたい」と思う人もいるかもしれません。
ですが、ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買契約であるため、どちらにも対応していないのが一般的です。
もし、支払期日の延長や分割払いに対応しているファクタリング会社があれば、悪質な業者である可能性が考えられます。
近年では金融庁や日本貸金業協会から注意喚起が発表されているので、ファクタリング会社を装ったヤミ金融業者には十分に注意しましょう。
もし、少しでもあやしいと感じた場合は専門窓口に相談することをおすすめします。
| 相談窓口 | 連絡先 |
|---|---|
| 金融庁/金融サービス利用者相談室 (平日10時〜17時) | 電話:0570-016811 IP電話:03-5251-6811 FAX:03-3506-6699 メールフォーム:金融サービス利用者相談室 |
| 多重債務相談窓口 | https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html |
| 警察相談専用電話 | #9110 |
| 日本貸金業協会/貸金業相談・紛争解決センター (平日9時〜17時) | 電話:0570-051051 IP電話:03-5739-3861 |
| 消費生活相談窓口/消費者ホットライン | 188 |
支払期日に遅れそうな場合はすぐファクタリング会社に相談する
ファクタリングの支払期日に間に合わない場合は、その事実が判明した時点で速やかにファクタリング会社に相談しましょう。
事情を正直に説明し、その後の対応を仰ぐことが重要です。
支払遅延を放置すると遅延損害金が発生し負担が大きくなったり、売掛先に債権譲渡通知が届き取引関係に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意してください。
ファクタリングの支払期日を守るためのポイントは次項で解説するので、ぜひ参考にしてください。
ファクタリングの支払期日を守るためのポイント

ここでは、ファクタリングの支払期日を守るためのポイントを紹介します。
- 適切な資金計画を立てる
- 銀行口座を分ける
- 3社間ファクタリングの利用を検討する
支払期日を守れない場合は契約違反や遅延金損害が発生する可能性もあるので、事前に対策しておくことが重要です。
ぜひ参考にしてください。
適切な資金計画を立てる
まずは、ファクタリング利用前に資金計画を立てることが重要です。
何のためにファクタリングを利用するのか目的を明確にし、売掛金の入金日や支払期日などのスケジュールを正確に把握しましょう。
資金繰りを管理できるツール(弥生会計やfreee会計など)の導入もおすすめです。
突発的に支出が発生した場合でも対応できるよう、余裕を持った資金繰りを心がけてください。
銀行口座を分ける
売掛金を誤ってほかの用途に使用してしまうのを避けるためには、ファクタリング専用の銀行口座を作るのもひとつの方法です。
事業用の口座と分けておくことで、資金の流れを明確に管理できるのが大きなメリットです。
入金があるとメールで通知するサービスを実施している銀行を使えば、ファクタリング会社への支払い忘れも防げるでしょう。
3社間ファクタリングの利用を検討する
売掛金をファクタリング会社に支払うのが手間な場合は、3社間ファクタリングの利用を検討してみましょう。
3社間ファクタリングでは売掛先が直接ファクタリング会社に売掛金を支払うため、利用者が売掛金を管理する手間を省けます。
ただし、3社間ファクタリングでは売掛先の同意が必要だったり、資金調達に時間がかかるなどの注意もあります。
「2社間と3社間、どちらを選ぶか迷ったときの判断ポイント」を参考にしながら、自社のニーズに合わせて検討してみましょう。
なお、2社間・3社間ファクタリングのメリット・デメリットについてより詳しく知りたい場合は下記の記事もチェックしてください。

ファクタリングの支払期日についてよくある質問
ここでは、ファクタリングの支払期日についてよくある質問にお答えします。
- 支払いサイトと支払期日はどう違う?
- ファクタリングの支払期日に間に合わなかった場合、売掛先にバレる?
- ファクタリングの支払期日はどのように決まる?
ひとつずつ解説するので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、ファクタリングの支払期日について解説しました。
支払期日を守れない原因が利用者側にある場合は、契約違反や遅延損害金などさまざまなリスクを負うことになります。
ファクタリングの支払期日を守ることは、信頼を維持することと同じです。
ファクタリングは正しく使えば事業の資金繰りを助けてくれるサービスなので、仕組みや注意点をよく理解し、支払期日を意識した資金繰りを心がけてください。
即日で対応してもらえるファクタリング会社について知りたい場合は、下記の記事もチェックしてみてくださいね。


