2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Apple創始者・スティーヴ・ジョブス氏の伝説のスピーチ(全1記事)
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世界でも有数の大学の卒業式に同席でき、とても光栄に思います。実は、私は大学を出ていないので、これが最も、卒業に近い体験となります。
本日は、私の人生から3つの話をします。それだけです。たった3つの話です。
最初の話は、『点を繋げる』という話です。私はReed大学を半年で退学したのですが、その後18ヶ月は、同じく受講していました。では、なぜ辞めたのか? それは生まれる前にさかのぼります。
私の生みの母は未婚の大学生で、私を養子に出すことを決めていました。彼女は私を「大学出の方に」と強く思っており、弁護士夫婦へ引き取られることが決まっていたのです。もし私の誕生の直前になって、彼らが「女の子が欲しい」と決めることがなかったならば。
そして夜中にリスト待ちしていた、私の親の電話が鳴ったのです。「予定外の子がいますが、欲しいですか?」。両親は「もちろん」と答えました。のちほど判ったのですが、私の母親は大学を出ておらず、父親は高校も出ていませんでした。生みの母親はサインを拒みましたが、大学に入れると約束することで、折れました。こうして私の人生はスタートしました。
17年後、大学に行くことになりました。が、何も考えず高い大学を選んだので、両親の蓄えは大学の授業料に費やされました。半年経つと、私は大学に価値を見出せなくなりました。自分が何をしたいのかも、大学がその役に立つのかも、わからなかった。そして私は、両親の蓄えのすべてを使っている。だから退学を決めたんです。「すべてうまくいく」と信じることにして。
そのときはとても恐かった。でも振り返ってみると、最良の決断でした。退学した瞬間から、興味のない科目を勉強する必要がなくなり、面白そうな科目を受け始めました。すべてロマンチックとはいきませんでした。寮がないので友達の部屋の床で寝たり、コーラ瓶を換金して、食べ物を買いました。毎週日曜の夜は、7マイル歩いて、寺院でご馳走にありついたりしました。あれは良かった。そして、好奇心と直感に従って得た多くのものが、後になって貴重な価値のあるものになったのです。
一例を紹介しましょう。当時Reed大学は、国内で最高のカリグラフィ(装飾文字)教育を行っていました。キャンパスすべてのポスターやラベルまで、美しいカリグラフィがなされてました。私は退学して、通常のクラスの必要もなく、技法を学ぶため、カリグラフィ・クラスに出ることにしました。セリフとサンセリフ書体、字間の調整、素晴らしいタイポブラフィなどを学びました。それは美しく、歴史があり、芸術的に巧妙で、科学では捕らえられないものでした。
そして、私は夢中になりました。どれもが人生に何ら役に立ちそうにないものばかりです。しかし10年後に、最初のMacintoshをデザインするときに、すべてがよみがえってきました。そして、そのすべてをMacに組み込むことが出来たんです。それが美しいタイポグラフィを持った、最初のコンピューターだったのです。
あのクラスに出なかったら、Macに複数のフォントやプロポーショナル・フォントは入らなかった。そして、WindowsはMacの単なるコピーだから、それらの機能を持つパソコンはなかったことになります。退学していなければ、カリグラフィ・クラスに出なかっただろうし、パソコンは、美しいタイポグラフィを持たなかったでしょう。
もちろん、大学時代に先を見て『点を繋げる』ということは不可能でした。しかし、10年後に振り返ってみると、実ははっきりとしているのです。繰り返します。先を見て『点を繋げる』ことはできない。できるのは、過去を振り返って『点を繋げる』ことだけなんです。
だから将来、その点が繋がることを信じなくてはならない。根性、運命、人生、カルマ、何でもいいから信じること。「点が繋がって道となる」と信じることで、心に確信が持てるんです。たとえ人と違う道を歩むことになっても。信じることで、すべてのことは、間違いなく変わるのです。
2つ目の話は、「愛と喪失」についてです。私は幸運でした。若くして、本当に好きなことを見つけました。20才のときに、私は、Wozと両親の車庫でAppleを始めました。10年間懸命に働いて、ガレージで2人の会社が、社員4千人の20億ドル企業に成長しました。そして、Macintoshという最高の製品を出した1年後、私は30才になり、クビになりました。
どうしたら、起業した会社でクビになるのでしょう? 会社が成長し、共に運営する優秀な経営者を雇いました。1年ほどは、うまくいったんです。しかし、ビジョンの相違から崩れました。取締役会が彼の側に立ち、30才にして辞職したのです。とても有名な辞職でした。
私の人生の焦点がなくなり、破滅的でもありました。数ヶ月は何をしていいのか、わかりませんでした。私は、それまでの起業家の地位を落とした、渡されたバトンを落としたんだ、と感じました。私はDavid PackardとBob Noyceに会って、台無しにしたことを詫びようとしました。有名な落伍者になったので、シリコンバレーから去ることも考えました。
しかし、私には少しずつわかったのです、「これまでの仕事がまだ好きだ」ということが。Appleでの事件は、そのことを少しも変えなかった。拒絶されても、なお好きでした。そして、また始めてみようと決めたのです。
そのときはわからなかったのですが、Appleをクビになったことが、最良のことだとわかったのです。成功の重みが、すべてにおいて再び、ビギナーの軽さになりました。このことで、最もクリエイティブな期間のひとつに入ることができました。
続く5年間で、NeXT社とPixar社を始め、妻となる素晴らしい女性と恋に落ちました。Pixarは、「Toy Story」という世界初のコンピューター・アニメーション映画を作り、今や世界で最も成功しているアニメーション・スタジオです。
思いがけずAppleがNeXTを買収し、私はAppleに戻りました。NeXTで開発した技術は、現在のApple再生の中心です。そしてLoreneと私は、すばらしい家庭を築いています。
「Appleをクビになっていなければ、こうはならなかった」と断言できます。ひどい味の薬でしたが、患者には必要だったのでしょう。人生ではレンガで殴られるようなことが、起こることがあります。信念を失ってはいけない。私は自分がやったことを愛せたから、続けてこられたんです。皆さんも自分の好きなことを見つけなければいけない。それは仕事でも恋人でも同じです。人生で仕事が大きなパートを占めていくだろうけど、本当に満足する唯一の方法は、素晴らしいと信じる仕事をすることです。
偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたのする仕事を愛することです。まだ見つかっていないから、探し続けること、止まらないこと。心の問題と同じで、見つけたときはわかります。そして、素晴らしい関係のように、年を重ねるごとによくなっていきます。だから、見つかるまで探し続けること。止まってはいけない。
3つ目は、「死」についての話です。17才のとき、私はこんな文章を読みました。「一日一日を人生最後の日として生きよう。いずれその日が本当にやって来る」。強烈な印象を受けました。
そして33年間、毎朝、鏡をみて自問自答しました。「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」。「No」という答えが幾日も続いたら、私は何か変える必要があると知るのです。
死を意識することは、人生において、大きな決断をする価値基準となる、最も大切なことです。なぜなら、ほとんど全て、外部からの期待やプライド、恥や失敗への恐れ、これらは死によって一切なくなるのです。あなたが死を意識することが、失うことを恐れない、最良の方法なのです。あなたたちは既にありのままなのです。思うままに行動しない理由はないのです。
私は1年前にガンと診断されました。朝7時半にスキャンしたところ、すい臓の腫瘍がはっきり写ってたのです。私はすい臓が何かも知りませんでした。医者たちは言いました。「ほぼ間違いなく治療不能なガンで、余命は3ヶ月から6ヶ月でしょう」。主治医は家に帰って、仕事を片付けるように言いました。それは死の準備をするように、という意味の医者の言葉なのです。つまり、子供たちに伝えるべき今後10年間のことすべてを数ヶ月で伝えろ、ということなのです。家族がなるべく楽になるように、しっかり始末しなさい、ということなのです。家族にさよならを告げなさい、ということなのです。
私は診断書を一日抱えて過ごし、夕方、バイオプシー(生検)をしました。内視鏡は、喉から胃腸に入り、すい臓から腫瘍細胞を採取しました。私は鎮静剤を服用してたのですが、そこにいた妻は、私に話してくれました。医者たちは顕微鏡で細胞を見た途端に、泣き出しそうなのです。手術可能な、極めてまれなすい臓ガンだとわかったからです。私は手術を受け、今も元気です。これまで私が最も死に直面した経験で、この先、何10年かはないことを望んでます。
この経験から、私はより確信を持って、あなたたちに言えます。死を意識することは役に立ったが、単に頭のなかの概念でした。誰も死を望みませんよね、天国に行きたい、という人さえ、死を望まない。にも関わらず、死は、われわれが共有する最終地点なんです。誰も逃れることはできないのです。そして、そうあるべきなのです。
死は、生における、最も優れた創造物なのだから。それは、生に変化を起こすもので、古きものを消し、新しきものへの道を作るのです。今、新しきは君たちです。しかし、そう遠くない未来に、君たちも古きものとなり、消えていきます。とてもドラマチックな言い方で申し訳ないですが、それは全くの真実なのです。
君たちの時間は限られている。だから無駄に誰かの人生を生きないこと。ドグマに捕らわれてはいけない。それは他人の考え方と共に生きる、ということだから。他人の意見というノイズによって、あなた自身の内なる声、心、直感をかき消されないようにしなさい。
最も大事なことは、あなたの心や直感に従う勇気を持つことです。それら内なる声、心、直感は、どういうわけか、君が本当に何になりたいのか、既に知っているのです。それ以外のものは、二の次でいい。私が若いころ、「全地球カタログ」という驚くべき書籍があって、同世代のバイブルでした。
それは、Stuart Brandが制作しており、彼の詩的な作風で、いきいきと仕上げていました。60年代後半で、パソコンもなく、すべてタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラで作っていました。それは当時のGoogle文庫版と言えるもので、理念があり、使えるツールと偉大な概念であふれていました。
Stuartたちは「全地球カタログ」を何度か出版し、ひと通りやり終えると、最終号を出しました。70年代の中頃で、私は君たちと同じ年頃でした。最終号の裏表紙は、早朝の田舎道の写真でした。冒険好きならヒッチハイクで見るだろう、田舎道。写真の下には、こんな言葉がありました。
Stay hungry, Stay foolish. (ハングリーであれ。愚か者であれ。)
それは、彼らが残した別れのメッセージでした。Stay hungry, Stay foolish. 常に私自身がそうでありたいと願ってます。そして今、卒業して新しい人生を始める君たちに、そうあってほしいと願います。Stay hungry, Stay foolish. ご清聴ありがどうございました。
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