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ソフトバンク 新30年ビジョン発表会(全7記事)

孫正義氏「目指すは2040年に時価総額200兆円、株は売らない方がいいかもね」

30年間の間に99.98%の会社は存続できなくなるといわれている中、30年間情報革命を軸に成長し続けてきたソフトバンクグループ。創始者・孫正義氏は300年間存続し、なおかつ繁栄し続けるための組織作りについて語りました。

世界の人々が最も必要とする会社とは

孫正義氏:ここからは戦略に入っていきたいと思います。先程から申しておりますように、私はサイエンスフィクションの映画監督になりたいわけではありません。小説家になりたいわけではありません。評論家になりたいわけでもありません。

私は事業家です。事を成したい、事を成したい。何の事を成したいのか。情報革命で人々を幸せにしたい。

その事を成したいということであります。世界の人々から最も愛される、最も必要とされる、なくてはならない、人々を幸せにする、そんな会社になりたいというふうに思うわけですけども。

ちょっと過去を見てみました。100年前、この全世界で、1位から10位までの、最も時価総額の大きかった会社っていうのを調べてみました。

鉄道会社が4社、そして鉄ですね、USスチール、石油石炭、銀行が2つ。こういうような状況であります。これは約100年前ですね。順位に若干の上下はあったとしても、言いたいことは、鉄道だとか鉄だとか、オイルとかそういうものです。

30年前、IBMだとか、エクソンだとか、AT&T。日本の銀行が4つも入っていたと。懐かしいな。今はどこにいったんだという事ですが、現在は中国の会社が続々と入ってますし、アップルだとか、マイクロソフトも入っております。これらの会社はなぜこのトップ10にいるのか。

それはその時代に、その時代の人々が、最も必要としてた会社。最も必要としていた機能を提供していた会社ということではないかと思います。そういう意味で我々は30年後に、少なくとも30年後に世界の人々が最も必要とするテクノロジーだとかサービスだとか、そういうものを提供する会社にソフトバンクグループはなりたい、というふうに思います。

時価総額200兆円を目指す

今日は株主の皆様がほとんどですから、株主の皆様にとってはちょっとだけ関心がある、30年後のソフトバンクの株価っていくらだということであります。今日現在、2兆5,000億円から2兆7,000億円の間うろちょろしてます。

30年後に世界の人々が最も必要とする愛する会社のトップ10の会社になろうとすると、30年後のトップ10の会社の時価総額ってどのくらいだろう、というふうにいろいろ推定値を出してみました。

そうするとだいたい200兆円ぐらいになってなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。つまりソフトバンクが30年後に人々のトップ10の必要とされる会社になるには、少なくとも200兆円くらいにはなってないといけないんじゃないか。今2.5兆円とか2.7兆円ですから、70倍とか80倍になると。1株の価値がですね。

もし本当にこれが実現できるなら、あわてて売らない方がいいかもしれませんね。売るのやめとこうと。私はやるつもりです。だいたい今までやると言ったことはたいがいやってきております。

今日は大ぼらですから、あんまり日記に書かないでください。証拠を残さないでください。でもやると心に決めたことは、短期のことはちょっとずれたりしますが、長期の願いごとでやると決めて心底思ったことでやれなかったことはほとんどなかったと、自分で自負しております。

いろんな山あり谷あり、危機はありますがやってきたんです。ですからこれは大ぼらですけども、本気の大ぼらだと。いい加減な大ぼらじゃない。本気でやるつもりの大ぼらだというふうに考えております。

ソフトバンクは情報革命にこだわり続ける

じゃあどうやってそのトップ10入りを実現させるか。事業戦略、事業領域ですけども。我々の領域は何をやるのかということですけども、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、情報革命ただ一本です。創業1日目から変わってません。

ソフトバンクは何をやるのか。情報革命。この一本です。30年後も300年後もこの一本です。情報革命であります。特定のチップを作るとか、ソフトではありません。

特定のテクノロジー、特定のビジネスモデルは、300年間変わらずもつというのはなかなかないと思います。30年もつものはあります。300年経つとみんな代替わりしています。あまり特定の1つにこだわりすぎると、成長しない。

ソフトバンクの一番のお家芸は、「こだわらない」ということであります。特定の技術だとか、特定のビジネスモデルにこだわらない。ただ1つこだわるのは、情報革命。そして、人々を幸せに。そのことだけです。

過去の30年間も続々とテクノロジー、道具は変わりました。ソフトバンクはこだわらなかった。世界で最も優れた企業と、ともにライフスタイルを革新する。パートナーシップ戦略です。

優れた叡智の、優れたエネルギーの同志たちと、一緒にパートナーでやっていくと。そして300年間成長する、300年間滅びないで成長する。

会社の99.98%は存続できない

そこで地球の歴史を調べました。46億年です。46億年の間に、約1,000億の種が生まれたというふうに言われております。そのうちに生き残っているのが1億種です。

5大危機がありました。そのうちの3つは隕石でございました。96%とか、82%とかそういうような種が絶滅した。

ソフトバンクにも5大危機があった。ソフトバンクも生き延びてきたということであります。5大転機であります。

会社というのは30年間で先程の種ですね、種は絶滅をどんどんしていくわけですけども、生き残っているのは0.1%ということです。先程の46億年の中で、たった1億種類しか今は残ってない。

99.9%が絶滅したということであります。生き残っているのはたった0.1%。

会社はどうかというと、調べました。30年間で生き残っている会社は、実は0.02%。99.98%が途中で息絶えるんです。会社がです。

ラーメン屋さんだとか、印刷屋さんとか、いろいろありますけど、親父さんがつくった会社。99.98%が実は30年間で存続できないという状況。これは実績です。

孫正義の発明品は「進化し続ける組織構造」

つまり30年間、ソフトバンクが5回の危機、転機を越えて生き残ったっていうだけで、もうすでに奇跡なのかもしれません。我々は30年だけではなく300年間生き残って、なおかつ繁栄し続ける組織を作りたい。孫正義が何を発明したか。

たった1つあげようというならば、チップではなくて、ソフトではなくて、ハードでもなくて、300年間成長し続けるかもしれない組織構造を作ったと、発明したと。息絶えない、進化し続ける、そういうグループ構造を発明したと。会社体としては初めて。戦略的シナジーグループである。

20世紀の会社、組織というのは、大量生産、大量販売、安さ、技術を競争しました。

ブランドはシングルブランドで、大きければ大きいほうがいいという状況でありました。

スピードも遅い。会社組織はピラミッド型で中央集権でありました。

私はそれをWeb型組織、分権、超高速のスピード意志決定。管理型支配型ではなくて、自立分散協調型にしたい。

出資比率だって、51%以上持って初めて自分の会社だ、なんていうそういう思いを持たない。100%子会社なら自分の会社。そうでなかったら自分の会社ではない、という意識を持たない。

20%から40%ぐらいの資本提携をした、同志的結合の集団を作りたい。パートナー戦略。

同志的結合というのは、資本的結合として20%から40%の持ち株比率。

アリババにしろタオバオにしろ、レンレンのOPIにしろあるいはその他いっぱい我々グループ会社ありますけども、20%から40%でもいいじゃないか。支配しなくてもいいじゃないか。

支配しようとするから中央集権になって、中央集権だから、それがボトルネックになって大企業病になると。私がイメージしている組織体の図はこういうことです。

戦略的シナジーグループがどんどんと分散分権型でですね、自立していて、分散型で、そして協調しあう。だからこそ自己進化する。自己増殖する。誰か中央集権を持ってコントロールするのではない。

ソフトバンクというのはただの投資会社かと、これを理解していただけないほとんどの人からよくそういう非難を受けます。

いずれ、あなたがたも理解する時が来るでしょう、300年以内には。こういうふうに腹の中で思っております。30年以内に5,000社くらいにはしたいなと。

こういう自立分散協調型の戦略的シナジーグループをですね。今日現在約800社です。本当に数えたのか。嘘でも800。いやいや、ちゃんと数えたんです。ちゃんと数えて800社を超えておりました。これを5,000社にしたいということであります。

孫正義の人生50ヵ年計画

私は19歳のときに人生50ヵ年計画というものを作りました。

20代で名乗りを上げると。自分の業界に名乗りを上げる。会社を興すということですね。30代で軍資金を貯める。1,000億円2,000億円という規模の軍資金を貯める。

40代でひと勝負する。1兆円2兆円と数える規模の勝負をする。50代である程度完成させて、モデルを完成させて、60代で継承すると。

この5つのステージの50ヵ年計画を、19歳のときに作りました。今52歳です。60代になったら次の経営陣にバトンを渡さなければなりません。

ある意味ソフトバンクの最大の危機はここにあるのかもしれません。突然その日を迎えるのではなくて、準備をしたいというふうに思います。

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