計画どおりにいかない人生で、選べるもの
この地球で生きてきて僕が学んだことが1つあるとすれば、どれだけ綿密に人生の計画を立てても、現実はそのとおりには進まない、ということです。僕の場合、それは「思いもしなかった道」、つまり起業というルートにつながりました。でも、それだけではなく、本当に大きな喪失や恐怖、心の痛みとも向き合ってきました。
もし計算が合っていれば、みなさんの多くは、誰も予想しなかった状況の中で高校を卒業しています。卒業式そのものがなかった人もいるかもしれない。
一瞬で、僕らの現実は変わってしまう。世界のどこかで起きたことが、一瞬で、僕たちが頼りにしていたものを揺るがす。安全だと思っていた感覚、立てた計画、そして、時には大切な人さえも。
でも、地球規模のパンデミックじゃなくても、足元が揺らぐことはあります。失恋かもしれない。病気かもしれない。身近な人の死かもしれない。あるいは、渋滞に巻き込まれて、せっかくの採用面接に45分遅刻してしまうかもしれない。
人生の計画は立てられます。でも、人生がこちらに投げてくる出来事は、計画できない。「休暇の時はいつも晴れていてほしい」とか、「飛行機は時間通りに飛んでほしい」とか、「思い描いた通りの未来が、そのタイミングで来てほしい」とか、僕たちは望みます。
でも、そういうことを自分でコントロールすることはできない。
本当のところ、人生で自分がコントロールできることは、ほんのわずかしかありません。
でも、「どういう自分でいるか」は選べる。
「すべての出来事には意味がある」と言えたらいいのですが、僕が信じるようになったのは、少し違う考え方です。「とにかく、いろんなことが起きる」。そして「意味」は、あとから自分たちがつくるものだということ。どう反応するか。どう踏ん張るか。どう前に進むか。それを通じて、僕らは次の章を自分で書いていく。そしてその途中で、人生のほうが勝手に新しい章を追加してくる。
時には、人生は「想像もしなかったもの」をこちらに渡してきます。コロナ後の世界で、旅は以前よりずっと貴重なものに感じられるようになった。働き方は柔軟になり、人生そのものが、前よりもずっと深く大切にされるようになったと僕は思います。
あるいは、Hinge(オンラインデートアプリ)で700回目のスワイプくらいで、とんでもなく魅力的な人に出会い、その人から本当に返信が来る……なんてこともあるかもしれない。もちろん、これは僕の話じゃありません。そういう話を聞いたことがあるだけです。
SNSの罠から距離を置き、静かに続ける
さて、ここからはちょっと本音の話です。もしまだそうなっていないなら、きっといつか、TikTokやInstagram、ほかのSNSを見て、「やばい、あの人たちはもう成功してる。なんで自分はまだなんだろう」と思う時が来るでしょう。
あれは罠です。あの仕組みは、みなさんに「自分は劣っている」と感じさせるように設計されています。アルゴリズムの目的は、脳にドーパミンを出させるコンテンツをひたすら送り込むこと。とても中毒性が高いし、時にすごく有害にもなり得ます。
だから、その罠にハマらないでください。本当に成功する人は、大声で騒いでいる人たちではありません。頭を下げて黙々とやるべきことをやっていて、「これがうまくいくかどうかもわからない」と思いながら、それでもやり続けている人たちです。
僕はありがたいことに、世界で最もクリエイティブな人たちの何人かにアドバイスする立場にいます。彼らがいつ、どうやって、どこで自分の音楽を発表するかを、一緒に考える役割です。
そして驚くかもしれませんが、例えばチャーリーXCXであれ、ブルーノ・マーズであれ、彼らが口にする問いは、みなさんと同じです。「どうすれば自分の声を届けられるのか」「どうすれば何かの役に立てるのか」。
僕は会社をトップダウンで運営しているわけではありません。みなさんと同世代の人たちが、会社の舵取りを手伝い、形づくり、前に押し出してくれている。当然ですが、その中には失敗する人もいます。でも、それでいいんです。というより、失敗があるからこそ、クリエイティビティは育つ。
過小評価はアドバンテージになる
10年前、僕はまさにみなさんと同じ場所に座っていました。そして今、心から言えるのは、これから先、みなさんはきっと、何度も何度も過小評価されるだろうということです。
でも、それは「弱点」ではありません。むしろ「アドバンテージ」です。成功している人は誰でも、1万回くらい「ノー」「無理だ」と言われてきました。僕だって今でも、毎週1000回くらい「ノー」を聞いています。……まあ、結婚生活の話は、この場ではやめておきましょう。今日は妻と1歳の娘も来ているので。それから、ジェイク・シェイン(TikTok発のインフルエンサー/コメディアン)も。
ソフィ、初めての母の日おめでとう。ここに来て、僕やみんなと一緒に過ごしてくれて、本当にありがとう。
みなさんがこれから歩む道のりで、どうか好奇心を失わないでください。そして、少しの「生意気さ」も持ち続けてほしい。とにかく前に進み続けてください。進んで、進んで、また進む。
なぜなら、上の世代が示すのは「これまでの世界」や「今の世界」かもしれませんが、みなさんが体現するのは、まったく別のものだからです。まだ誰も見たことのない未来。今はまだ想像しきれない未来。みなさんが実際にそれをつくり上げるまで、僕らには本当の姿がわからない未来です。
みなさん一人ひとりは、「スピード」と「テクノロジー」と「絶え間ない変化」の中で育ってきました。これから文化も、ビジネスも、政治も、みなさんが想像もしなかった形で変えていくでしょう。
ノーマへの敬意と、誰かのノーマになる願い
締めくくる前に、ノースイースタンで僕を本当に支えてくれた人に、敬意を表したいと思います。僕の指導教官だったノーマ・ローゼンです。彼女は残念ながら2015年に亡くなりました。彼女は大学時代の僕のメンターであり、時にはセラピストのような存在でもありました。ノースイースタンで自分の道を見つけるのを、本当に助けてくれた人です。
みなさん一人ひとりが、これからノースイースタンを離れ、世界へ飛び出していく中で、「ノーマ」のような存在に出会えることを願っています。そして、できれば、誰かにとっての「ノーマ」になってあげてほしい。
これから先、みなさんは、何千回と「ノー」を聞くでしょう。そんなのは、クソくらえです。……アウン学長、すみません。でも、それでも進んでください。方向を変えたり、賭け金を増やしたり、また方向転換したりしながら、前に進み続けてください。
見えない扉に心を開き、未来へ進む
明日すぐに、来年すぐに、理想の仕事に就けないかもしれない。それでも僕は、こう約束できます。みなさんは必ず、自分の道を見つけます。
見えない扉の存在に、心を開いていてください。その音に耳を澄ましてください。信頼できる人たちの声に耳を傾けてください。あなたの「ノーマ」の声に耳を澄まし、世界の動きに耳を澄ませてください。そして何より、自分自身の声をきちんと聞いてください。
みなさんがこれから取り組むすべてのことがうまくいくよう、心から願っています。自分の限界を押し広げてくれるような、チャレンジに満ちた人生を歩めますように。
みなさんこそが未来です。そして、その未来は今、この瞬間から始まります。ハッピー・グラデュエーション。ハスキーのみなさん、おめでとう。そしてありがとうございました。