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“This Will Change Your Life!” COMMENCEMENT SPEECH Jamie Kern Lima | Columbia University GSB 2025(全2記事)

自分の「イエス」を他人の「ノー」で諦めないで ロレアル傘下企業初の女性CEOが語る、何百回の拒絶を越える力 [1/2]

【3行要約】
・成功への道は拒絶と挫折の連続——IT Cosmetics創業者ジェイミー・カーン・リマ氏が語る「自分を信じ抜く力」の重要性。
・QVCでの一発勝負から12億ドルのロレアル買収まで、常識を覆した彼女の成功は「内なる声」を信じ続けた結果。
・たとえ周囲が「ノー」と言い続けても、自分の使命を信じ、本来の自分に向き合うことこそが真の成功への鍵だと教えています。

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大舞台のチャンスと突きつけられた現実

ジェイミー・カーン・リマ氏:そして数年後、資金が底をつき、何度も「ノー」を言われ続けた中で、ついに、ある日、大きなチャンスがやってきました。

それは、QVC……米国中の1億世帯に放送される、テレビ通販チャンネルへの出演の話でした。QVCは10分間のオンエアで、全米の店舗チェーンが1年かけて売る以上の売上を叩き出すこともある、巨大な販売チャネルです。つまり、これはとてつもないチャンスでした。

そして、私はQVCビューティー部門の責任者であるアラン・バーク氏から、本人直々に電話があると知らされました。私は「ついに来た!」と大興奮し、リビングルームだったオフィスを歩き回りながら、自分に「QVCの方こそ、私たちを持ててラッキーなんだから!」と気合を入れていました。

そして電話が鳴りました。「こんにちは、ジェイミー。QVCのアラン・バークです」と彼は言いました。そしてこう続けました。「サンプルはすべて受け取りました。そしてバイイングチーム全員で会議をしましたが、結論は一致しています。あなたはQVCにも、私たちのお客様にも合いません」。

その瞬間、私は涙があふれて止まりませんでした。私は懸命に食い下がりました。 「でもアラン、私はQVCにふさわしいと思っています!」彼は、私がQVCを愛してくれていることに感謝しつつ、「答えはノーです」と言って電話を切りました。心の底から「イエス」が欲しかった。何年も拒絶され続けてきた中で、「これが突破口になる」と願っていたのに。


投資直前の落とし穴とそれでも揺るがなかった信念

でも、違いました。違ったのです。それでも、私たちはあきらめませんでした。かろうじて会社を存続させながら、「ノー」「ノー」「ノー」と言われ続けました。

ある時、私たちは有名なプライベート・エクイティ・ファーム(未公開株投資会社)の投資家と面談していました。彼は私たちの製品をとても気に入ってくれて、何度もミーティングを重ね、デューデリジェンス(適正評価手続き)にも進みました。

「ついに希望の光かもしれない」と、私たちは心から期待していました。最終面談の場で、彼はこう言いました。「おめでとうございます。本当にすばらしい製品です。でも……今回は見送らせていただきます」

私は「なぜですか?」と尋ねました。彼はしばらく沈黙した後に、こう答えたのです。「正直に言うとね…… あなたのような体型や体重の女性から、メイクを買う女性はいないと思うんです」。その言葉を聞いて、私はベッドで3日間、泣き続けました。でも、ここが大切なところです。私たちは、毎回静かに座って瞑想したり祈ったりするたびに、ある“内なる感覚”を確かに感じていました。

1回限りの大舞台と背負った覚悟

「まだ進み続けなさい」「まだ、やめる時じゃない」その“声”を私は信じ続けました。そして、私の中にある力を信じることに決めたのです。この話をするのは、心から願っているからです。あなたにも、これから先の人生でそうしてほしいのです。たとえ、まわりが「ノー」と言い続けても、自分の内なる声を信じてほしい。そうやって何年も拒絶され続けた私たちにも、ついにチャンスがやってきました。
 
QVCが「イエス」と言ってくれたのです。けれど、その条件は厳しいものでした。QVCでの初出演は、たった一度のチャンス。10分間の放送で6,000個以上を売らなければ、次の出演はない。

しかもこれは「委託販売契約」。つまり、こちらが製品を製造・出荷・規制適合・品質検査まですべて済ませて送り、売れなければすべて引き取らなければならない、無収入リスク付きの契約でした。

そんな契約、普通なら絶対に受けてはいけません。でも私たちは、それしか残されていなかった。資金も尽きかけていたので、私たちはSBA(米国中小企業庁)のローンを申請しました。22の銀行に断られ、23番目の銀行、California Bank & Trustがようやく貸してくれたのです。

発注分をカバーするローンと、ほんの少しだけの追加資金でした。私たちは、QVCで売れるように手助けしてくれる外部コンサルタントを雇いました。彼らは実績のあるプロばかりでしたが、全員が同じことを言いました。「見た目が“美しい”モデルを使って製品を売るべきです」。つまり、肌トラブルのない、均一な肌色で、若々しく、ほぼ10代のようなモデルばかりを使えと。でも私は違いました。

 「それは、私が生まれてきた使命じゃない」と、強くわかっていました。それは、あなたにも当てはまることです。他人と同じことをして売れるより、たとえ何も売れなくても自分の信じるもののために立ち上がるほうがいい。

信念をさらけ出した10分間、常識を打ち破った瞬間

そして、ついにその「10分間」の日がやってきました。すべてをかけた初めてのQVC生出演。その時、私たちは破産寸前。

私たちは、あらゆる年齢、肌トーン、肌の悩みを持つモデルをキャスティングしました。例えば、70代で色素沈着がある女性、20代でニキビに悩む女性、そして私自身も登場しました。

私は、生放送中に自分のメイクを拭き取り、赤くてでこぼこの素肌を見せたのです。すべてがこの一瞬にかかっていました。スタジオに立つ私の目の前に、赤く光る「オンエア」のライトが点灯します。

タイマーには「10:00」……次の瞬間、「9:59」「9:58」とカウントダウンが始まります。

モデルたちのそばに歩み寄りながら、私は心から彼女たちを「美しい」と呼びました。心の底から、全身全霊で、そう感じていたのです。

数分経っても放送が打ち切られなかったので、「なんとか順調なのかも」と思いました。

9分を過ぎたあたりで、司会者がこう言いました。「ディープシェード、もうすぐ売り切れです! タンシェードも残りわずか!」そして、10分を迎えた時、画面には大きな「SOLD OUT(完売)」の文字が映し出されたのです。信じられませんでした。私は思わず全国放送で泣いてしまいました(笑)。

カメラは私から切り替わり、ダイソンの掃除機の紹介に移りました。その瞬間、夫のパウロがスタジオの両開きの扉から駆け込んできました。私は泣きながら、「リアルな女性たちの声が届いたんだ」と言いました。彼は私に近づいてきて、ハグでもするのかと思いきや、両腕を高く突き上げて叫びました。「もう破産しなくて済むぞ!」


「できるはずがない」を「史上最大の買収」へ

あの1回の放送が、のちに年間250回以上の番組出演へとつながり、私たちは1,000人以上の社員を抱える企業へと成長しました。そして、かつて「絶対にうまくいかない」と言っていた“専門家”たちの声を、私たちは現実で覆しました。

その後、私たちは成長を続け、ついに2016年、世界最大の化粧品会社ロレアルが私たちの会社に注目しました。誰もが「うまくいかない」と言い続けたブランドが、全米最大級のビューティーカンパニーのひとつになっていたのです。そして2016年、ロレアルは12億ドルで、私がリビングルームから始めた会社を買収しました。

それは、ロレアルの米国における史上最大の買収案件となり、私はロレアルの108年の歴史の中で、初めてブランドのCEOに就任した女性となりました。まさに信じられない展開でした。

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