あなたのイエスを他人の疑念に決めさせないで
ここで、あなたにぜひ伝えたいことがあります。それは「どれだけノーと言われても、気にしないでほしい」ということ。銀行がノーと言ってくるかもしれない。投資家がノーと言うかもしれない。上司があなたの可能性を認めてくれないかもしれない。
でも、それでもあなたの中には、あなたにしかない力が、そして「これだ」とわかる“確信”があるはずです。それを信じて進めば、必ず次の正しい一歩、または学びに出会える。他人の疑念に、あなたの「イエス」を決めさせないでください。
拒絶されたからこそ得られた最大の果実
ちなみにロレアルの買収が発表された日、そのニュースは『ウォール・ストリート・ジャーナル』のトップページを飾りました。そしてその時、かつて私に 「あなたのような体型の人からメイクは買われない」と言った投資家から連絡が来たのです。
彼はこう言いました。「ロレアルとの契約、おめでとう。私が間違っていた」。映画『プリティ・ウーマン』をご存じですか? 彼女が高級ブティックに入ろうとして冷たくあしらわれた後、買い物袋を両手に抱えて戻ってくる、あの名シーンです。
私は本当は彼に 「大きな間違いよ。しかも、ものすごくね。その理由なら、12億ドル分あるけど?」と言いたかったのですが、私は口にしませんでした。上品にふるまいました。だって、彼のようにはなりたくなかったから。
私は、あの拒絶は、神さまがくれた“守り”だったのかもしれないと思っています。だって、もしあの投資家があの時私たちに出資していたら、私たちはきっとたくさんの株式を渡していたと思うからです。でも彼が信じてくれなかったからこそ、ロレアルに買収された日、私たちは最大の株主のままでいられた。
そして、覚えていますか? QVCの責任者アラン・バーク、私に「あなたは合わない」と言った人。私たちがQVCで成功を収めた直後、彼は引退を迎えました。
そしてその後、私たちは彼を有償で顧問として雇いました。かつて私を拒絶した彼は、今や私たちのチームの一員です。だから伝えたいのです。拒絶を、個人的に受け止めないで。
他人の疑念を、自分への疑念に変えないで。なぜなら今日あなたを疑う人が、明日にはあなたを「ボス」と呼んでいるかもしれないから。歴史は、無難な道を選んだ人ではなく、挑戦した人によって作られてきたのです。
“本当の自分”に真っ直ぐに向き合っている人にこそ成功が訪れる
だから今日、あなたに問いかけたい。「あなたにしかない使命とは、何ですか?」「あなたの中の力は、あなたをどこへ導こうとしていますか?」
あなたの使命は、投資銀行でMD(マネージングディレクター)やパートナーになることかもしれないし、5年間コンサルタントとして働いた後、リビングルームでふと浮かんだアイデアを形にすることかもしれない。もしくは、ただ一歩一歩、自分にできる最善の方向へ進み続ける中で、ある日「これだ」という声に出会うかもしれない。
あなたの使命は、コロンビア史上最も低い初任給を選ぶことかもしれない。でもその先に、最も高い報酬が待っているかもしれない。たとえ今はわからなくても、いずれ「これだ」とわかった時には、どうかこう決意してください。
“自分にできること”ではなく、 “自分が生まれてきた意味”に従おう、と。私自身もそうでした。この道を選んだのは、偉そうにしたかったからでも、すごく見られたかったからでもありません。私は、「本物の影響力を与えたい」と思って、ここまで来たのです。
成功は、「一番賢い人」が手に入れるものではありません。自分自身と深くつながっている人、“本当の自分”に、真っ直ぐに向き合っている人にこそ、成功が訪れるのです。どうか、今日この日から、揺るがずに、そして全力で “自分自身を信じる”と決めてください。たとえ怖くても。たとえ誰もわかってくれなくても。たとえ「普通」と違っても。
世界は、ケーススタディを分析できるMBAではなく、“ケーススタディそのものになるMBA”を必要としています。あなた自身が、未来の事例になるとしたら、どんなストーリーが書かれるでしょう?
想像してみてください。もしあなたが「自分にはできる」と本気で信じたら、あなたは、どんな未来をつくるでしょう? コロンビア・ビジネス・スクール2025年卒業生のみなさん。 『あなたという力で、何を成し遂げますか?』
私は心から、あなたがその答えを生き抜く姿を、全力で応援しています。おめでとうございます。2025年卒業生のみなさん!