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“This Will Change Your Life!” COMMENCEMENT SPEECH Jamie Kern Lima | Columbia University GSB 2025(全2記事)

「絶対にうまくいかない」と言われたブランドを12億ドルで売却 元ウェイトレスが作ったプロダクトが、ロレアルに認められるまで

【3行要約】
・ジェイミー・カーン・リマ氏がコロンビア・ビジネス・スクールの卒業式でスピーチをしました。
・同氏は卒業生に「あなたという力で、何を成し遂げますか?」と問いました。
・経験の中で得た、自分の使命を信じ、他人の疑念に左右されず進むことの大切さを、卒業生に力強く語りました。

「あなたという力で、何を成し遂げますか?」

ジェイミー・カーン・リマ氏:2025年卒業生のみなさん、おめでとうございます! 今日という日を思う時、私の頭に浮かぶのは「力(パワー)」という言葉です。あなたが手にした学位の力。コロンビア・ビジネス・スクールというすばらしく伝説的な場で、教室の内外で学んだすべての知識の力。そして、現実の世界で培ってきた仕事や人生経験の力。その経験こそが、あなたをこの瞬間へと導いてくれました。

そして、これからの未来に広がる可能性という計り知れない力が、今、あなたの前に待ち受けています。これらすべての力が、今ひとつに重なり合い、あなたの背中を押す土台となり、夢とビジョンへ向かって飛び立つための跳躍台となるのです。

そして今日という日は、これまでの人生の中で最もふさわしく、その問いを自分自身に投げかける絶好のタイミングかもしれません。

「あなたという力で、何を成し遂げますか?」

どうか、大胆に、ためらわずに、その問いにあなた自身の言葉で答えてください。「あなたという力で、何を成し遂げますか?」。この問いは、私にこう信じさせてくれました。自分の出身や過去の失敗が、これからの道を決めるわけではない。そして、自分の内なる確信とともに、「夢はきっと叶う」と信じる力を与えてくれたのです。


自信をなくしそうな時、問いを胸に置いていた

物事がまったくうまくいかないと感じる日や、 「自分には才能がない」「自分なんて足りない」「私みたいな人間に、大きな夢なんて叶うわけがない」、そんな嘘を自分に言いそうになった日もありました。あるいは、「安全そうに思えるけど、自分の使命とはまったく一致していない」という仕事に流されそうになった日もありました。

でも、そのたびに私はこの問いに立ち返りました。「あなたという力で、何を成し遂げますか?」これは、自分自身に問いかけられる、最も力を与えてくれる質問のひとつです。なぜならこの問いの本質は、「自分の内にものすごい力がある」ということを思い出させてくれるからです。そして、実際にあなたの中にはその力があるのです。

私はかつて、デニーズでウェイトレスとして働きながら、「いつか自分のビジネスを立ち上げたい」という大きな夢を抱いていました。 でもその一方で、自分自身への深い疑いとも闘っていました。「私にこの夢を叶える資格なんてあるのだろうか?」

そんなふうに自信をなくしそうな時、私はこの問いに支えられていました。「あなたという力で、何を成し遂げますか?」。自分のリビングルームから会社を始めるだけの価値が、自分にもある。そう信じたくて、この問いに何度も立ち返っていたのです。

その後、何百回もの「ノー」と何年にもわたる拒絶に耐えながら、私はこの問いに何度も立ち返りました。急成長中の企業の指針が必要な時にも、そして最終的にその会社を売却する決断をした時にも、この問いを胸に置いていました。

私は自分のリビングで始めた会社をロレアルに売却しました。それは10億ドル規模の契約となり、ロレアルにとって米国史上最大の買収案件となりました。「えっ!?」という感じですよね(笑)。 コロンビア万歳!

「あなたの内側の声、あなたにしかない力」を信じてほしい

「あなたという力で、何を成し遂げますか?」これは、人生で最大級の特権です。自分自身でその問いに答えることができるという特権。けれども、実際には多くの人が、その問いに対する「自分の答え」を生きずに終わってしまうのです。

自分自身が努力して手にした「特権」や「力」があるにもかかわらず、人生の重圧の中で、私たちはいつの間にか、その力と切り離されてしまう。「使命よりも確実性」を選んでしまったり、「自分の目的」ではなく「他人の期待」に応えることを優先してしまったりする。

無難な道を選び、形式的なゴールを追い、既存の枠に自分を押し込め、「正しい仕事に就かなきゃ」というプレッシャーに負けてしまう。ローンを返さなければ、家族に誇りに思ってもらいたい、クラスで抜きん出たい、そんなプレッシャーが常にのしかかってくる。「紙の上の勝利」を求めて、自分自身を見失ってしまう。

キャリアの階段を登ることに必死になりながらも、実はそのはしごが「間違った壁」にかかっていると心のどこかで感じている。そんなこともあるかもしれません。今日、私からの挑戦は、「あなたの内側の声、あなたにしかない力」を信じてみてほしいということです。

その力は、「あなたにできること」ではなく、「あなたが生まれ持っている使命」を指し示すものです。プレッシャーは、決してなくなりません。でも本当の痛みは、プレッシャーそのものではなく、後悔から生まれるのです。自分の直感を無視し、内なるささやきをかき消し、自分の中にある力を疑い、「あなたにしか届かない呼びかけ」に応えずに生きる、それが、一番つらいのです。


コロンビア・ビジネス・スクール卒業後はジャーナリズムの道へ

ストーリーというものは、人と人をつなぐ最も力強い方法のひとつです。だから私は、あなたがこれから直面するであろう困難な時に思い出してもらえるようなストーリーを、ひとつ共有したいと思います。

大きな夢を追いかける誰にとっても、困難は避けて通れません。私がコロンビア・ビジネス・スクールに合格した時、母は涙を流しました。両親はどちらも大学に進学していなかったので、私が家族の歴史を変える最初の一歩になることがわかっていたからです。

ビジネススクールが始まってすぐに私は、卒業生や同級生から学ぶことが多いと気づきました。その学びをもっと広げたいと思い、私は学内新聞『ボトムライン』で彼らにインタビューする連載を始めました。

それがとても楽しく、やがて私の中にこんなささやきが聞こえるようになったのです。
「最初のキャリアはジャーナリズムに進むべきじゃないか」と。私はその直感を信じて、決断しました。2004年、当時のコロンビアMBAの平均初任給が6桁だった中で、私はワシントン州の小さな町で、年収23,500ドルのニュースキャスターの仕事を選びました。

おそらく、コロンビア・ビジネス・スクール史上、最も低い初任給だったと思います。数年が経ち、私はより大きな市場へと移動し、キャリアも順調でした。けれども、自分の夢が大きくつまずく日がやってきました。

予期せぬ出来事がキャリアの軌道を変えた

ある日、ニュースを生放送で読んでいる最中、イヤモニ(イヤーモニター)からプロデューサーの声が聞こえてきました。「顔に何かついてる。顔についてる。拭き取って。早く拭き取って!」私はすぐに何が起きているかわかりました。

私は「酒さ(しゅさ)」という慢性的な皮膚疾患を抱えており、頬が赤くなったり肌がでこぼこになったりするのです。これまではメイクで隠すことができていたのですが、その日は、スタジオの熱いライトの下で、赤く割れたような肌があらわになっていました。コマーシャル中に下を向いた瞬間、まるで砂漠の粘土がひび割れ、赤みが浮き出てくるような状態でした。

メイクで隠そうと必死になりましたが、その日初めて、まったく効かなかったのです。それからというもの、自己不信に陥る長い日々が続きました。テレビに映るたび、「クビになるんじゃないか」と不安になり、イヤモニからは毎回「ジェイミー、まだ見えてるよ。消えてない」と言われ続けました。

私は給料のほとんどを、肌に効く製品を探すためにつぎ込みました。市販されているあらゆる製品を試しましたが、どれも効果はありませんでした。


自宅のリビングルームで「IT Cosmetics」を創業

そんなある日、ささやきがまた聞こえました。あなたにもそんな経験があるかもしれません。それは、「もし自分に合う製品が見つからないのなら、自分で作ってみたら?」という声でした。

私の直感、いや、知っている感覚が私に言ったのです。「あなたならできる。最高の化学者を見つけて、すばらしい製品をつくればいい。それはきっと、多くの人を助けることになる」と。

でも、自己不信はこうささやきました。 「でも、お金がないじゃない」「美容業界に知り合いもいない」「資格もない」。それでも私は、自己不信よりも、自分の直感を信じる決断をし、コロンビア・ビジネス・スクールのネットワークに頼りました。卒業生データベースを片っ端からあたり、連絡を取り、アドバイスをもらいました。

そして、夫のパウロ、あそこにいる彼はCBS(コロンビア・ビジネス・スクール)の2004年卒で、当時投資銀行で働いていましたが、 私たちは一緒に会社を辞め、自宅のリビングルームで「IT Cosmetics」という会社を立ち上げました。

そこからが、過酷な道のりでした。収入がゼロのまま3年以上続き、何百回もの「ノー」と拒絶を受けながら、なんとか会社を生かし続けていました。

常識への違和感から生まれた業界への挑戦

この起業の旅の中で、私は気づきました。世の中には数えきれないほどの美容ブランドがあり、私も多くのブランドが大好きでした。でも、「肌トラブルのある女性たち」、例えば、赤みや凹凸のある肌を広告で見たことがほとんどなかったのです。

それに気づいた時、私はもうひとつ思い出しました。幼い頃、私は美容広告を見てワクワクしていました。あの美しい女性たちのようになりたい、とずっと憧れていたのです。けれど、心のどこかではいつも「私は足りない」と感じていました。

だから私たちが「IT Cosmetics」を立ち上げた時、 私たちには、無謀と思われるほどの大きなビジョンがありました。それは美容業界そのものを変えること。エアブラシ加工やフォトショップで修正された画像、完璧すぎるモデルたちではなく、私たちは、「私のような人たち」、年齢も体型も肌の色も、そして肌の悩みも、多様な“リアルな人たち”を起用したかった。そして彼女たちを「美しい」と呼び、心からそう伝えたかったのです。

でも、その時はまだ誰もそんなことをやっておらず、 専門家たちは一様に「絶対にうまくいかない」と言いました。あらゆる小売店が「ノー」と言いました。「もし自社商品をうちで売りたいなら、手が届かない理想像を見せる必要がある」と言いました。

つまり、現実には存在しないような、完璧すぎるイメージを使う必要があるというのです。
当時はみんなそれをやっていました。でも私は、「そうではない世界」を、次にその広告を見るすべての女の子のために、そしていまもなお、自信をなくしているすべての大人たちのために、変えたかったのです。

誰も成功するとは思っていませんでした。だから、自分自身を信じることはとても怖かった。特に、自分以外の誰も正しいと思ってくれていない時はなおさらです。

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