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University of Michigan Spring Commencement 2025(全1記事)

「誰も見ていない時に何を選ぶか」があなたを際立たせる 伝説の遊撃手デレク・ジーターが語る、一流の分かれ道 [2/2]

情熱を持って生きる

私にとって、野球は幼い頃からの情熱でした。あなたも、何かに恋してください。何でもいいんです。なぜなら、心から好きなものには、より一生懸命取り組むようになるからです。それがあなたを突き動かす原動力になります。

私の両親は、いつも「何事にも、最高を目指せ。グラウンドの上でも、外でも」と言っていました。選手として、そして人として成功するには、フィールドの上での結果だけじゃない、ということも教えてくれました。若い頃には理解しきれないほどの教えでした。

私には計画がありました。そしてその計画は、小さな目標を一つひとつ達成していくことで形にしていったのです。それは、リトルリーグのオールスターになることから始まりました。高校では1年生でバースティチームに入り、地区選抜に選ばれることを目指しました。

プロになってからも、私はキャリアを小さな目標の積み重ねで築いてきました。母から学んだシンプルな習慣があります。「シーズンの前に、目標を書いた?」と毎年聞いてくれるんです。

母は、私のリストの中身を一度も聞いてこなかったし、私も言いませんでした。でも、紙に書くことで、ただの思いつきが、実際の行動に変わっていったのです。すべては選択なのです。あなた自身の選択です。


失敗は不可欠なもの

私はキャリアの大半を、世界最大のメディア市場であるニューヨークで過ごしました。そこでは常に注目されているような環境でした。多くの人に「ミステリアスだ」と言われたこともあります。まあ、いろいろ言われましたが、ここでは「ミステリアス」という言葉を使っておきましょう。それは、私がプライベートを守っていたからです。

でも実際には、私はずっと自分の中の“声”に耳を傾けていました。それは父の声でした。「焦るな。話す前に、よく聞け。」私は見て、聞いて、学びました。沈黙は、私をより賢くしてくれた。 沈黙は、私をより強くしてくれた。たしかに、私は若く見えるかもしれません。

(会場笑)

なんで笑うんですか(笑)。高校時代、私は携帯電話さえ持っていませんでした。だからソーシャルメディアなんて、存在もしなかった。でもあなたたちは、何もかもが“公開”される世界で育ってきました。

TikTokやInstagramは、自己表現や世界とのコミュニケーションにおける大きな手段かもしれません。だから理解しています。魅力的ですよね。会話も賑やかです。今日すでに何枚のセルフィーやリールを投稿しましたか? きっとたくさんでしょう?

今すぐ自分に挑戦してみてください。少なくとも、一瞬携帯を置いてみてください。

本当に大事なのは「誰も見ていない時に何をするか」です。それこそが、あなたを際立たせるのです。あなたの選択を知っているのは、あなただけでいいのです。

失敗は、不可欠なものです。確実に言えるのは、あなたはこれから失敗します。それだけは保証できます。夢が大きければ大きいほど、リスクもまた大きくなります。

失敗と向き合う力を学ばなければならない

でも、リスクを取らなければ、その代償は何でしょう? もし夢に本気で向き合わなければ、圧倒されて終わるかもしれない。でも、そうとは限りません。

私は、公の場で失敗しました。ひどく、惨めに失敗したこともありました。ひどい日の夜には、あまりの不甲斐なさに、文字どおり泣いたこともあります。

私は、プロ1年目のシーズンに56回もエラーをしました。野球をあまり知らない人のために言っておくと、それって、わざとやろうとしても難しいレベルなんです……いや、そこ、笑うところじゃないですからね?

でも、あなたも、私も、誰だって「失敗」と向き合うことを学ばなければいけません。あなたの前に現れる「段差」を決して「行き止まり」にしてはいけない。それが、あなた自身の責任です。


成功には人の支えが必要

成功は、簡単なものではありません。だからこそ、人はそれを祝います。ワールドシリーズで優勝したあとのロッカールームで、シャンパンを浴びるのはそのためです。そして、あなたたちも今夜、間違いなくお祝いするでしょう。「いや、別にそんな……」とか言ってるそこのあなた、どうせお祝いするでしょ(笑)。

もっと大きな挑戦に備えるために、「あなたの人生に価値を与えてくれる人たち」を周囲に置いてください。あなたが学べる人たち。尊敬できる人。「がっかりさせたくない」と思えるような人。

そんな人は、あなたにとって大切なモチベーションの源となり、責任感をも育ててくれます。あなたを信じ、日々、年々、もっと高みを目指すように後押ししてくれる人を見つけてください。私にとっては、それが両親でした。

試合前、私はグラウンドに立って、観客席を見上げるのが習慣でした。「集中していない」と思われたこともありましたが、そうじゃない。私は、母と父を探していたのです。

そして今朝も、同じことをしました。ほら、そこにいるんです。彼らを席で見つけて、手を振りました。すると、向こうも振り返してくれた。その瞬間、私は安心しました。 「ひとりじゃない」と、心から思えたからです。

たとえ物理的に一緒にいない時でも、私はいつだって、彼らが私を信じてくれていると知っていました。応援してくれている、支えてくれている、と。

彼らは、いつも最初に私の様子を気にかけ、連絡をくれる存在です。「自分は決してひとりじゃない」と知っていることは、ものすごく大きな力になるんです。ひとりで失敗することは、いくらでもできる。でも、何か大きなことで成功するには、ひとりきりじゃ無理です。

選ぶのはあなた自身

あなたの夢がすべて合わさって、今日、あなたはこのスタジアムをキャップとガウンを身にまとって歩いています。覚えておいてください。夢や目標は、変わってもいい。時間とともに進化していくものです。それでいいのです。

でも、「やり方」は変えないでください。目標を立てて、新たな情熱に向けてエネルギーと時間を注ぎましょう。私も今あなたと同じように、新しい情熱の中で失敗を続けています。そして今も、かつてのあなたのような経験を持つ人たちから学び続けています。経験豊かな人たちの声に、耳を傾け続けています。

「プロセス」は変えないでください。 選ぶのは、あなた自身です。ヤンキースもミシガン大学も、伝統、歴史、記憶、そして数々の勝利と栄光に満ちた場所です。何十年も野球の世界にいました。それも、良い何十年でした。でも私が一番大切に覚えているのは、成績や記録ではありません。

それよりも、人との出会いや経験、フィールドの外で得た“学び”こそが、私の宝物です。

あなた自身にも問いかけてください。何を記憶に残したいか? バカなこと? 一番つらかったこと? それとも、今のあなた自身?

あなたがこのスタジアムをあとにする時、盛大な拍手に包まれるでしょう。その時、私は最後にこう伝えたい。

情熱を持ち、最後までやり遂げることに力を注ぎ、この世界に飛び込んでいってください。情熱と献身こそが、あなたの新しい章の幕開けです。


この瞬間を胸に「希望のチャンピオン」へ

今、まわりを見渡してください。この瞬間を心に焼き付けてください。見えるのは、大切な顔、築いてきた友情、刻んだ思い出。シェンベックラーコーチ(ミシガン大学の伝説のフットボールコーチ)が「残る者が、チャンピオンになる」と言っていましたね。

この数年間は、あなたの人生でも最高の時期だったかもしれません。この場所、支えてくれた人々、経験のすべてが、今のあなたを形づくりました。あなたは、これからもずっとミシガン・ウルヴァリンズの一員です。

私はあなたに挑戦してほしいと思っています。「希望のチャンピオン」になってください。

ほんのわずかでもチャンスがあれば、あなたたちの世代は、必ずや、より良い明日を再構築してくれると、私は信じています。

これまでも、若者たちはその時代特有の課題に応えてきました。あなたたちもどうか、先人たちの足跡をたどってこれからの未来へと踏み出してください。

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