男の子もまた“勇気”を学ぶ必要がある
なぜなら今、男の子たちは苦しんでいるからです。不安を抱え、孤独を感じ、大学に進学する割合も低く、自殺や薬物過剰摂取で亡くなるリスクは高い。
それなのに、彼らが手にしているのは「ケア」ではなく、「分断」です。 分断を与えているのは、一部のポッドキャスト界隈の“兄貴”たちだけではありません。むしろ、政府自体がその分断を煽っているのです。
男の子たちが苦しんでいる一方で、女性の平等をめぐる闘いも、まだ終わっていません。
昨年、男女の賃金格差は「改善」ではなく「悪化」しました。女性は今も、ネットでも現実でも、ただ“存在している”というだけで暴力にさらされています。
私たちは今もなお、自分の身体に関する自己決定権のために闘っています。 本来なら議論の余地すらないはずの「基本的な自由」のためにです。そして2025年現在、トランスジェンダーやノンバイナリーである人々は、「生きる権利」そのものが、法や政策によって脅かされています。ましてや「活躍する機会」など、与えられないのが現実です。
こんな状況を、誰も望んでいません。誰も、得なんてしていません。それでも、非常に裕福で強い権力を持つ人たちは、「すべての人に公平なチャンスを与える」ための仕組み、 いわゆる“パイプライン・プログラム”を破壊しようとしている。
あなたは、自分に問いかけてみるべきです。「なぜ彼らは、そんなことをしたがるのか?」
彼らは、こんな世界を築いてきました。男性と女性が話さず、互いを見ようともせず、互いを信じなくなるような世界です。
分断は結果ではなく目的
分断は、単なる“結果”ではありません。それは、彼らが望んだ“目的”そのものなのです。
なぜなら、私たちが互いを見ようとしなければ、 互いのために声を上げることもないからです。そして、これからあなたが加わろうとしている企業も、機関も、大学も、この分断された現状を、黙って受け入れているのです。
彼らはその「新しい秩序」に、ひれ伏している。忠誠を誓い、服従している。AIのアルゴリズムも、ソーシャルメディアも、中立なんかじゃありません。それらは、壊れた世界の上に築かれている。不平等や孤立を「映す鏡」ではなく、むしろそれらを“増幅”しているのです。
だからこそ、ハーヴィー・マッド(大学の名前)、自分たちの原点を思い出してください。
あなたたちが今ここにいるのは、「進歩はゼロサムではない」からです。優れた才能は、「入口(パイプライン)を狭める」のではなく、「広げる」ことでこそ生まれるのです。
これは単なる理論じゃありません。私は、実際にそれを「築き上げてきた」。 私は、それを「目にしてきた」。そして、私はそれを「この目で確かに見届けてきた」のです。
男性も加わる変革の輪
数年前、私は別の大学で開催された「女性のためのコンピューティンググループ(Women in Computing)」の集まりで講演をしました。会場に入ると、後方に何人かの男子学生が立っているのに気づきました。「あなたたちは誰?」と尋ねると、彼らは「僕たちは、“Women in Computing”をサポートしている男子です」と言いました。
最初は、からかわれているのかと思いました。でも、彼らは本当に、女性たちに対して実践的なアドバイスや支援を提供するために来ていたのです。そしてその女性グループも、これはパフォーマンスではなく、継続的な取り組みだと証言してくれました。女性がより活躍できる社会は、結局のところ誰にとっても望ましい。彼らは、その当たり前のことをきちんと理解していたのです。
でも、みなさんも知っているとおり、これは「男性が女性を支援する」だけの問題ではありません。私たちが必要としているのは、本物の「構造的な変化」です。それこそが、みなさんの出番なのです。
怒りや分断を生むなら、やり直せ
だから、卒業生のみなさん、よく聞いてください。ここで学んだ価値観を、どうか外の世界に持ち出してください。
スタートアップ界でよく言われるアドバイス、聞いたことがあるでしょう? 「日常の問題を見つけて、それに対して革新的な解決策を考えよう」と。
今注目すべき“日常の問題”は、壊れてしまったジェンダー関係なんです。あなたたちは、デザイナーであり、ビルダーであり、コーダーであり、エンジニアです。これから、会社をつくり、制度をつくり、プラットフォームを作っていく人たちです。
そのすべてを、「みんなのために」作ってください。そして、誠実さを持って作ってください。もし、あなたが作っているものが、より多くの人を包み込むものであるなら、そのまま進んでください。でも、それが誰かを怒らせたり、閉じ込めたり、分断させるものなら、やり直してください。
“つながり”こそが真の力
2025年の卒業生のみなさん。「権力はパイのようなもので、自分の分を奪い取らなければならない」と、あなたたちは教えられてきました。でも、それは嘘です。
あなたたちを「ジェンダーの戦い」に夢中にさせておいて、本当に戦うべき「階級の戦い」から目をそらさせているんです。どうか、これを覚えていてください。そして、私と一緒に声に出して言ってほしいんです。
「チャンスは、ゼロサムじゃない」。 言ってみてください。
「チャンスは、ゼロサムじゃない」。「進歩は、ゼロサムじゃない」。「進歩は、ゼロサムじゃない」。「共感は、ゼロサムじゃない」。そのとおりです。
真の力は、「つながり」から生まれます。お互いの成功に本気でコミットする時、私たちはただ「生き延びる」のではなく、「羽ばたく」ことができるのです。
誰もが上昇していける世界を、築いてください。ハーヴィー・マッドのような世界を、築いてください。そこでは、「ジェンダー」は争いの種ではなく、 より良い未来を築くための力となっている。
最良の解決策とは、分断したり支配したりするものではありません。人を結びつけるものなのです。あなたたちは、道具を持っている。あなたたちは、価値観を持っている。そして私は、あなたたちに「勇気」があることも知っています。
いまこそ、その時です。さあ、始めましょう。神のご加護がありますように。ありがとう、ハーヴィー・マッド。