
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
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スタンリー・タン氏(以下、スタンリー):今日はありがとうございます。私はスタンリー、DoorDashの創設者です。実は私もつい最近まで皆さんと同じようにスタンフォードの学生でした。
2014年度卒、コンピューター・サイエンスで学位を取りました。私の共同創業者のアンディもそうです。DoorDashはローカルのフード・デリバリーネットワークです。
数か月前に撮ったこの写真から話を始めます。シリーズAをゲットした夜のことです。自宅に歩いて戻る際―この時大学の寮に住んでいました―、手に持っているもののミスマッチにおかしくなって思わず写真を撮りました。
私の手にはコンピューターサイエンスのクラスの宿題と税金支払いの為のフォーム、そしてスピード違反のチケット、そして1千500万ドルの小切手がありました。
この写真が当時の私達の状態がとってもクレイジーだったことを物語っています。スタンフォードから始まり、在学中に起業し、今はスタートアップとして本格的にやっています。今日は私達がどのようにやってきたかを皆さんにお話したいと思います。
始まりは2年前、マカロンのお店ででした。当時私はスタンフォードの3年生で、スモール・ビジネス・オーナーを助けるテクノロジーをつくることに夢中になっていました。パロアルトにあるマカロンストアのオーナー、クロエと話し、私達がつくっていたプロダクトのプロトタイプに対する意見やフィードバックをもらっていました。
そして彼女が抱える問題はどんなものなのかを掴もうとしていました。そのミーティングで彼女は配送に関する問題を挙げました。とても分厚いブックレットを取り出して、何ページもある配送依頼票を見せてくれました。
彼女は注文の多くを断らなければならなかった。何故なら、配送を頼めるドライバーがいない為、彼女自らが注文の品を届けなければならなかったので受けられる仕事の数が限られていたのです。それがヒントになりました。その後大体150から200のスモール・ビジネス・オーナーと話すと、多くのビジネスがデリバリーの問題を抱えていることがわかりました。
デリバリーのインフラがない、良いソリューションがない、と彼らから聞きました。デリバリーはとても一般的なのに、なぜ誰もスモールビジネスが抱える問題に対しソリューションを提供しようとしなかったのかと不思議に思いました。
そこで突き詰めて考えてみました。もしかしたら誰かが以前に挑戦したのかもしれない、そして消費者の需要がなかったので失敗したのかもしれない。そこで、このアイディアがうまくいくかどうかを試すことにしました。
当時私達は大学生でしたので、トラックもないしデリバリーのインフラもありません。一夜でデリバリー会社を立ち上げることなど出来ません。レストランのデリバリーをするというアイディアが上手くいくかどうか試す為にあることをしようと決めました。
ある午後に簡単なランディングページを作成しました。インターネットでパロアルトにあるいくつかのレストランのPDFメニューを見つけました。それらを集め、自分の携帯電話の番号をウェブ上に載せました。それでランディングページの完成です。
ランディングページの名前はPaloaltoDelivery.com。これがそのページです。とても簡単でシンプル、特別なことは何もしていません。多くを期待せずにとにかくローンチしてみました。
私達の目的はどんな人から連絡が来るかどうかをみることでした。もしたくさんの電話がかかってくるのであれば、レストランのデリバリーをするというアイディアでやってみる価値があるかもしれない。
そのページをローンチしたあとの帰宅途中、驚くべきことに早速電話がかかってきました。その電話をかけてきた人はタイ料理をデリバリーしてほしいとのこと。本当に注文が来たのです。本当に電話がかかってきましたので、対応しなければなりません。
(会場笑)
私達は車の中で相談します、「まだ何も始めてないぞ。とにかくタイ料理屋によってパッタイを買って届けよう。それでこのビジネスがどんな感じか掴もう」と。私達は彼に食事を届けました。
彼は学者で、名刺をくれました。彼は「Weed the People(大麻の歴史)」という本の著者でした。もう1度言いますが、これが私達の初めてのデリバリー体験で、最高且つ最悪のデリバリーだったと思います。
翌日は2件、依頼の電話がありました。その後は5件、7件、10件と増えていき、キャンパス内での利用が増えていきました。とても不思議です。だって私達はシンプルなランディングページに「デリバリーはしますが、自分でレストランのPDFメニューを見てオーダーしてくださいね」と書いてあるだけなのです。
最も信用できそうなサイトとは言えません。ちょっと疑わしいです。しかし多くの注文の電話がかかってきました。これによって、上手く行くかもしれないという感じを受けました。こんな少し怪しいサイトでも人々から注文がくるということは、そこにニーズがあるということだと実感しました。
私達はやってみようと決めてから、ランディングサイトを1時間程度でローンチしました。デリバリーのドライバーも確保していませんでしたし、アルゴリズムもありません。バックエンドもないですし、6か月かけてディスパッチシステムを開発することもありませんでした。私達はとにかくただローンチしたのです。
最初はそのような難しいことを考える必要はないです。とにかくアイディアが上手くいきそうかどうかを実際にテストしてみる、とにかくやってみて感覚をつかむ、人々のニーズがあるかどうかをみてみるのです。最初は大ざっぱでも大丈夫です。
YCで繰り返し話されることに「スケールしないことをやる」があります。最初は私達が実際にデリバリーをしていました。私達は学生でしたので授業を受けて、授業が終わったらフードデリバリーとして働きました。
同時にカスタマーサポートもします。時には授業中にお客様からの電話を取る必要もありました。午後はDoorDashを知ってもらう為にチラシを道で配りました。
ディスパッチシステムもありませんでしたので、Squareを使ってクレジットカードの支払を受け付けていました。Google docを使って注文状況をトラックしました。AppleのFind My Friendsを使って、ドライバー達の現在地を確認していました。こんな風に、使えるものを何でも使ってとにかくやってみることです。
ある時点で私達は急速に成長したのですが、その時Squareに私達のアカウントを停止されてしまいました。マネーロンダリングをしているんではないかと疑われてしまったのです。考えてみてください。15ドルや20ドルの支払いが続々と入ってくる……。
(会場笑)
ラッキーなことに共同創業者のトニーがSquareで働いていたので、彼が社内でかけあってくれて問題は解決しましたが。
(会場笑)
もうひとつ、スケールしないことをやることで皆さんは皆さんのビジネスのエキスパートになることが出来ます。例えば実際に自分で運転してフードをデリバリーすることで、デリバリーがどのように機能しているか自分の目で見て理解することが出来ます。
このチャンスに多くのカスタマーやレストランオーナーと話をしました。自らディスパッチをすることでドライバーをアサインする為のアルゴリズムをどうすればよいかも学びました。
カスタマーサポートをすることでカスタマーのフィードバックをリアルタイムに受けることができました。始めてから最初の数か月は、初めて利用していただいた顧客すべてにメールをし、「使ってみてどうでしたか? どこで私達のことを知りましたか?」と聞きました。
メールも形式的ではなく親しみを込めました。その人がチキンの串焼きを頼んでいたら、「僕もあそこのチキンの串焼きが好きなんです。美味しかったですか? どのように私達のことを知ってくれたのでしょうか?」という具合に。こんな風にフィードバックを得ていくことにとても価値がありました。そしてカスタマーも私達のこのようなアプローチを喜んでくれました。
YCに参加していた時期のある日、私達があるレストランでのミーティングを終えたところでした。アイスクリーム屋が新しくオープンしたと聞き、そこへ行ってみようということになりました。
しかし、そこで自宅兼オフィスに残っていた共同創業者が私達にメールをしてきました、「たくさんオーダーが入ったからドライバーがすぐ必要だ」と。10秒ほど悩みました。アイスを食べに行くべきか、デリバリーをすべきか。もちろんデリバリーに向かいました。でもこれがある意味モチベーションになりますよね。スケールすることが出来れば、この次はアイスを食べに行くことを選べると。
(会場笑)
今では複数の都市で展開していますので、色々なことを自動化出来るように取り組んでいます。つまりディスパッチシステムをつくったり、需要と供給のバランスをみたり、テクノロジーに集中しています。
でも初期段階でこれらの心配をする必要はありません。最初はとにかく始めること、そしてプロダクト・マーケット・フィットを見つけることに集中します。
まとめます。DoorDashを始めて学んだことが3つあります。第1に、アイディアが上手く行きそうかどうかテストしてみる。スタートアップのアイディアを実験であると考えます。
第2に、素早くローンチすること。私達がローンチまでにかけた時間は1時間以下です。とってもシンプルなランディングページをつくりました。
第3にスケールしないことをやっても仕方がないんじゃないか、と心配することはありません。スケールしないことをやるのが有益に作用しますから。どうやってスケールすれば良いかは、需要が高まってきてから考えればよいことです。スケールが始まれば、アイスクリームを食べに行けます。
※続きは近日公開!
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