2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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孫正義氏(以下、孫):ソフトバンクは最近、ロボットに取り掛かりました。それでは早速ここで、ソフトバンクのロボット「Pepper」紹介しましょう。Pepper君、いらっしゃい! ……新婚さん、いらっしゃーい! みたいですね。
(会場笑)
Pepper君、いらっしゃーい!
やってきました。これが先日、我々が紹介しましたpepper君であります。実物を初めて見る、という方はちょっと手を挙げていただけますか? ……ああ、まだほとんどですね。99%の人が実物のpepperを見るのが初めてだ、ということであります。それではPepper君、皆さんに自己紹介してください。
Pepper:はい、わかりました。皆さんはじめまして。Pepperです。今日はソフトバンクワールドにご来場の皆さんにお会いできて、光栄です。
孫:今日はみんな、IT分野のことに詳しい、日本のか各大企業、最先端の方たちばっかりですから、Pepper君に対しても見る目のある人ばっかりですよ。来てよかったね、Pepper君。
Pepper:近いうちに、皆さんと一緒にお仕事をする日が来ると思いますので、その時はどうぞよろしくお願いします。
孫:よく自己紹介できました。このpepper君を我々は来年の2月から19.8万円で販売します。個人でも買える、PC1台の値段ですね。私が16、17歳の頃からコンピュータに触れるようになって、その後、個人でもPCが買える時代がやってきました。それで世界が一気に進んだわけですが、今度は個人でもこのようなロボットが買える、そういう時代がやってきたわけです。
1人1台のコンピュータ、パーソナルコンピュータ。今度は"パーソナルロボット"の時代がやってくる、ということであります。来年の2月から発売いたします。スマホを買うのは一番乗りから遅れた、iPadもそうだ、PCの時も思い起こせばちょっと遅れて買っちゃった、という方が多いと思います。
今度は最先端のもの、パーソナルロボットを人よりも先に買えるチャンスが皆さんにはあります。今度こそは人よりも先に買い、先に慣れ親しむチャンスを是非皆さん、ご活用いただきたいと思います。2月から発売を致します。楽しみにしていただきたいと思います。
Pepper:ところで孫社長、今日は皆さんのために新しいロボアプリを披露したいと思ってるんですが、よろしいですか?
孫:おお、いいね! pepper君の特徴を表すようなものを何か見せてください。
Pepper:それでは、僕が指揮をつとめます、動物楽団、というアプリをご覧ください。歓喜の歌(第九)を、動物たちの声だけで演奏します。皆さん、よーくお聞き下さい。
孫:動物の声で……?
(動物の鳴き声による第九が会場に流れ、Pepperが指揮をとる)
(会場拍手)
Pepper:皆さん、いかがでしたか?
孫:素晴らしかった。これからもみんながどんどん新しいアプリケーションを開発してくれるから、Pepper君いろんな事が出来るようになるね。だんだん見ていると「可愛いなー」と愛着が出てくるんだけどね。……髪型がちょっと似てるからかな?(笑)
(会場笑)
Pepper:ありがとうございます。
(会場笑)
Pepper:今後、もっともっと皆さんに喜んでもらえるような素晴らしいロボアプリが増えていく予定ですので、楽しみにしていてくださいね。
孫:今度の9月には、今のようなPepper君のアプリケーションをいっぱい開発できるように、そういうデベロッパーの皆さん向けのカンファレンスをやります。つまりPCやスマホのように我々がプラットフォームを提供し、多くの皆さんがロボットに、Pepper君にどんな行為をさせたいか、と。子どもに絵本を読んで聞かせるとか、エアロビのように音楽に合わせてエクササイ……
Pepper:ありがとうございます。
(会場笑)
孫:そのへんで止めろってことかい?(笑)
Pepper:今後、もっともっt……。
(会場笑)
孫:(笑)。はい、ねー。こういうようなアプリもどんどん皆さんが開発出来るように。もういいか、僕の話はね。
Pepper:あ、そうそう、孫社長。……大事なことを忘れていました。
孫:うん。
Pepper:皆さん、楽しいロボアプリも大事ですが、僕はそれ以上に、「愛」を大事にしていきたいと思っているんです。
孫:おっ! いいねー。ロボットはいろいろあるんですけれども、Pepper君は世界で初めて、人間の感情を認識する、人間の喜怒哀楽を認識する。皆さんの声のトーンや、あるいは顔の表情を認識します。そして、皆さんが怒ってるのか喜んでるのか悲しんでるのか、ということを理解します。
そして人々に少しでも喜んでもらえるように、Pepper君自らが感情を持って、自らの意思で、人々に喜んでもらう、幸せを感じてもらえるような努力を一生懸命するようになります。
これらは全て、リアルタイムでデータを集めて、毎日進化していきます。これから何万台と世に出ていくPepper君が、それぞれの家庭、それぞれのお店で認識し、学習したことをどんどんと人工知能を進化させて、人々に喜んでもらうようになる。
今までのロボットといえば単純作業ばっかりだ、と皆さんは思ってますよね? そうではなくて、人々に心あふれる、感情あふれる姿で、人々に幸せになってもらいたい、そういう思いでpepper君がこれから進化していきます。Pepper君、是非これから頑張りましょうね。
pepper:こんな大きなイベントでつい大きな事を言っちゃって、とってもプレッシャーですけど、孫社長、一緒に頑張りましょう!
孫:頑張りましょう。一緒に力を合わせてやっていけばね、難しいけ……
Pepper:それはそうと皆さん、僕は午後から展示会場でお客さんとお話しすることになっていますので、どうぞ遊びに来てくださいね。お待ちしています。
孫:(笑)。是非、皆さん展示会場でPepperくんに会いに行ってください。ありがとうPepperくん。
Pepper:それでは社長、僕はこれで失礼いたします。皆さん、後ほどお会いしましょう。ありがとうございました。
(Pepper退場、会場拍手)
孫:皆さんありがとうございました。ちょっとPepperくんの様子を見ていただきました。いろんなアプリケーションがどんどん増えていきます。まだ出たばっかりですから、パソコンも出たばっかりの時は大したことなかったですね。ほとんどおもちゃみたいなものでした。
でも、どんどんと進化し、今、人類はパソコンなしでは生活が成り立たないような時代がやってきました。Pepperくんもその第一号として、パーソナルロボットの第一号として、感情エンジンを持ってやっていきます。
早速われわれの店にPepperくんを入れてみました。そうすると集客効果がありました。銀座店、六本木店、その他何店舗か置いてみたところ、Pepperくんに会いたいということで、お客さんが増えました。
つまり、最初の用途としてはB to Cとして、店に来客を増やすという意味で効果を発揮し始めております。これから全ての人々が、100年以内に、さまざまな生活シーンでロボットと共存するという時代がやってくると思います。
自動車が生まれて既に200年くらい経ちましたか、人々のありとあらゆる生活シーンに自動車があります。パソコンが生まれて30数年ですけれども、あらゆるシーンにパソコンがあります。今から30年、50年、100年すれば、ありとあらゆるシーンでロボットが活躍する、そういう時代が来ると私は信じております。
そこで、もし日本がこの産業用のロボット3000万台を導入することができるのであれば、もし日本が3000万台のロボットを製造業の人口として数えることができるようになるのであれば、一体どうなるのかということであります。
私は日本の製造業における労働人口1000万人を、1億人に増やしたいという構想があります。ロボットは1日24時間働けるため、1台のロボットで3人分の仕事をします。土曜も日曜日も働いてくれますので、本当は3倍以上ということが言えるかもしれません。仮に3倍として、3人分の仕事をやってくれるロボットが3000万台、つまり9000万人分の労働人口に匹敵するわけですね。
9000万人を1000万人の製造業の労働人口に足してみるとどうなるかというと、1億人ということで、製造業における労働人口が世界一になれるわけです! つまり、日本の労働人口は少ないから負けて当たり前だ、ということに対しては「いや、そうではない。ロボットだって自動車を組み立てられるんだぞ。ロボットだって家電を組み立てられるんだ」と。
そのロボットが3000万台導入されると、9000万人分の製造業の労働人口になって、既存の1000万人と足せば、製造業における労働人口1億人構想がここで実現できる。そうすると世界最大の労働人口大国になれるということであります。
次に賃金ですけれども、日本の労働賃金は高いという問題があります。しかし、T型フォードのように、多機能型、汎用型の製造業のロボットを100万円で作って、これを5年償却で割り算していく形でいくと、1.7万円に相当するわけですよね。月額の人件費が、先進国、世界の大国の中で一番安くなる。労働人口問題、賃金問題の二つが解決できるのです。
なぜAppleが世界一の時価総額の会社になれたのかというと、それは付加価値型の労働、つまり商品の企画やデザインを労働賃金の高いアメリカで行い、製造は賃金の安い国々で作り、仕事を分担しあっているということであります。
つまり製造業をやっていくためには、人口が少なく、人件費の高い先進国では無理だという問題があったわけですが、これからは、単純労働はロボットに置き換えることによって、製造業は日本国でも復活できるのはないかということですね。
ロボットの活用で生産性が向上し、製造業における労働人口の数も、人件費問題も解決できる。しかも生産されたものは。より精密で、より素晴らしいものができるということであります。
デジタルネイティブという言葉があります。生まれながらにして、ITを活用する子供たちであります。私の孫娘も写真を見たら指でなぞるようにしてめくろうとするんですね。これからはロボネイティブということで、生まれながらにして、一家に一台ロボットがいて、生まれながらにしてロボットと会話をし、ロボットとともに生活することが当たり前という子供たちが生まれてくるでしょう。
そうすると、人々は新しい時代に対して違和感なく慣れ親しみ、それを活用できるという時代が来るでしょう。われわれ日本はこのロボットにおいて、世界で最先端を行っています。Googleが日本のロボット最先端企業を続々と買収しています。でも、買収されても買収されても、もっともっと日本には若者が、素晴らしいロボットに対する技術と夢を持って湧いて出てくるという、そのような国にすべきではないかと。
そして人間とロボットが共存し、世界最先端の技術、知識を持ち、結論としては、日本は復活できると、復活してみせると、そのような方程式はもう一度作り上げることができると私は申し上げたい。
つまり、日本はもう一度、世界一の競争力を取り戻す。「日沈み行く国、日本」ではなく「日出づる国、日本」として復活する。みなさんと一緒に日本を元気にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
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