2024.10.01
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ジョージアグウィネット大学 卒業式 2016 エイミー・コープランド(全1記事)
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エイミー・コープランド氏:みなさん、ありがとうございます。本日こちらにお招きいただいたことは、大変な名誉です。
2016年卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。みなさんを誇りに思います。地元出身の方のなかには、2012年5月のニュースで、人食いバクテリアに体を侵食された者として、私をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
また、私がつらい時にグウィネット郡のみなさんが団結して支援してくださったこと、回復の見込みは極めて薄いとされたにもかかわらず、運命の手により生き永らえることができたことをご存知の方もいらっしゃることでしょう。
私をご存知ない方のために、最初からお話しをさせていただきます。
2012年5月、私はウエスト・ジョージア大学の卒業試験を終わらせたばかりでした。ウエスト・ジョージアでは、私は3つのアルバイトをかけ持ちしていました。
その朝、私は地元の朝食レストランの「サニーサイドカフェ」で、ウェイトレスのシフトをこなし、同僚のウェイトレスに招かれて、裏に川の流れる彼女の自宅に遊びに行きました。彼女はうさぎや小鳥のヒナを飼っていて、私には断る理由はありませんでした。
その日は、ちょうど今日のように、よく晴れた、あたたかくて風の強い日で、私たちは家の裏にある川で水遊びをしました。やがて私たちは、古い自家製の、ジップラインというロープを使った遊具を見つけました。みなさんはどうだかわかりませんが、私は南部の育ちなので、ロープのブランコや梯子がついた樹があると、問答無用で飛びつくのです(笑)。
私たちは順番にジップラインで遊びました。さて、2度目にジップラインで滑り下りた時に、私は世にも恐ろしい音を聞きました。1つ目は、ロープが切れる音、2つ目は、私が下の尖った岩に激突する音でした。見ると、私の脚は、今まで見たことがないほどのひどい怪我をしていました。その時はわかっていませんでしたが、私の脚は、恐ろしいバクテリアに感染していたのです。
それは壊死性筋膜炎でした。私の左足は、急激に壊死していったのです。診断が下るまでに3日かかりました。
私はオーガスタのドクターズ病院にヘリで救急搬送されました。私の左脚は腰から胴体にかけて大きく切断され、両手と右脚もまた、後日に切断されました。私の内臓は機能停止しつつあり、ストレッチャーから手術台に移され、両親は医師から、「お嬢さんは今夜はとてももたないだろう」と告げられました。両親が「なにかできることはないか」と尋ねると、「祈るほかありません」という衝撃的な答えが返ってきたのです。その晩、両親は私のために祈って過ごしました。
私の在籍していた心理学部のみんなは、私が病院のベッドで死の瀬戸際にある間、一晩中祈りを捧げてくれました。その晩、私の乳酸量は、生存可能域の2倍にまで上昇しました。
私の回復を描写する医師の言葉は「驚愕すべき」「唖然とするような」「すばらしい」「信じがたい」などでした。
しかし私はこの間、ずっとなにが起こっているのかがわからずにいました。薬により朦朧としていて、始終ここはどこか、なぜ私はここにいるのかと尋ねていました。
2012年の夏を、このように過ごすのは、私の夏の休暇の計画にはありませんでしたが、この人生の旅路のおかげで私は、自分自身について、ほかの人々について、またこの世界について、多くを学びました。
今日、みなさんが、ご自身の人生において新たな一章を刻むにあたり、ここGGC(ジョージアグウィネット大学の略)でみなさんが受けたすばらしい教育をもとに、みなさんが勇気と尊厳、そして喜びをもって今後の人生を生きていくために、そのいくつかをおすそわけしようと思います。
今日までで私が学んだことのなかでももっとも大切なことは、「思いやりは人を癒す」ということです。気にかける相手だけでなく、自分自身も癒します。これは、この場にいらっしゃっている、私の担当看護師のみなさんも、よくご存知のことでしょう。
(会場歓声)
ほかの人を手助けすると、人生の多くのことは実は些末であり、それほど重要ではないことに気づかされます。自分がどんな状況であっても、それよりもさらに悪い状況がまだ存在するのです。生きていれば、もっと悪い状況がありえます。私は、これをリハビリに通っていたシェパードセンターで学びました。
切断手術対象者の専門病院ではなく、なぜ脊髄損傷対象者のシェパードセンターに通院しているのか、大勢の人に聞かれました。しかし、私はそこに通って本当によかったと思っています。もし私が、切断手術者の病院に行っていたら、四肢切断者のなかで、一番状態が悪い患者であったことでしょう。切断者の世界では「紙で切っただけ」と言われるような、ひざ下の片足切除だけの人もいるのですから。
(会場笑)
しかしその一方で、脊髄損傷者の病院へ行くと、私の両隣は四肢麻痺の患者でした。2人とも、首の下からは、まったく動かすことができなかったのです。
そのおかげで私は、速やかに、自分がいかに幸運であるかを知り、根本的なことについて、感謝することがました。
また、FODAC、成人・児童身体障害者と友の会(注:Friends and Disabled Adults and Children)のような団体のために活動することにより、私の人生はいかにすばらしいか、どんなに恵まれているかを知ることができました。
とくに、FODACの子供たちは私の胸を打ちました。24歳までごく普通の人生を送ってきた私は、スケートに行けない、誕生日パーティに行けない、校庭で遊べない子供のことを考えたことすらありませんでした。
この経験は、私を敬虔な気持ちにさせてくれました。そして、同じような状況にあって苦労している人々に恩返しをしたいと考えるようになりました。
私たちは、みな困難に直面します。私にとって、このことはすぐそばにあったのでわかりやすかったのですが、客席のなかにも苦労している最中の方が大勢いらっしゃると思います。共にがんばることで、私たちはお互いに変化をもたらすことができます。
次に私が学んだことは、もっと実用的なことです。「Where there's a will, there's a way(意志があれば道は開ける)」ということわざを聞いたことがあるでしょう。私は、これが真実であることを発見しました。
私が病院にいたころは、決してできないであろうと考えていたこと、帰宅し、一人暮らしをして、電話線を差し、料理をし、壁に頭を持たせかけて、足を上げるなど、本当にやりたいと思ったことは、どんなに手間がかかっても、たいていはできることがわかりました。
みなさんの目標がどうであれ、それはみなさんにとっても同じであると言うことができます。人生においてどのような困難にぶち当たっても、成し遂げたいと強く望めば、なんとか実現できるものです。
もしうまく実現できなかったとしたら、それはきっとみなさんが十分に強く望まなかったということでしょう。とは言えど、私にはいまだに、洗濯をどうやったらよいか、うまい方法が思いつけないでいるのですが……。
(会場笑)
私の人生においては、私にはこれができるだろう、あるいはできないだろうなどと、ほかの人が説得を試みたことが何度かありました。
今、私はほかの人に「それはできないだろう」と言われることを楽しんでいます。なぜなら、私は「では挑戦してみましょう」と答え、彼らが間違っていることを証明することを、自分のなかの目標としているからです。
似たようなことは頻繁に起こりました。初めてシェパードセンターから退院した時、私は非常に髪が長かったのです。その時は8月だったので、作業療法士に対する私の最初の質問は「髪をポニーテールにするには、どうしたらよいでしょうか?」というものでした。彼の答えは「私の知っている上腕切断者の女性はみな、髪を短く切っていますよ」とのことでした。
ちなみに、私の作業療法士は男性で、頭には毛がありませんでした。
(会場笑)
もちろん、彼はポニーテールに関してはエキスパートではなかったのかもしれませんが、その日、私は、自分だけでなくすべての上腕切断者の女性のために、髪をポニーテールに結い上げる方法を編み出すことを、自分の人生の目標にしました。
おそらく、最初の100回は失敗したでしょうか。しかし101回目に、小さな声が囁きかけました。「仕掛けをつくって、先にループを結び付けたらどう?」。
さっそく実行してみたところ、ポニーテールが1回でできたではありませんか。
(会場歓声)
このように、みなさんも、なにかを強烈に成し遂げたいと思ったならば、絶対にあきらめないでください。私にとってのポニーテールのようにシンプルなものでも、人生における大きな目標となりえるのです。
決してあきらめないでください。なぜならそれは、101回挑戦して実現できることかもしれないからです。
第3に私が学んだことは、オーガスタのドクターズ病院の仲のいい看護師さんが教えてくれました。彼女はジャクリーンという夜勤の看護師です。
若い女性の四肢切断者として、私が多くの困難を抱えるであろうと考えてくれたのでしょう。私たちが暮らす社会では、女性は美しく、パーフェクトで、ほっそりとし、理想的な体型でなければなりません。ジャクリーンは、私が新しい体を受け入れることが大変だろうと考え、私の本質や、私がどんな人間かについて、よく語りかけてくれました。
そのおかげで私は、体というものは単なる乗り物であることがわかりました。私の本質とは、そして私が誰であるかとは、体などよりはるかに大きな、精神的な存在なのです。
ジャッキーが私にしてくれた、意義深いこととは、12時間のシフト勤務は言う間でもなく、帰宅した後に、私がジャッキーと名付けたこの布のお人形を、一刺し一刺し手で縫い上げてくれたことでした。
このお人形が特別である理由は、彼女が帰宅後の休日に、一針一針縫い上げてくれたことだけでなく、このお人形の後頭部に、彼女が書いてくれた言葉でした。感極まってしまわないように注意しながら読もうと思います。
「エイミー、完璧な体などは存在しないことを覚えていてください。この人形は手作りで、不完全ですが、それは私たちがみんな違うからです。一番大切なことは、私たちがなにをするか、ということなのですから。愛を込めて、ジャッキーより」。
(会場拍手)
みなさんはどうだかはわかりませんが、私は、すべての女性、すべての男性にとってもまた、このことを思い出させてくれるお人形が必要だと思います。
なにを持っているかではなく、今持っているものでなにができるかが大切なのです。言い方を変えれば、人生ですでに起きたことはコントロールできないが、どうリアクションするかはコントロールできるのです。それだけの話です。
大勢の方が私を見てくださっていますね。「でも、コントロールできないことはどうしたらよいのか?」。そうです。私が苦労しているのは、まさにそのことなのです。
そこで「信念」という概念が登場します。みなさんは、みなさんの魂の奥底から「すべての物事は、まさにそうあるべきかたちで進んでいるのだ」と信じなくてはなりません。「より大きな“プラン”があるのだ」と信じなくてはなりません。
多くの場合、私たちは事前に「プラン」を知ることができればよいのに、と考えます。少しずつ「プラン」を知ることができれば、すべてのことにうまく対応できるはずだと。
しかし、手元のほんの小さなパズルの1ピースから、広大な現実すべてを理解することは、カメに計算を教えるようなものです。無理です。それは、誰かほかの人の担当なのです。
「プラン」は、その人の担当で、私たちはただ彼を信じるしかありません。私たちの仕事は、その意志が実現されることを許すことです。
魂の闇夜においては、恐怖を抱くこともあり、逆に信念を持つこともあります。私がもっとも暗い闇にあった時期、私は泣き、叫び、ロープの端に掴まっていました。そんな時、すべてのトンネルの終わりには、光があることを思い出す必要がありました。魂のすべての闇夜にも、日はまた昇るのです。
私がみなさんに伝えたいことは、単に幸せを感じるだけではなく、このことを信じて世界に巣立ってほしい、ということです。なぜなら、みなさんに起こるのは、よいことばかりとは限らないからです。最悪の状況でも、こういった感覚を持ち続けてください。
私たちは常に、「これはよい、これは悪い」と言っています。「よいことはすてきだけれども、悪いことは起こらないでほしい」と思っています。しかし本当は、なにがよくてなにが悪いかなどは、わからないのです。
人は、私に「気の毒に」と言ってくれます。しかし、私は今日この場で、私はこのままで生き続けるのだ、と言いたいのです。
(会場拍手)
私に起きたことは、悪いことではありません。
つまり、私たちには判断を保留にして、ひたすら信じなくてはならない時があるのです。
さて、私がみなさんに贈る最後のレッスンとは、「時に人は、人生の“カオス”においてもっとも成長するのだ」ということです。私の人生のカオスは、使命と情熱へ私を導いてくれました。それは、アクセシビリティと障害者とのギャップを埋めることです。
私は活発なアウトドア派の女でしたから、病院のベッドに脚を失って寝ている間、「森のなかでの5マイルのハイキングは、もう二度とできないだろうなあ」などと考えていました。しかし、そのようにずっと寝ている間、まわりの病床の人たちが、毎日延々と昼ドラを見ている様子を見ていると、それが必要なのはまさにこういった人々だとわかったのです。自然との接点を本当に必要としている人たちが、存在するのです。
そこで、社会学修士を修了した私は、NPO法人を設立し、全年齢のすべての障害を持つ人々が、ハイキングやキャンプをし、そのほかの全身のカウンセリング・サービスを提供される、コミュニティ成長センターを創設するために活動しています。
卒業生のみなさん。私にはきっと、みなさんの手助けが必要になります。大勢のボランティアが必要なのです。私の夢に共感してくださった方々には、ぜひ将来、一緒に働いていただきたいのです。私のことを、みなさんのFacebookに上げてください。この対話を進めて、将来ぜひ、みなさんと直接お話ししたいと考えています。
本日は、お招きいただき、誠にありがとうございました。卒業生のみなさん、おめでとうございます。
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