2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:今日はとくに、若いみなさんに向けて、限りある一度きりの有限な人生、その命と時間をどう使うんだという問いかけを、たくさん投げかけられていました。ここから質疑応答を行いたいと思います。
お時間のあるかぎり、たくさんの質問をお受けしたいと思います。ムヒカ前大統領に質問のある方は、ぜひ挙手をなさってください。そして、ご起立されたまま、お顔が見えるようにご質問をしてくださると、うれしいなと思います。
それでは、ご質問のある方。では、一番に手が挙がりました、こちらのスーツで来ていらっしゃる方にお願いいたします。
質問者1:(スペイン語で)非常にすばらしいスピーチをいただきまして、どうもありがとうございました。今回、講演を聞けて、非常にうれしく思っております。ちょっと質問があります。まず最初に、もし日本の首相であったら、あなたは何をするでしょう? 日本の今の社会を良くするために、何をしますか?
私たち若者は、現在の日本社会、あるいは世界の現状を変えるために、何が私たちはできるでしょうか? なぜならば、ほとんどの日本人は仕事が人生であるかのように、あるいはお金を稼ぐことが人生であるかのように、時間を過ごしています。
でも、日本人は恋人、友人、そして家族といるために、本当は時間が必要です。でも、いっぱい問題があります。例えば、日本の企業はそれを許しません。また、日本人の性格も問題です。
例えば、もしほかの人が働いていたら、日本人は「私もほかの人のように働かなければならない」と思います。ですから、今、私が質問したことに対するお答えを、ムヒカさんから聞きたいと思っています。
まず最初に、日本の首相だったら何をしますか? 日本の社会を良くするために。これが最初の質問です。
ホセ・ムヒカ氏(以下、ムヒカ):私が話したなかに、いろんなヒントがあると思います。大きな社会は、集団としての大きなツールを作らなければいけません。
例えば、今の現状に不満を抱いているのであれば、同じような考え方を持っている人、感じ方をしている人となんらかのかたちで組織を作ります。そのなかで力が生まれます。そのなかで、社会に対して啓蒙することもできると思います。それをしなければ、社会そのものは変わりません。
ちょっと考えてみてください。何年も前のことですけれど、以前、労働者は15時間も16時間も、18時間も働いていました。もうこれは100年ぐらい前のことですけれど。それで、ちょっと頭のいかれた人たちが闘争を始めました。
労働者は8時間働いて、寝る時間が8時間必要だと。そして、それ以外の時間も8時間必要だと。そういうふうに決めて、労働者は活動しました。その労働闘争をした人の多くは亡くなってしまいました。
その闘争から50年たった今、その権利を知らない人はいないでしょう。その人たちがいたことは、みんな知っているでしょう。その権利のために戦いました。そして、その闘争によって、ほかの人々の意識を開拓していったわけです。
私の国の場合は、過去100年間の間、主な労働者は牧畜産業の労働者でしたが、そういった法律はありません。8時間労働という法律が順守されていませんでした。なぜならば、働き方が違っていたからです。
今は、その8時間労働が順守されています。ですから、例えばそれは農村の場合であっても、そういった法律を順守することはできるわけです。ですから、この文明が続けば、労働時間が5時間、6時間ということになるでしょう。
例えば、ロボットがどんどん入ってくれば、そういった労働時間に対する闘争が始まるでしょう。ですから、いろんな状況があっても、同じような考え方の人と一緒に集まってがんばってください。
何かの魔法が変えてくれるなんて思わないでください。町の人と一緒に協力し合うことによって、望みがかなうのです。それが一番大切なことだと思います。そうでなければ、ボーリング場や喫茶店での雑談で終わってしまいます。そして社会は今のまま変わらないでしょう。
質問者1:ありがとうございました。
ムヒカ:2番目の質問で、若者が何をすべきか。市場にあなた方の人生を奪われてはいけません。消費主義に支配されてはいけません。
言うのは簡単です。でも、クモの巣に捕まってしまったようなもので、いつもいつも「あれを買え」「これを買え」と責め立てられています。本当に必要不可欠なものだけ買えるようになれば、必要な時間はできるでしょう。
質問者1:じゃあ、私にとって本当に必要なものだけを、これからは買うようにします。
ムヒカ:この定義を覚えておいてください。セネカ(注:古代ローマの政治家、哲学者、詩人)です。セネカの言ったことです。「多くのものを必要とする者が貧しいのだ。なぜならば、その限界を知らないから」とセネカは言いました。
質問者1:親切なお答え、ありがとうございました!
(会場拍手)
司会:ありがとうございました。大変流ちょうなスペイン語でご質問いただきましたけれども、もちろん日本語でもけっこうでございますので、あと2人ほど、ご質問を受けられるかなと思います。
司会:それでは、挙がりました、後段のスーツを着ていらっしゃる女性の方にマイクをお願いいたします。
質問者2:(スペイン語で)すばらしいスピーチをいただきまして、どうもありがとうございました。私の質問をさせていただきます。世界各国に出ようという関心を持っている学生は、たくさんいます。
その場合、この学生時代をどのように過ごせば良いでしょうか? より良い世界を作るために何を勉強すべきでしょうか? こういう質問なんですけども、お答えいただけますでしょうか?
ムヒカ:おそらく答えは似たものになるかもしれません。個人的な個々の答えを知りたいのであれば、それはあなた自身から出てくるでしょう。それをあなた自身が獲得することができるでしょう。
勉強をして、どこかで仕事をして、というようなかたちで。そして年齢を重ねていくでしょう。そしてまた、子供を持って、人生を継続していくでしょう。そしてまた、すばらしい人間になる。これは1つの可能性ではあります。
また、別の場合はあなたと同じような考えの人と一緒になってください。闘争するためのなんらかの手段を作ってください。それは、例えば社会的な組織であるとか、名前はなにかわかりませんけれども、同じ志を持つものと一緒にやってください。
おそらく若い人たちは非常に大きな重い何かを持っているでしょう。同じ思いを持っている人は、たくさんいるでしょう。なぜなら、私たち人間は風に吹かれる木の葉のように、非常に弱いものなのです。
しかし、それが一緒になればより強くなって、多くのことを表明することができるようになるでしょう。ですから、他者の強さが必要なのです。それぞれの大義は、我々の寿命が長かろうと、集団的なかたちで行わなければなりません。
そしてそれを継続していかなければなりません。私たちの人生が終わったときに、また次の人が同じようなことをして腕を上げてくれるでしょう。なぜなら私たちは、同じ人間という同じ“種”のなかにいます。同じ船のなかに乗っているのです。
この種というものは、私たちに多くのものをくれました。だからこそ、私たちは種に対しても貢献する必要があります。どうぞ恐れないでください。あなたの心のなかを、覗いてみてください。おそらく、原始の強い女性の心があるはずです。
質問者2:ありがとうございました。
(会場拍手)
司会:ありがとうございました。それでは、ほかにご質問がある方、いらっしゃいますか? それでは手が挙がりました、一番端の男性の方にお願いいたします。
質問者3:(スペイン語で)非常に素晴らしいスピーチをありがとうございました。私の質問は次のとおりです。あなたのお考えでは、本当に全世界が幸せになるのは可能だと思いますか?
なぜ私がこの質問をするかというと、私の考えでは、それはとても難しい、ほぼ不可能のように思えるんですね。全員が本当の幸福を感じることができる社会、世界になるのは難しいように思えるんですが、ご意見いかがでしょうか?
ムヒカ:たしかに私たちは神ではありません。でも、それぞれが自分の考え方に基づいた生き方をする。そうすればあなたは幸せになるし、あなたと一緒に生きる人も幸せになるでしょう。
私は最後の審判は信じていません。でも人生の何らかの時点で、おそらく我々はある鏡の前に立ち止まる時が来るでしょう。そして、私は私たち自身に言います。「私たちは自分たちの人生を生きてきた」。
どこかで私たちは自分の人生の総括をすることになると思います。たとえば「何かをやろうとしたけど失敗してしまった」「何度も失敗したけれど、やろうとした」「100やりたかったけれども、5ができた。もちろん完璧ではなかったけれど、有益な人生だった」。
別の場合には、「私は私の人生のなかで何もしなかった」「単純に私は浪費をした、消費をした」「誰に対しても手を差しのべることはなかった」「ほかの人のことなんて、一度も心配したことはなかった」「決して、誰かのために時間を費やすことはなかった」。
自分自身を鏡で見るとき、そこに映るものは自分のエゴイズムにすぎないのです。そのときにあなたは自分自身に対して失望するでしょう。
単純に世界を変えるため、勝つために戦うのではないのです。そうではなくて、自分自身の心のなかにあるもののために考えるのです。戦うのです。私たちは感じることができます。
生まれたから生きる。それは馬かもしれないし、犬かもしれないし、そういうものと同じものになってしまいます。あるいは自動的な機械のように生きるのと同じことかもしれません。
でも、私たちには頭があります。心があるのです。ある程度までではありますけれども、私たちは自分自身の人生を方向づけることを自分ですることができるのです。
もし音楽が好きならば、そこに自由を探してください。もし私のように絵が好きなのであれば、そこに自由を見出してください。私のように農業が好きな場合には、農業を営むことができるでしょう。それは単純にお金を稼ぐためだけではありません。
ですから、何かあなた自身を幸せにするものを探してください。ほかの人を幸せにすることを考えてください。
それは世界を変えるということではなくて、自分自身を変えるということになるのです。例えば、私は世界を変えたかった。でも、現在、私は家のなかの掃除をしている。ということがあるかもしれない。世界を変革するのは、かなり複雑で難しいものなのです。
でも、長期的には何かが残るでしょう。大きな闘争、大きな敗北のあとで。そして、その闘争のあとで、世界は違うものになっているでしょう。前とまったく同じ、ということはないでしょう。
質問者3:ありがとうございました。
(会場拍手)
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