2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Stanford Graduate School of Business Earvin "Magic" Johnson: Understand Your Customers and Over-Deliver(全3記事)
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アーヴィン“マジック”ジョンソン氏(以下、ジョンソン):質問に行きましょうか(笑)。
(会場笑)
司会者:あまり時間が残っていませんが、質問がある人は手を挙げてください。マイクを持った人がやって来ます。ツイッターの質問から始めましょう。
ジョンソン:5問ぐらい質問を受け付けましょうよ。さっさと逃げるわけにはいきません。ロサンゼルスからはるばる来ましたからねえ。すっごく遠いですよ。
(会場笑)
質問に答えないで帰るなんてね。私のドジャースはプレーオフにいるんだけど、ジャイアンツのファンはブーイングしないでくださいね。
(会場拍手)
どうぞ。
Q1:最初の質問はツイッターからです。バスケットボールの世界からビジネスの世界へと移って一番大変だったことはなんですか?
ジョンソン:自分が「マジック・ジョンソン」であるということは物事を簡単にさせると思っていましたが、実際は難しくさせたということですね。10の銀行から断られましたよ。カルパースに断られた他にです。
私は成長を目指していて、当時の地位にたどり着くために収入の多くを費やしました。でもさらにもう一つ上のレベルにいきたくて、もっと成長したくて、大金が必要だったのです。
私は銀行に行きましたが、10行に断られました。だから私は言ったんです。「10行に断られたんだから、全ての銀行に断られてやる」ってね。そう思って次の銀行に行ったら、融資してくれたのです。不思議な話ですよね。
君の名前は?
Q1:グレイシーです。
ジョンソン:グレイシー、不思議なこともあるもんだよ。11番目の銀行が融資してくれて、ドジャースのオーナーになったら、10行全ての銀行が私のドアを叩いて、「あなたが必要な分だけ融資します」とかなんとか言ってきたんだよ。
(会場笑)
でも私は義理堅い男なのでね、私をここまでにしてくれた銀行との取引を続けています。
先ほども言いましたが、ときには拒否されることもあるでしょう。でも挑戦しつづけることです。誰かが「いいよ」と言ってくれるかもしれませんからね。私はその「いいよ」と言ってくれた人が、私自身を、私の戦略を、そしてマイノリティが多く住む都市部の地域を信じてくれたので、恵まれていました。ありがとうございます。
それが一番大変なことでしたね。
次の質問は誰かな。ああ、こちらですね。
Q2:こんにちは。ジョージと言います。質問があるんですけど、あなたはエクイライフの取引で……。
ジョンソン:エクイトラストですね。
Q2:エクイトラストの取引で、あなたの組織はアメリカで黒人が経営する最大の保険会社となりました。マイノリティが所有する金融機関はアメリカのビジネスの習慣を変化させていると思いますか?
ジョンソン:まず、私たちは成功しなくてはいけない。それが第一です。覚えておいてください。物事を変えることができるのは、成功したときだけです。私は、自分が成功したことで、より多くのマイノリティが自分の事業を起こすための資本調達をすることができるようになると思います。
マイノリティが金融機関を所持することで金融機関が変わるとは思いませんが、私はマイノリティが経営者になるための扉を開くことができると思っています。おわかりですかね。今あらゆるところで起こっていることです。
ヒップホップの世界を見てみましょう。経営者になるということに関する彼らの考え方を変えたのは誰でしょう。私です。アスリートも同様です。なぜなら私は扉を開き、アーティストやアスリートでいるだけではないという、彼らの考え方や姿勢を変えたからです。今や私たちは、バスケットボールのコートから役員室に行くことができるということを知っています。
ですから、エクイトラストは、「うまくいけば金融機関を持つこともできるんだ」とみんなが言うことを可能にしているのだと思います。私はマイノリティでも実業家として成功することができるということを知らせる開拓者なのだと思っています。私には素晴らしい職があり、それに感謝しています。
野球の世界でも少数派ですが、素晴らしい仕事をしています。私たちはドジャースを変えました。以前のドジャースは、観客動員数で上位10位以内に入っていませんでした。私たちがドジャースのオーナーになってから3年になりますが、今では観客動員数はメジャーリーグで第1位で、一晩に42,000人以上が訪れます。
ファンの人たちにも特別な経験をしてもらっています。私たちはチームを変えて、3年連続で地区優勝したんです。私たちは全てを変えました。今では、『フォーブス』が私たちのことを世界で6番目に価値のあるプロスポーツチームであると発表しています。3つのサッカーチームと、当然ですが、ヤンキースとカウボーイズに続いてです。前に追いつくには時間がかかりますね。
様々なことをやってきたということは素晴らしいことだと思います。金融機関に関しては様子を見ているところですが、成功している事業を所有しているということ、そしてその事業をさらに発展させるということに幸せを感じています。
私たちは以前私が関わっていた他の会社、シンプリー・ヘルスを先日売却したところです。私たちはその会社を3年に渡って成長させました。医療保険業ですね。共同経営者のマイク・フェルナンデスと一緒に買収した当初は、17,000人の加入者しかいませんでした。今や加入者は300,000人になりました。300,000人にまで増やしてからエトナに約10億ドルで売却したのです。
素晴らしいことをたくさんやってきました。これが私が毎日していることです。以前はいていたようなショートパンツではなく、今スーツを着ることできてうれしいです。前はいていた短パン覚えてます? ジョニー、あの短パン覚えてる? どうやってあんなのはいてたんだろうな。
司会者:ここですよ。
ジョンソン:そこの若い男性? どうぞ。
Q3:アーロンと言います。私はザ・フォーラムのすぐそばのイングルウッドで育ったので、今とても感動しています。シアラ、最高だよ。
ジョンソン:本当だね。みんな、拍手しよう。
(会場拍手)
Q3:私の質問ですが、ご自身の出身のコミュニティ、ご自身が育った社会経済的な弱者とされるコミュニティを助けることと、自分は儲けたいという気持ちの間に葛藤があるのかどうか、お話いただけませんか。
ジョンソン:葛藤はありませんね。どうしてないかお教えしましょう。マイノリティの人たちは、私に成功して欲しいと思っているんです。小売業に関して言えば、私たちには選択肢はあまりありませんでした。私たちマイノリティは、ただ買い物に行ったり食料品店に行ったり映画を見に行くために、住んでいる地域から離れて、1時間とか45分とか運転しなくてはいけませんでした。
私は、私たちのような人が何を欲しているのか理解することができたのです。なぜって、私たちはすでにそれを車で買いに行っていましたから。ただ、それはコミュニティの外にしかなかったんです。私がやったことといえば、そういうものを近くに持ってきたことだけです。
マイノリティの人たちは、もし私が成功したのなら、彼らにも成功する可能性があるんだということを知っています。もし価格が高かったら、私が一般的な都市部の消費者向けの価格をつけていたら、話は別でしょう。でも私は地域の人を雇っています。
私が最初にやったこと、それは地域の人に仕事を覚えてもらうことでした。もう一度言います。私はまず、地域の人に仕事を覚えてもらい、そうすることで維持力を得たのです。また、私は働くのが楽しくなるような職場を作りました。それもまた維持力の秘訣です。私のフライデーズは働くのにも訪れるのにも最高の場所でした。
そう、すぐそこに以前私が所有していたTGIフライデーズがあるんですよ。行ったことある? あるだろ?
(会場笑)
やっぱりね。ああ、レイカーズとかドジャースの試合がある日は、店に入ることすらできなかった。満杯だった。私の店はドンペリやクリスタルなど、最高級のアルコールを出した全国で初めてのフライデーズだった。みんな私のモットーを真似したんだ。それが私の顧客層が欲しがったものだったからね。
なぜこの話をしているのかというと、今やマイノリティの多い都市部の地域では、イングルウッドもそうですけど、自分の住んでいる場所でサラダや夕飯を買ったり、スターバックスのコーヒーを飲むことができるんです。以前はそういう選択肢はなかったんですよ。
私はこういうふうに考えています。私は人々に職をもたらし、賃金を与えます。マイノリティが住む地域における問題とは、一ドル札が3人の手にしか触れないことです。郊外では、一ドル札は約20人の手を介します。だから私はこの成長を楽しんでいるのです。
私はマイノリティが多く住む都市部の地域でも一ドル札が最低でも10人の手を介するように、そこで商売をしているんです。地域の人を雇ってね。彼らは稼いだお金をどこで使う? 住んでいる地域でだ。そうすることで地域全体が発展する。
だから私は自分がやっていることに満足しています。人々を給料のいい仕事につかせることができました。支店長や部長たちは稼ぎがいいですよ。そしてライアンのような兄ちゃんが、大金持ちになる準備をしている。うまくいっていますよ。
(会場笑)
ここに来る途中、彼に言ったんです。「もしあの取引がうまくいったら、百万長者になれるな」って。彼は「わかりました」と言いましたよ。
(会場笑)
そのときライアンは初めてメガネを外しました。興奮してましたね。
(会場笑)
そして汗をかきはじめました。スタンフォードのみなさん、ライアンは汗をかきはじめました。
(会場笑)
それが私の仕事でもあります。可能な限り多くのマイノリティの大金持ちを作り出すことです。だから、私たちはすでに正しい道を進んでいるんですね。今までに何人もの人をお金持ちにしてきました。
私が雇用した人の中で、UCLAに行った人がいました。ブーイングしないでくださいね。彼女はUCLAのビジネススクールに行きました。19年前のことです。そして彼女は私の会社の受付係になりました。
私は彼女にこう言いました。当時は私と彼女の2人しかいなかったんですが、「もし私についてきてくれたら、一緒に素晴らしいことができると思う」と。私はさらに、「これは大学を卒業した後にやりたかった仕事じゃないと思うけど、心配するな」と言いました。
さて、今や彼女は大富豪です。私の会社の最高業務執行責任者で、私の会社を経営しているのです。受付係から、今や様々な決定を下しています。そういうことが起こりえるんです。
多くの人にとって、大学を卒業したときに得る仕事は夢中になれるような仕事ではないかもしれません。でも賢いみなさんは知っているでしょう。ときには、どんな仕事でもいいんです。知識を得て、そこから成長すればいいんです。
彼女にはここに来てもらいましょう。小さいですからね。ステージに来て。さあ、ステージへ。
(会場笑)
うん、携帯も持ってきて。
(会場笑)
誰かに渡して。ポケットの中には入れないで。
Q4:はい、どうぞ。
ジョンソン:うん、写真を撮ろう。
(会場拍手)
よし、次だ、次。
(会場拍手)
ようし、そうだ。後ろを向いて。背中合わせしよう。
(会場笑・拍手)
よし。
Q4:最高です。マリアと言います。スタンフォードの3年生です。
ジョンソン:なるほど。マイクを持ち上げて。
Q4:お聞きしたかったんですけど、あなたはよく実業界においてご自身がいかに影響力があるかというお話をされますよね。あなたは多くのマイノリティや、あらゆるところにいる多くの個人に対して強い影響力をお持ちです。
私がお尋ねしたいのは、多くのマイノリティが直面している肥満の問題に関して、どのように取り組まれるつもりかということです。
多くのバスケットボール選手やアスリートがいろんな商品を宣伝していますが、それ自体はあんまり健康的ではないものも含まれていますよね。ソーダとか、そういうものですよね。
あなたはさっき仰ってたように大きな影響力があって、マイノリティを力を与えたいとも仰っていたのでお聞きしたいのですが、今後文化的に適切な、より健康な食べ物とか飲み物に関するビジネスチャンスに関わる予定はありますか?
ジョンソン:なるほど。2つのことが言えますね。最初に、私個人の話をしましょう。2年程前、私は今より約18キロ太っていました。移動中に間食してたんですね。私は、「変わらなくてはいけない」と自分に言い聞かせました。いや本当に、変わる必要があったんです。私は自分の目の前にポテトチップスを置くかわりに、木の実や果物を置きました。そして約18キロ落としたのです。
私は今、SodexoMAGICという会社を所有しています。この会社では、大学や学校組織、企業などに食べ物を提供しています。ディズニーランドとディズニーワールドにも提供しているんですよ。やったぞ!
(会場笑)
ミッキーとミニーも私のご飯を食べてる。
(会場笑)
それとジョン・ディアの本部にも。あと、オールステート保険、ドレクセル大学などなど。なので、私たちは今、企業や学校組織や大学でも、学生や従業員のためにより健康に良い食事が求められているのを実感しています。
以前の私は、あなたが今言ったようなことは意識していませんでした。でも自分自身の食事を変えて、今私は毎朝4時に起きてるんですよ。5時にはジムにいます。有酸素運動をして、1時間ウェイトトレーニングをします。
だから、今なら健康について話すことができます。真実だからです。実際に健康的な暮らしをしているからです。以前は話すことができませんでしたが、今は実践しています。健康的な食事はとても大切なものです。
私たちアフリカ系アメリカ人は、他のどんな民族集団よりも早く死んでいます。私たちの食生活を変える必要があるのです。しかも、変化は家庭から始まらなくてはけません。
以前若い男性と話をしていたのですが、ハーレムには40年以上も食料品店がなかったんですよ。だから私は、スターバックスをハーレムに出店し、映画館を建てました。そしてついに、パスマークがハーレムにスーパーを出店したのです。
今では新鮮な果物や野菜を手に入れることができます。これがマイノリティが多く住む地域の問題なんです。新鮮で健康にいいものを買う機会がなかったんです。今度はホールフーズやトレーダー・ジョーズなんかにこういう地域に来て欲しいですね。もっと健康的な選択肢が増えますから。
私もそれを推進していて、実は私も健康的な食べ物を提供する会社に投資をする予定なんです。詳しいことはまだ秘密ないんだけどね。
(会場笑)
まだ言える段階じゃない。ライアン、まだ言えないよな? ああ、ライアン。ライアンのことを自慢してもいいですか? みんな彼に注目して。メガネをかけた男の人だよ。
(会場笑)
彼は最近、3つの取引を成立させました。私たちは最近、ジョブウェルスという会社に投資をしました。これはマイノリティの人材、あ、言ってみて。
Q4:ラテン系の採用と、他にも一般的なマイノリティの採用を行っています。
ジョンソン:聞いたことがあるのかい。
Q4:はい、あります。私も登録しました。
ジョンソン:おお、ハイタッチしようぜ。
(会場笑)
ジョンソン:最高だ。私たちが友達なのも当然だな。
(会場笑)
Q4:友達ですよ。私、あなたのツイッターをフォローしてますから。
ジョンソン:そうか。ライアンは素晴らしい仕事をしています。1つお願いしていいかな。自分と関わりのある人が成功したら、いつだって誇らしい気持ちになるべきです。だって、次は君の番だから。もし君が成功した人のことを祝福しなかったら、一体誰が君を祝福してくれるだろうか。私はそういうことを大切にしています。
私は素晴らしい妻、3人の子どもたち、そして今では2人の孫に恵まれています。でも同時に、この若い男性の才能を見つけたことがうれしいのです。この大学は本当にいい人材を輩出しますね。ライアンはすごい人になりますよ。
お願いがあるのですが、ここにはスタンディング・オベーションに値する人物が2人います。この美しい女性、彼女はとても賢く、才能にあふれています。
(会場拍手)
さあ、もっと。
司会者:そうね。
(会場拍手)
ジョンソン:素晴らしい仕事をしてくれました。
(会場拍手)
さあ、もっとだ。
司会者:ありがとう。
ジョンソン:そしてライアンも。さあ。
司会者:まあ。
(会場拍手)
ジョンソン:私はとても貧しい家の出身です。ピーナッツバターはあってもジャムはないというときもありました。飲み物があったときもあれば、何もなかったときもあります。ときには辛いこともありました。6人姉妹と3人兄弟。けれでも、私は貧しい夢は見なかった。貧乏だったけれど、夢は貧しくなかった。そして決してなくならなかったものが一つ。自分に対する自信です。
私は常に自分を信じてきました。常にです。私が支配できた唯一のもの、それが自分の労働倫理と仕事上の習慣だったんです。誰よりも早く体育館に来て、誰よりも遅く帰る。誰よりも早く職場に来て、誰よりも遅く帰る。それは変わらないんです。
もし成功したいのなら、職場に早く行って競争相手よりいい仕事をする必要があります。そして、夫や妻、彼氏や彼女にあなたの夢を理解し、信じてもらってください。クッキーはそれをしてくれました。
私はこう言ったものです。
「今夜は本当のデートって感じじゃないんだけど、ある映画館に連れて行きたいんだ」
(会場笑)
「マジック・ジョンソン・シアターに行くんだ。そこに着いたら、君は席に座っていて。私は2時間、入ってくる人みんなにハグしたりしなきゃいけないから。それで、映画が終わったら、スターバックスに行こう。駐車場から、店の中に何人ぐらいの人が入っていくのか見るんだ」
(会場笑)
「それが私たちのデートだよ」
それでもクッキーは私のそばにいてくれました。努力は報われました。5回の優勝に、レイカーズを12年で9回も決勝へと導きました。いい仕事でしょう?
そしてビジネスの世界です。資金や資本を調達するのに苦労したときもありましたが、もう心配ありません。明日10億ドル調達しなければいけなかったとしても……そうそう、新しいファンドを始めるんですよ。そのことについても話したかったなあ。
(会場笑)
とにかく、私たちはすでに2億ドル調達できています。まだ公表もしていないのにね。なぜなら、私たちにはしっかりとした実績があるからです。
司会者:マジック、もうそろそろ終わる時間です。
ジョンソン:わかりました。みなさんに幸あれ!
(会場笑)
ありがとう。
(会場拍手)
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